ミクロ戦記−第1章−

 199X年ついに奴らは復活した。新たな勢力を引き連れて。

 1970年代に最初のミクロマンが地球に降り立って以来25年の月日が経った。各地で眠りについていた多くの仲間を蘇生させ、また数多くの地球人協力者の力を得てミクロマン達は地球人との平和な共存関係を続けていた。

 だが、その平和はそう長くは続かなかった・・・・・。

 富士山の麓の樹海の中にミクロマンの地球本部があった。富士の山頂には本部の通信の要であるレーダーサイトが設置されており、地球各地の支部や、月、衛星軌道上の各施設と連絡を取り合っている。
 そのレーダーサイトの通信アンテナが宇宙空間から届く謎の通信をキャッチしていた。それはかろうじてキャッチ出来る極微弱な電波だった。

 「ザザザ・・・・誰か・・この通信をキャッチ・・して・・いますか?僕の名はミクロマンマグネパワーズ・アーサー。そちらに邪悪な軍団が向かっている・・・気を付けて・・・。」

「?」最初にこの電波に気が付いたのは丁度その時宿直していたレーダーサイト要員のリヴェッティーだった。

 リヴェッティーは戦後世代と呼ばれるミクロマンの一人でデスマルクとの戦いの後に蘇生したミクロマンの一人だ。ミクロマン達は大きく分けて戦前世代、戦中世代、戦後世代に別れている。

 「何だ?」

 「いや、通信アンテナに通信電波のようなものが引っかかった。宇宙空間からだ。」リヴェッティーはレーダーサイトの制御コンピューターにアクセスし受信記録を立ち上げる。直ぐさまモニターに受信した電波の記録がグラフ状になって表示される。受信記録を検索すると、グラフがひときわ高い部分がある通信アンテナが確かに電波をキャッチした事を示している。

 「通信?今頃?宇宙空間から?」

 リヴェッティーは記録に目を通す。確かに謎の通信電波が受信されている。

 「ああ。どの施設にも割り振られていない特殊な周波数のものだ。」

 「衛星軌道上のミクロサテライトからの報告は?」

「報告は届いてない。いまサテライトへ回線を開いているんだが、どうも通信状況が悪くてまったくあっちに通じてない。」

「この周波数の電波を増幅してくれ。」

「OK、やってみる。」

 数刻すると微かな音が聞こえてきた。

 「ザザザ・・・・誰か・・この通信をキャッチ・・して・・いますか?僕の名はミクロマンマグネパワーズ・アーサー。そちらに邪悪な軍団が向かっている・・・気を付けて・・・。」

 「かなり微弱な出力の電波だな・・・。」

 「よし記録だ。」

 「OK」

 「取りあえず本部に連絡する。」リヴェッティーは地球本部の司令室に繋がる回線を開いた。

 富士山麓、ミクロマン達が全世界に展開する仲間の中枢拠点として選んだ地。樹海の所々にドーム状の施設が多数設置されており、396人のミクロマンが常時勤務している。

 富士山地球本部の地下10メートルに地球本部の司令室がある。地球本部の司令官には現在M112バーンズが就任している。M112というナンバーは一部のミクロマンにしか許されておらず彼が多大な実績のあるミクロマンの一人である事を示している。
 バーンズは富士山地球本部が設立されるよりはるか以前から医療の分野で活躍していたベテランのミクロマンである。地球本部の設立後は救助活動を担当する部署レスキューエリアの長官に就任している。

 「バーンズ長官、山頂の空間レーダーサイトのリヴェッティーが特殊な周波数の電波通信をキャッチしたとの事です。こちらの回線に転送しています。かなり微弱な電波のようですが、増幅器を通しましょうか?」司令室の通信要員ローレンスが慌てた表情でバーンズに報告した。

「発信者はミクロマンマグネパワーズ・アーサーとの事です。」

 「よし増幅器を使用してくれ。」バーンズは何かしらの不安を感じていた。かつて自分たちが嫌と言うほど味わった恐怖の再来・・・。ミクロマンマグネパワーズ?初めて聞く名前だが新たな仲間だと言うのか?

