★Mission Impossible(File No.800001 クイズ☆ミロたんに聞きました)
蟹の調査が終わったばっかりだというのに、俺はまたジーさんに呼び出された。
俺が教皇の間に行くと、なんとミロが教皇の目の前に正座させられて、背中を丸めていた。
またくっだらない悪戯して怒られてるのか?←存在自体に問題があるのじゃ
『愚弟よ、どうして蠍はこんなに馬鹿かのう』←他の世間ではミロ様らしいのじゃ
知るかよ。
『余の記憶が確かなら、幼い頃の蠍は賢かったのじゃが……いやはや、どうしてこんなに馬鹿になってしもうたのじゃ』
はぁ? ガキだったミロが頭がいいだって? ありえないだろうそれ。←ありえんこともありえるのが聖域じゃ
あまりにもミロの馬鹿っぷりが酷すぎて、都合のいい過去を捏造しちゃってんのか?←それならば悩まんわ
『教皇、それは俺じゃないです。きっとそれは、世間に知られちゃいけない双子の兄かなんかです! 双子の兄貴は出来が良くて、弟が悪いってのは俺らの世界じゃ定番中の定番じゃないですか。だからそれはきっと知られちゃいけない双子の兄です。ロミとか、ミロンとか、ブラックミロとかそんな名前の兄に違いありません』
『馬鹿者、お前には双子の兄などおらぬ。かつてお前はミロス島一の神童といわれておったのじゃ』
『それは勝手に流れていた噂に違いありません。それに俺は馬鹿じゃありません。勉強ができないだけです』
ミロが口答えをすると、ジーさんが羽ペンを投げつけた。
見事ミロの額にサクッとクリーンヒット。←百発百中じゃ
ミロは額を押さえて目の前の本の山に突っ伏せた。って、本だと思っていたのは、どうやら宿題らしい。
また宿題忘れて正座させられてたのか。←そうじゃ
ていうかミロス島って子供がたった一人だったんじゃないのか? だったらどんなに馬鹿でも、島一番の神童だ。←確かにそうではあるが、賢かったのじゃ
『幼い頃のお前は、サガにも負けぬほどの勉強好きであったのじゃがのう』
俺は自分の耳を疑った。ていうか、ミロも目を点にさせ、超驚いて教皇を見た。本人がまったく身に覚えがないんじゃ、やっぱりそれはジーサンの捏造記憶なんじゃないのか?←そのようなことはない
『余が初めてお前に会おうた時、聖書を諳んじておったが……』
『は? そんなこと出来るわけないじゃないですか! 俺にそんなこと無理! 絶対無理!! 汝と汝は今何時くらいしかわかりません!』
おい、ばかミロ。そこは自信を持って否定するところじゃない。
『愚弟よ、こやつを連れて皆に聞いて参れ。そしてどうして、こんなに馬鹿になったか調べてこい』
ヨヨヨヨヨッと、目頭を押さえながらジーさんはカーテンの奥へ消えていった。
俺は、何故かお子ちゃまの面倒をみなければならなくなった。つか俺は保父さんじゃないんだが。←ニートであろう
コイツの面倒は、カミュか兄貴かアフロディーテかアイオリアにでもさせておけよ。
『教皇ってさ、絶対嘘ついてるよな! 俺が勉強できたわけないじゃん。もしちっさい時に勉強が出来たんなら、算数の宿題なんて出されないってのにな。教皇、まじでボケちゃったのかな。俺とサガを間違えてんじゃないのか?』
俺もミロと同じ意見だ。だがしかし、それを自分で言うなバカミロめ。
だがジーさんがボケたっていうのは、賛成だ。ミロが勉強できたなんて、天地がひっくりかえってもありえない。俺が正義に目覚めたりホモになったり兄貴を好きになるくらいありえない。←すべて有り得るではないか
ジーさんが老人ボケのせいでそんなこと言っているのだと思いたいが、実は俺も昔、兄貴からミロの話を聞いたことがある。
当時、兄貴は瞳を輝かせて『すごい頭のいい子が聖域に来た』と喜んでいた。
しかし今思えば、それは兄貴の大きな勘違いのように思えた。でなけれ、他のガキのことを言っていたに違いない。たとえばカミュとかシャカとか、あいつらも相当曲者だが、ミロよりは遥かに勉強は出来るはずだ。←乙女は論外じゃの
『お前本当にバカだもんな。その頭の悪さは、昨日今日でどうにかなった悪さじゃないからな。だから俺もお前は小さい時から頭が悪かったと思うぞ』
俺が同意をするとバカミロが怒った。他人に本当のことを言われて癪に障ったか。
『ちっげーよ。俺は頭が悪いんじゃなくて、勉強が出来ないだけだっての!』
だから自分で言うなよ。どっちも同じだ、バカ!
