シオンさまといっしょ8(給料日 その1)

 

辞令交付のため呼び出された黄金聖闘士たちは、珍しく会議室でほぼ全員が顔をつき合わせることになった。この場にいないのは、シオンと童虎だけである。

円卓に十二宮順に座った彼らは、先に経理から渡された給与明細を見ながら、社会人?らしく給料の話に花を咲かせていた。

デスマスク「おう、愚弟。何でお前まで来てるんだ?。今日呼ばれているのは、黄金聖闘士だぞ。」

カノン「だから俺は黄金聖闘士だって言ってるだろうが!」

サガ「神官がな、カノンも一緒に来るようにというから、仕方ないのだ。」

シュラ「というかな、どうしてお前まで昇給辞令に呼ばれているんだ?」

カノン「決まってるだろう、仕事してるからだ!。」

ミロ「またまたまた〜〜〜。いっつもサガにひっついてるか、双児宮でゴロゴロしているだけじゃねぇかよ!!」

アフロディーテ「そういえば、愚弟。たまーに教皇の間に来てるわよね。あれ仕事なの?」

カノン「そうともよ。俺は時給で働いてんだよ。」

デスマスク「ぐははは、何だ、バイトか?!」

サガ「非常勤職員扱いだそうだ。一応、賞与も出ている。」

アルデバラン「でしたら、何でカノンはサガから小遣いを貰っているんですか?」

アイオロス「おい、愚弟!給料をもらっているくせに、更にサガから金を巻き上げてるのか!」

カノン「ふ・ざ・け・る・な!!!俺の金を全部使っているのはな、兄貴のほうだ!!!俺は給料明細しかもらえねーんだよ!!」

アフロディーテ「サガァ〜〜。もしかして、愚弟ちゃんのお金もお風呂につぎ込んでるの?。」

サガ「もちろん。カノンだってデカイ風呂がいいと言っているんだから、当然だろう。」

シュラ「しかし、バイトの給料をとりあげるっていうのは、どうかと思いますがね?」

デスマスク「おめぇ、いい給料貰ってるんだろう?。あんまりセコイことしてんじゃねぇぜ、サガ。」

サガ「・・・・13年間の悪事が祟ってな、私もカノンも色々と天引きされているのだ。私とて給料はすずめの涙ほどしか貰っておらん。しかもな、ほとんど水道代に消えてゆくのだ。」

