俺の仕事5(カノンの兄弟観察報告日記)

 

 はぁ、今週も兄貴の観察か・・・・。
俺は毎週恒例の報告書の提出と、これまた恒例となった、マリーナの話をした。今週は『アイザック幼児虐待の日々!』だ。教皇、大絶賛!!←次回も期待しておるぞ

ところで、『兄貴からの今日一日あったことの報告』って何っすか?←サガより聞いておらぬのか?
ピーマンを食べれば身長が伸びますかね?俺、あと2,3cm兄貴よりも大きくなりたいんですけど・・・・・。ピーマンを食べる以外に方法があれば教えてください。←ピーマンを食し、修行に励め

 

8月14日(月) 晴れ 気温:まだまだ暑い

 俺は、教皇の間を後にすると、デスマスクのところへ行った。たまには息抜も必要だ。毎日、兄貴の世話監視ばかりじゃ流石に辛い。
双児宮は禁煙なので、俺はデスマスクにタバコを貰い一服した。はぁ〜、生き返る。←煙草は百害あって一利無し

 俺は夕方のトレーニングの時間に合わせて、兄貴の元にもどった。
夕方のトレーニングは、お決まりコース通りだ。しかし、今日はAディメンション脱出の記録をまた更新した。54分9秒だ!←修業の成果が出ているようで、何よりである

 その後、飯を食い、兄貴が風呂に入っている間に報告書を作成する。

 俺が、報告書を書きながらタバコを吸っていると、風呂から上がった兄貴に見つかり怒られた。いつもは長々と風呂に入っているくせに、なんで今日に限って短いんだ。ちくしょう!
そして、兄貴は机の上の報告書を覗きこんだ。

 俺は慌てて、机に突っ伏して報告書を隠すと、兄貴は益々興味をしめした。コレが見つかってはもともこもない。

『ラブレターだ!ラブレターを書いていたんだ。』

 兄貴は俺の言葉に唖然とした。俺だって、恋の一つや二つするんだ、ごらぁ。←ほうほう、相手は冥界の鼠か?

『アイオロスにラブレターだ!』

 俺は、駄目押しに答えた。

『・・・・・・・・・風呂に入る時間が短かったようだから、もう一度、風呂に入ってくる。』

 兄貴は呆然としながら風呂場に戻っていった。危ないところだった、もう家で書くのは止めよう。

朝食:教皇への報告のため調査できず
昼食:教皇への報告のため調査できず
夕飯:サラダ、スープ、肉、パン、コーヒー
眉間のシワ:2本
殴った回数:0回
報告:アイオロスにラブレターでお風呂?

 

 

8月15日(火) 晴れ 気温:そこそこ熱い

 今日は兄貴の出勤の日だ。
何も言わなくても、その顔を見れば分かる。朝っぱらから機嫌は悪いし、顔色も悪い。
今日の相方はアルデバランのようで、早速、巨体が迎えに来た。アルデバランは兄貴の様子を見て心配していたが、俺は『いつものことだから気にするな。』とアルデバランに言った。しかし、アルデバランは兄貴のことを心配していた。あいつは本当にいいやつだ。

 俺は、兄貴が仕事をしている間、久しぶりの自由な時間を楽しんだ。
 ミロが俺のところにきて、くだらないことを言ってきたのでその相手をしてやった。

夕方、兄貴は帰ってきたが、これまたお決まり通りの鬱だった。

 兄貴もいい加減慣れたらどうなのだろうか?毎回、毎回、教皇のくだらない冗談を間に受けては、鬱に入る兄貴が情けない。っていうか、馬鹿だ。あんなエロじじぃの言う事なんて、適当に返事をして答えてればいいのだ!←余はサガをからかってはおらぬ

兄貴は、風呂に入ってから、飯も食わずに寝てしまった。

朝食:食べてない
昼食:多分食べてない
夕食:食べてない
眉間のシワ:5本
殴った回数:0回
報告:アルデバランはいいやつだ!

 

 

8月16日(水) 晴れ 気温:あつい!

