らいおん先生プロフィール
■ らいおん ぼちぼち話 更新2005/04/11
2005/04/11 2004-5年 インフルエンザ雑感
2004/03/07 インフルエンザ脳症について
2003/01/08 インフルエンザ発生!
2002/05/10 ポリオワクチンがかわる?
2002/02/27 集団風邪の経過(インフルエンザ)
■2004-5年インフルエンザ雑感
2005年4月11日
例年より遅く2月にはいって流行り始めたインフルエンザも、4月の声を聞いたらかなり減ってきました。昨シーズンの流行は1月末から2月中だけでしたが、今年は2カ月過ぎてもまだダラダラ続いています。
少し落ち着いてきたので昨年との違いを書いてみます。あくまでも当院での小さな経験です。流行期間も長く、患者数も多いのもかかわらず重症な患者があまりいなかったというのが最初の実感です。例年A型から流行しだすのがB型から始まったためかもしれません。
急の発熱と関節痛などいかにもインフルエンザの症状というより、発熱、倦怠感などで来院し、検査でインフルエンザと診断される例が多かったように思います。近くの学校でも、10人お休みしてそのうちインフルエンザは3人と聞いたことがありますが、症状が軽いため風邪と判断して病院を受診せず、家で様子をみていることも多かったのではないかと思います。そのため、症状が落ち着いたらすぐ登校するので、インフルエンザの感染源になることも多かったのでは、、と推察しています。
検査で診断することが多くなると検査のタイミングが問題となってきます。やはり発症(はっきりしないこともあります)して半日くらいしないと検査しても陽性にでないことがあります。保育園などでインフルエンザが流行していると、発熱してすぐ来院して検査を求められることが多いのですが、周囲の状況と本人の症状で検査せずタミフルを投与することも結構ありました。(家族やクラスで2-3日以内に発症したときは、検査をしないでインフルエンザと診断しています)
結果的にインフルエンザだったのかなということもありましたが、タミフル自体問題となる副作用がほとんどないのでわたしは年少者ではそう言う方法を取るのも良いと思っています。
春休みにはいって少し下火になってきたころ小学生が発熱で来院し、発熱してから2なし3時間しかたっていないこととその他の症状から風邪と診断し、一晩熱で苦しみ翌日インフルエンザと診断された子を経験しました。本人にはつらい思いをさせましたが、検査が人によっては苦痛をともなうこともありますのでタイミングに迷うことがたまたまあります。
周囲の状況と本人の症状から少しでも疑いがあったら検査の有無(または結果が陰性でも)にかかわらずインフルエンザ治療薬を処方すべきとも思いますが、昨年と比べて効果が少し落ちているような印象もあり、あまり使うと耐性ウイルスもでてくるかもしれないしなどと考えて迷うこともしばばあります。
インフルエンザ治療薬がでる前は4ないし5日して解熱したあと再び発熱する「再燃」をよく経験しました。昨年、一昨年はあまり記憶にないのですが今年はたまたま再燃を経験しています。しかし投薬すると1ないし2日で解熱する、気管支炎は合併してくるが肺炎まで移行することはほとんどない、副作用がほとんどない(軽い下痢が少しありました)ことを考えると有効な薬だと思います。
最後に、ワクチンについて、印象としては『ワクチンしたのにねえ』という意見をよく聞きました。実際どうだったのでしょうか。効果についての発表が待たれます。
2004年3月6日
3月に入り外来でのインフルエンザも次第に減り、ほっとしています。全国的にはインフルエンザ大流行といわれた昨シーズン、旭川付近は1月上旬から下旬にかけて少しみられる程度だったと思いますが、今シーズンの流行は一月下旬から二月いっぱい続き『流行期間も長く、患者数も多い』ような気がします。しかし周辺の小学校や幼稚園、保育園では、学級閉鎖になったところはあまりなく、流行と無縁だった保育園や幼稚園の集団もありましたが、子供から家族へ、家族から子供へと家族全員が罹患したケースも多く目につきました。
