ミロたんいっしょ(ミロたんとしっぽ その1)

 

ミロ「ない!!!!」

汚い天蠍宮に安置してある蠍座の聖衣を見て、ミロは硬直した。

ミロ「ない・・・・・・・・・・・・、オレの尻尾・・・・・。」

箱の中には、蠍の形を形成した黄金聖衣が収められているはずであった。が、蠍の前後のパーツがない。
蠍の前後のパーツといえば、丁度ヘッドの部分に当たる。

ミロは天蠍宮を飛び出して獅子宮へと向かった。

 

獅子宮

ミロ「アイオリアッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

アイオリア「どうした、ミロ?」

ミロ「俺の聖衣知らないか?」

アイオリア「はぁ?お前、いくらだらしないからと言って、あんな大きな物を宮内でなくしたのか?」

ミロ「ちっげーーっよ!!ヘッドパーツだよ、ヘッド!」

アイオリア「ヘッド?」

ミロ「そう、蠍の尻尾!俺さ、この前いつ聖衣着たっけ?」

アイオリア「いつって・・・・・・・、三週間前に俺と喧嘩したときじゃなかったか?」

ミロ「え?三週間前?」

アイオリア「そう。三週間前に俺と酒を飲んだ時に、お前暴れただろう。そのときに、聖衣着たと思ったら、いきなり逆上してヘッドパーツを床に投げ捨てたじゃないか。」

ミロ「そうだっけ?」

ミロは相変わらず、切れるとヘッドパーツを床に投げ捨てる癖が抜けていなかった。

ミロ「で、ヘッドパーツは?」

アイオリア「知らないよ。少なくとも獅子宮にはないぞ。」

ミロ「てめぇ、嘘付いてるんじゃねぇだろうな、アイオリア!」

アイオリア「嘘なんてつくわけないだろう!」

ミロ「じゃ、俺の尻尾どこにあるんだよ!」

アイオリア「知るかっ!!」

ミロはその後心当たりのある場所をくまなく探し回った。

 

磨羯宮

ミロ「俺のヘッドパーツしらない?」

シュラ「なくしたのか?」

ミロ「違う、見当たらないんだ。」

シュラ「はぁ?そういうのを『なくした』っていうんだぞ、小僧。」

ミロ「で、知らない?」

シュラ「先週、俺と聖衣着て組み手をした時じゃないのか?。お前、俺がちょっとからかったら、ヘッドパーツ投げつけて逆切れしただろう。」

ミロ「で?」

シュラ「さぁ?うちにはないぞ。」

 

巨蟹宮

ミロ「おいデスマスク、俺のヘッドパーツしらない?」

デスマスク「おっ?ヘッドなら、二週間前に俺に馬鹿にされたときに、逆上して床に投げつけただろう。」

ミロ「で?」

デスマスク「さぁ?うちにはねぇな。」

 

双児宮

ミロ「おいごらぁ、愚弟!俺のヘッドパーツ返せ!」

カノン「はぁぁっ?んなもん、知るか、ごらぁ!」

ミロ「嘘つくな。お前しか盗む奴いねんだよ!」

カノン「な、なんだと!?お前のヘボ聖衣なんて誰が盗むか、ごらぁっ!」

 

一旦天蠍宮に戻ったミロは、もう一度聖衣ボックスの中を確認してみたが、やはり蠍の尻尾と頭の部分がない。

ミロ「・・・・・まさか、このきったない部屋の中に埋もれてるのかも・・・。」

マットレスが剥き出しになったベッドの上に立つと、瞳を閉じで精神統一する。

ミロ「ここに着て、わが身を纏え聖衣よっ!」

かくして蠍座の聖衣は軽やかな金属音をたなびかせながら、ミロの身を覆った。

ミロ「よしっ!!最初からこうすれば良かったんじゃん!俺って天才♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん???あれ?ない!?ない!?やっぱりない!?」

ミロは自分の頭をポコポコ叩いて確認したが、やはりヘッドパーツはなかった。

ミロ「纏え、聖衣よ!」

更に小宇宙を燃やして聖衣を呼ぶ。

ミロ「纏え、我が聖衣よっ!!

天蠍宮にミロの声は空しく響く。

ミロ「纏えぇぇ、我が聖衣ぅぅぅーーーーっ!

