★大人の時間 その1
ある日の午後、アイオリアは人馬宮の屋根上で、兄アイオロスと全裸日焼けをしていた。
アイオロス「なぁ、アイオリア。お前、獅子座だったよなぁ?」
アイオリア「ん、そうだけど。」
アイオロス「・・・・・・・・・・、あのさ。」
アイオリア「なに?」
アイオロス「いや、だからさ・・・・。」
アイオリア「ん?。どうしたんだよ、口篭もるなんて珍しい。」
アイオロス「あのさ・・・・、獅子座という事は、そろそろ誕生日なんじゃないかな?っと思ったんだ。
兄ちゃんな、13年間死んでいたせいで、お前の誕生日を度忘れたみたいで、思い出せないんだが・・・。いつだっけ?」アイオリア「・・・・・・・・・・、さぁ?」
アイオロス「さぁ??って、自分の誕生日も知らないのか?」
アイオリア「いや。13年間、俺には祝い事なんてなかったから。それに目立つ事や派手な事をすると、周りがとやかくと五月蝿かったからね。」
アイオロス「そうか・・・・。ごめんな、アイオリア。」
アイオリア「別に気にしてないよ。」
アイオロス「で、本当に自分の誕生日を覚えてないのか?」
アイオリア「うーーーん、8月だったかな。8月の中ごろ?。」
アイオロス「そうだったかも。」
アイオリア「別に俺の誕生日なんていいよ。どうせ誰も、俺のことなんて気にしてないさ。」
アイオロス「そんなことはない!絶対にない!!。・・・・、ちょっと待ってろ、アイオリア。」
アイオロスはむくりと起きあがると、素早くズボンを履いて屋根から下りていった。
天蠍宮
アイオロス「おい、ミロ!」
ミロ「ん、なに?」
アイオロス「お前はアイオリアと仲がいいだろう?」
ミロ「ああ、仲いいよ。」
アイオロス「だったら、あいつの誕生日がいつだか知ってるよな?」
ミロ「えっ!?、アイオリアの誕生日?。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さぁ?、わかんねぇ。」
処女宮
アイオロス「おう、おシャカさま!」
シャカ「なんだね?」
アイオロス「お前なら、アイオリアの誕生日がいつだか知ってるだろう?」
シャカ「アイオリアの誕生日かね?。そのようなこと本人に直接聞きたまえ。」
アイオロス「その本人が覚えてないんだ。」
シャカ「では、兄である君が教えてやるのだな。」
アイオロス「だからな、私も覚えてないのだ。」
シャカ「ふっ、相変わらず馬鹿な兄弟だ。」
アイオロス「むかっ!。いいから教えてくれ。」
シャカ「では、地に額を擦りつけ、私を拝め!!」
アイオロス「はいはい、拝むから教えてくれよ。」
膝まづくとアイオロスは、南無南無と拝み始めた。
シャカ「よかろう!」
アイオロス「で、いつなんだ?」
シャカ「・・・・・・・・・・・・・・・。神が、9月19日だと言っている。」
アイオロス「おい、シャカ!。アイオリアは獅子座だ、この馬鹿!、もういい!!」
シャカ「ふっ。」
磨羯宮
シュラ「どうしたんですか、アイオロス?」
アイオロス「おう、シュラ。お前ならアイオリアの誕生日を知っているだろう?」
シュラ「アイオリアの誕生日・・・・ですか?」
アイオロス「その顔は知らないって顔だな。」
シュラ「彼女や彼氏の誕生日は忘れたこと無いんですけどね・・・・。すみません。」
アイオロス「そうか、こまったなぁ・・・・・。」
シュラ「そんなもの、本人に直接聞けばいいじゃないですか?」
アイオロス「本人が知らないから、こうやって聞いてまわってるんだ。あいつ、13年間誕生日を祝ったことがないらしいんだよ。」
シュラ「ああ、アイオリアは虐げられてましたからね。」
アイオロス「まぁ、そうなんだけどさ・・・・。だからって、何も自分の誕生日を忘れることないだろうになぁ。」
シュラ「まぁ、アイオロスの弟ですから仕方ないですよ。」
アイオロス「ん?。どういう意味だ、シュラ!?」
シュラ「いえ、深い意味は無いです。あっ!デスマスクなら知ってるかもしれないですね。」
アイオロス「デスマスクが!?」
シュラ「ええ、あいつは祝い事が大好き、宴会部長ですから。アイオリアの誕生日くらい知っているんじゃないですか?」
アイオロス「そうか・・・・・。」
巨蟹宮
デスマスク「アイオリアの誕生日?。しらねぇーな。あいつは俺みたいな奴、嫌いじゃねぇか。だから、殆ど付き合いねぇんだわ。」
アイオロス「・・・・困ったな。」
デスマスク「だったらよぉ、困った時の神頼みってのはどうよ?」
アイオロス「ありゃ、だめだ。シャカの神託が頼りになるわけないだろう。」
デスマスク「そうか。だったらよぉ、困った時のサガ頼みだ!。あいつはくっだらねぇことでも、いちいち真剣になるからな。それに、アイオリアのことはあいつの責任だ。
あいつが教皇ぶっ殺して、お前に責任全部押し付けてぶっ殺して、アイオリアに逆賊の弟の烙印をおしたんだからな!!」アイオロス「・・・まぁ、そうなんだが。」
デスマスク「お前、こんな話をしたらサガがまた鬱になるって、心配してんだろう?」
アイオロス「ああ。」
デスマスク「んなもん、勝手に鬱にさせときゃぁいいんだよ。あいつが全部いけねぇんだからよっ。」
散々甘い汁を吸わせて貰ったことを忘れて、デスマスクは爽やかに笑った。
デスマスク「それによぉ、あいつなら何でも覚えてっから、アイオリアの誕生日くらい知ってんだろう。それに13年間、一応教皇をやっていたわけだから、聖域のこと全部・・・・・は無理でも、俺たちよりは知ってるはずだぜ。」
アイオロス「しかしだな。」
デスマスク「うだうだしってと、てめぇまで黒くなるぞ!。サガが鬱になったら、愚弟でも与えておきゃーなおるって。アレはサガ専用サンドバックみたいなもんだからな。ぐははははっ!」