★MISSION IMPOSSIBLE(file.585857 黄金聖闘士雑兵生活)
次の日。
俺はすっかり寝坊した。←早寝早起きを心がけい
慌てて雑兵の宿舎にいくと、すでに兄貴はいなかった。一晩中、あそこに座ってブツブツ言ってたくせに、一体どこにいったんだ?←お前は双児宮で寝ていたのに何故知っておるのじゃ?朝は、たしか闘技場で朝礼とか言っていたな。しかしもう朝礼も終わっているっぽい時間だった。
とりあえず闘技場に行ってみると、アイオリアと他の雑兵が闘技場の整備をしていた。
兄貴の姿が見当たらないと思って探してみたら、アイオリアにぴったりくっついている無駄に身長の高いロン毛の雑兵を発見した。
そいつは雑兵達が被っているへんてこなヘルメットを被って、コソコソと掃除をしていた。俺の真似したあの髪の色とロン毛は、どっからどう見ても兄貴だ。
『お前達、準備は出来てるかい?』
シャイナがブロンズの紫色のアイオリアそっくりなガキとモヒカンの小僧と雑兵を引き連れて現れた。
雑兵達が4列に並んで、
『お早うございます、シャイナさん!』
一斉に頭を下げたが、兄貴だけ頭を下げるのが遅れたのを、俺は見逃さなかった。
『こら、お前!シャイナさんに頭をさげんか!』
モヒカンがいきなり兄貴の髪の毛を引っ張って、シャイナの前に連れ出した。
『「おはようございます、シャイナさん」だ。ほら言ってみろ!』
今度は紫の小僧が兄貴の髪の毛を引っ張った。
『や、やめんか!髪の毛が抜ける!』←馬鹿め
兄貴が思わず小僧の手を振りはらうと、全員がドヨッた。あの馬鹿兄貴は自分が今雑兵だっていうことをすっかり忘れていたらしい。
『お前、私の可愛い部下に舐めた真似してくれるね。雑兵ごときが、うぬぼれるんじゃないよ!』
兄貴の腹に思いっきりシャイナの蹴りが入った。
が、白銀ごときの蹴りで兄貴が倒れるはずもなく、まったく無反応な兄貴にシャイナがもう一発けりをいれた。
『雑兵の分際で、なかなか打たれづよいじゃないか、ならコレならどうだい!』
『あっ!』
兄貴はようやくそれで気がついたのか、シャイナの蹴りが5発入ったところで、わざとらしくパタッと倒れた。
『雑兵が聖闘士に逆らうなんて100万年早いんだよ、分かったならさっさとジャブに謝りな』
教皇っ、シャイナのヒールのかかとが兄貴の頬に食い込みました!!
うぉ、最高。いいぞ、もっとやれ!!!!←嬉しそうじゃのう『ちょっと待ってくれシャイナ』
が、いい所でアイオリアが止めた。
馬鹿獅子、止めるな。もっとやらせておけ。『こいつは、昨日雑兵になったばかりの新人だ。あまり苛めてやってくれるな』
『ふうん、なるほどね。アイオリアが言うんじゃ、勘弁してやらなくもないけどね』
『さすがシャイナさん、寛大なご処置で!!』
モヒカンが手を叩いてわざとらしくシャイナを賞賛すると、雑兵達からいっせいに拍手が起こった。←おかしいのぅ
『ほら、お前もやれ!』
紫の小僧が、兄貴にけりを入れると、アイオリアが兄貴を立たせた。
『ゴンザレス、ちゃんとシャイナに拍手を送らないと』←馬鹿じゃのぅ
『は?』
『いいから、これも雑兵の仕事だ』
『し、しかし。お前はいつもこんなことをやっているのか?』
『そうだよ』
兄貴とアイオリアがコソコソしていると、シャイナがまた兄貴に蹴りを入れた。
『ほら、何やってんだ、このウスノロ!どうやら、見た目よりも随分と馬鹿で間抜けなようだね。アイオリア、あんた手本を見せてやんな』
アイオリアが苦笑を浮かべると、わざとらしく大きな音を立ててシャイナに拍手をした。←獅子までやる必要なかろうに
『凄いぞ、シャイナ』
『凄いです、シャイナさん!!』
アイオリアが言うと、青銅や雑兵達がいっせいに復唱した。
