俺の仕事6(スニオン岬滞在記)

 

 先週はちょっと兄貴をからかい過ぎたかな?これで本当に自殺したら、双子座は晴れて俺の物になるのかな♪

今週のマリーナは、先週の続きで『アイザック幼児虐待に目覚める!』だ。教皇、これまた大絶賛!ジーサン、そんなに身を乗り出して聞いてると、椅子から転げ落ちるぞ!←落ちぬわ、あの椅子に何年座っていると思っておる

 俺はちゃんと3度の飯はちゃんと食べて栄養つけてますので、心配要りません。兄貴なら、ほっとけば何とかなります。それにいざという時は、俺が兄貴の代わり、いや、それ以上の働きをしますんで!←お前の心配などしておらぬ

 兄貴がその日あったことを、俺に話してくれれば、俺はこの仕事から解放されますかね?

8月21日(月) 晴れ 気温:暑い

 俺は、教皇に報告が終わると、久しぶりに朝の礼拝に参加した。というよりは、アイザックの話が思ったよりも長引いてしまい、礼拝ギリギリまで話をしていたら、成り行き上、教皇の真後ろで礼拝に参加する羽目になってしまった。。
 ちっ、神殿に女神のいない礼拝などやってられるか。俺は、早く帰ってもう一度寝たいのだ!教皇の報告のために、何時から起きてると思ってやがる。ジジィ、早く話を終えろ!←女神に感謝する心が大切なのである

 俺は礼拝が終わると、処女宮の裏庭で昼寝をした。ここは静かで気持ちがいい。俺のお気に入りの場所だ。
ほどなくして、俺は腹の虫の音で目がさめた。・・・・・・家に帰るか。俺が双自宮まで降りていくと、下から良い匂いがしてきた。恐らく白羊宮からだ。
俺はそのまま白羊宮まで降りていき、ムウのところで強引に飯をご馳走になった。

 やっぱりムウの作る飯はうまい。兄貴はちゃんと飯を食っただろうか?まぁ、いいや。俺が、ムウの料理を『うまい!うまい!』と食っていたら、機嫌を良くしたムウがおやつの洋ナシのタルトも食っていけと言った。←きちんと監視するように
おぉ、洋ナシのタルト!!もう、ムウ(の手料理)大好き!!

 腹いっぱいムウの飯を食った後は、もちろん昼寝だ!俺は貴鬼と一緒にグッスリ昼寝した。子どもは暖かくていい!なんで、ムウが俺の兄貴じゃないのだろう・・・・。
ん?ムウが俺の兄貴ということは、俺も麻呂眉??それは困るな・・・・・。←可愛いかも知れぬぞ

 俺と貴鬼は、部屋に漂う甘い香りで再び目を覚ました。タルトの出来上がった合図だ!俺と貴鬼は、顔を見合わせると急いでダイニングへと向かった。
ムウは俺達が起きてくるのが分かっていたかのように、紅茶とタルトを用意して待っていた。

やっぱり、んまい!!、幸せだ。

『ムウってお母さんみたいだな!』

俺がムウにそういうと、ムウは珍しく一瞬だけ表情を変えた。

『・・・・父親みたいではありませんかね?』

 父親は普通、おやつまで作らないだろう?まっ、どっちでもいいけどな。結局俺は、ダラダラと白羊宮でその日を過ごし、夕飯もご馳走になることになった。
兄貴は、貴鬼に無理やり手を引かれて白羊宮に来た。
 兄貴は俺の顔を見ると、ムウにペコペコと頭を下げていた。俺はムウが飯を食っていけと言ったから、ここにいるんだぞ!!勝手に上がりこんだわけじゃない!!昼は強引に飯を食ったが、おやつと夕飯は正式に招待されたのだ!

 夕飯は、帰ってきたアルデバランと教皇も含めて、6人で飯を食う。兄貴は,相変わらず食欲がなさそうだ。折角のうまい飯がもったいない。やはり、目の前に教皇がいると食が進まないのだろうか?

