★MISSION IMPOSSIBLE(File
No.626262 人質カノン)
翌朝。
今朝は10時起床。早い!俺、えらい!
コーヒー飲みながら適当に報告書を書いていると、シュラが俺の小宇宙に直接語りかけてきやがった。←きちんと書かぬか
今日も兄貴を掘るのを手伝えってことで、磨羯宮にお呼び出しだ。
まだあきらめてなかったのかよ。「どうやってサガを襲えばいい?」
「そんなの自分で考えろよ、アホ!」
「いや……しかしな、相手はあのサガだ」
シュラがもごもごと言葉を濁して粒目を泳がせた。
もしかして、兄貴が怖いのか!?あのヘナチョコ全裸鬱野郎が!?「そんなもん兄貴がお前にした過去の罪をささやけば、簡単だろう?アイオロスみたいに、兄貴の罪を盾にいうこときかせればすぐに足開くんじゃねぇの?」
「それは、俺が教皇がサガだと知らなくて、そのサガの命令でアイオロスをぶっ殺したことか?」←半殺しの間違いであろう
俺が頷くとシュラの目が粒になって、顔色が悪くなった。
「そんな卑怯なまねできるか。俺はこれでも女神に最も忠誠のあつい正義の聖闘士だ。それはいくらなんでも卑怯だろうが!」
俺は耳を疑った。
ヅラ被って変装して襲ったり、相手の服までぱくって偽装してまで襲ったりするのは卑怯じゃないのかよ。←騙されるほうがバカなのじゃ「兄貴が怖くて襲えないっていうなら、これが一番確実だと思うけどな。まぁ、首をくくって死ぬか、ケツだして命乞いするか、賭けなんだが。でなきゃ、もっと修行積んで強くなってからにしろ」
「いや、俺が怖いのはサガもそうなんだが。あいつは以外に間抜けなところがあるから、なんとかすれば襲えそうだが……」
もごもごとまたシュラが言葉を切った。
男のくせにはっきりしないやつだな。だめ猫のもにょもにょ病が感染したか。シュラがガタガタと震え始め、脂汗を流し始めた。
一体なにが怖いんだ。この世の中で怖いのなんて、女神くらいだろう。俺は昨日のことを思い出して、ピンと来た。
こいつはアイオロスが怖いのだ!俺は思わず腹を抱えて笑い転げた。あんなヘナチョコ下級鶏聖闘士が怖いのか。それはシュラ渾身のギャグか?
「しかし、今日は大丈夫だ。というか、サガを掘るのは今日しかない。今日から3日間はアイオロスは日本にいって帰って来ないと、さっき教皇に確認してきた」
ということは今日もまたアイオロスのズラを被ってベッドで待ちか?←ヅラじゃ
「聖闘士に同じ技は二度も通用しない!今日は違う手で行く。というか、おねだりサガはアイオロスの大嘘だって分かったし、他の手を使うしかあるまい」
同じ技は二度も通用しないって、そもそも一度目も通用してないだろうが。
「今回はサガの人情に訴える、人質作戦だ」
人質?
ていことは、また聖衣質をとるのか。
だが兄貴はデスマスクみたいに聖衣に馬鹿みたいな執着はしてない。
本当にこいつの目は小さいだけあって役立たずだ。一体普段から兄貴の何をみてるんだ。←尻であろう「ばーか。お前の耳は飾り物か。人質って言っただろうが。今回はお前を人質にサガに言うことを聞かすのだ」
馬鹿はお前だ。
鼻の穴をおっぴろげて踏ん反りかえるシュラに、俺はしばらく返す言葉を失った。シュラは唖然としている俺の目の前に紙をつきつけた。
「お前の大事な弟カノンは預かった。返して欲しければ今夜8時にスニオン岬の岩牢前に来い。来ない場合、弟の命はないと思え」
と書かれていた。これはどう見ても脅迫状だよな。
しかし本当にシュラの脳みそはどういう構造になっているんだ。
あの馬鹿で傲慢で精神病んでる兄貴のどこをどうみたら、俺のことを大事な弟扱いしてるんだ。
これだけは言える。
今回もこの作戦は失敗だ。
兄貴が俺のためにスニオン岬になんてくるわけない。
むしろ放置決定だ。俺の命なんてゴミくらいにしか思っていない野郎だからな。
「サガも照れ屋なんだよ。お前の前では辛くあたってるかもしれないが、本当はお前のことが大事でしかたないんだ。唯一の肉親だろう、かわいくないわけがないじゃないか」←よかったのぅ
「だからそれが大きな勘違いだと言ってるだろう。俺達はそんな甘っちょろい関係じゃない」
「お前はそう思ってるかもしれないが、サガはそうじゃないと思うぜ。助けに来なければ殺されるってなったら、絶対助けに来るに決まってるだろう」
「ありえないっ!」
「どんなに馬鹿でアホで弱くて救いようがない悪人でも、弟ってのはかわいいもんだぜ。出来の悪い奴ほどかわいいって言うしな」
「だから俺達にはそういう一般論は通用しないんだ。だいたい俺のことを弟として認識してるなら、スニオン岬に閉じ込めて見殺しになんてするかよ」
「それも悪人の弟を改心させるためのサガの愛だろう。大丈夫だ、絶対サガは助けにくるから!」
誰かこの夢見がちな男をどうにかしてくれ。←本当は嬉しかったのじゃろう
100パーセント助けに来ないのは分かっていたが、俺はジーさんの命令で手伝わなければいけないので、人質にとられることになった。←本当はやる気満々であったのじゃろう
シュラはまず貴鬼を呼び出して、おやつ一週間分で脅迫状を兄貴に届けさせた。←いかんのぅ
俺は気配を殺して後を追った。
双児宮で貴鬼から手紙を受け取った兄貴は、手紙を開いた瞬間眉間の皺がレベル10になった。と思いきや、いきなり貴鬼の両肩を掴んで、揺さぶった。
「これは一体なんだ? ムウの嫌がらせか、それともカノンがまた何かくだらないことを考えていのか? 一体誰に頼まれたのだ、貴鬼。いい子だからおじさんに教えなさい」
「知らないよ。オイラ、道を歩いていたら知らないおじさんにふたご座のサガにこれを届けるようにって言われただけだもん」
貴鬼はあわてて逃げ出した。
つか思いっきり狂言だってばれてるし。兄貴が部屋に入ったのを見計らって、シュラが降りてきた。
「ほら、スニオン岬に行くぞ」
は?
「お前は人質だ。サガが迎えに来たときにお前がいなかったら、すぐに帰っちまうだろうが。お前には、犯人役の俺に命乞いをして、しかもサガにいうことを聞くように懇願してもらわなくちゃいけないしな」
俺は目が点になった。
この俺様がなんでシュラごとき子山羊野郎に命乞いしなくちゃなんねーんだよ。しかも兄貴に頭をさげるなんて、まっぴらごめんだ。←ほうほう、サガは助けに来ないのではなかったのか?
「ちゃんと仕事はしてくれよ。報酬はきちんと払うんだから」
「だが、約束の時間はもっと後だろうが」
「サガがお前を心配するあまり時間を守ってくるとは思えん。今すぐ飛び出してスニオン岬にお前を助けに行くに決まってるだろうが」←ありえぬ
今だって普通に部屋に入って出てくる気配もないだろうが!