俺の仕事8(兄貴の鬱日記)

 

え?夏季休暇ってなんっすか?夏期休暇旅行って?
それって俺だけ行けないってこと?ジーサン、そりゃないぜ。←勝手に休暇をとったのだから仕方あるまい

俺は報告のついでに、マリーナの話をした。今週のお題は『アイザック幼児虐待総集編!』だ。ジーサンはアイザックシリーズがお気に入りのようで、相変わらず身を乗り出して聞いていた。しかし、もうそろそろアイザックのネタがつきそうだ。

 

9月4日(月) 晴れ 暑い

俺が家に帰るとシュラが大量の書類を抱えて、兄貴を訪ねてきた。
どうやら、ジーサンに頼まれた仕事で分からないところがあるらしい。兄貴はシュラを書斎に通すと、二人で書類に目を通しながら仕事を片付けていった。←あの程度が解らぬとは、問題であるな

シュラと書斎で二人きりとは兄貴のやつ、大胆だな。まぁ、シュラ相手なら自分の尻くらい守れるか・・・・。
俺が書斎を覗くと、シュラは兄貴に指示を仰ぎながら、まじめに仕事に取り組んでいた。
あいつ、下半身だけで生きているんじゃないんだな。知らなかった。

夕方、俺は兄貴を残して、仕事を終えたシュラと飲みにでかけた。

眉間のシワ:0本
殴った回数:0回
報告:シュラは仕事のときはまじめ

 

9月5日(火) 晴れ なかなか暑い

俺は朝方までシュラと酒を飲み、そのまま昼までぐっすり寝てしまった。俺が起きると兄貴は出かけてしまった後で、俺はそのまま寝なおすことにした。←きちんと仕事をせぬか
夕方再び目を覚ました俺は、取り合えず風呂に入り、帰ってきた兄貴と夕飯を食った。
兄貴の様子は穏やかだった。

眉間のシワ:0本
殴った回数:0回
報告:兄貴が鬱じゃないと平和でいい

 

9月6日(水) 晴れ 暑い

俺が目を覚ますと、兄貴は病院へ行く準備をしていた。教皇に、兄貴のカウンセリングに付き合うように言われている俺は、渋々と兄貴と共に病院へ行くことにした。まっ、あの病院はなかなか美人の看護婦が多いから嫌いじゃないけどな。

俺はカウンセリングルームの待合室で兄貴が出てくるのを待っている間、そこら辺にあった本を手に取ったみた。それはストレスや精神的な問題に関する本だった。
んーーー、俺には無縁の本だな・・・。俺がその本を適当にめくっていると、兄貴の為に勉強していると思った看護婦が、俺に新しいその本をくれた。
んなもん、貰ってもなぁ。まっ、くれるって言うんだから取り合えず貰っておくとしよう。←熟読するように

兄貴のカウンセリングはいつもよりも早い時間で終わった。

医者が言うには、兄貴は大分落ち着いてきてその症状も緩和されているようだ。

ふむふむ、じゃ、そろそろ嫌がらせをして遊んでやるか。←病気を進行させてどうする

眉間のシワ:0本
殴った回数:0回
報告:兄貴の病状は良好。そろそろ嫌がらせ時!

 

9月7日(木) 晴れ  ほどほどに暑い

せっかく病院へ行ったのに兄貴は今日は教皇の執務の当番だった。
最近は教皇の嫌がらせにもなれてきたのか、以前よりは暗い顔をしなくなった。なんでぇ、つまらねーな。

俺は、迎えに来たムウと兄貴が出勤するのを確認してから、遊びに出かけた。何をしたかは秘密。

夕方定刻どおりに兄貴は帰って来た。眉間には数え切れないほどのシワをよせ、顔面蒼白の兄貴はそのままトイレに駆け込むと、げーげーとリバースし始めた。
きたねーな。

兄貴はうつむいた顔を上げぬまま、風呂に駆け込んでしまった。
兄貴の様子がおかしい・・・・。ムウと一緒に妖怪に食われたか?