 「すいません、既に増幅済みの通信で、これ以上の増幅は不可能だそうです。」ローレンスがバーンズに報告する。

 「判った。」バーンズはローレンスの手際の悪さに呆れた。

 「アーサー君、こちらはミクロマン富士山地球本部だ。私はレスキューエリア長官のバーンズだ。」

 「バーンズ長官、急い・・で迎撃体制を整えて・・下さい。直ぐにそちらにアクロイヤー軍団が」

 「・・・・ああっ・・・・」アーサーのうめき声を最後にノイズだらけの通信は途絶えた。通信の背後では激しい爆発音が聞こえていた。

 「どうしたアーサー、応えるんだ。」バーンズの不安は的中してしまったようだ。

 「バーンズ長官、通信途絶えました・・・バーンズ長官」ローレンスは状況が理解出来ずに完全にうろたえてしまっている。

 「ええぃ、わかっている。」バーンズは声を荒げてしまった。周囲の視線がバーンズに集中するがバーンズはその視線には気もくれず考えを巡らせる。

 アクロイヤー軍団?彼等はすでに一部を除いて無力化されている・・・。まさかかつてのアーデンやデスマルクの様に新たなアクロイヤーが外宇宙から襲来するとでも言うのか・・・?だが事によっては再びミクロマンパンチになる手術を受けねばならんな。

 バーンズは集合しうる各部署の長官に緊急召集をかけた。地球本部司令室に各エリアの長官達が次々と集まってきた。

 「何事だバーンズ」まず飛び込んできたのはM111ボブソンだった。保安機関コマンドエリアの長官でバーンズにとって最も信頼置ける男だ。

 「よく来てくれたなボブソン。」バーンズボブソンの肩をたたくと親しく声をかけた。

「緊急召集とは穏やかじゃないな。」

 「ああ、だがこういう時に君がいてくれると頼もしいよ。」

 「他の連中もすぐ駆けつけてくるはずだ。」

続いてミラーとジョンが司令室に駆け込んでくる。

 「君が我々に召集をかけるのは珍しいな。」

 「20年ぶりの緊急召集だな。生徒をほったらかしたままやって来てやったぞ。」

 「ミラー、ジョンも来てくれたのか。他のメンバーはどうした。」

 「すぐ全員集まるだろう。」

 「ブラッキーは今北海道でな。すぐには戻って来られないそうだ。」

 一人の男があわただしく司令室に駆け込んできた。その男は情報機関インテリジェンスエリアの長官M113ボビーだ。

 「バーンズ、みんな集まってるな。こちらも深刻な事態だ。我々の警戒網を抜けて何者かが日本北部エリアに侵入した。そして、悪い知らせがもう一つある。情報収集中のスパイマジシャン・デビッドが何者かに襲われ片腕切断の重傷を負った。現在メディカルルームで治療中だ。命には別状はないがしばらくデビッドは戦線から離脱する事になる。」
入ってくるなりボビーの口から発せられた信じられない言葉に全員が絶句した。

 「相手は一体何者だ、ボビー。あの情報収集のプロフェッショナルのデビッドに手傷を負わせる相手とは・・・。」ジョンの表情は険しくなった。

 「デビッドが負傷だって?信じられない。」みな口々にそう言った。一様にこの事態が信じられないようだった。上司のボビーですらデビッドの負傷が信じられなかったのだ、他の面々が直ぐに信じられないのも無理はない。デビッドの能力を知っている者ならばなおさらの事だ。

デビットはスパイマジシャンと呼ばれる諜報員の一人で、スパイマジシャンの中でも一番の情報収集の達人である。今まで任務中に敵に察知される事も攻撃を受けることもましてや負傷する事も無かった。

 「私の知る限りでデビッドに傷を負わせるだけの能力を有するのはデスマルクやアクロイヤークラスの敵だ。インテリジェンスエリアの敷いた警戒網に侵入しうるのも彼らだけだろう。まだ推測でしか無いが誰にも発見されずにこんな事をやってのけるのは奴らしか考えられない。もしかすると奴らが人知れず復活したのかもしれん。」ボビーは深刻な表情で語った。

 「デスマルク!?アクロイヤー!?」皆は信じられるはずもなかった。かつて自らの手で彼らを倒したからだ。

 数刻の内に召集可能な各エリアの長官全員が司令室に集結した。M101ジョン、M112バーンズ、M111ボブソン、M113ボビー、M123ミラー、M124マックス。これだけの人数が召集されたのはデスマルク襲来の時以来初めての事である。

