6月家族会勉強会

     統合失調症の社会機能とその回復

          講師 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 茅野 分 先生


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社会機能(social functioning)

まず基本になるのは「心身機能」、身体・精神の健康状態です。その次が「活動機能」、すなわち「身辺処理」と「生活管理」、生活維持に必要な機能です。例えば、一人で風呂に入れる、トイレで用を足せる、そして炊事・洗濯・掃除・・・当たり前のようでなかなかできないことですね。「活動機能」には対人、コミュニケーション、作業遂行、移動もあります。これらは周囲の人々と協調して行動する機能です。このような機能が果たせた上で「社会参加」、学校や職場へ行くことができるのです。活動機能と参加機能を併せて「社会機能」といいます。


作業遂行の要素

作業遂行を考えるにあたりまず大事なのは認知能力です。「認知」とは知的機能をもう少し要素的に分けた考え方です。すなわち、理解できるか、集中できるか、工程を踏めるか、正確にできるか、素早くできるか、柔軟に対処できるかということです。


神経認知機能と社会的認知機能

「注意」「記憶」「流暢性」「遂行機能」といった基礎的な神経認知機能が社会的機能に大事であると最近話題になっています。それから社会的認知機能と呼ばれる機能も注目されています。これは他者の心を推測する「心の理論」、他者や状況を理解する「社会的知覚」、物事の考え方・受け取り方としての「帰属スタイル」、そして「問題解決能力」等があります。


OTP, Optimal Treatment Program
統合型地域精神科治療プログラム(最適な治療実施計画)

これは病気になった後も再発・再燃しないよう、早めにその兆候を見つけようという考え方に繋がります。それから「チーム医療」。患者さんだけではなくご家族、作業所やデイケアの職員も合わせた皆でリハビリテーションにあたることが必要です。そして「継続的に具体的な目標を立てていく」ということが大事です。


積極的傾聴

コミュニケーションをとることで相互理解にも、ご本人のストレス回避にもつながります。

問題解決技法

統合失調症の方はいきなりゴールを考えて、その時思いついたことに手をつけてしまったりすることがありますので、意識してこういう過程を踏んでいただくことが必要です。

早期警告サイン

自分が具合悪くなりはじめていることを自覚することです。前駆症状にも似た症状です。幻覚・妄想や精神運動興奮まで生じた時点では直ぐに回復しようとしても難しいですから、ご家族や周囲の方々にもご援助いただき、早期に対処していただければ大事に至らず済むわけです。



平成17年4月からの新宿家族会ホームページ「勉強会」の表示形式について

 新宿家族会では4月から「勉強会」ホームページの表示について、概略掲載とすることになりました。そして、「フレンズ」(新宿家族会会報紙)ではいままで同様、あるいはより内容を充実させて発行することにしました。これまで同様に勉強会抄録をお読みくださる方は、賛助会員になっていただけますと「フレンズ」紙面版が送られますので、そちらでお読みできます。
どうぞ、この機会に是非賛助会員になっていただけますよう、お願い申し上げます。

賛助会員になる方法        



新宿家族会へのお誘い 

 新宿家族会では毎月第3土曜日、12時半から新宿区立障害者福祉センターに集まって、お互いの情報交換や、外部からの情報交換を行い、2時からは勉強会で講師の先生をお招きして家族が精神障害の医学的知識や社会福祉制度を学び、患者さんの将来に向けて学習しています。
入会方法 


編集後記

蒸し暑い日が続く。いやな季節である。ちょうど一年前、あるお母さんからメールで相談を受けていたことを思い出す。

 お嬢さんが結婚して間もなく発病した。主人は離婚を申し出た。お嬢さんは病気ゆえ、主人の愛情を信じて、自宅で夫の帰りをずーっと待っている。実家に帰った夫は調停離婚の手続きを取った。そして、調停が開かれた。

 裁判官はお嬢さんに成り行きを説明する。しかし、お嬢さんは聞き入れない。業を煮やした裁判官は夫に有利の判断をしてしまった。

 結婚して相手が病気になったらどうするだろうか。精神の病でなかったら、どうなのか。あるいは、相手が病気になったゆえに、より愛情が深まったという話も聞く。

 それを「人それぞれ」で片付けてしまっていいのだろうか、という疑問が湧く。我々は病者との接触は日常茶飯事である。患者の症状から来るいやな言動は「病気ゆえ」だと納得できる。しかし、初めての経験者は患者の言動から「人が変ってしまった」になる。それは愛情を消し、憎しみにまで至る。そして離婚。

 それぞれの道で、違いがあれば何だろうか?それは「病気の理解」ということではないか。裁判官を始め、まだまだ一般にこの病気は知られていない。この病気から起こる問題の解決は、まだこの病について知らぬ人たちに、病気の本質を知ってもらうことではないか       

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新宿家族会 E-mail: frenz@big.or.jp