MISSION IMPOSSIBLE(file.575756 故意の空騒ぎ)

 

双児宮でぐっすり寝ていると、いつものようにじーさんに呼び出された。←早起きを心がけよ

「貴鬼は修行をしておるのかの? しかもの、最近ちと太ったようじゃ。愚弟よ、貴鬼が普段何をしておるか調べてまいれ」

あれだけムウと一緒に物を食ってたら、そりゃ太るだろう。
しかも絶対修行なんてしてない!
つか修行をしている所を、一度も見たことないんだが。←けしからん
俺が白羊宮にいる時は大抵家事をしているか、掃除ているか、俺と昼寝してるし。←小間遣いではあるまいに
夜はじーさんと同じ時間に寝てるしな。←子供は早く寝るものじゃ

「たまにどこかに行っておるようじゃ、つべこべ言わずに調べて来い」

まだ何も言ってねーよ!!

今の時間ならちょうど10時のおやつだし、朝食も兼ねて白羊宮に行くことにした。←白羊宮は食堂ではない

 

白羊宮

やっぱり10時のおやつ中だった。

ワッフルの生クリーム添え!うまーーーーーいっ!

じゃなくて、貴鬼の調査だ。
たしかに貴鬼は最近肌の色ツヤがいいっていうか、ぱっちんぱっちんていうか。←小太りじゃ

貴鬼はおやつを食い終わると、自分の分を片付けてダイニングに戻ってきた。

「ムウさま、オイラ今日は出かけてきます。夕飯までには帰ってきます」

「自分の仕事は全部したのか?」

「はい。宮の掃除は終わってます。洗濯機は回しておきました」←それだけか!?

「ではいってきなさい」

「いってきます」

仕事って、修復の仕事とかじゃなくて家事らしい。やっぱり修行してない。←けしからん

貴鬼が出かけていったので、俺も追いかけた。

今回の仕事はちょーーーーーーーーーーーーー楽。相手は貴鬼だから気配を殺さなくてもいいし、すぐに終わりそうだ。

 

貴鬼を追った俺は、女聖闘士の訓練所まで来た。

ここって確か男子禁制だろ。まさか覗きか?←ありえぬ

よかったな、じーさん。孫弟子はまともにぷくぷく育ってるぜ。←不謹慎である

「シャイナさーん」

てっきり女訓練所の覗きか、使用済み下着とか盗んだり盗撮したリするのかと思ったが、蛇遣い座の女と待ち合わせだった。←そのようなことをするわけがなかろう
めずらしく魔鈴は一緒じゃないらしい。

「貴鬼、これ食べな」

シャイナが貴鬼にいきなりパンと果物を渡した。
餌付けか?

「んでな、頼みがあるんだけど。星矢と女神ってどうなの?」

「星矢と沙織さん?普通だよ」

「そうじゃなくて、ほら、女神が星矢とか襲ってないかなってさ」

「沙織さんはそんなことしないよ。シャイナさんは星矢のことが好きだから、気になるんだね!」

え?ペガサスが女神を襲うの間違いだろう?←女神が襲うのじゃ……
ていうか、シャイナはペガサスLOBAだったのか。←Loveじゃ
女神もペガサス激RABOだから、シャイナには勝ち目ないんじゃないのか?←Love

「あの女神はそれをやるから心配なんだ。なぁ、頼むよ。ちょっと見てきてくれ」

「仕方ないなぁ、シャイナさんの頼みは断れないもんね」

「サンキュ、貴鬼」

「でも大丈夫だよ。シャイナさんはいいお尻してるもん!!」←けしからん

え!?いい尻?

確かにプリッと上がったいいケツしてるが、ちょっと固そうだ。

俺がシャイナの尻を観察していると、貴鬼はシャイナの目の前から消えた。
話の流れから、女神のところに行ったのは間違いないので、俺も日本に行くことにした。

というわけで、出張旅費よろしくな、教皇。←でぬわ

俺は貴鬼の気配を追いつつ、泳いで日本に向った。

 

女神の屋敷は相変わらず無駄にでかかった。

塀を越えて庭に入ると、女神がテラスで茶を飲んでいた。
貴鬼は確か長距離テレポートは出来ないらしいから、女神のところまで来るのに時間がかかるはずだ。←修行が足りぬ
案の定、俺よりも40分も遅れて貴鬼が屋敷に来た。

しかし奴がしたことは、いきなり女神と夕飯を食った。しかもフルコースだ。
ペガサスと女神の関係を調べるんじゃなかったのか!?

