MISSION IMPOSSIBLE(file.3333 夢の天蠍宮 その1)

 

 『サガ、水瓶よ。そなた達、本日の執務はよいから、あの汚い天蠍宮をどうにかしてまいれ。』

 俺が教皇にマリーナの話をしてやっていると、その日の当直日のカミュと兄貴が現れた。教皇は俺の話を中断すると兄貴達に命令した。兄貴とカミュは教皇の言葉に素直に従い、天蠍宮へと向かった。

『サガのおまけよ。天蠍宮の片付けの様子を探って参れ。なぜ、天蠍宮があのようなゴミ置き場になるのかサガ達を手伝いながら調べてくるのじゃ。』

 はぁ??んなもん、ミロがゴミを捨てないから汚くなるに決まっているだろうが!!ジーサンは勝手にゴミが沸いて出てくるとでも思っているのか??←あの散らかりようは異様である

 

 俺は、兄貴達の後を追って天蠍宮へと下りていった。兄貴は教皇の間での執務を逃れたためか、顔にこそ出さなかったが、その足取りは軽快だった。俺達は宝瓶宮でお泊りしていたミロを無理矢理起こして引きずり、天蠍宮に入った。 こいつは、まさか宝瓶宮にお泊りする口実を作るために、わざと汚しているんじゃないだろうな?俺がそう思うくらい天蠍宮は足の踏み場もないほど散らかっている。

 ミロの私室はとりあえず凄かった。台所には汚れたままの皿や鍋が放置されており、その汚れは日が経っているために乾ききっている。そしてリビングやベッドルームには、空き瓶、空き缶、食べ残しのお菓子やつまみ、脱ぎ散らかした服、雑誌の山、ティッシュの山、紙ゴミなどが散乱しており、足の踏み場がなかった。風呂はカビが生えており、タイルの元の色が判別できない。

いくら俺でもここまで汚くしないぞ。

 俺達は早速、ミロの私室を片付け始めた。っていうか、なんで俺まで片付けをしなければいけないんだ。自分の部屋でさえ、まともに片付けたことが無いこの俺が・・・・・。←自分の部屋も掃除せよ

 

 俺達は中でも一番散らかっているの寝室を片付け始めた。もう面倒くさい・・・・。
俺はその辺にあった雑誌を手に取った。これは・・・・エロ本だ!!俺はそのエロ本を読みながらミロのベッドの上へと転がった。今日は朝から教皇への報告やらなんやらで眠かった俺は、そのままエロ本を片手にウトウトしてしまった。

なんだ?

 俺は背中に感じた何ともいえない感触に眼を覚ました。俺は横向きに寝ていたため、ちょっとめくれたTシャツとズボンの隙間から背中が見えていたのだ。そこからミロが手を突っ込んできて、俺の背中と腰を触っていた。

『カミューー!この発情蠍をどうにかしてくれ。こいつはいつもこうなのか??』

俺はミロの手を掴むとカミュに言った。

『あ・・・・ああ。ミロはいつもそうだ。猫みたいにいきなり甘えてきたりするところがあるから、適当にあしらってやってくれ。』←さかりのついた猫であるな

 カミュはゴミ箱のような床から汚れた洗濯物を引っ張り出しながら俺を振り返って答えた。

おい、ちょっと待て。お前が今手にしてるものは・・・・・・・。

 俺が唖然としてカミュの手元を見ていると、カミュはその視線に気が付き自分の手元に視線を戻した。俺は再び、青い顔のカミュを見ることになった。

 カミュは自分が手にしているものに気が付くと、慌ててそれを山のような洗濯物の中に押し込み、俺達に言った。

『サ・・・・・・サガ、カノン。ここは私が一人でやるから、貴方達は下の宮の掃除をしてくれないか??』

 カミュが持っていたのは、使用済みの避妊具が絡まった自分の下着だった。(ミロはトランクス。カミュはビキニ・ブリーフ)
カミュは俺達を有無を言わせずミロの私室から追い出した。
そっか、カミュは、以前、兄貴がミロの部屋でカミュのパンツを見つけたことは知らないのか・・・・。だからあんなに焦っていたのか・・・・。
しかし、ミロの私室から俺達を追い出したということは、寝室以外からもあーいうパンツが出てくる可能性があるということか・・・・。流石、百戦錬磨のカミュだぜ!

 俺と兄貴はカミュの言葉に従い、宮の片づけをすることになった。

 

 天蠍宮で唯一散らかっていないのは、入り口から出口まで抜ける通路とミロのベッドの上だけだ。しかし、いくらなんでも、宮が散らかっているは流石にまずいだろう。←大問題である

 通路こそきれいだが、その柱の裏はほとんどゴミためと化している。ビールや酒の空き缶・空き瓶、新聞紙、雑誌、ダンボール、ゴミ袋、枯れた植木、健康器具、壊れたマウンテンバイク、壊れた家具や電化製品、瓦礫、壊れた大理石の像・・・・・・。一体どうやったらこんなゴミがでるんだろうか。謎だ!

