MISSION IMPOSSIBLE(file.545453 101匹ニャンニャン)

俺が週間兄貴の報告を行ってると、執務当番のシュラとアフロディーテが来やがった。じじぃがダラダラ添削してるから、9時を過ぎてしまったのだ。←お前の来た時間が遅いのじゃ
シュラとアフロディーテは訝しげに俺を見たが、俺様はお前達と違って真面目に仕事をしているのだ。←もっと真面目に働くように

なぜか俺まで礼拝に出ろと教皇に命令され、俺は嫌々礼拝堂の後ろの方に座り、睡眠をとることにした。ジジィの話は眠くなるのでちょうどいい。←きちんと聞かぬか馬鹿者
俺は足元に猫がいることに気が付いた。祭壇の上にも3匹いる。ネコを蹴っ飛ばしてみると、慌てて起き上がりどっかへいった。←蹴るでない
ニャーと声がしたので振り返ってみたら、後ろにもネコがいた。俺が確認したところ礼拝堂には全部で7匹もいる。
しばらくすると、黒いネコがスタスタと祭壇にあがり、教皇のローブの裾の上で昼寝をはじめた。
いくらなんでも多すぎやしないか?←多すぎじゃ

案の定俺は礼拝後シュラに捕まり教皇の執務室へ呼び出された。
じじぃの膝の上では、さっき祭壇で寝ていた黒いネコがまだ昼寝していた。よっぽどローブが気に入ったのか?それともじじぃの飼い猫か?←野良猫じゃ

「弟よ、最近ネコが増えておるのじゃ。調べて参れ」

じじぃがそう命令すると、シュラとアフロディーテが笑った。

「ネコの調査なんて愚弟ちゃんにはぴったりね〜〜」

アフロディーテが鼻で笑いやがった。んな調査雑兵にやらせておけ!!←お前で十分じゃ

「お前達では真面目に調査せぬであろう」

教皇がチラっとシュラとアフロディーテを見ると二人は口を閉ざしてしまった。そうそう、俺様は真面目なのだ。教皇わかってんじゃん。

「前からネズミ捕りのためにネコは何匹かおったがのぅ、ここ数日見たことのないネコが何匹も増えておる。自然に増えたにしては多すぎじゃ。調べて来い」

人の顔は覚えないくせにネコの顔は覚えてるのかよ、じじぃ。←人の顔も覚えておるわ、無礼者
そんなわけで、俺はネコ調査に乗り出した。

まずは昼寝だ!処女宮の裏庭のいつもの昼寝スポットに行くと、シャカの顔の濃い弟子アゴラとシュラ?だっけ?が騒いでいた。←仕事せよ
あっちこっちで野良犬が裏庭をほじくり返しているのだ。ざっと4匹か。
ほうきを振り回して野良犬を追い払おうとしても、犬は遊んでもらってるくらいにしか思ってないんじゃないのか?全然逃げないし。
きっとここはイヌの糞だらけだろうから、俺は双児宮に戻り自分の部屋で寝なおした。←寝るな!

腹が減ったので起きると、俺は白羊宮に昼食を食いにいった。←白羊宮は食堂ではない
オムハヤシうまーーー!

「あ!犬だ!!」

貴鬼が叫ぶと中国のじーさんが席からたって素早く犬を捕まえた。でかいが痩せた犬だ。

「不味そうな犬じゃのぅ」

おい、じじぃ犬を食うのか!?←食べるのぅ……

「老師、この犬首にバンダナ巻いてるから、誰かが飼ってるんじゃないの?」

貴鬼がそういうと老師は犬から手を離した。犬は赤いバンダナを巻いている。バンダという言葉に反応したのはアイオロスだった。犬に近づきしげしげとバンダナを見ると、声をあげた。

