★ああ!女神さま!(聖域女子校)
沙織「あのねぇ〜〜おじぃさまぁ〜〜、おねがいがあるのぉ〜」
腕で巨乳をはさんで無駄に胸の谷間を強調し、猫なで声で沙織はシオンにおねだりした。
しかし、大の女嫌いのシオンにはまったく効果がないどころか逆効果で、仮面の下で冷や汗を流し、迫りくる沙織に思わず腰を抜かしてしまった。
沙織「ねぇ、おじぃさまぁ〜〜」
シオン「すっ、すべて女神の御心のままに……」
沙織「本当?何でもお願いきいてくれるぅ?」
シオン「なっ何なりと……」
沙織「いやぁぁん、沙織う・れ・し・ぃ〜〜〜!おじぃさま、大好き!」
沙織に抱きつかれたシオンは悲鳴を上げて気絶する。
その様子を生暖かい目で見ていたアイオロスと童虎は、女神の命令は絶対なのに、お願いもへったくれもないだろうと思っていた。童虎に殴られ目を覚ましたシオンは、沙織のお願いを聞いて言葉を失った。
沙織「沙織ね、お友達がほしいの」
シオン「……ご学友でございますか?」
沙織「んーん、お・と・も・だ・ち」
シオン「……ペガサスがおるではありませんか」
沙織「いやぁぁん、星矢はお友達じゃなくて、こ・い・び・とぉ〜〜〜沙織はずかしぃ」
頬に手を当て体をくねくねさせる沙織に、一同あきれかえる。
沙織「あのねぇ〜〜沙織もぉ、お年頃だからぁ、女の子のお友達がほしいのぉ」
シオン「は、はぁ……」
沙織「やっぱり、ほら、いくらおじぃさまが優しくてもぉ、女の子同士じゃなきゃダメなことってあるしぃ〜、恋の話とかぁ体のことなんてぇ、沙織恥ずかしくって相談できない、きゃぁぁぁ〜〜」
いつもどおり普通に話せばいいのに、どうしてこんなに無駄にキャピキャピしているのかがわからず、三人はさらに唖然とした。
シオン「それでは学校に通われたらいかがでございましょうか……」
沙織「学校はダメ。みんな沙織の美貌と知性と財産妬んで、お友達になってくれないの」
その性格に問題があるのだと誰もが思ったが、あえてつっこみはしなかった。
シオン「は、はぁ……しかし、女神の美貌を羨まぬ女がこの世に存在するとは思えないのですが……」
沙織「そうなのよ。だからぁ、おじぃさまに相談してるの。沙織とぉ、好きな男の子の話とかぁ、おいしいお菓子の話とかぁしてくれてぇ、一緒にディズニーランドとか行ってくれる人がいいの」
シオン「ご相談相手でございましたら、蛇使座がよろしいのでは。部下からの信頼もあついようでございますので……」
沙織「シャイナは、ダメ!恋敵だもん!」
シオン「はぁ……では鷲座は?」
沙織「魔鈴もだめ。だって星矢のこと聞かせてっていっても、斗馬のことしか話してくれないの!っていうかぁぁ〜〜私の話きいてくれないのぉぉ、弟自慢ばっかりでつまらないんだもん!」
シオン「では、カメレオン座は?」
沙織「ジュネは微妙にあわないのぉ」
シオン「はぁ……」
沙織「あのね、沙織は乗馬の鞭が好きなの。でもジュネは長い鞭以外、鞭として認めーん!っていうのぉ。それにぃ、瞬の事追い回してばっかりでぇ、全然沙織と遊んでくれないしぃ」
シオン「はぁ……他に誰かおらぬか、アイオロスよ」
アイオロス「星矢の姉はどうですか?」
沙織「やだぁ、星矢のおねぇさんはぁ、将来沙織のおねぇさんになるのぉ!」
アイオロス「は、はぁ……」
沙織「だからね、おじぃさまにお願いしてるの。お友達、ほ・し・い・なぁ〜〜」
シオン「困りましたのぅ……聖域は元来女人禁制でございますゆえ……」
アイオロス「……あ、そういえば青銅にもう一人女の子いませんでしたか?」
童虎「おお、ギガントマキアにでておったのぅ。六分儀座か?」
シオン「ほう、六分儀座は女か。アイオロスよ、いますぐその者をここへ呼べ」
程なくして現れた六分儀座のユーリが現れた。
女神と聖域幹部しかいない謁見の間に、ユーリは緊張のあまり手足が震えだす。扉の入り口の方で止まっているユーリにアイオロスが手招きをすると、ユーリは同じ方の手足を同時に出しながら、ぎこちなく歩いて部屋の中ほどで立ち止まった。そして、両膝をつき、そのまま全身を床に投げ出し五体投地で沙織にひれ伏した。
さすがにこれには一同驚き、呆然とする。
沙織「ユーリ、そんなに畏まらなくてもいいのよ。もっと近くに来て頂戴」
ユーリ「なんと恐れ多い!!!」
沙織「私ね、あなたとお友達になりたいの」
ユーリ「ひぇぇぇぇぇぇぇ、何と恐れ多い、恐れ多い……」
床に額を擦り付けながらずるずると後ろに下がってゆくユーリに、これは見込みなしと沙織は首を振った。
沙織「おじぃさまぁぁぁ、他に女の子いないのぉぉぉ」
シオン「ですから、聖域は女人禁制ですゆえ……」
アイオロス「聖闘士でなくてもいいなら、訓練所にいますけど」
沙織「訓練所?」
アイオロス「女聖闘士の養成所です。聖域の女子校ですね」
沙織「まぁ、そんな素敵なところがあるの?!おじぃさま、沙織そこにいきたい!おじいさまぁ、いっしょにいきましょう!」
シオン「あそこは男子禁制でございます」
沙織「あら、おじぃさまは教皇なのに訓練所に行ったことがないの?聖域の指導者なのに放置しているの?」
アイオロス「たしかに、そういうことになりますよねぇ……」
童虎「女が嫌いだから、仕事をサボっておるだけじゃ」
沙織「私が許します。視察に行きなさい」
シオン「アイオロスや、余の代わりに行ってこい」
童虎「女の園なら、わしが代わりに行ってやるぞ!」
沙織「沙織はおじぃさまと一緒にいきたいのぉ!!」
沙織に逆らえるはずもなく嫌々シオンは返事をした。