『ほら、お前もやるざんす。このウスノロばかちん!』
今度はモヒカンが兄貴に蹴りを入れた。
『こうザンスすよ。シャイナさん、今日も美しいっ!!』
『しゃ、しゃいなさん、きょうもうつくしい』
『このばかちん!心が篭ってないザンス!!』
兄貴の棒読みに、またモヒカンの蹴りがはいった。
『素晴らしい、シャイナさん!、はい』
『すばらしいしゃいなさん』
『あんた、私を馬鹿にしてるのかい?』
今度はシャイナのパンチが兄貴の腹に入った。一歩遅れて兄貴がわざとらしくばたっと倒れた。
『お前達、こいつに雑兵のなんたるかを教えてやりな』
『任せてくださいざんす、シャイナさん。ほら、お前、立つざんす』
兄貴はまた髪の毛を引っ張られて立ち上がった。
『今から特訓ざんすよ』
『おう。「素晴らしいシャイナさん」を100回、「さすがシャイナさん」を150回、「お見事ですシャイナさん」は200回。闘技場の端まで聞こえるくらいの声の大きさで、練習して来い!』←おかしいのぅ
紫の小僧・ジャブ?が兄貴に言った。
これって雑兵の仕事なのか?←蛇遣いの趣味であろう
シャイナがもう一回兄貴に蹴りをいれて
『そしたらこのシャイナの一味に加えてやるよ』
『いえ、結構です』
思いっきり兄貴が拒否った。相変わらず自分の立場が分かってない、こいつ。
『すまん、シャイナ。こいつ、本当に昨日来たばっかりで、何も分かってないんだ。俺がちゃんとやらせるから、サンダークロウだけは勘弁してくれ』
シャイナの小宇宙を燃えたのを感じたアイオリアが慌てて兄貴の手を引っ張ると、闘技場の端に連れて行った。
『何を考えてんだよ、サガ。俺たちは今、雑兵なんだ。シャイナに逆らうなんて、どうかしてる』
『し、しかし、あまりには馬鹿すぎるではないか!』
『馬鹿とかくだらないとかそういうことを考えちゃいけなんだよ、俺達は。それに、ああやって持ち上げておけばシャイナは機嫌がいいんだ。機嫌が悪くなると、雑兵達に当たりちらすから、性質が悪いんだって。俺はべつにシャイナに殴られたところで、痛くも痒くもないけど、他の奴らの身にもなってみろよ』←女はいかんのぅ
コソコソとアイオリアが兄貴と話していると、シャイナが近寄ってきた。
『アイオリア、なにやってんだい』
『いや、こいつに雑兵のなんたるかを教えてやっているだけだ。シャイナもあまり新人に無茶を言うな。今はもう、昔の体制とは違うんだから』←まったくサガの時代はひどかったのじゃな
『そんなこと分かってるよ。でも雑兵が白銀聖闘士さま相手に口答えなんて、本当に頭にくるね!さっさとおし!』
シャイナの回し蹴りが兄貴の後頭部に思いっきり炸裂した。
兄貴はわざとよけなかったのか、それともマジでよけなかったのか、思いっきり蹴りを食らったあと、『さ、さすがです、シャイナさん』
よろけもせずに拍手をかました。←馬鹿め
そこは褒めるところじゃなくて、倒れるところだろうが。
もっと場の空気読めっての。『この野郎、この私を舐めやがって!』
キーーッと甲高い声をだしてシャイナが猫みたいに爪をたてた。
『お前達、やっちまいな!』
シャイナが顎をしゃくると青銅のひよこ二人と、雑兵達が一気に兄貴に向って襲い掛かってきた。
これぞまさに袋たたきってやつだな。
『ゴンザレス、耐えろ!耐えるんだ!絶対に本気になってはいかんぞ!』
アイオリアが叫んだ。
小宇宙でも燃やしてガードすれば、シャイナに聖闘士だってばれるわけだし、兄貴は大人しくぼっこぼっこにされるしなかいというわけだ。
ざまぁみろ!超楽しい。兄貴か雑兵にボコボコにされてる。こんなことになるんだったら、俺も雑兵に変装しておけばよかった。今からでも間に合うだろうか。←なさけない