7月家族会勉強会

         「よりよい関係をつくる家族の対応」

    
           
講師 SST(生活技能訓練)リーダー 高森信子 先生


ホームページでの表示について

【薬と家族と再発の関係】
 精神科の患者さんの中には「私は病気じゃない、だから入院しないし薬も飲まない」という人が50%位いるといます。これはお医者さんもやりにくい患者さんらしいんですが、本人が病者でありながら薬をやめるのは、病気じゃないからとか、もう治ったからとか、副作用があるからとか理由はいろいろありますね。伊勢田先生(東京都多摩総合精神保健福祉センター所長)の話によると薬をやめると70%の人が1年以内に再発するんです。

【感情表出と再発】
 先生方がよくおっしゃる「感情表出」という言葉がありますが、感情表出の高い家族のところに退院してくると、再発率がとても高くて45.7%。これは退院から9ヶ月以内のお話です。感情表出は感情が表に出るということですが、ののしりや批判は本人にとってはつらい言葉です。それほどつらくない言葉でも傷つくことがあります。

【病を治す自然治癒力】
 40数年前、薬はなかったんですがその時代の患者さんと比べると、薬のある今の患者さんの方がめきめき治っているだろうとお思いになるかもしれませんが、八木剛平先生(翠星ヒーリングセンター総長)のお話ですと、どちらも治癒率は同じ、とのことです。これはとてもショックな話でして、薬のない時代に治らないのはわかるけど、薬のある時代にも同じ治癒率というのはどういうことでしょう。

【自然治癒力を高められる家族とは】
 では、どうやれば自然治癒力が高められる家族になるのか。まずは、「今を認める」。次に、「ほめる」。ちょっとでも本人の意思でやってくれたことをほめる。ほめ方の下手な人は「感謝する」。そして最後に、「お願いをする」。命令するのではなくできそうなことを上手にお願いしてみてください。病気の人は命令されることをとても嫌います。

 原田先生(原田メンタルクリニック)の説によれば、まず薬を飲めば不安に効き、眠剤を飲めば不眠も解消される、そして寝られるようになれば過労も少し取れてきます。薬を飲んでいると、こういう風に効いてきます。でも孤立だけは薬が効きません。それがどうしても病気の人には残ってしまう。この部分が親から見ると、甘ったれている、依存的、ということになるんですが、これはしょうがないんですね。

【依存と家族の対応】

ある青年からお便りがきました。
 「父は自分勝手で聞く耳を持たない人です。今まで私の悩みや問題について自ら積極的に知ろうとしませんでした。父親からアドバイスをもらったこともありません。悩み事の口火を切るのはいつも息子からといまだに考えています。このため私は寂しく、孤独を感じてきました。私から悩みを言い出すのは簡単です。でもそれでは孤独なのです。私の気持ちを汲み取って声かけをしてもらいたいのです。そういったことがないから孤独を感じ、幻聴という病気持ちのきっかけになったのではと思います。だから高森先生に、親から真剣に私をサポート・ケアしてもらえるよう両親へアドバイスをしていただきたいです。」

 3人とも同じ考えを持っているのにどうしてギクシャクするのでしょう。それは力関係のバランス、一人ひとりが相手の気持ちを大事にして、平等な関係になれば平和はきっとくると思います。

【自立】
 ある青年が私に言いました、僕も自立しないといけないと考えて自分が薬に頼っているのがいけないから薬をやめてみたら、3日で症状が出てきた。それで慌てて薬をのみました。どうしたら自立できるでしょうか、というんです。

 今、私が皆さんに言いたいのは、自立支援法を内容はわからなくてもいいから気に留めることです。法律の中身はどうあれ、お前は自立をどう考えている?と会話の種にしてほしい。結論としてご家族に申し上げたいのは、できることから始めるのが自立です。

【認知療法】
 ある息子さんはお父さんが厳しくスパルタ的でした。私のところにしょっちゅうくるのは、死にたい、という電話でした。どうしてかと聞くと、お父さんが一日中、雨戸を開けろ閉めろとうるさい。「どうしてお父さんはなぜ雨戸を開けろとか閉めろとかいうの?」と聞くと、「僕に命令したいからでしょ」といいました。