女神も一人で食べるのが寂しかったのか、貴鬼がきて楽しそうなのが、なんか惨めだった。←お立場上仕方あるまい
一人が寂しけりゃ、いつでも俺が一緒に食ってやるのに。←お前では美味いものも不味くなるわ

「沙織さん。星矢は?」

「それは私が聞きたいわ。最近、お屋敷には全然来てくれないのよ」

それはただたんに避けられてるだけじゃないのか?←その通り

「じゃ、きっと星の子学園だね!!」

貴鬼がそういった途端に、女神の顔が鬼のようになり、小宇宙が高まった。

俺は思わず鳥肌がたった。

すごい、女神がこんなに恐い顔したのってポセイドンとかハーデスの時くらいじゃないのか。←そのようなことはない
いや、ハーデスの時でもこんなに鬼じゃないと思う。

兎に角、女神は正義を守る神ていうよりも、悪魔そのものだった。←戦いの神であるからのぅ

星の子学園っていったいなんだ?←孤児院じゃ

「貴鬼。お食事は美味しかったかしら?」

「うん、美味しかったよ」

「そう。なら星の子学園に行ってきてちょうだい、貴鬼」

「どうして?」

「星の子学園に星矢がいるんでしょう?様子を見てきて欲しいの。きっと美穂さんと一緒だと思うから」

ミホ?
ミホさんってことは、男……、いや、俺の勘が女だと告げている。ということは、ペガサスの女か!?

あいつ何人の女をこましたら気が済むんだ、ガキのくせに生意気だ!←けしからん

鬼のような顔に笑顔を浮かべた女神はマジで恐かった。女神が手に握ったスプーンがパキッと折れた。
もしかして女神はそのミホに嫉妬ってやつか?←その通り

ペガサスはシャイナ<女神<ミホ?←さてのぅ

「しょうがないなぁ〜。沙織さんの頼みじゃ、オイラ断れないよぉ」

「よろしくね、貴鬼。ちゃんと事細かに見てきてちょうだいね」

「大丈夫だよ、星矢とミホちゃんは幼馴染なだけだよ。沙織さんのほうがオッパイ大きいから絶対大丈夫だってば!」

確かに女神の乳はデカイ。あれでまだガキなんだから、将来は絶対かなりの爆乳になる。間違いないッ!!←無礼者

貴鬼はまたテレポートで消えたので、俺は慌てて奴の気配を追いかけた。
星の子学園ていうのがなんだか分からず、今度は先回りすることもできなかったので、俺も仕方なくテレポートを使って追いかけた。

で、星の子学園とかいう所は、聖闘士訓練所みたいなところだった。ガキがいっぱいいるのだ。
ていうか、ガキしかいない。

しかし何故か貴鬼はそのガキ達に大人気だった。というか、ガキとガキで妙に馴染んでるというか、超楽しそうだ。友達が出来てよかったな。←感心じゃ

それで、ミホってのはどいつだ?

まさか、女神はこんな小さなガキ相手に、あんな鬼のような顔して嫉妬してるのか?

「貴鬼ちゃんもご飯食べていく?」

ぬお!?貴鬼ちゃん?
金髪の少女が飯を持ってきた。この子がミホか?

「うん。オイラ、おなかペコペコだよ!」

ちょっと待て、さっき女神の所で肉とか魚とかパンとかたらふく食ってただろうが。←だから太るのじゃ

俺が唖然としていると、もう一人少女が来た。これがミホか?どっちがミホだ!?それともこの中の小さいガキのどれかか?

「貴鬼ちゃん。星矢ちゃんは元気?」

「ミホちゃんのところにも来てないの?」

教皇、ミホ発見です!!
この頭を二つに結んでるのがミホだ。
確かにこれじゃ、尻もなければ胸もない。シャイナも女神も安心だな。←人間見た目だけで判断するものではない

「星矢ちゃん、最近星の子学園にきてないの。また沙織嬢様が星矢ちゃんに無理矢理助けてもらうために、誰かに捕まったのかしら。私、沙織お嬢さん嫌いッ」←実に素直じゃ

すげっ。可愛い顔して、凄い事言ったな、この娘。
もしかして聖域では絶大な権力を持ってる女神も、一般人にはそんな程度なわけか?←女神としてではなく、人間の人格が嫌われておるのであろう。

つか、女神のおかげで地上が残ってるんだぞ、分かってんのか?

やっぱりもっと俺たち聖闘士と女神の存在を世に広めたほうがいいと思うぞ、教皇!←必要ない

「大丈夫だよ。ミホちゃん。星矢はミホちゃんのところにまた来るって。だってミホちゃんが一番可愛くて優しいし、家庭的だもん!!」

貴鬼が不味そうな飯を食いながら言った。
このガキ、さっきから都合のいいことしか言ってないと思うんだが。

シャイナはケツがでかくてOK
女神は乳がでかくてOK
ミホは優しくてOK

って、根本的なことがまったく解決されてない。結局ペガサスの本命は誰なんだよ!


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