 夕方、ミロが夕飯を一緒に食べにいかないかと、双児宮へ現れた。最近、兄貴のしけた面ばかり見ながら飯を食っていたので、久しぶりにミロと飯が食いたかった。しかし、俺には兄貴の監視というお荷物があった。
だが、酒には敵わない・・・・。

 ミロに兄貴も誘わせた。ミロに半ば強引に手を引っ張られ、兄貴も街まで出た。
うまい飯でも食わなければやってられない。これで、監視も出来るし酒も飲める。

 そいういえば、俺は兄貴が酔ったところを見たことが無い。食事の時も、少ししか飲まない。
今日は兄貴の限界がどこまでか試してみることにした。こういうことにはミロも協力を惜しまなかった。

まずはワインを1杯。続いて2杯目。しかし兄貴はそれ以上は拒んだ。

『せっかくの楽しい席なんだから、たまには付き合って飲んでくれよぉ。』

 ミロは小犬のような眼差しで見つめた。兄貴はこういう事には弱いのか、それともミロには甘いのか、俺達の注いだ酒を飲み始めた。飲み始めればこっちのもの、あとはつぶれるのを待つだけだった。

 兄貴は次々とグラスを空にしていった。以外と酒に強いのでビックリした。しかし、3本目のワインを空にした後、兄貴はいきなりテーブルに突っ伏したまま動かなくなった。
しばらく様子を見ていると、兄貴の毛先がだんだんと黒くなってきた。

やばい、黒くなり始めた!!

 俺は、手元にあったワインの空き瓶で兄貴の頭を力いっぱい小宇宙を込めて叩き、兄貴を気絶させた。その後、勘定を兄貴の名前でつけて、兄貴を家まで運んだ。
飲みにいってこんなに早くに家に帰るのは初めてだった。

朝:コーヒー、野菜
昼:スープ、サラダ、ピラフ
夜:ワイン3本、つまみ、肉
眉間のしわ:平均4本
報告:ワイン3本で人格が変わるらしい。ミロには甘い?

 

 

8月17日(木) 晴れ 気温:めちゃ暑い

 朝起きた時の兄貴の顔は最高だった。
頭にたんこぶをこさえて、顔面蒼白。昨日の記憶がまったく無いようだった。
俺は、『兄貴は酔っ払って、店で暴れた挙げ句に、ミロを襲った。』と教えてやった。兄貴の顔はますます蒼白。

あー、楽しいったらありゃしない!

 兄貴は飯も食べずに、ミロに謝りに行くといいだした。

俺達は早速、天蠍宮へと向かった。兄貴の足取りはもちろん重い。俺は道すがら、昨日のことを詳しく話してやった。俺が話してやった内容はこうだ。

 『兄貴は、酒を飲みすぎて多重人格障害を併発し、黒くなった。そして、俺達が静止するのも聞かずに店のものを壊し始めた。ミロと俺達が止めに入り、暴れるのはなんとか収まったものの、嫌がるミロをトイレに連れこみ、無理矢理犯した。トイレから出来た兄貴は、転がっていた空き瓶ですべり、すっころんで柱に頭をぶつけた。』

 すると兄貴の足が止まった。やばい、作り話とばれたか・・・・・。流石にミロを犯すのはリアリティがなかったか。
兄貴はその場に崩れ落ち、地に手をつけて嗚咽を漏らしていた。
兄貴は本当に俺の話を信じてしまったようだった。おいおい、そんなに黒い兄貴の素行ってヒデェのかよ?←かなり酷かったようだな

 俺は、天蠍宮まで兄貴の手を取って助けてやった。兄貴は、涙と鼻水を垂らしながら、顔を更に真っ青にさせ、眉間のシワも増えて、肩もがっくりと落とし、足はもうフラフラだった。

 いかん、やりすぎたか。しかしこれくらいで兄貴は駄目になってしまうのか?簡単だな・・・・。

 兄貴は天蠍宮の前までくると、ピタリと足を止めた。ミロにあわす顔が無いらしい。しかし、ここで兄貴が天蠍宮に入らなければ、意味が無い。俺は兄貴の背中を押した。

 ミロは、汚い寝室のベッドでまだ寝ていた。俺に起こされたミロは、兄貴の顔を見て枕に顔を埋めてワンワンと泣き出した。
兄貴は、ベッドのしたで土下座をし必死にミロに謝っている。しかし、ミロは兄貴の顔を見ようともせず泣いていた。

『すまなかった、ミロ。私がしたことは許されるべきことではない。この命をもって償わせて・・・・・・・。』

兄貴はそういうと、右手を心臓のほうへと持っていった。←この程度で自殺とは情けない

ちょっとまて!予定では「なんでも言うことを聞くから、許してくれ!」だぞ。俺とミロは慌てて止めに入った。

『俺、こういう事はカミュとしてて慣れてるから、他の奴にされたのはちょっとショックだけど、そこまで気にするなよ。俺の宮の掃除でチャラにしてやるからさ。』

 ミロが咄嗟に機転を利かせ、兄貴の自殺行為を押し留めた。工程はどうにしろ、一応予定通りだ。

 兄貴は相変わらず涙を流しながら、ミロの手を握りその慈悲深さに感謝していた。
俺とミロはやっと予定通りに事がすすんで、ほっとした。

 兄貴は、ミロに言われたとおり、さっそく宮を片付け始めた。
しかし、ミロの汚しっぷりがあまりにも酷く、この日は宮の掃除だけで終わった。
明日はミロの私室の掃除だ。兄貴も大変だな(笑)
兄貴は、帰りがけに俺達に手を振るミロの笑顔を見て安心したようだった。

