1月定例会 新宿フレンズ講演会

  東京都の精神保健福祉センターとは
   
〜都立中部総合精神保健福祉センターについて〜      

               講師 東京都中部総合精神保健福祉センター 

                         広報援助課援助係 染谷和子さん

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【はじめに】

 私はいろんな家族会に出ていますが、ほとんどが統合失調症のご家族の会で、参加者は60歳以上の方が主です。こちらの会はいろんな方がおいでになっていて違う感じがします。病気の方、ご家族の方、両親、ご兄弟、いろんな方がいろんな思いや辛さを持って参加していらっしゃる。でも、最も大変なのはご本人です。それを支えるご家族も大変で、重い気持ちを家族会に持ってこられて、此処でそれをおろして、少しは軽くなって帰っていただければと願っています。

【東京都の精神保健福祉センター】

 精神保健福祉センターは各県と政令指定都市にあり、これは精神保健福祉法に設置が定められています。東京都は、下谷に東京都立精神保健センター、世田谷区に中部総合精神保健福祉センター(中部センター)があり、23区を二つに分けて担当しています。中部の管轄は新宿、渋谷、大田、品川、中野、杉並、目黒、港、世田谷、練馬区です。他の13区と島しょは下谷の管轄になります。もう一ヵ所は、多摩地区を管轄とする多摩総合精神保健福祉センター(多摩センター)があります。

【中部総合精神保健福祉センターの業務について】
 中部総合精神保健福祉センターの役割は、主に、8つの部門に分けて行われています。「地域関係機関支援・地域のネットワーク作り」「広報活動」「関係機関職員への研修」「精神保健福祉相談」「医療審査」「高齢者精神医療相談班」「調査研究」「リハビリテーション」です。

1)地域ネットワーク作り
 精神保健福祉に関する関係機関支援、ネットワークを作りの部門は、主に保健所を通した活動をしていますが、地域包括支援センターや子育て支援センター、家族会や当事者グループとの連携、支援も行っています。例えば、当事者の団体である東京都精神障害者団体連合会は月に一度、中部センターを利用して連絡会や勉強会をしていますが、私たちも会に参加し、情報提供や、書記などのお手伝いをしています。

2)広報活動
 以前、都民ホールを借り有名な人に来ていただいて、数十万かけて講演会を開いたことがありましたが、このやり方は一発で終わってしまいます。お客も身内が多く、当事者と関係機関しか来ないという状況です。心の病を持つ方を多くの人に理解してもらうには、緻密な継続した活動が必要です。そのひとつの材料としてパンフレットを作りまして配布いたしております。もちろん新宿フレンズでもご希望があればお貸しいたします。また、ホームページもこまめに更新しています。

3) 関係機関職員への研修
 
作業所、保健所、地域活動支援センター、学校関係等の関係機関職員に対して精神保健福祉に関連する資質の向上を目的とした研修を企画・実施しています。最近、自立支援法になってから、施設運営をするには必ずサービス管理責任者を置くことになりました。そのサービス管理責任者の資格習得研修や、相談を受けるスタッフに関しては、相談支援従事者研修を行なっています。

4)精神保健福祉相談 
 電話相談も行っています(03-3302-7711)。よく電話してもなかなかつながらないといわれ、ご迷惑をおかけしていますが、とても困っている方が電話をかけてきた場合、お一人当たりの相談に時間がかかるのです。例えば1家庭の中に心の病の方が3人だったり、高齢者介護もあったりという、複雑な問題を抱えた家族がいます。こういう場合、誰を中心に考えるのか、どんなふうにこの家族にかかわるのかを考えながら相談を受けますので、結構時間がかかります。電話だけでは充分な相談ができない場合は、中部センターに来所していただき、相談を受ける場合もあります。そのほかに、アルコール依存症の家族教育プログラムを毎週金曜日に行なっています。