アイオロス「水臭いじゃないか、サッガぁぁぁ。サガ一人の面倒なら、この私が見てやるぞ。」

アフロディーテ「サガは鶏なんかに面倒見てもらうほど落ちぶれちゃいないわよ!。」

サガ「アフロディーテの言う通りだ。お前の気持ちは嬉しいが、そこまで私は落ちぶれてはおらん。」

アイオロス「別に気にすることないではないか、ミロだってカミュに面倒見てもらってるんだしさ。」

ミロ「あ、てめぇ!俺の事、馬鹿にしたな!!俺はカミュに財布を握られているだけで、カミュのヒモじゃねぇぞ!」

シュラ「お前!?ミロたんのくせに給料貰ってるのか?!」

アイオリア「悪い、俺は今までヒモだと思ってた・・・・。」

アルデバラン「私もだ。」

カミュ「ミロはその日のうちに、給料を全部使ってしまうから、ちゃんと管理してやらないと駄目なんだ。」

デスマスク「ぶはははは!!そうか、お前はカミュから小遣を貰っているのか。」

ミロ「別に俺の金なんだからいいじゃねぇかよ!」

アルデバラン「カミュ、もうすこしミロの小遣をあげてやってくれないか?。こいつ、いっつも『金がない、金がない』と言って、白羊宮で食事をしているんだが。」

サガ「そうだぞ、カミュ。金がなくなるたびに、私に小遣をせびりに来るのだ、何とかしろ。」

カミュ「一応、給料の1/4はミロに渡しています。」

カノン「残りの3/4は?。」

カミュ「まず、給料の半分はミロの実家に仕送りしています。その半分は貯金です。残りがミロの小遣になっています。」

アフロディーテ「すごい!ミロたん、貯金あるの?!」

デスマスク「貯金があるなら、貸した金けぇせ!」

カミュ「定期預金なのでそれは無理です。無闇やたらにミロに金を貸さないでください。」

アフロディーテ「ミロたん、いい旦那さん持ったわねぇ。」

ミロ「別に貯金なんていらないんだけどなぁ・・・俺。」

アイオリア「貯金しておかないと、将来困るぞ。生き返ったんだし。」

ミロ「アイオリアは無趣味だからいいよ。すぐに、金たまりそうだよな。つーか、明細見せろ!」

アイオリア「コラ!勝手に見るなよ!!」

ミロ「カミュ、パス!」

ミロが身を乗り出してアイオリアから封筒を奪うと、カミュは念動力でそれを手元に呼び寄せた。

カミュ「ふむふむ・・・・。アイオリア・・・お前いい給料貰ってるな。」

アフロディーテ「信じられない!雑兵のくせに何でこんなに給料貰ってるのよ!!」

アイオリア「俺、黄金聖闘士なんだけど・・・。」

アフロディーテ「あのさ、このお金何に使ってんの?筋トレ?」

アイオリア「・・・・将来の為に貯金してる。」

アイオロス「そうか、魔鈴との結婚資金か!。」

アイオリア「そ、そ、そんなんじゃないよ!!」

アフロディーテ「あー、なるほどね。結婚するのは金かかるからねぇ。魔鈴に家の一軒くらい買ってやりなよ!」

カミュ「私だけ見るのは不公平だからな、ほら、アイオリア。」

カミュは手を伸ばしてアイオリアの前に明細の入った袋を差し出した。

アイオリア「・・・・。あのさ、カミュ・・・。お前も十分いい給料を貰ってないか?。」

デスマスク「ミロの世話代じゃねぇのか?」

カミュ「弟子の養育費です。私には弟子が三人もいますから。」

アイオロス「じゃぁ、シャカなんか、かなり貰ってるのか?お前、弟子が沢山いるだろう。」

シャカ「給料など貰ってはおらん!」

デスマスク「またまたまた〜〜〜ミロだって貰ってるんだぞ。」

シャカ「本当だ!」

アフロディーテ「じゃぁ、どうやって生活してるの?おシャカ様?」

シャカ「布施だ!」

シュラ「インドに信者が沢山いるのか?」

シャカ「当然だ!」

ミロ「給料貰わなくていいほど貢がれてるのか?」

シャカ「貢ではない、布施だ!」

カノン「シャカ、お前すごいじゃん。」

シャカ「当然だ。私は神だ、拝め!」

アフロディーテ「じゃぁ、何で神さまに明細書があるの?」

シャカ「ユネスコとやらに寄付をしているのだよ。その領収書だ。」

シュラ「だからって、仏像盗んでくるのはどうかと思うぞ。」

シャカ「あれも布施だ!」

カミュ「アルデバラン、お前はどうなんだ?。年少組みで隠し事はなしだぞ。」

アルデバラン「私か?んー・・・・見て驚くなよ。」

アルデバランが差し出した明細書を、カミュよりも早くミロが手を伸ばして奪いとる。

ミロ「つーか、なんだよ!俺の倍以上あるじゃねぇかよ!体がデカイと給料もでかいのかよ!」

シュラ「・・・俺達より上だな。」

アイオリア「まさか・・・食費か?」

なるほどと半数以上が肯くのを見て、アルデバランは頭を書きながら事情の説明をした。

アルデバラン「私は出張が多いからな。南米大陸で何かあったら、どんな些細なことでも私が派遣されるし・・・・一度聖域を追い出されたら、1ヵ月や2ヶ月は当たり前だし・・・。戻ってきてもだな、休日出勤分の休暇が振り返られるわけでないし、有給を使えるわけでもないし、出張手当と、時間外勤務手当てと、休日出勤手当てと、休暇の強制買い上げと、それから・・・なんだかんだで、こうなるんだ。」

アイオロス「うーーん、アルデバランは教皇に目をつけられているからな。」

ミロ「こんなに金あっても、使ってる時間ないんじゃさぁ、意味ないじゃん。」

アイオリア「お前も貯金してるのか?」

アフロディーテ「どんなに貯金したって、ムウとは結婚できないんだからさ、旦那ぁ〜〜〜アフロにシャネル買って!」

アルデバラン「いや、孤児院に寄付したりしてますので、すみませんアフロディーテ。とにかく、南米は生活に困っている子どもが多いんですよ。」

シュラ「偉いぞ、アルデバラン、まるで聖闘士みたいだぞ!」

アルデバラン「ははは!!実は私、こう見えても本当は黄金聖闘士なんです。」

シュラとアルデバランのどうしようもないギャグを無視して、ミロはアフロディーテに質問した。


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