今年は全国でインフルエンザワクチンを接種したした人は三千万人ともいわれ、当院でも昨年11月上旬より多くのひとが接種しました。ところが「ワクチンをしたのに罹った」ひとがずいぶん目につき、他医院でもそのようだとのことをよく耳にしました。今シーズン流行したウイルスのタイプがワクチンと合わなかったのでしょうか、今後の調査で判明すると思います。
しかし流行のひろがりに比べて「集団感染」が多くなかったことはワクチンの効果と考えることもできると思います。またワクチンの効果についても、個人や年齢によってかなり違うことがわかってきたことはもっと強調していいと思います(2歳未満とくに1歳未満はほとんど効果はない)。
家族のような小さな集団では、1ないし2日で罹患者が続きますのであえて検査することもないのですが、クラスに2ないし3人しかインフルエンザがいなければ、発熱だけで即断することもできず検査キットが活躍しました。できるだけ根拠のある診断で薬を処方したいという気持ちが強かったからと思います。抗インフルエンザ薬(小児科ではドライシロップもあるタミフル)の効果がすばらしく、発症から48時時間以内に服薬すると1日前後で解熱することが多く、かつては4ないし5日高熱が続き、中耳炎、気管支炎や気管支肺炎を合併することが多かったことを思うと夢のようです。
ところで「小児科で今一番おそろしい病気は?」と聞かれたら『インフルエンザ脳症』とわたしは答えます。白血病などの悪性疾患もありますが(もちろん事故も)、今まで元気だった子が発熱後数時間のうちになくなったり、後遺症をのこしたりすることも多く、特定の解熱剤との因果関係やワクチン接種の有効性について議論が続いています。解熱剤についてはほぼ解決しましたが、脳症にたいするワクチンの有効性(接種したら脳症に罹らない、罹っても軽くすむ)については結論はでていません。
「高熱で頭がおかしくなること」と関係してきますので、ここで「脳炎」と「脳症」の違いについて考えてみましょう。「脳炎」は、病原体が脳に侵入し、住み着き、増えて脳実質にいろいろな変化をおこします。脳のなかにウイルスの存在を証明でき、脳組織の変化をみることができます。有名なのは、ヘルペス脳炎、狂犬病、日本脳炎などです。(麻疹、おたふく、水痘なども脳炎をおこしますが、この場合はウイルスが直接脳に侵入するのではなく、アレルギーによると考えられています。)インフルエンザウイルスに関しては脳内で見つけられたという報告はなく、インフルエンザ脳炎の存在については現在のところ確認されていません。
「脳症」の成り立ちについては十分に解明されてはいませんが、インフルエンザのような高熱をともなうウイルス感染の時にはからだの細胞はいろいろな物質をつくりますが(これをサイトカインといます)、このサイトカインが全身の血管を傷つけいろいろな臓器の障害をおこすことがあります。脳の血管が障害されると血管から血液の一部がしみだして脳が腫れたり、出血することがあります。そのために意識がはっきりしなくなったり、けいれんをおこしたりします。同時に肝臓、腎臓の障害をおこすことが多いのも特徴です。サイトカインをすぐに多量につくってしまう(高サイトカイン血症)ことは、年齢(乳幼児)や人種(アメリカやヨーロッパではインフルエンザ脳症の報告がない)と関係あるとも言われています。
現在のところ脳症の症状の応じた治療法がいろいろと試みられていますが、有効な治療法はまだ確立されてはいません。インフルエンザに罹患しずらくするためのワクチン接種が今のところ一番の予防策といえると思います。さらに日常頻会に経験する、突発性発疹やロタウイルス感染症でもまれに「脳症」もありうるということを理解しておくことが必要と思います。「脳炎」であれば、ウイルスの脳への侵入、定着、増殖と症状がでるまでにはある一定時間が必要ですが、「脳症」の場合は、ウイルスがからだに侵入してすぐに高サイトカイン血症の状態となり、その結果短時間で脳の症状がでても不思議ではありません。
