MISSION IMPOSSIBLE(File.30000 巨蟹宮の怪 その1)

 

せっかくの安息日で、双児宮のテラスで昼寝をしていた俺は、ジーサンに呼び出された。しかも、今日は教皇の間じゃなくて、白羊宮だ。

『先ほどペガサスがムウを訪ねてきたのじゃが・・・。少々挙動不信だったのじゃ。調べてまいれ。』

ペガサス?あいつ聖域に来てるのか?あいつの挙動不信はいつもじゃないのか?
あいつはいっつも落ち着きがなくて兄貴に叱られているような・・・・。

まぁいいか。取りあえず、ペガサスの様子を調べればいいんだな。白羊宮を追い出されたということは、多分上に行ったに違いない。
ペガサスの行きそうな宮といえば、金牛宮、ウチ、獅子宮、人馬宮だな。

しかし金牛宮に行っても誰もいなかった。そうか、アルデバランはブラジルに帰っているんだっけか?ということは、ウチか。←左遷じゃ♪
俺は双児宮に戻ってみたが、兄貴もいなかった。俺が昼寝をしている間に出かけたらしい。ということは獅子宮か・・・・。

俺が巨蟹宮を通りぬけようとしたとき、ペガサスが鼻歌を歌いながら獅子宮から下りてきた。俺は咄嗟に、柱の影に隠れてペガサスをやりすごすことにした。
ペガサスは、巨蟹宮の通路の真ん中で立ち止まると、あたりをきょろきょろと見渡す。そして、いきなりしゃがんだ。

おいおい、こんなところで大便か!?
あいつは屁こいたりして下品なところがあるからな。所詮は青銅だ、しかたない。←仕方ないではない。
しかし、デスマスクもこんなところでクソをされて可哀想に・・・・。←ならば注意せぬか。

『ぎゃははははっ!!この顔、ぶっさいくだなぁ。一輝みたいだぜ。こいつは激に似てるなぁ、ぎゃはははは!!』

ペガサスは巨蟹宮の顔のオブジェをいじくりながら一人で笑っていた。なんだ、オブジェに興味を持ったのか。しかし、一人で笑うとは寂しいやつめ。

『おぉ!?こっちは超辰巳!!取りあえず踏んどけ!!・・・・・・・・・・むなしい・・・。』

ペガサスは、顔のオブジェを踏みながら笑っていたが、自分の行動のむなしさに気がついたらしい。←馬鹿じゃのぅ
立ちあがると、巨蟹宮の私室のドアを叩いた。中からデスマスクが出てくる。

『チャオっす!デスマスクさん!!』

『んあっ?どうした小僧?』

『行くところないんです、遊んでください!!お邪魔しまーーーーーす。』

ペガサスはデスマスクの脇を通りぬけると、勝手に私室へと入っていった。
なんか、謎のコンビだな。あいつとデスマスクのつながりって・・・・・。←聖闘士ということだけであるな
俺は、巨蟹宮の天井裏に忍び込むことにした。

ペガサスは、デスマスクの部屋をウロウロと家捜しするかのように片っ端から入っていった。

『小僧、いい加減にしろ。勝手に人の家にあがりこんでるんじゃねぇ。』

『いいじゃないですか。行くところないんですよ俺。ロドリオ村にいる星華姉さんに会いに行ったら、いきなり魔鈴さんが来て、ハブにされちゃったんですよ。で、文句言うと、また日本刀振り回して追いかけてくるんで、逃げてきたんです。』

相変わらず怖い女だな・・・。←聖闘士であるからのぅ

『だったらムウのところへ行きゃいいだろうが。』

『白羊宮に行ったら、教皇に追い出されたんです。』

そりゃ、追い出されるだろうな。ジーサンはムウとお楽しみ中なんだからよ。掴まらなかっただけありがたいと思わねぇとな。←ペガサスは鬼門であるからのぅ

『だったら、金牛宮へ行け!』

『金牛宮へ行ったら、アルデバランさんいなかったんですよ。で、説教覚悟で双児宮に行ったらサガさんもいないんです。しょうがないからカノンさんでもいいやと思ったんですけど、カノンさんもいなかったんっすよ。』