5) 医療審査
 平成19年度、12月末時点の「自立支援医療受給者証」交付件数は、約8万5千件ありました。自立支援医療の申請は各市区町村の窓口で行いますが、申請書がセンターに来て、自立支援医療が適用できるかどうかを審査し、「自立支援医療受給者証」を送っています。指定された医療機関で診断書をいただくのですが、指定されていない病院から診断書をもらってくる方もいて、その場合は書類をお返しします。すると本人にとっては病院に行くこと自体が大変で、お金もかかるのでパニックになることがあります。ですから、そうしたことを防ぐために各窓口に丁寧な説明をお願いしています。手帳の発行もしていて、なるべく一ヵ月以内に発行するように努力しているところです。

6) 高齢者精神医療相談班
 
認知症高齢者の件で家族が役所に相談に行きますと、在宅介護支援センターか地域包括支援センターを紹介されます。ところが大変難しいケースで地域包括支援センターや保健所でも対応できないケースがあります。例えば幻覚・妄想のある高齢者で、家の中で暴れるので介護が極めて困難な状況にある場合などです。そんな時は、保健所から当センターの高齢者精神医療相談班に相談支援の連絡が入ります。そうすると、高齢者専門の医師と保健師が自宅訪問し、認知症の判断や精神症状に関しての診察をし、保健所や関係機関と連携をとりながら専門病棟への入院相談・在宅介護の相談を進めていきます。最近のケースでは、80歳代の高齢者で、独居でお金もなく電気・ガスも止められ、幻覚・妄想があり、夜中に音を立てるので、ご近所が気づいて保健所に連絡してきた事例がありました。

7) 調査研究

 調査して資料を作成するのがここの仕事です。例えば医療機関名簿の作成は、今年度は約1200箇所のほどの医療機関を対象に調査をし、各関係機関に配る予定です。それぞれの病院の特徴がわかる便利な冊子ですので、都庁でも880円で売っています。今年度作成分は売切れました。また現在は、自殺予防相談を受けてくれる関係機関を調べているところで、リストができたら関係機関に配布する予定です。

8) 通所訓練

 通所訓練は、以前はデイケアや作業部門でした。ところが、各地域の共同作業所や授産施設、地域生活支援センターが活発に活動しレベルも向上しきた中、障害者自立支援法下の新体系にし、地域で精神障害者を支える基盤が整ってきました。そこでセンターはもっと先駆的なことをし、そのノウハウを地域に還元するということでトライワークプロジェクトやユースプロジェクトといった新機軸に変わりました。

9) 入所訓練(社会復帰病室と生活訓練施設:通称ホステル)
 入所訓練部門を利用する方は長期入院を経た方が多く、家族と同居している方の利用は少ないです。病院にずっと入院し、家に帰れないのでひとりで生活するための訓練を希望する方が主です。申し込み者は最初に社会復帰病室に入ります。病院の大部屋にいた方が急に個室になると負荷がかかるのでワンステップおくという意味合いと、金銭管理や服薬などの生活能力や病状管理等の評価を目的にしています。服薬の自己管理についてはプログラムの一環として薬剤師から数回のシリーズで丁寧な薬の話しがあります。

Q:デイケアの時間は?
A:9時から3時半までです。通いにくい方もいらっしゃるでしょうから、今度から半日コースもできるかもしれません。デイケアは健康保険が適用されるため、一定の時間プログラムに参加しなければいけないことになっています。

Q:職場でつらい思いをして病気になった方が、またその職場に戻るのはどうでしょうか? 違う職場に行くのが現実的な場合もあると思う。今の企業のあり方では競争して勝った人はいいけれども、振り落とされた人の居場所がない。

A:確かに、うつ病などでは同じ職場に戻って仕事をするのは大変です。ですから、その方に合った働き方ができるように、こちらも企業に出掛けて職場環境の整備を手伝います。

Q:どんな会社が障害者の雇用を?