 「現在集まれる全員が集合した所で緊急対策会議を始めよう。まずはこの通信記録を見てくれ、昨日富士山頂のレーダーサイトが捉えたものだ。」バーンズは記録ディスクを取り出すとマグネパワーズ・アーサーより届いたメッセージを全員に聞かせた。一同その内容にざわついた。

 「アクロイヤーだって?何を馬鹿な事を。アクロイヤーは二十年以上も昔に殲滅しているんだぞ。それに俺は奴らの最後をこの目で確認した。もし新たなアクロイヤーが外宇宙から襲来したのだとしてもスターコマンドが何らかの情報を得ているはずだ。」ボブソンは叫んだ。

 「そうだ、現在に至るまで新たなアクロイヤーが蘇生、出現した記録はない。ドクターマン・ケーンがアマゾン総統に関して追跡調査を行っているが彼らが生存している痕跡はまったく発見されていない。」ミラーが静かに言う。

 「しかし、万が一という事もある。もしスターコマンドすら探知できない新たなアクロイヤーが出現したのだとすると・・・。」ジョンが左手で顎をさすりながら考えを巡らせている。

 「しかしミクロマンマグネパワーズ・アーサーとは何者だ?」ボビーは首を傾げつぶやいた。

 「わかりません。でもフードマン達なら知っているかも知れんません。」マックスが口を挟んだ。

 「敵が侵入したというのが誤報であればもちろんそれでいい。だが、インテリジェンスエリアの敷いた警戒網は突破され、負傷者も出ている。この事態は看過できない。何者にも察知されずに何かが侵入したと考えていいだろう。今まで以上の警戒体制を敷く必要がある。」バーンズは一時考えて続ける。

 「ボブソン、ボビー直ぐにコマンドエリア、インテリジェンスエリア総出で偵察を行ってくれ。足りないようならレスキューエリアからも人員を派遣する。今回の件に関してはこのバーンズが責任をもって指揮する。」

 「よし、直ぐに偵察隊を編成しよう、未来科学研究所にも応援を要請してみる。」ボブソンはそう言うと早足で司令室を飛び出していった。ボビーや他の長官達も自分達の持ち場に戻っていった。

 「ミクロマンマグネパワーズ・アーサーはアクロイヤーと確かに言った・・・・。奴らはどうやって侵入したというのだ・・・。」バーンズは司令室のイスに腰掛けたまま頭を抱えた。

 厚い雪雲が覆う三陸海岸上空を2つの機影が南に向かって引こうしている。機影はレスキュー2号ボンゴを積んだ、レスキュー1号ジェッター2機のものだ。

 1機にはM251リチャードとM281クラークが、そしてもう1機には戦後世代のウォーゼルとローバー達が乗っている。今回の任務はウォーゼルとローバーの飛行訓練も兼ねている。

