2008 1月号

満期正常産です(3.2キロ、50センチ)。体重の増えが3カ月健診で8.8キロ、身長66センチでした。母乳の飲みもよく、このままでは4カ月には10キロになってしまいそうです。母乳を制限するか、わたしの食事量をへらしたほうがいいのでしょうか。(29歳女性)


赤ちゃんは最初のうちは反射的に哺乳しますが、1カ月を過ぎてくると次第に赤ちゃんが持っている「食い意地=個性」ができます。ですから飲みのいい赤ちゃんとなかなか飲まない赤ちゃんとにわかれてきます。またよく飲むにもかかわらずなかなか体重の増えない子もおり、どの赤ちゃんも同じような食事内容(母乳、ミルク、離乳食)で差がでてくるのは「遺伝的」な影響が大きいと思います。あなたのお子さんはまだ生後3カ月であり、ご両親や家族に「乳児期に発育のよかった」ひとがいたのではないでしょうか。

今後の体重の増えについては、どんどん体重が増えていくことはないと思います。
多くの赤ちゃんは3キロ前後で生まれ1歳頃に10キロ近くになりますが、体重の増加を見ると半年すぎるとしだいに鈍くなります。つまり6カ月ころは身長がともなわず肥満気味です。あなたのお子さんのカウプ指数は20前後で特別肥満ということはありません。

母乳を制限したり食事量を減らす必要はなく、いままでどおり赤ちゃんの要求にこたえるべきと思います。

乳児期に肥満気味だった子も1歳から2歳では2キロ程度しか増加せず身長の増えが目立ってきます。さらに5歳から7歳は体脂肪が人生で最低の時期となり、これ以降徐々に成人の体脂肪の蓄積が始まると言われています。ですから少年期、思春期の肥満が将来の肥満症(メタボリックシンドローム)と関係あると考えられるようになりました。

乳児期の肥満は将来の肥満症と結びつけて考えなくてもいいのです。 【一覧に戻る】

2008 2月号

最近ソファーから落ちたり(下はじゅうたんです)、風呂場で転んだりとあたまを打つことがよくあります。どのような場合病院を受診すべきでしょうか(1歳4カ月の母) 


こどもは身長に比べて頭部の割合が大きかったり、状況判断がわるかったり、とくに歩き始めでは転倒して頭部を打撲する機会が大人と比べてはるかに多いと思います。いろいろな状況下で転倒あるいは落下して頭部を打撲したとき、どのような場合病院を受診すべきかについては小児科および脳外科的にいちおうの基準はあると思います。
 _ たんこぶは受診の必要はありません。時間はかかりますが自然に治ります。
 _ 打撲直後に意識障害を起こしたとき。一時的な意識障害で「脳しんとう」といわれます。脳の機能が一時的に停止した状態で、打撲直後ぐったりしそのあと泣き出します。
脳しんとうは頭をかなり強く打ったということになり注意が必要です。脳しんとうを起こした時間を確認してください。2ないし3秒ならほとんど問題にしませんが、それ以上、とくに10秒以上であればかなり強く衝撃を受けたと判断し受診します。
 _ 打撲直後にひきつけを起こしたときもすぐ受診する。
 _ 3回以上嘔吐があり、そのあとも吐き気がつづくとき。打撲直後1回嘔吐があってもその後嘔吐なく、吐き気もなければ問題ないと思います。
 _ 手足の動きに左右差があったり、スムースに歩けない、手にもったものを落としてしまう、目の動きがおかしい、話の内容がおかしいなどいわゆる「神経症状」があらわれたときも打撲により脳神経が障害を受けたと判断します。
_ 打撲部ではなく頭部全体を痛がるときも問題です。
専門医の診察を受けて頭部CT写真も異常なしと判断されても、受傷後最初の夜は注意すべきです。できたら深夜に起こして意識障害などがないか確認することも必要です。具体的には揺り動かして目が覚めたり、反応があるかをチェックします。
 また受傷後72時間(3日間)は観察が必要です。まれですがあとから頭蓋内出血や脳浮腫がおこることがあります。この観察も意識障害の有無のチェックです。
最近は医師、親の双方の思惑でCT写真を撮ることが多いのですが、将来的な問題として放射線障害が注目されています。頭を打った状況、脳しんとうの有無、その後の経過、頭痛嘔吐の有無、機嫌がどうかなどを考え対応することが大事と思います。
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2008 3月号

