赤ちゃんの便秘について


「便秘」とは、肛門のすぐそばに便がありだしたくてもだせない状態をいいます。
母乳で育つ赤ちゃんは哺乳ごとにやわらかいうんちをすると知られていますが、たまに1カ月健診で、「1週間くらいうんちがでないんですが、、便秘でしょうか」と相談される事があります。浣腸しても便はあまりなく、消化吸収の良い母乳のため便がつくられていないということを意味し便秘とはいいません。この状態は離乳食がすすんでくると自然に治ります。

離乳食を始めたばかりの頃の便秘は、離乳食が始まることで母乳(あるいはミルク)の量が少なくなり、水分が不足ぎみになるためと考えられています。離乳食も中、後期になると、便性もかたく大人のようになって便秘になることがあります。
治療は食事が基本となり、水分と残渣(腸内で消化されないかすのこと)の多い食物が勧められます。野菜や果物の繊維(食物繊維)がその代表です。食物繊維は便量を増し、水分を吸って便を軟らかくし、腸の通過時間を短くする作用があります。
野菜では、イモ類や豆類は皮に繊維が多いので皮つきのまま調理することを勧めます。
きのこ類、わかめ、ひじきなどの海藻類もお勧めです。果物ではりんご以外の、プルーンやかんきつ系がいいと思います。
腸の運動をよくするためににビフィズス菌を増やす方法もよく試みられます。市販の乳酸飲料(ヨーグルト)は腸内ビフィズス菌を増やし、オリゴ糖(メイオリゴ)はビフィズス菌を活性化したり、腸内で変化して腸のぜんどう運動を刺激し便秘を改善する作用があります。

うんちの時、うんうんいきんでいることがあります。低月齢の頃なら「の」字を書くようにお腹をマッサージしたり、オリーブオイルをつけた綿棒で肛門を刺激する方法なども効果的なことがあります。
いろいろ試みても改善しないときは小児科を受診することを勧めます。


乳児期以降の便秘について
赤ちゃんのころ特別問題なくすごしても、トイレトレーニングのころ頑固な便秘になる子と外来でたまに出会います。

排便のしくみは、直腸にたまった便の塊が直腸の壁を刺激し、その刺激は脊椎の下(仙髄)にある排便中枢と脊椎の中を上行して大脳皮質に達します。大脳に達した刺激はいわゆる便意であり、便器にすわって腹圧をかける(ふんばる)一連の動作の引き金となります。この動作と排便中枢からの排便反射が加わり排便が行われます。トイレトレーニングは便意から始まる意識的な排便の訓練と言えます。便意の引き金には直腸に便がたまる場合と、食事によって胃が拡がっておこる胃結腸反射があります。夜間(睡眠中)は消化器が一生懸命仕事をしています。朝食後の胃結腸反射を利用して排便習慣をつけるようにします。

トイレでの排便をいやがったりしてこの便意を無視して我慢すると、直腸内の便は水分を吸収されて硬くなります。硬くなると排便時に痛みをともなうためまた排便を我慢します。
このくりかえしにより直腸内の便は大きくなり、直腸の壁の感受性は低下し、便意を生じなくなります。この状態が習慣性便秘といわれます。また情緒的な問題があり心因性便秘と考えられることもあります。
治療ですが、赤ちゃんの便秘で書いたようなことをしても改善しないときはまず糖水か果汁を与えます。お腹のマッサージや肛門の刺激をこころみても効果がないときは、浣腸や下剤の服用となることもあります。


幼児期や学童の慢性化した便秘では、直腸の機能を回復させることを目的に、まず直腸にたまった便をとりはぶくため下剤や浣腸がおこなわれます。その後は、かならず排便訓練と食事療法(便量を増やす残渣の多い食事)が必要です。排便訓練は胃結腸反射を起こしやすい朝食後がいいと思います。時間は5ないし10分以内とし、排便がなくても10分以内で切り上げ強制はしない、2ないし3カ月は続け規則的な排便習慣をつけることを目指します。

緑便について

4カ月の赤ちゃんですが、ずっと母乳です。今までは便の色は黄色だったのですが、最近緑色になることがたまたまあります。飲みは以前と変わらずいいのですが、おなかをこわしているのでしょうか。(31歳 一母親)


毎日赤ちゃんのおむつをチェックしていると便の色は気になると思います。赤ちゃんの便の色に大きく影響するものに「腸内細菌の状態」があります。

赤ちゃんは生まれる前は無菌状態ですが、分娩後は主に母親から鼻や口を経て「腸内細菌」を受け取ります。受け取られた「腸内細菌」は赤ちゃんの小腸や大腸に住み着き増殖しますが、生後2ないし3カ月はまだ充分に増えていません。便が黄色というのは、胆汁(肝臓でつくられ十二指腸に排泄される)の色素が腸内細菌の影響を受けずそのまま便に含まれているためです。離乳食開始前後には腸内細菌も増えて、胆汁もいろいろと変化を受けて便の色は黄色から次第に「褐色調」に変化してきます。

便が緑色になる場合は、腸内細菌の影響を受けず便中に存在する胆汁が周囲の影響(便の酸性化)を受けて変化したためといわれています。

 一般に緑色便は母乳でも時としてみられることがあり、便の性状で(水様、粘液を混じる)異常かどうかを考えます。急性胃腸炎で緑色便をみることは確かですが、緑便だけでは異常を意味しない場合がほとんどです。

これからの季節はウイルス性の急性胃腸炎が毎年流行します。赤ちゃんを中心とするロタウイルスの腸管感染症では白色便が有名です。この病気の経過中に緑便が出現することもよく経験します。

便の色を決めている胆汁の変化に大きな影響を与える「腸内細菌」は、いろいろな状態(抗生物質の服用、感染症、食べ物など)で日々刻々変化しています。便の色が健康状態の指標のひとつであることはそのとおりですが、全身状態に問題がなければあまり気にしなくていいと思います。 2007/12



Copylight(c)2001-2008 きくち小児科医院 All rights reserved.
リンク希望の方はこちらから