MISSION IMPOSSIBLE(File NO.565656  牛食う山羊もすきずき)

 

処女宮で昼寝していたら、また教皇に呼び出された。

『愚弟よ、最近随分だらけておるようじゃのぅ』

はぁ?お説教か?
勘弁してくれ、仕事じゃないなら呼び出すなっ!

『最近の報告書は、なっておらん。初心にもどって山羊の調査をしてこい』

また山羊かよ。初心に帰るなら、兄貴の調査だろうがっ!
俺が文句を言う前に、ジーサンはカーテンの奥に逃げてしまった。切れた俺が怖いのか、チキン野郎っ!←余は忙しいのじゃ

それに俺の報告書はちゃんとしてるっての。馬鹿蠍が書いたやつとくらべてみろよ。

カミュとエッチして、お腹がぐーってなった。ちょーつかれた。

とか分けわからないこと書いてないだろうが、くそジジィ!←蠍と比べる自体、低レベルである

俺はプロなので、私情を挟んでも仕方ない。小さい女神像を神官から奪って、俺は磨羯宮に向かった。
念のため、女神像の首を紐でくくり、首からぶら下げた。これで発情山羊対策はばっちりだ!

俺は磨羯宮の2階にあがる階段を上がりかけて、気がついた。シュラの調査って、一体シュラの何の調査をするんだ?

『ちょうどいいところに来た、カノン』

シュラを訪ねると、やつは満面の笑みで俺を出迎えた。

『相談にのってくれ』

どうしてこいつは、俺が来る度にタイミングよく何かをやらかしてくれるんだ。

シュラは俺に紙切れを差し出してきたので、仕方なく見てやった。

デスマスク
アフロディーテ
アイオロス
アイオリア
ミロ
カミュ

老師
サガ
シャカ(未遂)
ムウ
アルデバラン
教皇

なんだこれ?

『残りはあとこれだけなんだ』

『何がだ?』

『12人斬りに決まってるだろう』←ほうほう、余までリストに入っておるのか

まだやってたのかよ、その企画。俺は思わず唖然となった。

『残りは難しいのばかりでな。どこから落としていいものか、悩んでるんだが。どう思う?』

俺に聞く事体間違ってると思うが。
ていうか、アルデバランにでもしておけ。奴、最弱だし、鈍牛だし。

俺が言うと、シュラの粒目がすごい小さくなった。

『やっぱりお前に相談したのが悪かった。女神に相談するわ』

最初からそうしろ。俺はホモじゃないんだから、相談する自体間違っている。

って、女神?
あのお嬢さんに相談??ホモの???←無礼者、不謹慎極まりない
まさかそんなことの為に、今から日本にいくっていうんじゃないだろうな?

思わず俺があきれていると、シュラがいきなり歌を歌いだした。

『どれにしようかな、アテナのいうとおり……』

へんてこな歌を歌いながら、紙に書いてある名前を一つ一つ指差し始めた。なるほど、最後にあたった奴がターゲットになるってことか。

『……とおり!よしっ、次はムウだ!』

俺は見た!歌の最後に、シュラの指がアルデバランで止まった。だが、奴はそれをそのまま上にずらしやがった。

『アルデバランだろう。俺はばっちり見たぞ』

『なにがだ?次のターゲットはムウだ、ムウ』

『女神のお告げなら、アルデバランだ。お前、もっとも女神に忠誠あつい男とか言っておきながら、女神のお告げは無視か?』

シュラの小さな目がきょどった。

『お前、よく考えてみろよ。アルデバランだぞ?誰が好き好んでアルデバランなんて襲うかよ。なぁ、冷静にいこうぜ、カノン』

俺はいつでも冷静だ。
ていうか、ムウとか兄貴とかカミュとかアイオリアとかを好き好んで襲っている奴が、どうしてアルデバランも襲えないのか、俺には理解不能だ。俺にはアルデバランもアイオロス達も同じようにしか見えんが。←ムウと牛とでは大違いじゃ

シュラはあわあわとしながら、俺にコーヒーを差し出した。

まさか、アルデバランの名前を書いておいて、アルデバランを襲えないというわけじゃあるまいな。
いや、絶対そうだ。間違いない!

