白羊家の食卓(実りの秋 その1)

 

昼頃目を覚ましたミロはブランチを白羊宮でたかろうと、のそのそ自宮を出た。

白羊宮の私室はいつものように甘い匂いに包まれている。おそらくムウがおやつを作っているのであろう。ミロは豪華なデザートつきのブランチを想像し、小さくガッツポーズをとると、台所に押しかけた。

ミロ「メシ!メシくれ!メシ!」

しかし、台所にいたのは宮の主ではなく、踏み台にのり、コンロにかかった鍋をかき回す貴鬼であった。

貴鬼「ムウさまならいないよ。」

ミロ「何だと?!どこにいった?」

貴鬼「山だよ、山。食べ物をとりに行ったっきり帰ってこないんだ。」

ミロは台所のテーブルの上に山積みにされた山葡萄や栗を見て首をひねる。

ミロ「こんなにあるのにまだ足りないのか?」

貴鬼「んーーーー、ムウさまだからね。」

ミロ「ま、お前でもいいや。メシ!メシをくれ!」

貴鬼「ご飯なら、ムウ様と一緒に山で食べてきちゃったよ。」

ミロ「じゃあ、お前が作っているのは何だ?!」

貴鬼「ジャムだよ。昨日とってきた山葡萄をジャムにしているんだ。」

ミロは鍋を覗き込み、ぐつぐつと煮立つ赤黒い液体に眉をひそめた。この状態ではまだ食べられそうにない。

ミロ「う゛ーーーーーーーーーーーーーー。メシ!」

貴鬼「おじさん、子供のオイラにご飯ねだるなんて、みっともないよ。」

しかし、返事をしたのはミロの腹の虫だった。

貴鬼「・・・・。そんなにおなかがすいてるなら、ムウ様とカノンが山でキノコ採ってるからいってみれば?。」

ミロ「ムウとカノンがキノコ?!どういうことだ?!」

ミロに胸座をつかまれると、貴鬼の小さい体は宙に浮き、脚をばたつかせる。

貴鬼「だから、キノコ狩りに行ってるんだってば!!!はなせよ!!」

ミロ「どこだ?!どこの山だ!吐け!吐かないとテメェの頭、この鍋につっこむぞ!!!」

眉を吊り上げ、ミロがものすごい形相で脅すと、貴鬼は窓の方を指差した。

貴鬼「あっちっだよ、あっち!はなしてよ!」

ミロ「そうか、あっちか!!うはははははははははは!!!」

貴鬼を投げ捨てると、ミロは世にも不気味な笑い声を上げながら、光速で白羊宮を走り去っていった。

 

聖域の外れ、すっかり秋の様相になった山の中で、ムウは鎌を振り回してキノコ採集に励んでいた。自称キノコ博士のカノンも一緒である。
この日、白羊宮で朝食をたかっていたカノンは、羊の親子が山にキノコや木の実をとりに出かけるというので、ついてきたのである。カノンの目的は、ムウが山に出かけるために作っていたお弁当であったが、タダで弁当が食べられるはずもなく、キノコ狩りを手伝わされる羽目になったのだ。

既に背負ってきた篭にはたくさんのマイタケ、エノキダケ、シイタケ、シメジ等でいっぱいになっている。それでもムウとカノンは落ち葉の舞う山の中を、キノコを探して歩き回っていた。

一方その頃、ムウとカノンを追いかけてきたミロは空腹を忘れて、二人の小宇宙を探していた。ミロの予想では、二人は山で互いのキノコ狩りをしているはずである。

小宇宙を研ぎ澄まし森の中を見渡すと、不審な煙を発見して、ミロは猫脚で近づいた。

ミロ「こんな所で何やってんだよ、シュラ!」

突然背後から声をかけられ、シュラは漆黒の髪を揺らして驚いた。煙はシュラの吸っていたタバコであった。

シュラ「何だ小僧、お前こそ何やってる。」

ミロ「キノコ狩りだよ、キノコ♪」

シュラ「ちっ、もう嗅ぎ付けたのか。」

昼食を食べに出かけようとしたシュラは、大量の葡萄の入った篭を背負って白羊宮に戻ってくる貴鬼に出くわし、キノコ狩りの情報を入手したのである。

そして、シュラもミロと同じく、ムウとカノンの大人のキノコ狩りに股間を膨らまして山に入ってきたのであった。

ミロ「で、いたか?」

シュラは無言でミロに森の奥を指差した。その先からは水の流れる音が聞こえる。木々の間から、時折見える薄紫の頭と、天辺が青い金髪の頭に、ミロとシュラは顔を見合わせて、ニヤリと笑った。

