ミロたんと一緒(冥界編 男として認めん!!)

 

思慮深いことは結構だ・・・
しかし目の前で
同胞が殺されているのを見て
何の行動も起こせないような奴は・・・

もはや
男として認めん!!

 

沙織が自らの喉をサガの短剣で衝き自害をし、ハーデスの軍門に下ったと思われたサガ・シュラ・カミュの三人とともにハーデス城へと向かった後の女神神殿で、最初に口を開いたのはムウだった。

ムウ「だから私が言ったのです。シャカがなぜ死んだのかを考えろと。」

ムウはこうなったのも、まるでアイオリアがあの時自分の話を聞かなかったせいだとでも言わんばかりの勢いで、横目でアイオリアを睨みつた。

ミロ「ムウ、今はそれどころじゃないだろう。」

ムウ「それどころもなにも、こうなったのも、そもそもはミロとアイオリアが短絡的に物を考えるからいけないのです。」

アイオリア「なんだと?、お前だって分かっていたなら、サガ達がわざと冥闘士に身をやつし闘っていると最初に言えばよかっただろう。」

ムウ「私は、最初からそう言ってましたよ。」

アイオリア「いいや、言ってない。ムウは考えろといっただけだろう。」

ムウ「ええそうです。しかし、普通はそう言われたら、だいたいは分かるはずですよ。
しかも、私が説明しようとしても、貴方はろくに人の話も聞かないでライトニングボルトを放とうとしたではありませんか。ふっ、でも私が片手止めましたけどけどね。」

むかっ!

アイオリア「それは、お前がぼそぼそと小さい声で、緊迫感のない喋り方をするからいけないんだろう。」

むかっ!

ムウ「失礼な。うまれつき、こういう声で喋り方なんです。あなたこそ、もっと脳みそ使いなさい。頭蓋骨に入っている味噌はバランスを取るためのものじゃないんですよ。」

むかっ!

アイオリア「なんだと!?だいたい物事を考えすぎるから、喋るのが遅いんだろう。しかも女みたいな喋り方して。」

むかむかっ!

ムウ「ふふん、貴方は脳みそから口が光速で直結してますからね。物を考えることを知らないよりはましですよ。おっと、その前に、口よりも先に手が出るんでしたっけね。」

ミロ「お前達、今は喧嘩をしている場合じゃないだろう。」

一触即発状態のアイオリアとムウの間に、ミロは慌てて割ってはいる。

ムウ「うるさい、貴方は黙ってなさい!!」

アイオリア「うるさい、ミロは関係ないだろう!」

二人同時に怒鳴られ、ミロはたじろいだ。思わず、後ろにいたカノンに助けを求める。

カノン「はっ、くだらんな。俺は関係ないから、先に行くぜ。」

カノンは馬鹿にしたように横目でチラリとムウとアイオリアを見ると、ミロに片手を上げて女神神殿の階段を下りていった。

ムウ「あなたはどうせ、私のことを男として認めてないんでしょう。そんな女みたいな人間の意見など、はなから聞くつもりもないんじゃないんですか?」

アイオリア「なんだと!?お前、俺が言ったことを根に持っているのか。そんなんだから、女みたいだと言っているんだ。くだらないことを、いつまでもグチグチ言って!」

むかっ!

ムウ「くだらないですと!?何がくだらないんですか。」

紫龍「あの・・・・・、サガ達を追って、ハーデス城に行かなくていいのか!?」

ミロ「あっ!そうだ・・・・、早く行かなくては。おい、ムウ、アイオリア!!今は喧嘩をしている場合じゃないだろう。サガ達の後を追うぞ!!」

ムウ「そんなこと言われなくても分かっています!」

ミロ「分かってないから言ってるんだろうが!!」

アイオリア「お前達、つべこべ言ってないでサガ達のあとを追うぞ。」

お前に言われたくないよ、とミロはのど元まで出かかった言葉を堪えて頷いた。

ミロ「紫龍。分かっていると思うが、この先は俺たち黄金聖闘士の仕事だ。青銅のお前はここで待っていろ。」

アイオリア「行くぞっ、ハーデス城にっ!!」

ミロ「おうっ。」

アイオリアは小宇宙を高め、地を蹴ろうとした。瞬間、ムウが口を開く。

ムウ「アイオリア、どこへ行こうというのです?」

アイオリア「はぁ?ハーデス城だと言っただろう。ちゃんと人の話を聞けよ、ムウ。」

ムウ「はぁん?ハーデス城は南ではありませんよ。」

アイオリア「何!?」

ムウ「ったく、これだから脳味噌は飾りだというんです。ハーデス城は、東です!」

ムウは勝ち誇ったように言うと、小宇宙を高め飛び立とうとする。その肩をアイオリアが強かに掴んだ。

アイオリア「ちょっと待て。お前のほうこそ、その目はビー玉か!?ハインシュタイン城、俗称ハーデス城は南だろう。」

ムウ「ちょっと触らないでください。汚らわしい!!

アイオリア「け、汚らわしいぃ!?」

ムう「ふん。貴方の脳は本当に筋肉なんですね。ハーデス城は東です。」

アイオリア「違う、絶対南だ。昔見た文献に載っていた地図にも、そう書いてある。」

ムウ「おや、貴方に地図が読めるなんて以外ですね。大方、北と南を逆さにして読んでたんでしょう。東といったら、東です!!」

アイオリア「なんだと!?13年間も山奥で暮らしていたお前に、そんなことが分かるわけ無いだろう。」

ムウとアイオリアは額をくっつけんばかりに互いの顔を寄せ、睨みあった。

ミロ「お前達いいかげんにしろよ!!東でも南でもないだろう。もっと冷静になって考えて、サガ達の小宇宙を追えばいいだろう。何のために、サガ達がこんなに分かるように小宇宙を残留させてると思ってるんだっ!!」

ミロは二人の間に割ってはいると、右手にムウ、左手にアイオリアの肩を掴み高く飛び出した。

サガ達の小宇宙を追って、ミロが2人を連れて向った方角は、南でもなく東でもない北西であった。

 


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