ということで、シュラの次のターゲットはアルデバランに決定だ。
なんていったって、女神の言うとおり♪だからな。

シュラの粒目が白目の中でバタフライをしはじめた。口元はもごもごして、女神の言うとおり♪に納得いかないようだ。
普通、誰だってアルデバランのケツを犯したいなんて思わないよな。
俺は男のケツ自体嫌だけどな。←男の尻はよいぞ
だがしかし、俺がアルデバランを襲うわけじゃないから、関係ない!!

『今のは間違いだ。無かったことにしてくれ、さぁ、今日はこれで終わり、終わり』

俺はシュラに磨羯宮を追い出されてしまった。恐らく本人は、これでなかったことにしたつもりだろうが、このカノンさまを甘く見るなよ。

俺はそのまま下の宮に向かった。鶏小屋には、鶏のほかに、子猫アイオリアと馬鹿蠍ミロがいた。
よし、いい具合に面子がそろっている。

『シュラが、次にアルデバラン斬りをするってよ』

3人が一瞬ドヨッたが、にやりと笑ったのを俺は見逃さなかった。よし、種まき完了っ!俺、天才〜〜♪←下らぬ騒ぎの種をまくでない

案の定3人は高速で磨羯宮に登っていった。俺もコッソリついていった。

 

磨羯宮

アイオロス達の急襲に、シュラは驚いていたが、

『アルデバランをヤるんだってな。そうか、お前アルデバランが好きなのか!!』

アイオロスがそういうと、識別できないくらいに目が粒になった。

『なんですか?そんなこと俺、一言も言ってませんよ』

シュラはとぼけたが、アイオロスとミロにはまったく効果が無かった。
シュラが俺にエクスかリバーを構えたが、俺はお前にやられるほど弱くない。←弱い

『女神のお告げだったらしいぜ。女神のお告げにさからっちゃヤバイよな!』

俺が言うと、ミロ達がうんうん頷いた。

『アルデバランを襲ったら神だよなぁ』

ミロがいい事言った。
アルデバラン襲ったら、確かに神だ、神!←その程度のことで神にはなれぬ

『だって、考えてみろよ。あの黒サガや教皇だって、アルデバランには手を出さないんだぜ』←趣味ではないからじゃ

『そうだな、神だな』

アイオロスが頷くと、珍しくアイオリアもエロ話に入ってきた。

『アルデバランを襲ったら、シュラは兄さんを超えると思うよ』

『ああ、確かに私より上だな。私はアルデバランは食いたくない』

アイオロスがもっともらしく頷いた。
多分、アルデバランをやったら、教皇も越えると思う。←そんな下らぬことを超えても意味がない

『聖域の性史にも永遠に名前を残せるぜ!』

とつぜんデスマスクが現れた。どうやらミロがデスマスクの小宇宙に直接語りかけて呼んだらしい。

っていうか、性史ってなんだよ。
俺は思わず、じーさんのお稚児さんの名前が永遠と並んでいる巻物を想像してしまった。←そのようなものはない

『アルデバランをヤって、歴史に名前を残す……さすがシュラだな』

今度はカミュが現れた。これもミロが呼んだらしい。

『皆、ちょっと冷静になってくれ。実際問題無理だろう。あいつ魅力全然ないもん。やっぱりここは手堅くムウかサガにするかな』

はぁ?兄貴やムウなんて襲ったって、つまんないだろうが。
俺はアルデバランを襲うシュラの調査がしたい!
アルデバラン襲ったほうが絶対笑えるって!←必死じゃな

じーさんも絶対、これを読んだら絶対にアルデバランを襲わせたがるにちがいない。←余はムウ以外なら誰でも構わん

『初志貫徹しろよ、お前聖闘士だろ?歴史に名前を残したくないのか?』

とアイオロスがシュラをにらみつけて、