朝食:教皇の報告の為調査できず。
昼食:同上。
夕飯:ムウの作ってくれた、飯
殴った回数:0
眉間のしわ:3本
報告:ムウは料理上手のお母さん。食卓に会話があるって素晴らしい。

 

8月22日(火) 晴れ 気温:ちょっと暑い

 今日、俺は兄貴にスニオン岬の岩牢に閉じ込められたので、兄貴の観察ができませんでした。(ミロたんといっしょ2参照)

そんな訳で、ここからはスニオン岬の岩牢滞在記です。覚えている限りを報告します。

 先週の火曜日に、ミロに話した軽い冗談が、あっという間に噂となって広まった。しかし、その噂は俺がミロに話した話に尾ひれがつき、とんでもないことになっていたらしい。
噂はこうだ。

『ムウが教皇シオンの実子で、しかも実父の子供を産んだ。その子供というのが貴鬼で、しかも、貴鬼の父親が、偽教皇サガ(黒)かもしれない。』

 とんでもない噂。誰だ、こんな噂を流した奴は。俺か?いや、俺がミロに話したのは、『貴鬼は、教皇シオンがムウに産ませた子供だ。』というヤツだけだ。実際に、ムウは教皇に犯されてたんだろうし・・・・・。←それは秘密じゃ♪
 結局悪いのは、ミロだ。俺達の話を鵜呑みにしやがって、あのアホ。

 そして、俺は兄貴にボッコボコにされた挙句、スニオン岬の岩牢に再び閉じ込められた。教皇の命令だからといって、実の弟をまたここに閉じ込めるのか!!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!!兄貴もジジィもムウも一回ここに入ってみればいいんだ。←一度どころか何度も入ったわ
しかし、何でミロがいないんだ!一番の元凶はミロじゃねーか。

 兄貴はやっぱり馬鹿だ。聖闘士に同じ技は二度も通用しないことを忘れたのか?俺は、半パニックとなっているデスマスクとシュラを尻目に岩牢の奥へと進んでいった。この先には海底神殿の秘密の抜け道がある。俺は、小宇宙を込めて力いっぱい壁を拳で叩きぶち抜いた。

壁は固いコンクリートで塗り固められ、女神と妖怪の封印がしたあった。さらには兄貴の字で

『聖闘士に同じ技は二度通用しない  サガ』

と、書かれていた。ちきしょう!兄貴の奴。絶対、絶対いつかしかえししてやる!!!まじで、むかつく。おぼえてろよ!!いつか、この俺が兄貴をここに閉じ込めてやるからな!!!←頑張るがよい

 岩牢に閉じ込められてから、初めての満ち潮がきた。牢名主の俺はここでの生活の仕方を、デスマスクとシュラに事細かに教えてやった。そのお陰で、奴らは満ち潮にもなんとか耐えていた。
 俺達は運が悪い。つい3日前に十五夜を迎えたばかりであったため、その潮の高さは、以前に俺が閉じ込められた時よりも低いはずなのに、低気圧の為に潮の高さがあがっていたのだ。ちくしょう!! 

 この岩牢に初めて閉じ込められたシュラとデスマスクの顔はすでに寒さの為に青ざめ、唇を紫にして震えていた。しかし、ここで無駄な小宇宙は使えない。再び来る満潮時に備えて、体力は温存しておかなければならないのだ。
それにしても、シュラの姿は間抜けだ。昨日、兄貴に磨羯宮から白羊宮まで引きずられたシュラは、その為にパンツの腰から尻がボロボロになっており、尻を丸出しにしていた。これでは絶倫山羊の名も形無しだな。(笑)

 朝になると、すっかり潮が引き、日も差してきてた。デスマスクとシュラは幸せそうな顔をして、その日差しで暖を取っていた。奴らには、この岩牢の真の恐ろしさが分かっていなかった。案の定、デスマスクとシュラは、カンカンに照りつける太陽の日差しの為に脱水症状に陥った。

そして、昼には再び潮が満ち、俺達は波にもまれた。

『おーい。カノン、シュラ、デスマスク!生きてるかぁ。』

俺達の意識が朦朧としてきた頃、岬の上から声がした。あの声は馬鹿ミロだ!!ミロは兄貴の命令で、食料と水を届にきたらしい。

なんだ、今回は食事と水がつくのか?兄貴も甘くなったもんだ。←余の命令である。感謝するように

ふふっ、楽勝だ!俺が思わず声を上げて笑うと、俺の声は岩牢に気持ちよく響いた。しかし、デスマスクとシュラは絶望的な眼差しで俺を見ていた。こいつらは、たった2日で根を上げたのか??←お前が狂ったのだと思ったのであろう。

