2007 8月号

最近こどもの通っている保育園で夏風邪がはやっています。
夏風邪とは具体的にどんな病気なのですか。(30歳の母親)


夏に多く見られる風邪をまとめて「夏風邪」と呼んでいます。冬に多い風邪の鼻水や咳などの呼吸器症状は少なく、発熱、口内炎やのどの痛みがある、嘔吐、下痢などの消化器症状がある、発疹がでることがあるなどの特徴があります。原因はウイルスによるものがほとんどですが、なかには神経系に入り込むウイルスもあり、まれに髄膜炎や脳炎をおこすことがあるので注意が必要です。

代表的なものとしては、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」が有名です。

ヘルパンギーナは、突然39度くらいの高熱が出て、のどの奥(のどちんこの根元あたり)に小さな水泡(口内炎)ができます。水分や食べ物がしみてのどが痛いため飲んだり食べたりしたときに泣いたり、よだれの量が増えたりしたら疑われます。熱は2〜3日で下がります。水分補給に注意するだけで特別重症化することはありません。
手足口病は保育園や幼稚園でよく流行します。原因となるウイルスが3種類知られており、
ひと夏で2回かかる可能性もあります。病名のように手のひら、足の裏、口の中に米粒大の水泡ができます。口の中の水泡だけ痛みがあり、発熱は平熱から高熱までウイルスにより違います。自覚症状があまりないときは集団生活は可能(通園可)です。合併症として髄膜炎、脳炎が知られています。高熱、けいれんがあったら急いで受診しましょう。
プール熱は正式には「咽頭結膜熱」といい、プールでの感染が多く、赤ちゃんには少ない病気です。突然の発熱、咽頭痛と結膜炎が特徴です。発熱は3〜4日続き、咳や下痢症状を合併することもあります。症状はきついですが特別問題となる合併症はありません。
この原因ウイルス(アデノウイルス)は外来で診断可能です。

 いずれもウイルスが原因のため根本的な治療法はありません。1歳から5歳くらいにピ^クがあり、集団生活で流行することが多いと思います。


2007 9月号

最近マスコミなどで、メタボリックシンドロームが話題となってます。
うちの子は少し太って運動ぎらいなのですが将来問題ないでしょうか。(小学生の母)


 いま話題となっているメタボリックシンドロームは、動脈硬化を促進して心筋梗塞や脳血管障害の主要な原因となることが明らかになっています。病気は成人期に発症しますが、血管の変化は小児期から始まっており、予防や進行防止のためには小児期からの対応が必要だということが次第に知られてきました。これは、メタボリックシンドロームは基本的には「生活習慣病」であり、食事や運動などの生活習慣は小児期に始まり形成されることとも関係します。

 内科ではメタボリックシンドロームの「診断基準」が知られていますが、小児科では確定したものはまだありません。しかし基本は内科と同じで、「内臓脂肪」の蓄積が目安となります。日本人の成人では男子85cm,女子90cmが腹囲の基準値ですが、小児では80cmを超えるといろいろと問題が起きてくると考えられています。しかし、身長が低い学童期では80cm未満でもリスクがある場合もあり、腹囲/身長が0・5以上で注意したほうがいいでしょう。
御心配なら小児科を受診して、血糖、中性脂肪、血圧をチェックしてもらうといいと思います。かりにこれらのデータに異常が認められればメタボリックシンドロームの早発としてすぐにでも対応が必要ですが、肥満(とは言えなく過体重も)は成人の肥満に移行しやすいことも考えるべきと思います。特に思春期の体型は成人期と相関します。

過体重や運動ぎらいをなおしていくことは、今までの生活スタイルを少しづつ変えていくことであり、新しいライフスタイルを確立していくことにもなります。特に食事に関しては両親を含む周りの大人の食習慣の影響が大きいことに留意する必要があります。