朝食:コーヒー
昼食:食べてない
夕飯:スープ、パン
眉間のシワ:6本
殴った回数:0回
報告:ミロを犯すと号泣&自殺?

 

 

8月18日(金) くもり 気温:むし暑い

 兄貴は昨日に引き続き、天蠍宮の掃除をした。今日は、ミロの私室の掃除だ。俺達は、マットレスがムキだしになったベッドの上で兄貴の掃除の様子を見ていた。

 兄貴はまずは汚れた洗濯物を洗濯機にかけた。その間に、シンクとキッチンの片づけをし、部屋のゴミをかたづけた。
散らばったエロ本とジャンプを紐でくくり、ビールの空き缶をゴミ袋に入れる。
 兄貴は部屋の掃除を真剣にやっていた。確かに、これで許してもらえるなら安いもんだ・・・。

 兄貴が洗濯物を取りこみにいっている間、俺はベッドの上でミロにスカーレットニードルの話を聞いた。俺の身体には、未だにミロに打ち込まれた14発の傷跡が残っている。ミロは俺のTシャツをめくり、俺をベッドの上に寝かせ、俺に跨ると一つ一つ説明してくれた。なかなかおくが深くておもしろい。←技に興味を持つのはよい心がけである
上半身に打ち込まれた分が終わると、ミロは俺のズボンに手をかけ引き摺り下ろし、俺の太ももについた傷を触りながら再び説明を続ける。

 あれ?これってちょっとおかしくないか??なんで、俺が裸で寝そべって、その上にミロが跨ってるんだ?別に寝なくても説明はできるだろう。まさか、こいつ・・・・・・。←まさかではく、そうであろうな

『おい、ミロ。まさか俺に発情してるんじゃねーだろうな?』

『えぇ?そんなことないぞ。俺にはカミュがいるから、お前になんて発情するかよ!!』

・・・・・・。じゃ、なんでお前は自分のズボンを下ろそうとしているんだ!どう見ても、発情してるだろうが!!!

 その時運良く、洗濯籠を抱えた兄貴が部屋に入ってきた。兄貴は俺達の姿を見て、洗濯籠をその場に落としたまま、硬直していた。俺は、ミロを払いのけ、Sニードルの説明を受けていたと正直に話した。兄貴の目は泳いでおり、俺の話など聞いてないようだった。

『れ・・・・・・恋愛は人それぞれだ。しかし、そ・・・・・・そういうことは、人がいないときにやったほうがいいと思うぞ、兄さんは・・・・・。』←サガは随分とウブよのぅ

兄貴、誤解だ!誤解!!俺は襲われそうになったんだ!!俺はそっちの気はない!!
しかし、兄貴はすっかり何かを勘違いしていた。おぼえていろよ、発情蠍!

 そして、兄貴はその場で黙々と洗濯物を畳み始めると、ミロに聞いた。

『ミロ、すまないが、この下着はどこにしまうんだ?』

 兄貴は今までの系統とは形が違うパンツをミロに見せて聞いた。ミロのパンツはトランクスだが、兄貴が持っていたパンツはブリーフ型だった。

『あっ、それカミュのだ。そこら辺りに置いておいて。持って帰っちゃだめだぞ。』

『・・・・・・・・そうか。持って帰ったりなどしないから、安心してくれ。』

 兄貴は唖然としながらも、ミロの言葉にしたがった。そうか、カミュはミロの所に泊まることもあるのか。なるほど。

 兄貴のお陰で、天蠍宮は見間違えるほど綺麗に片付いた。最後に、俺達が乗っていたベッドにベットパット、シーツ、毛布等を掛けて部屋の片付けは終了した。

 兄貴は駄目押しに夕飯を作ってくれた。ミロは嬉しそうに兄貴の夕飯に舌鼓を打っていた。

『サガ、飯作るのうまいじゃん。片付けも洗濯もできるし、これなら、いつでもアイオロスの嫁にいけるな。』

 兄貴と俺はミロの言葉に絶句した。いきなり、こいつは何を言い出すんだ?