 深夜になると、徐々に上がったいった水位はすでに首の所まできていた。ここからが正念場だ。体の力を抜き、小宇宙を高めて波に身を任せなければならない。そうしなければ、体は波に飲まれて沈んでしまう。もちろん、兄貴への恨みを囁くのも忘れてはならない。どうやら、シュラとデスマスクはミロのほうに恨みを囁いているようだったが、あのミロたんには通じないだろうと俺は思った。

 3日目の朝がきた。

 デスマスクとシュラは何度も波に飲みこまれそうになり、ほとんど一睡もしていないようだった。そういえば、俺がここでの生活のコツを掴み始めたのは、幽閉されてから5日くらいたってからだったのを思い出した。コツを掴めば、あと5〜6日くらいは堪えられるのだ。

 この日も、朝には潮が引き、日差しがきつかった。すっかり潮が引いたといっても、腰の高さまでしか潮は引かない。俺達は座ることもできず、壁に寄りかかったまま過ごしていた。デスマスクとシュラは、壁に寄りかかりながらうたた寝をしていたが、高波にのまれて沈んでいった。

ここでは、一瞬の油断も許されないのだ。

 夕方になると、再びミロが食事を持って現れた。なんで、あいつだけ・・・・・。ミロの罰は、1ヶ月宝瓶宮の出入り禁止、シャカの元での座禅と説法、ムウの手伝いだという。俺達とはえらい違いだ・・・・。

俺達は食事の他に羊皮紙を渡された。

『反省文、書け。』

ミロが偉そうに、岬の上から言った。お前も同罪のくせに、なんで偉そうなんだ!!

『で、書くものは?』

俺は声を張り上げて聞いた。

『ない。』

は?

『羊皮紙には血文字というのが規則だそうだ。』

『悪魔と契約するんじゃねーんだぞ!ごらぁ!!』

 デスマスクは叫んだが、血文字に反省文でここから出られるのなら容易いものだ。俺達は、指先を噛み切り血文字で反省文を書いた。こんなものは、反省しているフリをして適当に書いておけばいいのだ。

4日目の朝がきた。

 俺達は憔悴しきっていた。昨晩の満潮がかなりきつかったのだ。天井と水面の隙間が僅かしかなく、しかも海は荒れて高波が頻繁に押し寄せてきたのだ。呼吸をするのもやっとだった・・・・・。

 やっと腰まで潮が引けた頃、兄貴とムウがやってきた。俺達は、鉄格子越しに兄貴とムウに泣きついた。ここから出られるのならば、兄貴に媚びへつらうことなど造作も無いことだった。

『貴方達の反省文は日本の女神の元に届けておきましたから、後は女神がお許しになられれば、ここから出られますよ。』

 ムウは俺達を冷ややかな目で見ながら、小さな声で言った。

 俺達は再び岩牢に取り残された。
『ここから、出してください、出してください、出してください・・・・・・・』
俺達は必死に、女神がいる日本の方角に向けて一晩中祈った。 ←呪いのような祈り方ではなく、もっと心から丁寧に祈るようにと、女神が仰られていたぞ。
この日の夜も、昨晩と同様に波もきつく、潮の高さも半端ではなかった。
流石の俺もこの波には勝てなく、意識を失った。今回は、女神の加護はないのか・・・・。

5日目の朝が来た。

俺が意識を取り戻すと、俺は砂浜で横たわっていた。デスマスクとシュラも隣で気絶している。岩牢から出られた!!女神の許しが得られたのだ!!

報告:女神万歳!ムウは怒らせると怖いお母さん。

 

今回の報告は以上です。岩牢から出た後は休息の為、仕事はお休みしました。
教皇、是非一度、この素晴らしい岩牢に入ってみては如何ですか??

 

お前の日常を報告して何とする?!サガの報告をせぬか、馬鹿者が。サガと食事をとる際は、なるべく話し掛け、会話を持つよう心がけるように。
それにしても、たかが5日で気を失うとは根性が足らぬ。そんなことでは、余のスニオン岬投獄回数、投獄期間のワールドレコードを塗りかえることは出来ぬぞ。日々修行に励むように。
次回また問題を起こした際には、再びスニオン岬に投獄してやろう。余の記録に挑戦するがよい。

教皇 シオン


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