フリー版 UnixWare 7.1 登場

山森丈範 YAMAMORI Takenori ●yamamori

フロッピーディスクの作成と立ち上げ


■インストール用フロッピーディスクの作成

インストール用のフロッピーディスクは3枚必要です.CD-ROM #1の info/images ディレクトリ以下にある下記の3つのイメージファイルから, dd または rawrite で作成します.

  boot1.img または boot.image.C.1  →  Installation Diskette 1/2 (FD #1)
  boot2.img または boot.image.C.2  →  Installation Diskette 2/2 (FD #2)
  hba.img   または hba.image       →  HBA Diskette              (FD #3)

ファイル名の制約にも対応するため,それぞれ2種類のファイル名で 収録されていますが,これらは同じものです.また,rawrite.exe も同じディレクトリに収録されています.(Free UnixWare 7.1のメディアの場合)

この部分の詳しい説明が,同ディレクトリの read_ja.euc または read_ja.sjs にあります.

ちなみに,UnixWare 7.0.1では,HBA(Host Bus Adapter)ディスケットは, 無しでもインストールが行なえました.(つまり,最初の2枚の フロッピーディスクのみで必要なデバイスが認識できる場合) しかし,UnixWare 7.1では,最低1枚のHBAディスケットを入れないと, インストーラが先に通してくれないようになっています.


■フロッピーディスクからインストーラの立ち上げ

それでは早速インストールを始めましょう. FD #1をドライブに入れてマシンを起動します. するといきなり全画面にUnixWare 7のロゴのアニメーションが 表示され,インストーラがこんなに派手でいいのか? と思ってしまうような状態になります.

しばらくすると,カラーのキャラクタGUI画面(と呼ぶことにします) になり,以降はこの雰囲気の画面が続きます. その最初はインストーラ自身の言語の選択ですので 「日本語でインストールを続行します」を選択します.

すると,これでFD #1は終りです.・・あれ,まさか, あの派手なロゴの表示のためだけにFD #1を使っている・・ ・・わけはありません.実はその裏で,カーネルのロードなどが 行なわれ,最小限の,いわゆるRAMディスクのミニルート状態で, コンソール上にシングルユーザシェルが立ち上がっているのです.

ここで,[Alt]+[SysRq]+[h]を押すと, VT0>というシェルのプロンプトの出ているコンソール画面に切替えられます. ls コマンドがまだ無い状態ですが,echo * などとやって, 様子を探ることが出来ます.この状態からインストーラの画面に戻るには, [Alt]+[SysRq]+[F1]を押します.

(注:[SysRq]の代わりに[CTRL]もたいてい使えるようですが, 一部の画面では[SysRq]しか効かないことがあるため, ここでは[SysRq]を使うようにした方がいいでしょう)

このコンソール画面への切替え方法は,インストール中に 何かトラブルが起きた時に,そのエラーメッセージを 確認するためにも,是非覚えておくべきでしょう.

なお,FD #1でブート中のUnixWare 7のロゴが出ている途中で 何かキーを押した場合は,カーネルのロードが中断され, [boot]というプロンプトが出る状態になりますが, こちらも,時間がある時に研究してみると面白いかも知れません.


○ FD2枚目を入れて・・

では,FD #2を入れてインストールを続けましょう. FD #2の読み込みが終った時点でミニルート上には,ls コマンドも含めインストールに必要なコマンドがロードされるようです.

インストーラを進めるとLocaleの選択画面になり, ここで「北東アジア」→「日本語」と選択します. 「日本語」以外のLocaleを選ぶと,jaleなどの日本語環境に必要な パッケージが,デフォルトではインストールされなくなるので注意が必要です.

(注:インストーラが日本語で表示するようになっていても, ここのLocaleの選択で「日本語」を選択しないと 日本語環境はインストールされません)

その次はキーボードの選択ですが,筆者は「英語101」を選択しました.

そして,ライセンス番号の入力画面になりますが, 後述の2つの理由により,ここではライセンス番号を入力せず, 「後で設定」→「評価用ライセンスを用いる」 と選択した方がいいでしょう. (ライセンス番号はインストール後でもSCOadminコマンドで入力できます)

ライセンス番号を入力しない場合は, 60日間有効の評価用ライセンスが与えられますが, この評価用ライセンスというのは,Free UnixWare 7 のライセンスとは独立したもので,Free UnixWare 7よりも, さらに制限が少ないものなのです. 一方,ここでライセンス番号を入力してしまうと, この時点でFree UnixWare 7のライセンスが設定される代わりに, 評価用ライセンスの方はもらえなくなってしまうのです. (これが1つ目の理由です)


○ HBAディスケットを入れて・・

次に,「HBAディスケットを入れて下さい」という 画面になります.ここで,FD #3を入れます・・ ・・と,簡単に書いていますが,このHBAディスケットが, UnixWare 7.1をインストールするためのひとつの関門になります.
(コラム:HBAディスケットとの戦い

HBAディスケットは,今回のインストールでは, SCOから提供されているもの1枚でOKでしたが, ベンダから提供されるHBAディスケットが存在することもあり, その場合はベンダのHBAディスケットを先に入れる必要があります.

次にDCU(Device Configuration Utility)を実行するかどうかを 尋ねる画面になります.たいていの場合は,DCUを実行せずに, デバイスの自動設定で大丈夫だと思います. しかし,DCUを実行しない場合,デバイスの認識の途中でハングしたり, カーネルがパニックしたり,あるいはインストール時に 必要なデバイスが認識されなかったりすることがあります.

そのような場合は,DCUを実行して,例えば, 「ソフトウェアデバイスドライバ」→「ホストバスアダプタ」 と選択して,そこに表示されたドライバの中で不要なものの (*) マークを削除するなどして,試行錯誤する必要があります.

ドライバのロードが成功すると,「システムノード名」 (いわゆるホストネーム)の入力画面になります. この画面までたどり着ければ関門は通過です.(おめでとうございます)

ドライバのロードの途中でハングしたりした場合は, マシンをリセットして最初からやり直しになります. その場合,またライセンス番号の入力画面を通ることになります. そのためにも,ライセンス番号の入力はスキップしましょう. (これが2つ目の理由です)


○ 必要項目の入力

さて,ここから先は特に難しいところは無いと思います. インストール方法としてCD-ROMからのインストールを選び, その後,インストーラの指示にしたがって,必要項目を 入力して行って下さい.

システムプロファイルの選択は,「ライセンスに基づいた初期設定」を選び, 「日付と時間」の時間帯は,「アジア/オーストラリア」→「日本」とし, また,セキュリティレベルは「普通」を選べばいいでしょう.

途中,rootパスワードの設定の前に「システム所有者」という 設定項目があるのがちょっとユニークです.ここには, 自分自身の一般ユーザとしてのログイン名やパスワードなどを入力します. UnixWare 7.1には,root権限とは別にシステム所有者という概念があり, システム所有者はSCOadminという管理コマンドを使って, rootにならずにシステム設定を行なえたりするのです.

いろいろな項目を入力したあと,最後にライセンスの同意の画面になり, これを過ぎるといよいよインストール開始です.


CD-ROMからインストール開始
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このページは、技術評論社 SoftwareDesign 1999年6月号、『フリー版 UnixWare 7.1 登場』の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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