叫びは泣き声に近く、やっぱり空しく響いただけだった。

ミロは聖衣を脱ぐと、半べそをかきながら双児宮へと光速でかけこんだ。

 

双児宮

ミロ「おい、愚弟!」

カノン「なんだよ、また用か?」

ミロ「サガはどこだ?」

カノン「兄貴なら風呂だよ、風呂!」

ミロ「また風呂か・・・・。」

 

双児宮・浴室

ミロ「おじゃましまーす!」

サガ「!!!!!!!」

ミロ「自分の裸に陶酔しているところ悪いけどさ、一大事だ!」

ミロは硬直状態のサガの頬をペチペチと叩いた。

サガ「・・・ミロ・・・私が風呂に入っているときは一人にさせてくれと、いつも言っているだろう。」

ミロ「それどころじゃないんだ。俺のヘッドパーツが無いんだよ。」

サガ「そんなこと知るか!いいから出ていけ、この馬鹿!」

ミロは浴室から追い出された。

 

ミロは、風呂上りのサガに再びすがりついた。

ミロ「お願いだ、サガァァ。俺のヘッドパーツ、何でなくなったんだろう??。」

サガ「それはお前がすぐにカッとなって、ヘッドを投げつけるからだろう。」

ミロ「そんなこと分かってるってば。」

サガ「では、お前がだらしないからだ。自業自得だな。」

ミロ「そんなことも分かってるってば。頼むから探してくれよ。サガァ〜。」

サガ「聖衣をなくすなど、聖闘士として自覚が足りんのだ!」

ミロ「これからは気をつけるから、頼むよォ。」

サガ「まったく、本当にお前は仕方のない奴だな・・・・・。」

瞑想し、サガは蠍座の聖衣に意識を飛ばした。

サガ「・・・・・・・・・・・・・・・・!。」

ミロ「どうよ?」

サガ「す、すまんな、ミロ。聖衣のことなら、教皇様かムウに聞いたほうが早いだろう。」

ミロ「お前、真剣に探してねぇだろう!!もういい!!」

ミロはガックリと肩を落として、宝瓶宮へと向かった。ムウに聖衣を無くしたなどと言ったらどんな仕打ちを受けるか分からない。

 

宝瓶宮

ミロ「カミュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!俺のヘッドパーツ探してくれよぉ。」

カミュ「は?まさかお前無くしたというんじゃないだろうな?」

ミロ「さすが、カミュ!。そう、そのまさか!。」

カミュ「まったくお前がすぐにカッとなって、ヘッドを投げつけるからいかんのだ。」

ミロ「それはもう言われた。」

カミュ「お前は本当にだらしないからな。自業自得だな。」

ミロ「それも言われた・・・・。頼むから探してくれよ。」

カミュ「聖衣をなくすなど、聖闘士として自覚が足りんのだ!」

ミロ「それももういいって。頼むから探してくれよ。」

カミュ「まったく・・・・・。」

瞑想し、カミュは蠍座の聖衣に意識を飛ばした。

カミュ「・・・・・・・・・・・。」

ミロ「どう?」

カミュ「・・・・・・・・・・。」

ミロ「だめ?」

カミュ「・・・・・・・・・・・・。」

ミロ「見つからない?」

カミュ「・・・・・・・・・・。」

ミロ「起きてるか、カミュ?」

カミュ「・・・・・・・・!!。す、すまんな、ミロ。私にはみつけることができなかった。」

ミロ「そ、そんなぁ。」

カミュ「教皇さまかムウに聞くのが一番早いと思うぞ。ああ、そうしたほうがいい。」

半ば追い出される形で宝瓶宮を出たミロは唸り声をあげた。

 

ミロ「うーーーーーむ、白羊宮か教皇の間か・・・・・、上に行くべきか、下に行くべきか、上に行くべきか、下に行くべきか・・・・・・・・・・・。下に言ったらムウにネチネチ言われるんだろうな。言われるだけならともかく、嫌味でお終いって可能性もあるし。しかも嫌味を言われた後に、教皇にチクられて更に麻呂(大)に怒られるのか・・・・・・。
それだったら、最初から麻呂(大)に怒られたほうがいいよな・・・・・・・・・・・。うーーーーん、でもなぁ。麻呂(大)は恐いからな・・・・・・・・・・。どうしよう・・・・・・・・・。」


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