よく外来で「熱であたまがへんになることはありませんか」と家族に質問され、「大丈夫、今は風邪なのでいくら熱が高くなっても死んだり、あたまがへんになることはない」と「ことさら強調」していましたが、インフルエンザ脳症の登場いらい少し弱気になってきました。インフルエンザ以外でも突発性発疹症やロタウイルス感染症で同じような脳症をおこすことがあると報告されています。正確には熱があたまに上がるわけではありませんが、発熱から脳症状(意識の変化やけいれん)出現までの時間が短ければ「熱のためにあたまがへんになった」と考えるのはふつうだと思います。
先月、当院でワクチン接種済みの3歳の子がインフルエンザと診断され、翌日早朝に父親より「変なことを言ったりして様子がおかしい」と電話がありました。すぐ来院してもらい「脳症の疑い」ということで旭川赤十字病院に搬送しました。結果は、高熱による「せん妄状態」ということで事なきを得ました。以前なら高熱の時は「うわごと」を言ったりすることにはたいして気にしていませんでしたが、最近はちらりと「脳症」のことが頭にうかぶようになりました。
たまたま直接目にしていないだけで「脳症」などめったにあることではないと少し漫然と「大丈夫、大丈夫」と連発していたことを最近少し反省しています。
2004/03/07
2003年1月8日
今年もインフルエンザの季節がやってきました。全国的には例年より2週間ほど発生が早いとの注意報がありましたが、北海道では「警報」が発令されました(インフルエンザ情報サービス)。ここ旭川でも昨年の暮れ頃から発生していたようです。
新年早々1月5日の日曜当番で、検査するとインフルエンザA(+)の子が10名ほどいました。疑わしい子全員を検査したわけではないので見逃している子もいると思います。今は家族内や親戚関係からの感染であり、比較的年少者が多いです。この状態が三学期の始まる頃まで続けば、昨年と同じような集団風邪となるのではないかと心配です。昨年は、この地域(神楽岡、緑ヶ丘、神居あたり)では、1月下旬から2月にかけて、小学生、中学生にかなりのインフルエンザ様の風邪(検査薬が品切れで確定ではない)が流行し、学級閉鎖ならず学校閉鎖までになりました。
今年からは小児科領域でもインフルエンザの治療薬が処方できるようになりました。効果のほどはなかなか有効なようです。しかし供給に問題があり、今後患者が増えた時供給が追いつかない可能性があると思います。昨年はワクチンや検査キットが不足(今年は問題ありません)しました。今後すべて問題ないように期待したいとおもいます。治療薬が高価なのが気になりますが。最近のメールで、ワクチンの回数のことについての質問がありました。「風邪やなにかで1回しか接種できなかった場合効果はどうか」ということです。現在は13歳以下なら2回、以上なら1回でよいとなっています。からだは一度罹った病気は記憶しており(免疫)、再び罹ったもすぐある程度は対応できます。
13歳以上が1回の接種だけで十分に抗体をつくることができるといわているのは、過去インフルエンザに罹った可能性があるからです。そう考えると、13歳以下でも過去にインフルエンザの経験があれば1回で十分かと思います。もっともワクチンが必要な、1ないし2歳ころの子は免疫もないので2回接種必須だから間に合わないと、あきらめることはありません。たとえ1回接種でも1週間くらいすれば、ある程度の抗体上昇はみられるので、「流行時期」なら1回でも接種したほうがいいのではないでしょうか。かかることは避けられなくとも、命を落とすような重症例は免れる確率が高くなると思います。
きくち小児科医院 菊地浩一
2002年5月10日
先月19日厚生労働省より、来年からポリオは現行の「生」より「不活化」ワクチンとするとの報告があったと、新聞で報道されました。
その後ポリオワクチンについての具体的な報告が、厚生労働省からは一切ないため(医者や保健所にも)、不安に感じたお母さん達から、ポリオワクチンについての質問が、たまに寄せられます。
◎なぜ「生」が「不活化」にかわるのか
◎今年はしないで来年したほうがいいのか