 2機は北海道にある光子波観測所へドクターを一人搬送した帰りだった。

「リチャード先輩、やっぱり気楽な任務でしたね。戦闘訓練の方がよかったのになぁ」ウォーゼルが通信機越しにリチャードに話しかけた。

 「ウォーゼル、気を抜くなまだ任務は終わってないんだぞ。それにワイルダーみたいな事いいやがって。」

 「す、すいません。」

「おいおいリチャード、たまにはいいじゃないか。」クラークが言う。

 「簡単な輸送任務といっても任務には違いないんだぞ。」

 「はいはい、判った判った。相変わらず堅物だなぁ。」

 「ローバー、周囲に以上はないか?」

 「はい、異常なし。いい景色が広がってます。」ローバーは海岸線を眺めながらのんきな声で答える。

 「ぷっ。」クラークは思わず吹き出してしまった。

「まったく。」リチャードは苦笑する。

 「ローバー、景色を楽しむのはいいがちゃんと計器は見てろよ」クラークがローバーをからかう。

 三陸海岸上空は相変わらずどんよりと厚い雲で覆われていた。その厚い雲を突き抜いて何かが凄いスピードで落下していた。空気との摩擦熱でオレンジ色に輝いている。

 「ん?ウォーゼル、何か光る物体が上空から落下しているぞ。」のんきに風景を楽しんでいたローバーが叫んだ。

 「レーダーには何も映ってない。方向は?」

 「11時の方向。森に落ちた。煙が見える。」

 「確認に向かうぞローバー。」

 「了解だ。」

 「リチャード先輩、ローバーが何か光る物体を発見したようです。そちらから煙が視認できますか?2番機はこれから落下物の確認に向かいます。」

 「こちらでも落下物のものと思われる煙は視認できている。ウォーゼル、ローバー気を付けて行け。こちらは上空待機する。支援が必要な時は直ぐに呼んでくれ。」

 「恐らく隕石か何かだろう。確認次第帰還しろよ。」クラークはたなびく煙を注意深く見ていた。

 「了解。」

 ウォーゼル機はゆっくりと旋回しながら高度を下げた。

 「ローバー、ボンゴで地表を調べてくれ。俺はジェッターで上空から調べる。いいか切り離すぞ。」

 「OK、いつでもいいぞ。ただし丁寧にな」

 レスキュー2号ボンゴは負傷者運搬用の小型車両であるが。強靱なサスペンションを装備しており優れた悪路走破性を持っている。

 ジェッターは速度を下げ、比較的平坦な草地にボンゴを投下した。ボンゴの6輪が地面に接するとその衝撃で車体は若干跳ね上がったが横転は免れた。ローバーのボンゴは若干草地を削りながら数十メートル横滑りしてようやく停止した。

 「ちっ、丁寧にっていっただろうが。」ローバーはウォーゼルの荒っぽい投下を非難する。ローバーはボンゴの計器類を調べる。特に異常はない。

 「ははは、すまんな。次は気を付ける。」

 「車体には異常なしだ。調査に向かう」ローバーの駆るボンゴは6輪のタイヤを駆動させ、草をなぎ倒しながら駆け抜けた。

 「ローバー、10時方向、煙の下に何かある。クレーターみたいだ!!」ウォーゼル機は上空を旋回している。

 「よし!!10時だな」ローバーはボンゴの速度を上げ悪路を走破していく。

 「?」煙が晴れてくるとウォーゼルの目に動く物の姿が捉えられた。小さい。10センチ程度の物だ。

 「ローバー、気を付けろ。何か動くものがある」ウォーゼルが叫んだ。

 「!!」

 ドガガーン。ものすごい爆発音が聞こえた。何かカプセル状のものが弾けたような感じだ。薄っぺらい透明な破片が飛び散る。爆発の煙が徐々におさまるとその姿が見えてきた。鉄球状の手首、異形の四肢、無機質な顔の造型。ローバーにとって初めて見る異様な姿であった。いや、訓練生時代にどこかで見た覚えがある。こ、これは軍事教本にあったアクロイヤーというヤツか?

 フシュー、フシュー。不気味な呼吸音が辺りに響く。無機質な目?がこっちを向いている。明らかに視線を感じる。無機質で無慈悲な視線。

 「殺される!!」ローバーは本能的に危険を察知した。

 ドガーン、鉄球状の手首から何かが発射された。ローバーはとっさにエンジン出力のすべてを使ってボンゴを急発進させる。閃光を見た瞬間、ボンゴのハンドルを思いっきりきった。ボンゴの車体が激しく前後左右に揺れる。無機質な目はまだローバーのボンゴに向けられている。

 「ううっ!!」ローバーのボンゴに激しい衝撃が走った。ボンゴの車輪が回転しながら宙を舞った。

 「ローバー!」上空からでは地上の様子はわかり辛い。

 「リチャード先輩、地上のローバーに何かあったようです。リチャード先輩!!」

 リチャードの返事はなかった。

 リチャードとクラークはその時すでに別の物体と遭遇していたのだ。それは謎の飛行物体だった。

 「クラーク、あれは何だ!?」

 「ボンゴのレーダーにも何も映ってない。リチャード、気を付けろ高速で接近してくるぞ。」

 急速に接近する謎の飛行物体。その形状はコウモリに著しく似ているが、明らかにそれとは違い無機質だ。だが無機物ならレーダーに捕らえられるはずだ。

 それはすごいスピードでリチャードの機体に接近してくる。

 「こなくそっ」リチャードは機体を激しく揺さぶりながら旋回した。激しい横Gが乗員を襲う。ボディスーツの耐G性能をもってしても耐えきれない強さだ。

 「大丈夫かクラーク!」

 「ああ、ちくしょう、まだ追って来るぞ。」そのコウモリのような物体はリチャード機の後を追跡してくる。コウモリの羽の部分から赤い骨状の物が数本、起きあがった。次の瞬間それはリチャード機に発射された。