俺は兄貴のおまけか!?←その通り

『アイオリアのところへ行けばいいだろう。』

『あっ!あれは駄目っすよ。アイオリアは魔鈴さんの息がかかってますからね。アイオリアは魔鈴さんの下僕っすから。』

青銅に「あれ」呼ばわりされ、下僕とまで呼ばれるとは情けない奴だ。まっ、所詮は鶏の弟だからな。←いかんのぅ

『・・・・だったらシャカのところ行け!!』

『嫌です。あの人、変なんだもん。で、ミロさん所に行ったんですけど、あまりにも汚くてどこにいるか分からなかったんです。』

シャカは青銅のヒヨコにまで変人扱いされてるのか・・・。

『そうだ。お前には射手座仲間のアイオロスがいるだろう。人馬宮行って来い!!』

『それがですね。邪魔するな!って追い返されちゃったんですよ。俺、まだ何もしてないのに・・・・。』

あいつがすることっていったら、筋トレくらいだろ?←サガとお楽しみ中であったのであろう
一緒に筋トレしてやればいいのにな。

『でも、シュラさんところは駄目なんです。掘られちゃいますからね。それに紫龍に怒られるから。で、カミュさんところは寒くて嫌だし。アフロディーテさん所も臭くて・・・・・。』

ペガサスはデスマスクの質問に答えながら、部屋を見終わるとリビングでテレビを勝手に見始める。
この餓鬼、ずーずーしいな。

『お前、ハーデス倒すくらいの力があるんだから、魔鈴なんてボコボコにするの簡単だろう?』

『それはだめっすよ。女の人に手を上げちゃいけなんですよ。』

ペガサスはチャンネルをかえながら言った。
誰が女だって?魔鈴はどうみても男だろう。っていうか、女聖闘士は皆男だ。あいつらの胸も尻も筋肉で硬そうだし、素顔だってたかが知れてるだろう。←それはどうかのぅ

『それに、俺のは火事場のクソ力ですからね。ピンチのときじゃないと駄目なんですよ。それにアイオロスさんがいるから、滅多に聖衣も借りること出来ないし。』

だったら鶏を殺しちまえばいいのにな。←私闘厳禁である
勝手にペガサスがソファにくつろぎはじめたので、デスマスクは諦めてテレビを見始めた。

ペガサスは、サッカーにチャンネルを合わせると興奮し始めた。

『これ、セリエの生放送っすよね?俺、サッカー好きなんです。日本にいると時差がつらくて見れないんですよぉ。俺、超感激!!』

どうやら、ペガサスが興奮しているのはイタリアのサッカーのライブ放送らしかった。デスマスクは自国のことを誉められ、鼻高々になっていた。
デスマスクは、すっかり機嫌をよくしペガサスに私室の滞在を許可し、リビングから出ていった。
まぁ、ペガサスなら害もないだろうからな。

ペガサスは暫く興奮しながらサッカーを見ていたが、中継が終わると席をたってキッチンへと向かった。
奴は、勝手にコーヒーメーカーでコーヒーを作ると、カップを2つ持ってデスマスクの名を呼びながら、部屋を探し回った。

『うるせぇぞ、小僧。大人しくサッカーでも見てろ!!』

デスマスクの声ガ寝室から聞こえると、ペガサスはそのまま寝室へと入っていった。
寝室にいたデスマスクは、かばんに荷物を詰めているようだ。家出か!?

『デスマスクさん。コーヒー飲みませんか?はい。』

ペガサスにコーヒーを渡されたデスマスクは、目を見開いてペガサスを見る。

『どうしたんっすか?俺の顔、おかしいっすか?よく言われるんですよ、へへっ。』←かわゆいではないか

『いや。随分と気が利くなと思ってよ。』

『そうすっすか?ちょっと喉かわいたなっと思ったんで、デスマスクさんも喉が乾いているかと思ったんっすよ。』

『そうか。ありがとうな。こっちの女はさ、そういう気が利かねぇから慣れてないんだ。すまなかったな。』

デスマスクはそう言ってペガサスの入れたコーヒーを受け取った。
おいおい、デスマスク。ペガサスは女じゃねぇぞ。っていうか、男でもあまり気が利くやつなんていねぇけどな。
だが、兄貴は勝手に俺にコーヒーとか入れるぞ。まぁ、兄貴の場合は、気が利きすぎて鬱って奴だがな。←そうであろうな

 


Next