俺は風呂をそっと開けて覗くと、兄貴はガンガンにシャワーを浴びながら嗚咽の声を漏らし咽び泣いていた。←泣くほどのことではあるまいに

げっ、やっぱり絶対に妖怪に食われたんだ・・・。

兄貴はそのまま風呂から上がると即効で寝室に閉じこもってしまった。

眉間のシワ:いっぱい
殴った回数:0回
報告:兄貴はとうとう妖怪に掘られた。しかもムウと一緒。

 

9月8日(金) 晴れ  まったりと暑い

深夜、俺は部屋に何者かが侵入した気配を感じ目を覚ました。俺が、そのまま上体を起こして部屋の明かりをつけると、枕を抱えた兄貴がたっていた。

まさか、兄貴はジーサンに掘られた腹いせに俺を!?

兄貴は枕を抱えたまま、ボロボロと涙を流し俺のベッドの上にのった。

『怖い・・・・怖い夢を見たの、カノン。それなのに、僕が目を覚ましたら一人ぼっちだったの。』

僕?・・・の?
なんだ兄貴、ぶっ壊れちまったのか?兄貴、その図体とその声でキショイことはやめろ!!←確かに
兄貴はグズグズと泣きながら俺に言った。

『カノン、何で一緒に寝てくれないの?いつも一緒に寝てるのに、なんで・・・・・・。』

いつも寝てる?それはどこのカノンだ??俺じゃね−ぞ。
なんなんだ兄貴、キショイ冗談はやめろ!!キショイ!キショイ!キショイ!キショイ!

それでも兄貴は俺のTシャツの裾を握り締めて、グズグズとガキみたいに泣いていた。ガキ・・・・?これって、もしかして、後退化現象ってやつ?確か、この前読んだ本に書いてあったような。なんだったか・・・えーと、子供の頃に戻っちまうってやつだっけ?

くくくっ、兄貴の奴楽しいぞ。

俺は兄貴にでこピンをしてみた。兄貴は目を見開いて驚くと、痛い痛いと泣き出した。

兄貴、楽しい〜〜♪って場合じゃねーか。

えーっと、こういう場合はいつも頭を引っぱたけば戻ったよな。
俺はそのまま力いっぱい小宇宙を込めて引っぱたいた。兄貴はそのまま白目をむいてベッドに倒れこんだ。←病院へ連れてゆかぬか
俺は、兄貴の部屋のベッドで寝ることにした。

俺が目を覚ますと兄貴は既に風呂に入っていた。
兄貴のやつ、まだ子供だったらどうしようか・・・・。俺が風呂の様子を見に行くと、兄貴はバスタブにつかりボーとしていた。兄貴の顔の前で手を振ってみたが兄貴は反応しなかった。

だめだこりゃ。

兄貴はそのまま風呂に4時間も風呂に入ったあと、そのまま部屋で寝てしまった。

確か昨日の兄貴の相方はムウだったよな。俺は兄貴になにがあったのかを確かめに白羊宮へと向かった。今夜もまた子供な兄貴に部屋に侵入されたらたまったもんじゃない。

『昨日ですか?サガも馬鹿正直で、困ったものですね。私がシオンさまに犯されている間、シオンさまの命令でずっと仕事をしていたんですから・・・。』

ムウはサラリと言った。
どうやら執務室でムウとジーサンがヤり始めたので、席を外そうとした兄貴は、ジーサンに教皇命令と称され同じ部屋でずっと仕事をさせられていたらしい。
俺はその状況を想像し、気持ち悪くなった。そりゃ兄貴でも具合が悪くなるってーの!←根性が足りぬ
あのエロジジィ、一体何を考えていやがるんだ!!
まっ、兄貴がジーサンに掘られていないという事は判明したわけだが、兄貴の奴、そんなもんバックれちゃえばいいのにな。アホだぜ。←その通り

眉間のシワ:いっぱい
殴った回数:それどころじゃないらしい。
報告:おい、こらジジィ!てめぇが兄貴の鬱を進行させてどうする、ごらぁ。また兄貴に刺されてもしらねーぞ!←聖闘士に同じ技は二度通用せぬ

 