 兄貴は私室で暇を持て余していたミロを呼びつけた。

『ミロ・・・・・いくらなんでも、粗大ゴミはちゃんと捨てなさい。ゴミもゴミ袋に入れるくらは出来るのなら、ゴミ置き場まで捨てに行くんだ。』

 兄貴は眉間にシワを寄せ、呆れながらミロに言った。

『この粗大ゴミは俺じゃねーよぉ。気がついたら柱の裏に置かれてたんだよ。それに、俺は一度だってゴミをゴミ袋に入れたことは無いんだ!!』←大馬鹿者であるな

 おいおい、ミロ。えばって言うことじゃねーだろうよ。お前以外の誰がこんなにごみを散らかすっていうんだ!!

『本当だってば!!俺が宮に放置してるのは、缶と瓶と雑誌ぐらいだもん。』

 兄貴はミロの言葉を聞くと、放置してあるゴミ袋の一つを持ってきてミロの前に置いた。

『ミロ、開けなさい!』

 兄貴がそういうとミロは嫌々ながらゴミ袋を開けた。ゴミ袋の中身は、化粧品の空き瓶やコットンパフ、バラの花びらなどのゴミが入っていた。確かに、これはミロのゴミではない・・・・・。

『カノン。アフロディーテを呼んで来い!』

 俺は兄貴に言われて渋々双魚宮へと上っていった。

 

『おーい、アフロディーテ!兄貴が天蠍宮で呼んでいるぞ。』

 アフロディーテは俺の言葉に眼を輝かせると、化粧直しをし、服を着替えてスキップで天蠍宮へと下りていった。あいつはいったい何を考えているんだ??

 俺が再び天蠍宮へと戻ると、アフロディーテが兄貴に怒られていた。

『アフロディーテ!ゴミはちゃんとゴミ置き場に捨てに行け。天蠍宮はゴミ置き場ではない!』

『えぇーー。だって、双魚宮からゴミ置き場まで遠いんだもん・・・・・。』

『念動力でもなんでも使えばよいだろう。』

『だってぇ、私、あまりそういうの得意じゃないんだもん。ここって結界が強いから、失敗すると大変じゃないか。まかり間違ってサガのいる双児宮にでも落ちたりしたら、サガに顔向けできないもん・・・・・・。』

 おぉ?アフロディーテもたまには可愛いこと言うんだな・・・・。俺は思わず感心してしまった。しかし、そんなことは兄貴には通用しなかった。

『だったら、自分の足で捨てに行け。』

『えぇ〜〜、やだぁ!!』

『駄目だ。ちゃんと捨ててこい。』

『面倒くさいぃ。サガも一緒に行ってくれる??』

『・・・・・・・・・・・・・・一人で行きなさい。』

『サガが一緒に行ってくれないのならぁ・・・・・・・・・。』

いいから今すぐ行ってこーーーーーーーーーーーーい!!

 あーあ、ついに兄貴が切れちゃったよ。アフロディーテは兄貴に一喝されて、頬を膨らましながら天蠍宮に放置したゴミを捨てに行った。   

 結局、枯れた植木や健康器具もアフロディーテの仕業と分かった。その他の粗大ゴミは、ミロが酔っ払った時に持って帰ってきたという意見で一致し、俺と兄貴は粗大ゴミを片付けることになった。ミロは相変わらず手伝いもせずに、粗大ゴミで遊んでいた。

 兄貴は、超能力を使って粗大ゴミをどんどんとテレポートさせていった。俺も実をいうとテレポートだけは苦手だ。かといって、アフロディーテのように天蠍宮とゴミ置き場を往復するのも面倒だ。俺は、ゴミ袋を持って、天蠍宮の出口にたまったゴミを片付けることにした。適当にゴミ袋に突っ込めば後はアフロディーテが持っていってくれるだろう。←念動力の修行するように

 俺が天蠍宮の階段のゴミを拾っていると、頭の上からゴミが落ちてきた。

???ゴミが空を飛んできたぞ???

 俺がゴミが跳んできたほうを見てみると、なんとそこからは人馬宮が見えた。こんなところから人馬宮が見えるのか・・・・。まさか・・・・。
俺は、走って天蠍宮の中に入り、兄貴に事情を説明した。兄貴は、まさかアイオロスがそんなことをするわけがないと訝しがった。これを口実に俺が掃除をサボろうとしていると思ったらしい。くそっ、何で信用してくれないんだ!←日ごろの行いが悪いからである

 俺はなんとか兄貴を説得し、ミロと二人で人馬宮へと様子を探りに行った。


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