★MISSION IMPOSSIBLE(file.585857 黄金聖闘士雑兵生活)
便所掃除を終えた兄貴達は、また闘技場に戻って訓練を始めた。だが、二人が便所臭いので誰も相手がおらず、二人で訓練していた。
雑兵の訓練だから、兄貴達には準備運動程度だ。
で、そのあと、他の雑兵達はさっさと帰ってしまい、兄貴とアイオリアは今度は二人で闘技場の清掃&整備をすることになった。
『すこし咽喉が乾いたな』
『便所の水でも飲んどけよ』
アイオリアに冷たく言われて、兄貴は面玉をひん剥いた。
『ままままままままさか、お前は小さい頃に』
『ああ、飲んだよ。だって飲めって言われたら、飲むしかないだろう?そんなの普通だよ』←かわいそうに
凄い、アイオリア。
俺すら便所の水は飲んだことない。兄貴が絶句していると、アイオリアが苦笑した。
『冗談だ。今はそんなことしてないから。聖域の上層部も大分変って、下のほうの体制も前よりずっとよくなったしな、昔の話だよ』
それは嫌味ってやつだぞ、アイオリア。
まったくフォローになっていないどころか、兄貴を益々奈落のそこに突き落とした。『今は誰も見てないから、本気だしてやって終わりにしよう』
アイオリアが突然光速で動き出して、あっという間に清掃と整備を終えた。
二人が雑兵宿舎に帰っていったので、俺もついていった。俺の知らない世界ばかりで、なんだか楽しくてしかたない。
兎に角まずは身体を綺麗にしようということになり、兄貴はアイオリアにつれられて風呂場に向った。
吐きそうなくらい真っ青な顔をして、今にもブツブツ言い出しそうな兄貴の顔が輝いた。しかし、ということは、兄貴とアイオリアは二人で入浴?
男の風呂を覗く趣味はないが、これも調査だ。←本当は好きなのであろう
『な、な、な、な、なんだこれは!?』
兄貴の悲鳴が聞こえて、俺は慌てて天井裏に忍び込んだ。
あー、これじゃ兄貴が叫ぶのも無理はない。
風呂場は、超小さいシャワールームが壁に沿って並んでいるだけで、兄貴の大好きな浴槽もなければ、一人で風呂に入ることすらできない。
しかもシャワーはそれぞれ小さな壁みたいなので区切られているだけで、入り口にはカーテンすらない。もう丸見え!すでに他の雑兵がシャワールームでケツやチンを丸出しにして、シャワーを浴びてるし、順番待ちですっぽんぽんの雑兵がその後に並んで待っている。←よいのう
『いい忘れたけどバスタブはないよ。それに一人10分くらいで、髪の毛から身体まで全部洗わないと、後から蹴りいれられるから』
『し、しかし、これでは綺麗にならないではないか』
だからこいつらは汗臭いのか。納得。
『シャワーを浴びれるだけましだよ。俺は小さい時、シャワーすら使わせてもらえなかったよ』←かわいそうにのぅ
『では、身支度はどうしていたのだ?』
『闘技場のトイレの洗面所とかで身体洗ってたし、洗わない時もあったよ。べつにどうせ次の日も便所掃除で汚れたりするしさ』
『すまん、これで我慢する……でも、あとで人がいなくなってからでも構わんか?』←馬鹿者
兄貴わがまますぎ!!
