MISSION IMPOSSIBLE(File No.626262 人質カノン)

「サガの金魚の糞よ、喜ぶがよい。今回はサガの調査じゃ。山羊がのう、サガをやるというておる。しっかり手伝い細部にわたって報告するように」

はぁ?
いろいろ突っ込みどころがありすぎて、どこから突っ込んでいいか分からん。←まずはお前の尻からかのう

兄貴の調査なら毎日毎週やってるだろうが、これ以上何を報告しろっていうんだ。
おじーさんはもうぼけたのか?さっさと老人ホームに入れ!←無礼者

シュラを手伝う理由はないが兄貴を殺るっていうなら、手伝ってやる。シュラもアイオロスを殺させた恨みとか、理由はいくらでもあるしな。

「その殺るではない、大馬鹿者が。やるというたら決まっておろう」

じじーがグヒヒヒヒッと気持ち悪い笑い声を出した。そういう笑いはおねえちゃんの時にしろ。←余はそのような下品な笑い方はせぬ
やっぱりもしかしなくても、これってエイチオーエムオーHOMOのやる!?!?

俺が唖然としている間に、ジーさんはまたカーテンの奥に逃げていった。

俺は礼拝堂で小さな女神像をお守りに借りて、仕方なく磨羯宮に向かった。

・・・・・・って、これって兄貴の調査じゃなくて、いつものシュラの調査じゃないのか!?←気づくのが遅い

すでにジーさんから俺が行く連絡がはいっていたのか、磨羯宮に行ったらシュラが粒目を輝かせて待っていた。
俺は兄貴じゃないからな、間違えるなよ。

「サガをやっていいか?」

開口一番いきなりそれかよ。ていうか、なんでいちいち俺の許可をとる。勝手に襲っとけ、ぼけ!

「いや、一応な。邪魔されても困るし」

はぁ?なんで俺が邪魔するんだよ。今までだって、ジーさんの命令でしぶしぶ協力しにきてやってるんだ。←相手がサガだからじゃ

「じゃぁ、今回も協力よろしくな」

たまには自力で襲って来い。俺を巻き込むな。

そんでもって、自分で報告書を書いてジーさんに提出しろ。そのほうがジーさんも捏造こみのエロエロホモ報告書が読めていいと思うんだが、どうよ?←捏造はいらぬ。二人ともそれぞれ別々に提出するように

「今回はどうしてもお前の協力が必要なんだ。お前はサガに今日一日家に帰らないと伝えてくれ。そうだな、出来れば明日の昼くらいまで帰らないことにしてくれ。 で、そのとおり明日の昼まで帰ってこないで欲しい。それだけだ、お前を俺達の濡れ場に巻き込むつもりはない。といっても、混ざりたいっていうなら考えてや らなくもないが」

頼まれたってまざりたかねーよ!←嘘をつくな

協力ってそれだけか?
兄貴をおさえつけたりとか、兄貴の服盗むとか、またなんかくだらない協力をさせられるのかと思っていたので、俺は思わずほっとした。
ていうか明日の昼まで兄貴を掘るのか?←ほうほう

とりあえず俺は当然ただでは働かない。しかも明日の昼まで時間を過ごすための軍資金もいる。
俺は頷きながら手を出した。

「ああ、それならもちろん用意してある。サガの全裸の彫……」

俺はシュラに回し蹴りを入れ、倒れたシュラの尻のポケットから財布を奪い取った。←お前のへなちょこ蹴りでは山羊は倒れぬであろう
ふざけんな。彫刻なんて金にならんものいるか。つか、そんなキモイ彫刻をどうつかったら一日時間を過ごせるんだ。←彫刻を前に自慰にふけるのではないか?
今回は結構現金が入っていたので、カードを預かるのだけは勘弁してやることにした。

俺が収穫を数えていると、部屋を出て行ったシュラが手に見慣れた箱をもって戻ってきた。
あの箱は見覚えがある。

ズラ箱だ!!←?

