MISSION IMPOSSIBLE(File.616161 世界の中心で酒を叫ぶ)

 

俺は今日も朝から週間兄貴の報告書を出しに教皇の間へ行った。
俺は絶対黄金聖闘士一勤勉な男だ。他の奴らが俺以上に真面目に働いているのなんて見たことないぞ!←お前はサボってばかりではないか

教皇はグチグチ文句を言いながら俺の報告書に落書きした。←落書きではない馬鹿者
ていうか、真面目に読まないならもうこの馬鹿げた報告書やめてほしいんだが。
今日も明日も明後日もそのあとも兄貴はいつも鬱!←病気がよくなるようしっかり面倒をみよ

執務当番の奴らが来る前に帰ろうとすると、珍しく早く来た奴がいた。

シュラだ。

なんかヒゲボーボーのくせに顔色が悪い。ゲッソリしている感じだ。
俺は咄嗟に柱の陰に身を隠したが、シュラは俺に気づいてる様子はなく、よろよろと教皇の脚に縋りついた。←なぜ隠れる必要があるのじゃ

「助けてください!!」

なんだ、なんだ?借金取りにでも追われているのか?
シュラのツンツン頭を撫でながら教皇は一体どうしたのか聞いた。俺も知りたい。

「助けてください!あいつが、あいつが俺の安眠を妨げるんです!」

またストーカーかよ!ってことはドラゴンだな。あいつ懲りずにまた聖域に来てるのか。本当、聖域は暇人ばっかりだな。

「童虎の弟子なら中国におるはずじゃ。青銅ごときに何を怯えておる。一度は敗北したとはいえ、お前は黄金聖闘士であろう」

教皇もいつものストーカーだと思ったらしい。名ばかりの黄金聖闘士だろ、こいつも。←情けない

「違うんです、教皇。紫龍が俺の小宇宙にずーーっと語りかけてくるんです!」

すげぇ嫌なストーカーだな。

「しかも、助けてくれ、助けてくれっていうんです!」

「……山羊よ、ならば助けてやればよかろう」

「嫌です!俺はあいつと関わりたくないんです!!」

あー、たしかにあの粘着ぶりはキモイもんな。しかし教皇はシュラを蹴り飛ばすと

「黄金聖闘士なら後輩を助けぬか!」

と怒鳴ってシュラを消してしまった。可哀想に……中国に強制テレポートだな。
ってことは……。

「愚弟よ、様子を見て来い」

やっぱり!!!!

だからくだらないことで俺を使うなと何度言えば分かるんだゴラァァァ!←それがお前の仕事じゃ
シュラのせいで俺まで中国行きになってしまった。

 

瞬間移動で中国のじーさんの家に飛ばされた俺は、滝の音にはやくもうんざりした。うるさい、うるさすぎるぞ!←たまには大自然の音に耳を傾けよ

だが、シュラの悲鳴はそれ以上にうるさかった。
見つからないように建物の陰に隠れて悲鳴がした方へいってみると、シュラと小僧が抱き合ってた。キショい←よいではないか

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!俺に近寄るな小僧!!!」

「シュラ、助けに来てくれたんですね!俺は今、猛烈に感動しています!」

中国の小僧は確か目が見えないはずなのに、逃げるシュラにきちんと抱きついている。こいつ、絶対目が見えてる。←見えないふりをしておるのじゃ

「大体、老師がいるのに何で俺に助けを求めるんだ!」←役立たずだからじゃ

「老師はだめなんです、ミイラとりがミイラになってしまったのです!」

そういえば昨日、白羊宮に中国のじーさんいなかったな。もしかして大事件?
いや、もっさり声の小娘が男作って出てったとか、小僧が小娘を孕ませちゃったとか?!←下品なこと書くでない

そのとき、家の中から悲鳴が聞こえた。男の悲鳴だ。
まさかじーさんか?じーさんが悲鳴あげるような事態を、シュラが解決できるとは思えないんだが。←無理じゃな

しかし、悲鳴が聞こえても、小僧はシュラに抱きついてゴロゴロしていた。助けてくれって言ってるわりには余裕なんですが。←山羊に会いたかっただけであろう

「おい、小僧。一体どうなっているんだ!?」

「2日前から危ない奴が居座っているのです」

危ない奴?それはお前のことじゃないのか?←童虎もじゃ

「老師に追い出してもらえばいいだろう!」

「その老師がだめだからお願いしてるのではありませんか!」

「……悪いが、他を当たれ。老師に倒せない相手を俺に回すな!俺を過信するな!俺に夢を見るな!俺に理想を押し付けるな!!!」

シュラの言うとおり、どう考えてもじーさんが倒せない男をシュラが倒せるわけがない!小僧はアホか?!
俺なら余裕だけどな。←無理じゃ
しかし、シュラも自分で言うなよな……。←情けないの

「俺には貴方しかいないんです、助けてください!!」

しかし、小僧はシュラに果てしない夢を見ていた。ダメすぎる。←話にならぬ

「無理なものは無理!」

「追い出すだけでいいんです、お願いですシュラ!!」

一体中に何がいるんだ?じーさんも負けた相手だからな。もしかして神か?

俺は裏庭をぐるりと回って家の中を覗いた。酒の匂いが窓の外まで漂っている。くさいなんてもんじゃない!酒くせぇぇぇ!←いつものことじゃ

しかも、家の中には俺の知らない奴が二人もいた。一人は中国のじーさんの息子みたいな奴で、もう一人は白人のじじぃだ。←カワユイほうの童虎じゃな

わかったぞ!

中国のじーさんが白人のジジィの娘をコマしてできた隠し子が、じーさん似の男だ。連れてきて慰謝料を請求しているに違いない!←童虎の弟子じゃ
裁判所いけよ、裁判所。ていうか、二人とも殺しちまえばいいだけじゃねーの?←人を殺めるでない大馬鹿者!
あ、隠し子だから自分で殺っちゃうのが嫌で、中国のじーさんじゃダメなのか。

「ロキぃ〜〜〜〜〜お前も飲めぇぇ〜〜」

白人のじじぃがそう言ってじーさん似の小僧の髪を掴んで顔をベロっと舐めた。その瞬間、小僧がギャーーと悲鳴をあげた。←かわゆいのぅ

「だから俺はロキじゃねぇって言ってんだろうが!さっさと出て行けこのモーロクじじぃ!!!」

じーさんの息子が白人のジジィの手をバシバシ殴ったが、ジジィはニヤニヤ笑ってる。酒の飲みすぎで痛覚がないんだな。マジで目がやばい、アル中の目だ!

「やめぬか、オウコよ!客人に失礼であろう!まぁ、のめのめのめのめの!!」←のがひとつ多い

中国のじーさんもヘベレケだった。白人のジジィになみなみと酒を注いで、自分のさかずきにも酒を注いで一気に飲み干した。←昼間から酒盛りとはけしからん

じーさんの息子はオウコという名前らしい。メモ。←弟子じゃ、かわゆいのう

様子からして慰謝料を請求にきたというより、白人のジジィが隠し子を引き取りにきたのか?親権争い?

「シュンレー!酒じゃーー酒もってこーい!」

中国のじーさんがそういうと、すぐに胸のでかい娘が嫌な顔をして酒をもってきた。
俺は見た!白人のジジィがシュンレイの尻を撫でたのだ!

「きゃぁっぁぁぁ!!ハニーフラッシュ!」

娘はもっさり声でそういいながら白人のジジィを平手打ちした。
しかしジジィはニヤニヤ笑っていた。酒の飲みすぎで頭がいかれてるようだった。


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