『神になれ、シュラ!アルデバランをやって、神になれ!』

ミロがバンバンとシュラの背中を叩き、

『兄さんを超えるチャンスだ、シュラ。俺はお前を男として認める!』

とアイオリアがガッツポーズを送って、

『性史にアルデバランをやった山羊座のシュラと名が残るのか。すげぇな!』

とデスマスクが手を叩いて、

『素晴らしい、惚れそうだ!』

カミュがうそ臭い笑顔を送った。

完璧に外堀を埋められたシュラは、もうどうやっても後に引けるわけがない。

『俺は、アルデバランとやって神になるっ!!』

俺の予想通り、シュラが立ち上がってガッツポーズをした。
チョロい!!シュラちょろすぎる!!←単純すぎじゃ

他の連中は拍手喝采だった。

シュラはこの時点で、奴らの手の平でコロコロ転がされていることにまったく気がついていなかった。ていうか、シュラもふくめて、全員俺の手のひらで転がってるんだけどな。←情けない

『よしっ、じゃぁ、今すぐ行って来い!』

アイオロスが背中を押した。しかし、シュラは踏ん張って動かなかった。
まさか今更怖気づいたとかじゃないだろうな。

『しかし、あいつをどうやって襲うんですか?』

シュラはオドオドしながら言った。
やっぱり怖気づいていやがった。

『そんなもの力ずくで襲っちまえよ。相手はアルデバランだ、多少乱暴なことをしても、聖闘士だから大丈夫!』

『いやいや、だからお前ら冷静になれ。相手はアルデバランだぞ。ア・ル・デ・バ・ラ・ン』

ミロがケラケラ笑いながらいうと、シュラは冷や汗をダラダラ流しながら言った。

そんな区切らなくったって、相手がアルデバランだってことわかってるっての。

本当に往生際が悪い男だ。だから、3流とか言われるのだ、愚か者め。←故にキャラが薄いのじゃ

『だいたい、あいつは攻めだし……』

シュラの乾いた笑いが部屋に響いたが、当然誰も首を縦に振らなかった。

『だったらお前が開発してやれよ、シュラ』

『無理です』

アイオロスの言葉にシュラが即答した。

『いつも大口叩いている割には、対したテクをもってないんだな』

デスマスクがぐはははっと超馬鹿にしていった。こいつ、いつの間にホモに寛容になったんだ?

だがその言葉が効果てきめんだった。シュラが切れたのだ。
一応、自称絶倫山羊だからな。

『ふざけるな!俺のテクは牛でも逝かす!』

あーあ、言っちゃったよ。

『よく言った。それでこそ、この射手座のアイオロスの子分のシュラだ!!餞別にこの私がいいものをやろう』

アイオロスが光速で磨羯宮から出て行って、光速で戻ってきた。
奴の手には香水の瓶みたいなものが握られていた。

『媚薬だ。これをアルデバランに飲ませれば、絶対にアンアン、アフンアフンになるぞ。頑張れシュラ!』

アイオロスがシュラの右腕を取った。
なんで媚薬なんてもってんだ?←余がくれてやったのじゃ

『俺もお前の友達で鼻が高いぜ』

デスマスクが左腕を取った。

『さ、行こうぜ!』

ミロが後ろに回った。

え?行こうって、まさか今からってことか?
まだ3時だぜ。

『いやいや、そんな焦るな、焦るな』

シュラは叫んだが、問答無用で磨羯宮から引きずりだされていった。
なんか十二人斬りっていうより、シュラが皆に斬られているような気がするのは、気のせいか?

『やめろーーーーっ!!』

シュラはエコーを残しながら、磨羯宮から引きずり出された。


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