ミロ「あいつら何やってんだ?。川にキノコなんて生えるのか?!」

シュラ「生えねぇだろう、キノコを洗ってるんじゃねぇのか?。」

ミロ「そうか・・・キノコを洗っているのか。ふふふふ・・・。」

シュラとミロの脳内では、全裸のムウとカノンが股間から生えている互いのキノコを川で洗いあいあって、うっとりしていた。

ミロ「ここからじゃ、よく見えないな。エクスカリバーで木切ってくれよ。」

シュラ「んなことしたら、見つかるだろう、ボケ。」

ミロ「んじゃ、もうちょっと近寄らねぇか?」

シュラ「おい、待て小僧。見つかるぞ。」

ミロ「大丈夫、大丈夫。キノコ食べるのに夢中で気付かないって!。」

ミロはシュラからもらったタバコを捨てると、再び猫脚で森の中を進む。ミロが行ってしまった以上、シュラはここに留まっていても意味がないので、そのあとについていく。

そして、川原がよく見渡せるあたりまで来ると、ミロとシュラは茂みの中に身を潜めた。

ミロ「ち、なんだ、本当にキノコ洗ってるだけじゃん。」

シュラ「・・・・しかし、よくもまぁ、あんなにキノコをとってきたもんだ。」

川原には洗い終わったキノコが広げられており、その量は二人で採ったものとは思えないほどである。

ムウは泥だらけのキノコを水につけて丁寧に洗うと、うっとりと眺めながら、キノコを何度も指で撫でまわした。

ミロ「・・・なんてやらしい指の使い方だ。」

シュラ「うっとりしてるぞ、うっとり。」

ミロ「あ、ほおずりしたぞ。キノコ・・・なんて羨ましい。」

シュラ「・・・。あれは尻用か?」

ミロ「尻用?」

シュラ「普通キノコに頬擦りするか?。あれは尻用だ、尻用。尻に入れるんだろう。」

ミロ「キノコじゃちょっと柔らかくないか?。あんなフニャキノコじゃなくって、おれの固いギンギンキノコを入れてやるのになぁ。」

シュラとミロの脳内では、全裸のムウがベッドの上で白い尻に極太のキノコを挿し、淫靡な声をあげて腰をくねらせていたが、前回それで大失敗したことを思い出し、頭を振った。

しかし、それでも二人は期待に股間をふくらませ、カノンとムウの行動を見張る。何故なら、いつも嫌々仕方なくムウの手伝いをしているカノンが、やけに上機嫌だからだ。

カノンは洗い終わった極太キノコをムウにわたすと、ムウはそのキノコの笠を、赤い舌をチロリとだして、一舐めした。

ミロ「なななな!舐めたぞ!カノンのキノコを舐めたぞ!」

シュラ「なんてヤラシイ舌の使い方だ・・・。」

ミロ「しかも、カノンの奴、ニヤニヤ笑ってやがる!くっそぉぉぉ、俺も混ぜろ!」

シュラ「やっぱりあれは尻用だ!!」

またしてもすっかり発情してしまったミロとシュラ脳内では、ムウが自らの唾液で柔らかくしたキノコを、カノンの尻に突っ込んで、同性愛の手ほどきをしていた。

ミロ「あ!ムウのやつ、カノンのキノコを捨てたぞ!」

シュラ「・・・・、やはりあの太さじゃムウの尻は満たされないのか?」

ミロ「いや、カノンの尻には太いんだろう!」

実際は、カノンが『これは美味いぞ!』と渡したキノコを、ムウが信用するはずもなく、毒味していたのである。そして、案の定それは毒キノコであり、ムウはキノコを川に投げ捨てたのであった。

しかし、それでカノンが懲りるはずもなく、またしても毒キノコを洗ってムウに渡す。

ミロ「ムウのやつまた舐めたぞ。やっぱりあのキノコじゃ太かったんだ!今度はカノン専用だ、細いぞ!」

シュラ「いいぞ、もっと舐めろ・・・・ハァハァ。」

ミロ「カノンのキノコのカリをかじったぞ!!」

シュラ「まてよ、あれは尻用ではなく、フェラの練習用か?!」

すでにズボンの前が膨らんでいる二人の脳内では、カノンの股に顔を埋めたムウが、カノンのいきり勃った竿を舌で舐めまわし、唾液と精液に濡れた亀頭部を甘噛みしていた。

ミロ「そうか、ムウは教皇じこみだからな。キノコで練習しなくったって、いつでも俺のモノを貸してやるのに・・・ハァハァ。」

ムウは噛んだキノコをペッと吐き出すと、そのキノコもまた川に捨てた。もちろん毒キノコであることを見破ったのである。
ムウに睨まれ、大量の泥にまみれたキノコを渡されたカノンは、冷たくなりはじめた川の水で渋々キノコを洗い始めたが、既に発情したミロとシュラにはカノンが竿をしごく練習をしているようにしか見えない。

シュラ「見ろ、小僧。今度はカノンがキノコをしゃぶり始めたぞ。」

ミロ「うおぉぉっ、俺のキノコのほうが絶対美味いって!!」

洗い終わったキノコをカノンがぱくりと咥えると、ムウはカノンの口から出ているキノコの柄を『生で食べるんじゃありません!』とひっぱったが、カノンは生のキノコをむしゃむしゃ噛んで飲み込んだ。

ミロ「な!な!な!!噛み千切ったぞ!。」

シュラ「いかんなぁ、噛み切ったら使い物にならないだろう。」

ミロ「きちんと教えろ、ムウ!俺のが噛み切られたらどうするんだ!」

シュラ「そしたら、俺とカミュで可愛がってやるから安心しろ。」

ミロ「誰がお前なんかに、尻かすもんか!。」

シュラ「おい、見ろ小僧!カノンがGパン脱いだぞ!」

ミロ「何だと?!ついに本番か?!」

シュラとミロが様子をうかがっていることに気付いていないのか、カノンは靴とGパンを脱ぐと、Tシャツとトランクスで川の中へ入っていった。

ミロ「ん?なんだ?水中プレイか?」

シュラ「いや、尻と股間を洗うんだろう。」

ミロ「だったら何でパンツはいてるんだよ。」

シュラ「・・・・、パンツごと洗ってるのか?。」

ミロ「お、ムウが火を焚き始めたぞ。やっぱりアオカンだ!アオカン!」

ムウは超能力で川原に枯れ枝を集めると、火をつけて焚き火をはじめる。もちろん、秋の水では冷たかろうとムウが気を利かせたわけではなく、ムウは超能力でアルミホイルとバターを取り出すと、洗ったばかりのキノコを包んで火の中へといれた。

しかし、すっかり妄想大魔王となったミロとシュラの脳内では、川で体を洗ったカノンとムウが野外性教育の授業の実習をしていた。年下のムウ先生が、不良生徒のカノンに愛のレッスンである。


Next