『雑兵って、ほとんど団体行動なんだぞ、ゴンザレス。使用する時間は、班ごとに決まっているんだ。俺たちが使っていい時間は、8時から9時。夜勤の時は8時から9時。それ以外は他の班が使うから、今使わないと明日になるよ』←昔からかわっておらぬようじゃのぅ
アイオリアが人目を気にして兄貴をゴンザレスって呼んだ。まじで、受ける。
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ、ゴンザレス♪
ゴンザレスはまたまたがーーんとなって、慌てて服を脱ぎ始め、粗末なチンを隠すために腰にタオルを巻いた。
しかしまたアイオリアがそれを止めた。
『タオルは一人一枚。それ以上は贅沢。腰にタオル巻いたら、身体を拭くタオルはないよ』
ゴンザレスは、二度目の衝撃を受け、しぶしぶとタオルをとって粗末なチンを手で隠した。←堂々とせい、みっともない
あまりにも自分のチンが粗末過ぎていたたまれないのか、兄貴は身体を丸めて一番空いている列に並んだ。
アイオリアもこれまた粗末なチンを堂々と露出して、兄貴と同じ列にならんだ。全裸の雑兵の中に、挙動不審な兄貴がマッパでいる姿は爆笑だった。
どっからどうみても、場違い。もっと堂々としていれば、他の雑兵と見劣りしないんだがな。こういう時こそ、いつもみたいにドォォォンとチン出せばいいのに。やっぱり鏡がないとだめなのか?。
結局10分程度のシャワーでは、兄貴の鬱は洗い流せるはずもなく、眉間に皺をいっぱい作ったまま兄貴はアイオリアと出てきた。
『ゴンザレスの部屋は俺と同じ部屋だ』
『そうか、よかった。知らない者と同じだったらどうしようかと思ったが』←情けない
お前は子供か!
『でも8人部屋だから。二段ベッドが狭い部屋に4つあって、ゴンザレスは俺の上があいてるからそこで寝ろよ』
俺とゴンザレスは思わず耳を疑ったが、部屋に入ってもっとびっくりした。
超狭い部屋にベッドが4つ。机が一つ。以上。ベッドとベッドの間は人一人が通れるくらいしかない。
『夕飯は食堂で』
『いや、食事はいい。何も食べられなさそうだ』←情けない
兄貴が苦笑いを浮かべた。
雑兵生活に絶えられなくて、胃がきりきりか?
今までよく吐かなかったな。じーさん>>>>>雑兵生活だな。
だったら兄貴を打ちのめすには、ジーさんと生活させるのが一番ってことか?←即死であろう
『朝は5時に朝食、6時には闘技場で朝礼と訓練だから。それまでは自由時間。それじゃ』
『ちょ、ちょっと待て。お前はどこにいくのだ!』
『俺? 俺は獅子宮に帰るよ。朝は兄さんと訓練があるし、別に家がある奴は宿舎に入らなくていいんだ』
それじゃ明日と、アイオリアは獅子宮に帰っていったが、すぐに戻ってきた。
『あっ、いい忘れていたけど。ここは十二宮なみに弱肉強食だから。さっき、皆シャワールームでサガのことを物色していたから、気をつけたほうがいい。でも、今はぺーぺーの雑兵だから、力づくで抵抗したら疑われるから』
ホモの巣窟ってことか?←そういうことじゃ
十二宮なんて12人しかいないのにホモばっかりなのに、これだけ男が集まったらその割合も高いっていうことらしい。『ゴンザレス、今日は寝かせないぞ、お前の歓迎会だ!』
兄貴が呆然と部屋で立っていると、さっきの班長らしいおっさんがいきなり兄貴の肩を抱き寄せた。
『けけけけけけーーーーーーーーーーーーーー、結構です』
兄貴がアイオリアみたいに、けーっといいながら部屋を飛び出していった。
ついに兄貴逃亡!!
脱走兵は死刑だ、死刑。兄貴死刑決定っ♪
俺が後を追いかけると、兄貴は宿舎の建物の裏にいた。
なんかヤバイ感じが……。
建物の壁によりかかって体育座りをし、なんかブツブツ言ってる。
ヤバイ、これはマジでヤバイ。鬱マックス一歩手前だ。
『アイオリア、すまない。私のせいだ、お前がこんな辛い生活をしていたなんて』
ブツブツブツブツといい続けてたので、以下略。
こうなるとしばらくはブツブツ言っているので、俺はこの日の調査を終えて、白羊宮で飯を食った。←白羊宮でお前の顔を見てはおらんぞ
飯食って念のために戻ってみると、やっぱり兄貴はそこにいて、地面を見つめながら一人で話をしていた。
俺は双児宮にもどってひろーい風呂に入った。一人でゆっくり入れる風呂って、最高だな!
念のため、もう一回戻ってみると、兄貴はまだまだ地面と話中だったので、俺は双児宮に帰って酒飲んで広いふかふかのベッドで寝ることにした。
黄金聖闘士って最高ッ!!