 「よけろ!!」クラークは叫んだ。

 「うぉっ」リチャードは機体を急降下させると機体をロールさせ、それを回避した。赤い骨状の物はそのままリチャード機をかすめ、地表に激突し爆発した。爆風で一瞬機体が浮き上がる。

 「ミサイル?だと!!」

 「リチャード、ボンゴを投下しろ。少しでも機体を軽くするんだ。このままだと二人ともあの世行きだ。」

 「馬鹿やろう!そんな事が出来るか!そんなつまらん事を言う口があるなら本部に救援を要請しろ!!」

 「わ、分かった。こちらクラーク。謎の物体に攻撃を受けている。!位置は三陸海岸上空。頼む通信をキャッチしてくれ!!」クラークはレシーバーに向かって何度も叫び続けた。

 ビービー、ビービー。ウォーゼル機からの通信だ。

 「あっちも襲われているのか!」クラークはボンゴのレシーバーに向かって叫び続けている。リチャードがレシーバーを取ろうとした瞬間。4本の赤い骨状のミサイルがリチャードの機体を捕らえていた・・・。リチャード機はクラークのボンゴもろとも四散炎上し、バラバラになった機体は三陸海岸沖に墜落していった。

 「くそっ、!!リチャード機の方でも何かあったのか。」ウォーゼルは上空で旋回を続けながら返答のないリチャードに通信を送り続けた。

 ドガガーン。異形の敵の鉄球状の腕から再び何かがローバーのボンゴに発射された。車輪の一部を失い速度の出ないボンゴにもはや回避能力などなかった。派手な爆発音とともにローバーのボンゴは横転した。

 「ぐあっっ」ローバーは車外に放り出される事は無かったがボンゴが横転する際、操縦席のあちこちに全身を強かに打ち付けた。どこかで額を切ったらしく顔面を鮮血が滴ってくる。

 「ウォーゼル、離脱しろ。俺のボンゴは行動不能だ急いで本部に知らせるんだ。」ローバーはレシーバー片手に叫んだ!!

 「ローバー、何を言ってる。今助けてやる。」ウォーゼルは敵と思われる影の周辺を旋回し、注意を引こうとする。

 「ウォーゼル、やめろ!大した武装のないジェッターじゃこいつは倒せん。コマンド部隊の出動を要請するんだ。俺が時間を稼いでるうちに行け!!安心しろ射撃の成績はおまえより数段優秀だったんだ簡単にやられたりはしない。」ローバーはパルサーショットをカーゴから取り出すと車外に飛び出した。ローバーにとって実戦はこれが初めての経験だった。

 ボンゴを葬った異形の敵は上空を旋回するウォーゼル機に攻撃を加えていた。ウォーゼルは必死に機体を振り回し回避する。レスキュージェッターの機体の所々でギシギシと軋むような音がする。

 「ローバー、待ってろ、必ず援軍を連れてくる。」ウォーゼルはレスキュージェッターを急旋回させ全速力でその場から離脱した。

 異形の敵はひとしきりウォーゼル機に鉄球状の腕から発せられる光弾?を浴びせたが、射程外に逃れられたのを知ると、今度は鉄球状の腕をローバーに向け、ゆっくりと近づいてくる。

 「貴様、何者だ。アクロイヤーか!!」ローバーはふるえる声で精一杯叫んだ。

 「フシュー・・・・アクロイヤー・・・・我々を知っているのか?」

 「!!」ローバーは異形の敵が自分と同じ言語を使うことに驚いた。

 「そう、私はアクロイヤー。アクロイヤーマグネパワーズ・デモングリーン。」デモングリーンと自ら名乗った敵はローバーにさらに近づいた。ローバーはパルサーショットの引き金を引いた!

 バシュッ。パルサーショットの銃口から閃光が発せられた。ローバーは着弾を確認しようと目を凝らす。しかしさっきまでいたはずの所にデモングリーンの姿はなかった。

 「!!」ローバーは後頭部に激痛を感じた。意識が遠のきその場に崩れ落ちる。

 「ウ、ウォーゼル・・・・・。」

 「フフフフフ、安心しろ殺しはせん。情報を聞き出すまではな・・・・。」デモングリーンはローバーを抱え上げると森の中に消えていった・・・。

ミクロ戦記その2