「あ、これ私のバンダナじゃないか!!!」

そうか、アイオロスの犬か。なら食っちまえ。中国のじーさんの夕飯決定だ。

「誰だ、私のバンダナを勝手に持ち出した奴は!!」

アイオロスはそう言いながら犬からバンダナをはずした。

「どれどれ、太らせてから食うかのぅ」←食べるでない

老師が餌をやろうとすると、臭い男が光速で飛び込んできた。アイオリアだ。いつにもまして臭い。汗臭いのと犬臭いのが混ざってるかんじだ。

「ぅわあああああ!それは俺の犬です!!食べないで下さい!!!」

老師から犬をとりあげると、アイオリアは光速で帰ろうとしたが、アイオロスがアイオリアの頭を掴んだ。

「おい!兄ちゃんのバンダナを勝手に持ち出したのはお前か!!」

「仕方ないだろう、他に首に巻くものがなかったんだから」

「だからって兄ちゃんの大事なバンダナをもっていくな!」

「俺の大事なシュラ2号が老師に食われちゃったらどうするんだよ!」←ほうほう

「老師がそんなことするか!」←する

喧嘩し始めた筋肉兄弟が同時に老師を見ると、老師は

「ん?シュラは食わんが、犬は美味いぞ」

とすっとぼけた。本気で食うのか!?食うのか?!どうなんだ!?←食べる

「ちょっと、話がある」

アイオロスはそう言って犬を抱えた弟を連れて白羊宮から出て行った。

「アイオリアの大事なシュラを老師が召し上がるとは、なかなか面白い言い回しですね」←面白いのぅ

ムウが不気味にニヤリと笑ったが、老師は嫌そうな顔をして

「わしゃ、男は好かんぞ」

と言った。そうだ、男は良くない!食うならねーちゃんだ!←男は美味い

白羊宮のソファーで昼寝していると、寝苦しくって目が覚めた。何とびっくり、俺の腹の上でネコが丸まっているのだ。←きちんと調査せよ
俺はネコを払い落とすともう一度寝た。←寝るな!

三時のおやつの時間になると、今度は犬じゃなくネコがきた。ムウはスープ皿に牛乳を入れると床に置いてネコに与えた。犯人はムウかよ!!←いかんのぅ

「私はネコなんて飼っていませんよ。これは野良猫です」

ネコが争うように牛乳を飲み始めると、今度は大ネコがやってきた。ミロだ。なんか、顔や腕が引っかき傷だらけだ。カミュに浮気でもバレたのか?←ほうほう

「あーーー!ネコにエサやってる!!」

ミロは怒鳴ったが、なんか言葉が棒読みだ。

「おい、ムウ!ネコにエサやったら責任持って飼えよ!!」←無闇に餌をやるのは感心せぬのぅ

ムウは目をぱちくりさせ、きょとんとしていた。

「どうして私が??」

「エサやったらお前が飼い主だろう!」

何かミロ必死だな。

「でしたら、シオンさまは教皇の間にいる全部のネコの飼い主ですか?」←餌はやっておらぬ

「え、あ?!そう、教皇が飼い主なの!」

ミロ必死すぎる。てか、教皇はネコにエサなんてやるのか?

「人間に相手にされないからネコに遊んでもらってるのじゃろう」←無礼者!

中国のジーサンがゲラゲラ笑いながらそういいうと、ムウと貴鬼が力いっぱい頷いた。ジジィ、ロンリーだな。←そのようなことはない

「とにかく、お前が責任持って飼えよ!いいな!!」

ミロはそういうと、走って下へ降りていった。一体何なんだ……。

「老師、ネコも食べるの?」

貴鬼が聞いた。俺も知りたい。

「ネコは美味くない」

……てことは、食ったことがあるのか。恐るべし、中国四千年!←野蛮じゃ

エサをもらった3匹のネコはすっかり白羊宮が気に入ったのか、部屋から出て行こうとしなかった。
教皇が戻ってくると、老師に嫌な顔をして、それから食卓の上で丸くなってるネコを見て更に麻呂眉をよせた。

「ムウや、このネコはなんじゃ!?」

「野良猫です。出て行かないのです」

教皇はテーブルの上の猫の首をすばやくつかむと、玄関に戻ってポイとネコを投げ捨てた。
ローブを脱いで部屋から出てくると、今度は自分の椅子の上にネコが座っており、またもやネコの首を掴んでポイと外へ投げ捨てた。

「弟よ、ネコの出所は掴んだのか?」

んな半日で解るわけないだろうが!
俺は適当に返事して夕飯を食うと、さっさと白羊宮から撤退した。←一日中寝ておるだけで、何の調査もしておらぬではないか

双児宮に戻ると、大変なことになっていた。
宮の入り口がネコだらけなのだ。犯人は兄貴かよ!!!!!←いかんのぅ
兄貴はネコに牛乳とパンを食わせていた。しかも6匹だ6匹!ムウのところにいたネコとは全部違う。
俺は兄貴に教皇がネコが増えて怒っていることを教えてやった。

「な!!私のせいではない!!!このネコたちが腹を減らしてニャーニャー双児宮の前で鳴いていたからエサをやっただけだ!私のネコではない!!」

ミロ以上に必死だな。あやしい、兄貴は限りなく黒に近いグレーだ。←怪しいのぅ

夜中になって、俺はさっき兄貴を殺しておかなかったことを激しく後悔した。←お前には無理じゃ
双児宮の屋根の上でネコがニャーゴニャーゴ泣き出したのだ。うるさいなんてもんじゃない!!
兄貴がエサなんかやるから双児宮にいついちまったのだ!!
俺は睡眠薬で眠ってる兄貴をたたき起すと宮の外へ蹴りだし、ネコをなんとかしてくるまで戻ってくるなと追い出した。
しかし、ネコは全然なきやまず、一晩中ニャーゴニャーゴないていた。兄貴は逃げた。流石は裏切り者の卑怯者だ。


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