『あれ?アイオロスじゃなかったの?じゃ、アフロディーテにでもお嫁にもらってもらえば?』

『なんで、そこでアフロディーテになる。』

『じゃぁ、やっぱりアイオロスか・・・・・。』

『勝手にやっててくれ。』

『うん。じゃ、やっぱりアイオロスのお嫁にいけな、サガ。』

 ミロの頭の中は、いつもこんなだな。これではシュラと大して変わらない・・・・・。
兄貴は、食事が終わるとキッチンで片付けを始めた。俺とミロはコーヒーを飲みながら計画がうまくいったのを喜んだ。
まさか、兄貴がこんなに簡単に騙されるとは思わなかった。

『お前の兄貴、チョロいな!』

『あぁ、俺もこんなに簡単に騙せるとは思ってもみなかったぜ。』

『チョロいだと?それはどういう意味だ?』

 俺達は、てっきり兄貴がまだキッチンにいると思い、兄貴が後ろにいるのに気がつかなかった。やばい・・・・・。俺は適当にどまかそうと頭をフル回転させていた。しかし、兄貴にビビッたミロが、これは全て俺達が仕組んだ嘘だということをばらしてしまった。チョロいのはお前だ、ミロ!

兄貴は、その場でギャラクシアン・エクスプロージョンを放ち、ミロの私室はもとの汚い・・・・・いや、さらに瓦礫等が崩れ落ち廃墟のような部屋になってしまった。

あーーあ。

その後、俺達は兄貴にボッコボコにされた。
おぼえてろよ!

朝食:コーヒー
昼食:サンドウィッチ
夕食:スープ、サラダ、シチュー、パン
眉間のシワ:5本
殴られた回数:覚えてない
報告:嘘がばれると廃墟←嘘をついてはいけません

 

 

8月19日(土) 晴れ 気温:暑い

 兄貴は一日中口をきいてくれなかった。もちろん俺の飯もなし。
まっ、当然といえば当然か。

 しかし、俺は見てしまった、兄貴が壁に向かって独り言を言っているのを・・・・・。

あー、ストレスMAXだ。ちょっと流石にやりすぎたかな・・・・・。

明日、病院へ連れていこう。

朝食:俺のはなし。
昼食:俺のはなし。
夕食:俺のはなし。
眉間のしわ:7本
殴った回数:0
報告:ストレスが溜まると、壁と友達。

 

 

8月20日(日) 晴れ 気温:快適な暑さ
   
 俺は、先日の事を兄貴に謝まり、兄貴を連れて病院へ行った。兄貴は『今日は、病院へ行く日でない!』と拒んだが、俺は『また多重人格障害がでたらどうする!?』と、脅して無理矢理連れていった。
病院の日まで兄貴の独り言を聞きながら生活したくはない。

 黄金聖闘士の兄貴は予約がなくても、直ぐに診察をしてもらえたが、カウンセリングは時間がかかった。
俺はその間、かわいい看護婦をナンパした。(携帯番号3つGET)

診察室から出てきた、兄貴の顔は穏やかだった。すごいぞ、カウンセリング!
俺にもできるかな?←医者に任せておくように

 兄貴は俺に『すまなかった。』と謝った。俺は『そんなこと、気にするなよ!!今回は俺が悪かったんだ!』といい子ぶってみた。俺、ちょっと可愛い!(更に携帯番号2つGET)

朝食:コーヒー、パン、ゆで卵
昼食:病院食?
夕飯:スープ、サラダ、ピザ、リンゴ
眉間のシワ:6本→2本
殴った回数:0
報告:カウンセリングは凄い!

 

 明日は教皇への報告の日だ。兄貴をからかったことを怒られるだろうか?それとも誉められるだろうか?
そろそろマリーナの話もそこが尽きてきた、どうしよう。
さてと、来週はどうやって兄貴で遊ぼうか・・・・・。

 

サガの病気を進行させてどうする馬鹿者!。手を出さずに大人しく監視だけしておればよいのだ。
また、病院に一緒に行って、軟派だけして帰ってくるとは、馬鹿極まりない。一緒にカウンセリングをうけ、多重人格について知識を深めよ。
なお、食生活が乱れているようなので、栄養のバランスを考慮した食事を、三食きちんと摂取するように。聖闘士は身体が資本。お前もムウに料理の一つでも習って、たまにはサガに食事を作ってやるがよい。くれぐれも毒は盛らぬように。
サガには以前、治療の一環として、その日あったことを何でも弟に話すようにと命じてあるのだが、まったく行われていないようなので、再度申し渡しておく。

教皇 シオン


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