こいつの作戦は本当に進歩してないな。今度は一体誰のズラだ?
ジーさんかアイオロスズラか。

出てきたのは茶色い短い髪の毛のアイオロスズラだった。←カツラであるか。ズラではなくヅラであろう

「最近失敗ばかりしていたが、今回は間違いない!」

シュラは自信満々に言った。
俺的には成功しないと思うが。
どうせワンパターンで兄貴のベッドに入って兄貴の欲情待ちだろう。兄貴がアイオロスがベッドに入ってるからって発情するとは思えないが……。

「だからカノンに不在にしてもらうんだ」

は?俺の質問に答えろ馬鹿!

「お前はサガの本当の姿をしらないだけだ。サガはアイオロスと二人きりになると、そりゃもうすごい欲情するんだ。もうアイオロスが宥めても尻を振ってアイオロスに擦り寄ってくるんだぜ」←嘘じゃ

きもっ!
俺は思わずそんな姿の兄貴を想像して吐きそうになった。

「ああ見えて、二人きりのときはかなり甘え上手らしいな。キスしてもらいたくて自分から唇突き出したり、アイオロスがその気じゃなくても、股間を愛撫して、むしゃぶりついて放さないらしい」←それも嘘じゃ

きもっ!きもっ!きもーーーーーーーーーーい!

俺は洗面所に駆け込んで吐いた。朝食ったものを全部出した。←想像して自慰をしたのであろう
俺がすっきり戻ってくると、シュラはズラを被っていた。しかもあのだっさい赤いバンダナを額に巻いている。←ヅラ

「これで準備OKだ」

絶対に俺は失敗すると思う。この小さい女神像を賭けてもいい。100パーセント失敗する。←余もそう思う

「一体その情報源はどこからきたんだ?絶対にそれは嘘の情報だと思うが」

「アイオロスがいつも俺に自慢しているから、間違いない」←間違いなく嘘じゃ

それが一番怪しいだろう。

兄貴はそんなことをするたまじゃない。これは間違いなくアイオロスがシュラに虚勢をはって嘘をついているだけだ。でなければ、ただの妄想だ妄想。

「妬くなよ、愚弟。兄弟と恋人じゃぁ、態度も違うってもんだ。お前の知らないサガをアイオロスは知ってるのさ」←主人と奴隷とでも態度は違うのじゃ♪

はぁ?誰が妬いてるって?
俺は普通に、お前が砕けた星々の仲間入りするのを心配してやってるだけなんだが。

勝手に都合のいい兄貴を妄想しているシュラを無視し、俺は双児宮に戻った。兄貴はちょうど病院に行くところだったので、俺もついていった。付き添わないと病院からジーさんにちくられるからな。
シュラのホモ話を聞いて気分が悪いから、病院の看護婦見て目の保養でもするか。

兄貴のカウンセリングが終わったので、俺はそのまま兄貴と別れることにした。明日まで帰らないと言って出かけようとすると、いきなり兄貴に腕を引っ張られた。

「お前が帰ってくる時間を言ってでかけるなど珍しい。何かたくらんでいるのではあるまいな」

やっぱり山羊男は兄貴を舐めてる。つか、俺達のことを知らなさすぎだ。俺が兄貴に一声かけて出かけるなんて、今の今まで一度もないからな。←いかんのぅ

「まぁ、別になんとなく」

適当に嘘ついても逆にばれるので、軽く兄貴を一瞥して俺はそのまま兄貴と別行動を取った。

で、兄貴がタラタラ歩いて帰る前に、俺は高速で双児宮に戻った。

双児宮に帰ったら、リビングにいたアイオロスの格好をしたシュラが粒目をさらに粒にしてうろたえていた。
どうやら俺は思いっきり兄貴と間違われているらしい。

俺はとりあえずシュラを正気に戻すため、顔に一発ぶち込んだ。

「あっ…、カノンか。驚かせるな」

勝手に驚いたのは自分だろうが。
俺はシュラに計画どおりにやったことを伝えると、シュラはあらかじめぱくっておいたらしいアイオロスのジーンズをリビングの椅子にかけ、いそいそと兄貴の寝室に向かった。
で、いつものように服を脱いでベッドの下に隠したシュラは、ベッドにもぐりこんで頭だけ見えるようにシーツを被った。

俺はいつもどおり天井裏に隠れて観察することにした。
何が悲しくて自分の家の天井裏に隠れなくちゃいけねぇんだよ。気分はまるで浮気女の家でしけこんでたら旦那が帰ってきてあわてて隠れた男のようだ。


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