9月9日(土) 曇り 蒸し暑い

昨晩は兄貴は寝惚けて俺の部屋には侵入してこなかった。
兄貴はちゃんと定刻通りに起床すると、ダイニングで飯を食い始めた。しかし、ボーとしながら飯を食っている兄貴は幽霊みたいだ。
今回ばかりは、流石に同情だな。こういう場合は何も聞かないで放っておいたほうがいいだろう・・・・。どうせ聞いても俺になんて話さないだろうしな。
あーーー、でも、やっぱりばっくれなかった兄貴にも問題があるよな・・・・。

兄貴は飯を食い終わると、風呂に入り、再び寝室に閉じこもった。

昼頃、突然アイオロスが血相を変えて家に乗り込んできた。
なんだ?
アイオロスはジジィからあの日の話しを聞いたらしく、兄貴が心配で様子を見に来たようだ。ジジィはケラケラと笑いながら、その話しをアイオロスにしたらしい。ジジィ、どういう神経してやがる。やっぱりいつか、誰かに刺されるぞ、じじぃ!!←アイオロスが聞きたいとゆうから、話してやったまでだ。

兄貴の部屋に入ったアイオロスはしばらくでてこなかった。俺がそっとドアを開けて覗いて見ると、兄貴はベッドの上で上体を起こし、ベッドに腰をかけたアイオロスと話しをしていた。

『教皇の言葉をいちいち間に受けるな。あの方が人をからかって遊ぶのが好きなのは、今に始まったことじゃないだろう?。お前はまじめ過ぎるから教皇の遊びの対象になるんだ。ムウだってお前がいたことなど気にしてないさ。いつも誰かにみられてるんだし、誰かに助けてもらおうとも思ってない。だから、気にするな・・・・。』←その通り。ムウはきちんと躾てあるから問題ない。

アイオロスが兄貴の肩を抱いて言うと、兄貴はアイオロスの肩に顔を埋めて泣いていた。

兄貴の奴、相変わらず泣き虫だな・・・・。
それにしてもアイオロスは兄貴のことを随分と理解しているようで、ご立派だな。

その後アイオロスは、兄貴の部屋からでると飯を作って兄貴の部屋に持っていき、兄貴とずーっと話しをしていた。流石、兄貴の恋人だな、面倒見がいいぜ。ご立派!ご立派!

っていうか、どうせ俺は兄貴に信用されてないから、そんなことをしても無駄だもんな。←ほうほう、妬いておるのか?

眉間のシワ:6本
殴った回数:0
報告:兄貴は未だに泣き虫。アイオロスと兄貴は異常なほど仲良しで気持ち悪い。

 

9月10日(日) 晴れ 暑い

昨日アイオロスを相手に愚痴を吐き出したであろう兄貴は、気分が晴れたようで大分元気になっていた。
すげーぞ、アイオロス。いいカウンセラーになれるんじゃねーのか?聖闘士をやめてカウンセラーになったらどうだ!←兄貴肌であるからのぅ

『心配をかけてすまなかったな。』

兄貴は朝食を食べながら俺に言った。
はっ?俺は兄貴の心配なんてこれっぽっちもしてねーぞ。どでかい勘違いだ。←ほうほう、報告書からは心配していたように見受けられるが。

兄貴は飯を食べ終わると、テラスの長椅子で本を読み始めた。朝から風呂に入らないということは、悩みのない証拠だ。
兄貴はカウンセリングを受けるよりも、ジジィの悪口大会に参加したほうがいいんじゃねーか。そんな大会があればの話しだが・・・。今度ムウにでも相談して開いてみようかな。きっと全員参加するに違いない。

眉間のシワ:2本
殴った回数:0回
報告:第1回ジジィの悪口大会開催決定!!←大会レポートを提出するように。

 

明日は教皇に報告する日だ。
っていうか、ジジィ、いい加減にしろ。てめぇのせいで今週は最悪だ。

 

いつまでも帰らぬから、てっきり見ているのが好きなのかと思ってのう。サービスしてやったのじゃ。
相変わらず世渡りが下手な男よのぅ。13年間で何の進歩もないとは、問題であるな。
ムウが「随分サガの事を心配していた様子だった。」と、そなたのことを申しておったぞ。やはり兄のことが気になるのであろう。よい心がけである。

教皇 シオン


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