◎今年の秋(10月)に1回目飲んだら2回目(来年)はどうなるのか など今の段階では、情報不足で答えられないこともありますが、外来での質問を参考に少し書いてみましょう。
ポリオの生ワクチンは一般的には安全性にすぐれ非常に効果的なワクチンといわれております。日本では1980年以降、野生株によるポリオはないといわれております(簡単にいうと日本ではポリオは流行していない)。
なのに、この間にも20例くらい「ポリオ様麻痺」の報告があり、原因としては「生ワクチン」との関連が考えられています。(生ワクチンの原料となったウィルスで発症している可能性がある)ようするに、今まで発症したポリオ様麻痺は「ポリオワクチン」が原因となっている可能性があるということです。
平成12年には、自分のこども(ワクチンを飲んだ)より感染したと疑われる男性も報告されたのは記憶に新しい所でしょう。「生」ワクチンでかつ「経口」のため、ふん便よりウィルスが自然界にひろがる可能性があり、抗体をもっていない(抗体価が低い人)場合は感染する可能性があるということになります。
今までポリオワクチンは実施期間が決められていたのもこのためです(ポリオ様麻痺などが発症した時、その因果関係をはっきりさせたり、一年中ふん便よりのウィルスが自然界に存在するのを防止する)。
でもワクチンを止めたら(種痘のように)おそらく1960年のように「ポリオ」が流行すると考えられています(アフリカ、東南アジア、中近東の一部の国、地域では今も流行しています)。
そこで「不活化ワクチン」の登場となります。その特徴については「ポリオ研究所」のリンクが貼ってありますから興味のある方は参考にしてください。
具体的に変わる事は、
☆おいしいシロップが「注射」となる、
☆2回ですんだのが4回くらいになる(三種混合と一緒になるかも)、
☆期日は限定されずいつでも可能となるなどです。
☆また「生」と「不活化」の組み合わせも考えられます(不活化3回して生1回など)。
実施についての具体的なことは現在のところまだわかりませんが、すくなくとも来年度より、なんらかの方向付けが発表されるとおもいますので、お待ち下さい。
きくち小児科医院 菊地浩一
2002年2月20日2月に入ると(北海道は大体札幌雪祭りが終わるころ)毎年インフルエンザの流行が 始まりますが、今年も当院でも少しずつそれらしい患者さんが来院するようになりました。近くの小学校、 中学校の特定のクラスでは5〜10人お休みしているところもあります。
最近はインフルエンザかどうかを外来でチェックできるようになり、当院でも疑わしい時(急激な発熱、呼吸器や消化器症状があったり、周囲に風邪症状の子が多い時)はチェックしています。今のところの「結果」では、インフルエンザが流行しているというより、インフルエンザ以外の風邪の中にインフルエンザが混ざっているという印象です。
外来でかなり強くインフルエンザを疑って検査してもそうでないことが多く、これからもっと増加するのかとも考えています。検査の結果陽性と判断されたら(インフルエンザAの時のみ)、ウィルスの増殖をおさえる薬があります(内科領域ではインフルエンザA,Bの両方に効く薬があります)。
2002年2月27日
先に書いたインフルエンザを疑って検査しても陰性だった子供達の経過は、殆どがインフルエンザそのものでした。症状、周囲への感染力の強さなどから判断してインフルエンザ以外のヴィルスは考えずらいという結論に達しました。
いまは似たような症状の時は検査せずにインフルエンザとして治療しています。
当院そばの小学校は「学校閉鎖」になりました。流行の始めの頃の検査では、陰性のほうが多く、陽性ではA型が多いのですがB型も散見されました。病気の経過としては、発熱の持続期間は2〜4日くらいで、一度解熱して再び発熱する(再燃)ことは少なく、気管支炎を合併してもそれほど症状は強くないと思います。市内で流行している地区は神楽岡、西御領地、神居だけのようで、小学生以下の子(幼稚園、保育園)はあまり多くないようです。
きくち小児科医院 菊地浩一
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