A:大手スーパーでは、精神障害者の就労訓練をしているそうです。まずはビデオを見るなど手順もできているようです。なるべく地域の方を雇用しようという方向で、地域のニーズに合うやり方でやっています。また、某社に精神の方をお願いしたいと働きかけて、その地域の保健所に行き、その会社にいってみたい方がいないかと尋ねましたが、該当するケースが見つからなかったということもあります。

Q:都内三ヵ所の精神保健福祉センターでの通所訓練に、居住地域を越境して利用はできませんか。通所プログラムの内容に若干差があり、例えば、広汎性発達障害者(ADHD、アスペルガー障害)向けの通所訓練は下谷の精神保健福祉センターでしかやっていない。

A:下谷では広汎性発達障害の訓練はしていますが、うつ病の訓練はありません。中部はうつ病向けの訓練がありますし、高次脳機能障害の方の訓練も始めました。下谷の発達障害デイケアは23区の方が利用でき、中部のうつ病リターンワークは休職中の都民または都内企業に在籍されている方が利用できます。

Q:精神障害者は、訓練を受けても後の受け入れ先がない。精神保健福祉センターで訓練したならば、センターの非常勤として当事者が働ける機会を作ってはどうか?

A:12月に、障害者自立支援に関するプロジェクトチームで自立支援法の見直しが出された中に、行政の仕事を作業所などに発注してはどうかという案が出ています。

Q:訓練後、緩やかに仕事ができる場所がない。訓練の場も2年間で出されてしまったりするので、その間に就労できるような症状が安定している人でないと、受け入れてもらえないなどいろんな縛りがある。ならば、就労訓練の場にお金を使うのではなくて、大企業に社会福祉事業部とか子会社を作って、障害者を受け入れてもらう。そのために、彼らができることを企業のニーズとすり合わせるなど、企業と一緒に考えていく。そういうことに予算を使ってはどうか?

A:「特定小会社」が障害者の受入れで一定の役割を果たしています。皆さんから頂いた提案、問題点は持ち帰り職場に伝えるようにします。

東京都立中部総合精神保健福祉センター
〒156-0057東京都世田谷区上北沢二丁目1番7号 電話   03-3302-7575

平成17年4月からの新宿家族会ホームページ「勉強会」の表示形式について

 新宿家族会では4月から「勉強会」ホームページの表示について、概略掲載とすることになりました。そして、「フレンズ」(新宿家族会会報紙)ではいままで同様、あるいはより内容を充実させて発行することにしました。これまで同様に勉強会抄録をお読みくださる方は、賛助会員になっていただけますと「フレンズ」紙面版が送られますので、そちらでお読みできます。
どうぞ、この機会に是非賛助会員になっていただけますよう、お願い申し上げます。

賛助会員になる方法        



新宿家族会へのお誘い 

 新宿家族会では毎月第2土曜日、12時半から新宿区立障害者福祉センターに集まって、お互いの情報交換や、外部からの情報交換を行い、2時からは勉強会で講師の先生をお招きして家族が精神障害の医学的知識や社会福祉制度を学び、患者さんの将来に向けて学習しています。
入会方法 


編集後記

 地球温暖化が問題となっている昨今、今年の冬の寒さは何だ、といいたくなる。東京に雪が降り、スキー場の雪も豊富だという。どこかの雪男のいたずらなのか。

 今月は東京都中部総合精神保健福祉センターの染谷さんからお話を伺った。これまで、公的な精神保健福祉センターで、通り一遍の知識でしか見ていなかった。ところが、キーワードを並べるだけでも様々な活動を行なっていることがわかり、これは利用しない手はないと思った。

 まず、家族会についていろいろ指導している。自助グループへのサポート。自立支援法の都の関わり方、家族の関わり方。当事者の医療への繋げ方。電話相談。法律相談。相続、職場の解雇、借金、こんな相談事業を受けてくれる。

 そのほか、医療機関名簿の作成。これも家族会の中で質問が多いテーマだ。いい病院を紹介して欲しい。いい先生を紹介して欲しい。誰もが持つ知りたい情報である。

 通所訓練では、クリーニング、木工、パソコン教室があり、それらをトライワークプロジェクトとして障害者の働き方を先駆的に行なっている。まだまだ精神障害者が希望を持って生きていくための支援活動としてホステル、ショートステイ、デイケアなどがある。

 私たちが声を大にして進めて欲しい願望は学校関係者、職員に対して精神保健福祉に関する研修を徹底して欲しいことだ。特に中学生、高校生の教職員の精神保健に対する理解だ。これまで無理解から出る言葉や態度で多くの子ども達が病気を重くしている。       

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新宿家族会 E-mail: frenz@big.or.jp