2カ月の男の子です。満期で正常産でした。退院してすぐ気づいたのですが、眠りに入るときや睡眠中に呼吸が速くなったり遅くなったりすることがよくあります。
また手足のピクツキが多いように思います。突然死の心配はないでしょうか。母乳の飲みはよく体重増加もいいと思います。  (28歳女性)


 睡眠中の呼吸のみだれは未熟児でよく見られます。呼吸が遅くなったり、時には止まったりしたあと速い呼吸が続き「周期性呼吸」と呼ばれます。呼吸が止まるときでも心拍数の変化はなくて予後もよく、呼吸中枢の未熟が原因と考えられています。成熟児でも見られることがあります。

睡眠はその「質」からレム睡眠とノンレム睡眠の2つに分けられます。「レム睡眠」は夢をみている状態で筋肉の緊張は低下しています。つまり、からだは休息をとっているのですが脳は仕事をしている状態です。赤ちゃんの睡眠は「レム睡眠」が大部分をしめ、年齢とともにレム睡眠は減ってノンレム睡眠のしめる割合が増加してきます。
睡眠中の呼吸のみだれは「レム睡眠」で起こります。

手足のピクツキはミオクローヌスと呼ばれ、筋肉が緊張状態にある「ノンレム睡眠」に起こります。睡眠中のミオクローヌスは赤ちゃんだけでなく成人でもおこります。寝入りばなや睡眠中(いずれもノンレム期)にビクッと目覚めた経験は誰にでもあると思います。

このような睡眠中の呼吸のみだれやピクツキは次第に改善していくことがほとんどで、あまり心配はいらないと思います。

赤ちゃんの呼吸が止まってしまう病気として、乳児突然死症候群がよく知られています。
睡眠中に呼吸がとまりそのまま亡くなってしまいますが、観察からは呼吸を速めて血液中の酸素濃度をあげようとした形跡(もがいたりする)はないようです。はっきりした原因は不明ですがあなたのお子さんの状態とは違います。
乳児突然死の原因については「うつ伏せ寝」や「母親や家族の喫煙」が関係しているのではと最近言われるようになりました。とくに「あおむけ寝」を推奨するキヤンペーンが始まってから突然死は減少傾向にあります。

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2008 4月号

4歳の子ですが、4月から幼稚園の入園を予定しております。言葉の遅れ(理解はしているようなのですがなかなか話さない)がありましたが最近は少しづつ話をするようになりました。しかし同年齢の子とくらべて落ち着きがなく心配しています。(35歳の母親)

じっとしてられなくてたえず動いていることが多いのは3歳近くまではありがちですが、3歳を過ぎるとほとんどが落ち着いてきます。しかし5歳、6歳、小学校に入学してもじっとしていられないとなるといろいろと問題がでてきます。大柄な3歳児がまぎれこんだようで、集団の維持がなかなか難しいことがあるからです。

落ち着きがなくじっとしてられない子について、注意欠陥多動性障害(ADHD)という言葉がマスコミを通じて知られるようになりました。多くは4ないし5歳ころから気づかれますが、症状としてはじっとしてられなくていつも動いている、感情のコントロールが難しい、注意力や集中力かけるためときには生命にかかわる事故につながることもあるなど特別の配慮が必要となります。年齢とともに周囲の人々(教師や親など)に反抗的な態度が目立ってきたり、生き物(小動物や虫)にたいして残酷な仕打ちをしたりと反社会的な態度が認められてくることもあります、

ADHDの診断を受けた子の乳児期からの経過をみると、ずっと落ち着きがない(多動)状態だった子は10%前後で、約半数は言葉が遅かった(理解はしているようだが話さない)子と言われています。ですから乳児期に多動だった子は大部分が正常となり、一部がADHDになっていくと思われます。言葉の遅れについては、次第に正常化に向かう子と学習障害やADHDに向かう子とに別れていきます。

あなたのお子さんについては、乳児期より多動が続いているようです。上に書きましたが多動な乳児の大部分は落ち着いてきます。依然として続いている場合はADHDより自閉症に関係する障害を考慮すべきとおもいます。大人や同年代の子とコミニュケーションがとれるか、興味や関心が偏っていないか、同じことをくり返すことがないかなどを日常生活でチェックしてみてください。あてはまるようなことがあれば専門医(小児の精神衛生)の受診を勧めます。

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