家族全員の食習慣を見直す機会になればいいと思います。



2007 10月号


中学2年生の男子ですが、5、6月頃より朝なかなか起きられず、学校を休みがちになりました。たまに頭痛を訴えたりします。新聞にこどもの「うつ病」のことが載ってましたが、その場合はどのようになるのですか。(42歳、中学2年生の母親)


「学校に行かなければ」と思いつつもなかなか行けないとき「不登校」と一括されますが、ふつうの一般的な不登校と精神疾患や発達障害が基になって起こる場合があります。

 一般的な不登校では、思春期なので身体的な発育に伴う起立性の調節障害や、こころの成長とともに変化していく友人とのちょっとしたトラブル、身体の変化や異性への関心の高まりを肯定的に受け入れることが難しい、自分の価値観や生きる方向性を見失うなどで、学校へ行くのを恐怖と感じるようになるようになると言われています。家族や教師の登校への働きかけ、一定期間の休息やカウンセリングなど、医療の関わりがなくても登校を再開することをよく経験します。

 後者は発達障害(自閉症、アスペルガー障害、注意欠陥多動障害、学習障害)や精神疾患(うつ病、統合失調症、強迫性障害)を伴っている場合で、質問者のお子さんは発達障害はないと思われます。

 ご質問の「うつ病」についてですが、思春期の有病率は2〜8%と報告されており、一般に考えられているよりずっと多いことが知られてきました。しかも適切な治療が行われなければ、大人になって再発したり、対人関係や社会生活に支障をきたすことも少なくないようです。症状は、睡眠障害(よく眠れない、早朝の目覚め)、食欲低下、朝の調子が悪い、身体のだるさがあり、精神症状として、興味関心の低下(好きなことが楽しめない)、何事も億劫だ、集中力の低下(本や漫画が読めない)が見られます。

 実際の症状は個人の性格、年齢、今までの社会経験によって変化をうけ、不安、抑うつ気分、イライラ、絶望感、自信喪失、無力劣等感などさまざまです。

 心配であれば、児童精神科医への受診を勧めます。

2007 11月号

9歳の男児ですが毎晩どっぷりとおねしょをします。
くすりで治る場合もあると聞きました。よろしくお願いします。(38歳、母親)


生まれてすぐの赤ちゃんは毎日おねしょをしますが、4歳過ぎると1/4くらいに減り、小学1,2年生となると約10%となり、12歳前後にはその多くはなくなるようです。

おねしょも6歳以上はふつう病気の意味合いをこめて「夜尿症」と呼ばれます。つまり5歳過ぎると睡眠中につくられる尿の量も少なくなり、朝まで尿をためておけるだけ膀胱の容量も大きくなるということです。ですから「夜尿症」を考えるときは、夜間につくられる尿量が多い場合と膀胱の容量が小さい場合があります。もちろん原因が両方にあるときや、心理的な要因のこともあります。

人間の脳は成長とともに、昼間は少ないのですが夜睡眠中に腎臓に働きかける「抗利尿ホルモン」を多量に分泌します。このホルモンは尿を濃くする作用があり、結果として尿量は少なくなります。このホルモンの量が少ないと薄い尿が多量にできてしまい、膀胱の容量をこえておねしょとなってしまいます。なぜこのホルモンの分泌が少なくなるかについてはよくわかっていません。朝一番の尿の比重や浸透圧(薄い尿かどうかの検査)のチェックでホルモンの分泌のようすを知ることができます。

膀胱の容量については、あなたのお子さんは9歳なので200ccくらいはためられると思います。おしっこを極限まで我慢させてから排尿させて尿量をチェックすることによって容量を調べることができます。容量が少なければ日中トイレが近かったり、たまに漏らすこともあると思います。

夜尿症は、ホルモンが少ないのか、膀胱に問題があるのか、両方に問題があるのかなど調べてから治療にはいります。治療は抗利尿ホルモンの投与、自律神経の薬を服用する、おしっこを我慢する訓練など単独あるいは組み合わせて行います。

これらの治療を試みても改善しないタイプ(解離性夜尿症)も知られており、専門医(小児科あるいは泌尿器科)の受診を勧めます。




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