とにかく、俺はミロが小さい時から馬鹿だったことを証明するため、双魚宮からお約束の十二宮くだりをした。そしてジーさんが本当にボケたことを聖域に知らしめ、兄貴を教皇に仕立て上げて俺が聖域を征服するのだ、わっははははははーーーっ!←無理じゃ
双魚宮
『ミロたんの小さい頃? 知ってる、知ってる。すっごい頭良かったのよね〜』
アフロディーテがミロの頭を撫でながら頷いた。
マジか!? ありえん、俺がホモに目覚めるくらいありえん!←有り得る
ミロなんてびっくりしすぎて目ん玉こぼれそうなほど見開いてる。
『それじゃ、聖書を諳んじてたっつーのは本当か?』
俺が聞くとアフロディーテが頷いた。
ミロと俺はまじで驚いて腰が抜けそうになった。
『それって本当に俺だったのか? 俺じゃなくてカミュの間違いじゃないの!?』
『カミュはギリシャ語もろくに喋れなかったし、聖書なんて諳んじれるわけないじゃない。あれは正真正銘のミロだったわよ。筋肉兄貴に育てられていたアイオリアをいつもバカにしてたっけ』
『マジで?』
『そうそう、当時はミロの頭の良さにサガもびっくりしちゃって、年下に負けてられないって顔を青くしてたっけねぇ』
ほう、それじゃあジーさんが言ってたことは嘘じゃなかったのか。何だよ、てっきり本当にボケたのかと思ったのに。
『それにね九九もばっちり計算できたし、カミュ達がギリシャ語習う傍らで英語勉強してたのよ』
まじですか!?
こいつ九九なんて出来たっけ?
俺は疑惑の眼差しをミロに向けながら聞いてみた。『おいミロ、九九言ってみろ』
『無理!』
即答するなボケ!
『ににん(2×2)が?』
『……よん?』
語尾を上げて言うな、なんで2×2くらいでそんなに時間かかるんだボケ。
『にく(2×9)は?』
『にく……食いたいっ!』
『さんし(3×4)?』
『いらっしゃーい!』
『ごっく(5×9)?』
『ろーさん!』
……やっぱり嘘だ。こいつが九九できるわけがない。っていうか、これはわざとか?
わざと以外にありえないバカさなんですが。
『へへっ、これってペガサスに教えてもらったんだぜ。ちょっとしたお笑いネタって感じでさぁ』
ミロが鼻の穴を膨らませながら言った。
こんなくだらないことが覚えられるのに、なんで本当の計算のほうが覚えられないんだ!?←情けない
『ていうかさ、ミロは買い物する時どうしてるの?』
アフロディーテが聞いた。俺も知りたい。
しかしミロは質問の意味が分らなかったらしい。
『買い物する時、計算するでしょう? 所持金と買う物の合計があってるか暗算するでしょうが。あんたカード持ってないんだからさ』
『暗算なんてしないよ。何でそんなことする必要あるんだよ!! 買いたいものもってレジに行けば、店が計算してくれんじゃん!』
確かにそりゃそうだが、もし金が足りなかったらどうするんだ? まさか俺みたいに盗むわけじゃあるまい。←盗むな馬鹿者
呆れているアフロディーテに代わって俺が聞くと、ミロがキョトンとなった。
『まけてもらえばいいじゃん! 有り金見せて、これだけしかないからまけてって言えばまけてくれるぞ。やっぱり人の良さが滲み出てるから、まけてくれのかなぁ〜』
いや、それは哀れに思われてるんじゃないのか? 同情だ、同情。←そうであろうな
『で、それでもまけてもらえなかったらどうするの?』
『足 りない分だけいらないって言って店員に商品返せばいいじゃん。何のために店員がいるんだよ、そういうためにいるんだろう!! あとは、金とって来るか ら待っててくれって言って、金取りに帰ればいいじゃん。でも大抵は、次の時でいいよって言ってくれるからなぁ。おかげでツケがたまっちゃって大変だよ』
なんかレジでよく列を作っている犯人を俺は見た気がした。こういう奴がいるから会計のときに無意味に並ばなくちゃならんのだ。
『暗算なんて生きていくうえで必要ないじゃん。別に戦いの時に金の計算とかしないし、いちいち計算しながら戦ったりしないだろう。だから暗算できなくったっていいじゃん!』
よくないだろうが、大人として、せめて九九くらいは出来ようぜ。←お前に言われるようでは終わっておるのぅ
『大丈夫大丈夫、99できなくても69は得意だから。だからアフロかカノンやらせてくれない!?』
ミロは、俺とアフロディーテに頭を同時に引っぱたかれ、階段の下まで転げ落ちた。
結局、ミロが本当に神童だたったのかどうだか分らなかったので、俺はそのまま宝瓶宮の出口で転がっているミロを引きずって中に入った。
カミュならミロの親友だしホモ達だし、よく知ってるだろう。