新学期が始まり元気に登校していましたが、最近、朝にお腹がいたいと言い出しました。いちおう登校はしますし学校では元気にしているようです。幼稚園のときもこのようなことがありました。気持ちの問題でしょうか。


くり返して腹痛を訴えるとき「反復性腹痛」と呼ばれることがあります。成人では腹痛やお腹の不快感は消化器病の症状として認められていますが、小児科では消化器の病気は、ごくまれな慢性の腸の病気か急性の嘔吐下痢症以外あまり注目されることがないため、くり返す長引く腹痛についてはあまり注意を払われてはいません。しかし学童の10〜15%は「反復性腹痛」を経験しているとの報告もあり、外来でも新学期が始まるとこのような訴えはまれならず経験します。「反復性」という時は週1回以上2カ月以上続くときを問題にしますが、これは急性の病気を除外するために決められています。
「反復性腹痛」は、いわゆる消化器の病気を除外してから考えるべき病気ですが、その症状から多くの場合は特別な検査しなくても診断することが可能です。


痛みの部位は「へその少し上」、長引くあるいはくり返す痛みで、痛みの程度はかるいものからけいれん様の激しいときもあります。排便で改善することがないのが特徴で、便秘の時のように食事の後、痛みが強まることはありません。夜間痛みのために目覚めることもふつうはありません。このような症状に、顔色が悪い、疲れやすい、食欲がない、頭痛などが同時に起こっていることがあります。


痛みの部位が右上腹部か右下腹部で、嘔吐が長引く、不明熱がある、夜間の下痢や眠りを妨げる腹痛がある、体重減少、口内炎、関節痛、皮膚の湿疹をみとめるなどの時は専門的な検査が必要と思います。


原因ですが、消化管は検査で異常がなくても「知覚過敏」や「運動機能の異常」をおこしこれが症状(くり返す腹痛)とむすびつくことがあります。この理由として神経により脳と腸は結びついていて(脳腸相関)、本人の気質も関係しますがいろいろなストレスが誘因となっていると考えられています。とくに両親の過剰な心配や不安がこどもの症状を悪くすることもあり、このことを理解することが症状改善のきっかけになることもあります。


家族はたぶん本人の気持ちに原因があると思いつつも、くりかえす痛みや元気のない様子からなにか大きな病気が隠れているのではと不安になり受診します。
両親や本人が投薬を希望するときは胃腸の機能をととのえる薬が処方されますが、不登校となったり抑うつ傾向が強いときは、心身症として小児精神科(小児の精神衛生外来)へ紹介する場合もあります。2007/5

最近「はしか」が流行していると報道されています。おとなでもはしかワクチンをうけたほうがいいのですか。わたしは1歳ころワクチンを受けています。(30歳女性)


ここ数年麻疹の発生が各地で報告されていますが、今年に入って関東地方の報告が目立ち始め、某大学が麻疹の流行のため4月末からゴールデンウィークの終了まで閉鎖される事態も起こっています。

患者の平均年齢は0〜1歳代と20歳代の2つのピークがあり、ワクチン未接種者が圧倒的に多いのですが、中,高校生や成人ではワクチンを接種したにもかかわらず罹るケースも多く報告されております。
この原因としてワクチンをしたにもかかわらず抗体がうまくつかなかった場合と、抗体はうまくできたが時間の経過とともに低下して麻疹に罹った場合が考えられます。

日本はつい最近まで世界の趨勢に反して、一回接種で接種率を100%に近づけることに努力してきました。しかし一回接種では接種後麻疹ウイルスに出会う機会がないとどんどん抗体価は低下していきます。一回接種法では、麻疹ウイルスがからだに侵入しても麻疹を発症しない状態(不顕性感染)をくり返すことにより抗体価を維持していくことを期待していますが、今の日本では短い間隔で麻疹ウイルスが流行している地域はまずありません。かりに今流行している地域でも前回の流行時からはかなりの時間が経っていると考えられ、抗体がつかなかったひとや、抗体がついたにもかかわらず時間の経過とともに値が低下したひとびとは、流行により罹患する可能性が大きくなります。

2007年4月から、日本でもやっと2回接種(麻疹と風疹の混合ワクチン)が施行されるようになりました。これにより、一回目の接種で抗体がうまくつかなかったひとに抗体をつけたり、ある程度抗体がついたひとの値をさらに押し上げることができるようになり、麻疹に関してはやっと先進国なみになったと言えます。


一歳の誕生日がきたときと、年長さんになったら麻疹風疹ワクチンをすぐにするようにし、成人でも接種を希望するひとにはワクチンを勧めます。(2008年4月より5年間、中学一年生と高校三年相当の年齢の子供達に、無料で麻疹と風疹の混合ワクチンが接種されることになりました。)2007/6

うちの子は幼稚園の年長児ですが、最近園のほうからMRワクチン(麻疹風疹の混合ワクチン)をするようにとのお知らせがきました。1歳すぎに麻疹と風疹のワクチンはしています。ワクチンはしなければならないのでしょうか。(年長児の母 35歳)

近々保健所から来年小学校入学予定者のいる家庭にMRワクチンの接種をよびかけるお知らせがいくと思いますが、2006年4月から、1回目は1歳から2歳まで、2回目は小学校入学前の一年(年長さんの時)にMRワクチンを受けることになりました。

現在2歳以上のお子さんは、1回目はMRワクチンではなく麻疹や風疹の単独ワクチンを受けているはずですが、年長さんの間に2回目としてMRワクチンを接種することになります。
昨年の年長児の接種率は、厚生労働省の方針がいろいろと変わったり、市や保健所のよびかけ少なかったにもかかわらず旭川市では85%前後でした。

2001年の麻疹の流行、そして最近の高校生や大学生を中心とする流行はワクチンの1回接種をいかに徹底しても数年ごとにおきる流行を防ぐことはできない(先進国で1回接種は日本だけでした)事実をやっと厚生労働省も認めたことになります。

(2008年4月より5年間、中学1年生と高校3年生相当の年齢の子供達に麻疹・風疹ワクチンを無料で接種する事に決まりました。)

最近の報道では、医療系や教育系の学校では学生に麻疹などの抗体があるかどうかを実習前にチェックするようになっているようです。日本のワクチンは強制ではなく勧奨(接種することを勧める、奨励する)制度なのですが、将来入学や就職で特定の職種では検査が義務づけられるかもしれません。

現在のところ麻疹の単独ワクチンにくらべて副作用(特に発熱)が多いということもないようです。
必要な問診表(無料券)は、各接種機関に置いてありますので、母子手帳を忘れずにお持ちの上受診してください。多くの年長さんが接種することを希望します。2007/7



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