 私は当事者の方には障害年金は生活資金だから親に食費を3万円渡したほうがいいと話すのですが、彼にも以前そのことを言いました。話しているうちに、「僕が1万円しか出していないからうるさいのかな」というんですよ。それで私が、「そうか、じゃああとの2万円が雨戸の開け閉めのアルバイト代?だとしたらそれは楽な仕事、大変な仕事?」と聞くと、「楽ですね」っていうの。彼は、「そうか、アルバイトだと思えばいいんだ!」。

【コミュニケーションを学ぶ】
 SSTはコミュニケーションの勉強です。お願い上手というのもすごく大事ですが、人間の間をうまく保つためには、お断り上手というのも必要。これができないと相手が王様になってしまう。もし暴力を振るうなら、毅然とした態度をとってほしいし、本当に暴力が起こったときは世間体を気にせずパトカーを呼んでほしい。いけないことだとこびりつけてほしい。

【孤立感を埋めるための3つのポイント】
 私の著書に、「心病む人は限りなく人恋しい」という一節があります。柳田邦夫さんの著書『犠牲』にある「心病む人は限りなく人恋しく、人の愛を求めている。とげのない平凡な会話を望んでいる」というところからとりました。ある人が、「本当は両親の間で川の字を作って寝たいけれど、50にもなってそんなこと言ったら笑われますよね」っていうの。その人は目が見えなくて座っているしかないお父さんを暴力でいじめるんです。本当は一緒に寝たいということを親に言えないからお父さんをいじめたくなるのだと話していました。暴力、ない子ならますます無気力になります。どうせしゃべってもわかってもらえないし説教をされるだけと、口をきかなくなります。気持ちを分かってあげるのが大事です。



平成17年4月からの新宿家族会ホームページ「勉強会」の表示形式について

 新宿家族会では4月から「勉強会」ホームページの表示について、概略掲載とすることになりました。そして、「フレンズ」(新宿家族会会報紙)ではいままで同様、あるいはより内容を充実させて発行することにしました。これまで同様に勉強会抄録をお読みくださる方は、賛助会員になっていただけますと「フレンズ」紙面版が送られますので、そちらでお読みできます。
どうぞ、この機会に是非賛助会員になっていただけますよう、お願い申し上げます。

賛助会員になる方法        



新宿家族会へのお誘い 

 新宿家族会では毎月第3土曜日、12時半から新宿区立障害者福祉センターに集まって、お互いの情報交換や、外部からの情報交換を行い、2時からは勉強会で講師の先生をお招きして家族が精神障害の医学的知識や社会福祉制度を学び、患者さんの将来に向けて学習しています。
入会方法 


編集後記

 暑い日が続いているが、カラッと晴れた青空はあまり見られないのが今年の夏の特徴だろうか。

 高森先生には三度目の講師をお願いした。先生は三度目を意識して段階的な話題を用意してくれたと言う。しかし、新宿フレンズも代替わりした。会場では先生のお話は始めてという参加者が多く、内容を初期段階に変えて講演していただいた。後で先生から前回とWってしまったと悔やまれる言葉があった。

 しかし、聞く度に思い当たるところ、グサリとくる部分がある。私たちはいかに相手の気持や心理といった部分を見過ごして発言し、行動しているか。これは単に当事者に対する問題ではなく、健常者とされる我々同士にも通用する対人間の交際のセオリーではないだろうか。

 ちょっとした音信不通から疑心暗鬼になり、ついには相手不信に陥る。上下関係の誤解から、威圧的になったり、横柄な態度をとる輩。そこに軋轢が生まれ交際断絶となる。これらは我々のビジネスの世界や交友関係でよくみられる風景だ。

 精神衛生とはなんだろうか。その好環境とはどんな状態を言うのだろうか。指紋と同じように人間の心も二人として同じ者はいない。三回目の高森先生のSSTだが、その解答はまだ見出せない。あるいは、それは人間の最も人間たる問題の領域であるのか。あまり深く考えず、相手の気持、心理をちょっと胸の隅っこにおいて、お互いが楽しく生きられる方法から学ぼう。

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新宿家族会 E-mail: frenz@big.or.jp