★ミロたんといっしょ(ミロたんと虫歯 その1)
いつものようにミロは宝瓶宮に押しかけ、カミュにおやつをご馳走になっていた。
カミュ「なんだ、私の作ったかき氷が食べられないというのか?」
ミロ「・・・・・・わりぃ。冷たいものはちょっと(汗)」
カミュ「お前、虫歯だな。」
ミロ「何で分かる?」
カミュ「頬に手をあてたまま、冷たいものが食べられないというのは、絵にかいたような虫歯だ。」
ミロ「ぐはぁぁぁぁ、そうなのかぁぁぁぁぁぁ!!!」
カミュ「さっさと歯医者にいけよ。」
ミロ「大丈夫!小宇宙で治るから。」
カミュ「・・・・・今すぐ歯医者に行ってこい。さもなくば、今後おやつはずーっとかき氷だ!」
ミロ「そんなぁぁぁぁ。酷い。」
ミロは泣く泣く宝瓶宮を追い出された。
シュラに見つかったら、きっとからかわれるに違いないと確信し、ミロは足早に磨羯宮を通過しようとしが、案の定みつかった。
シュラ「どうした、虫歯か?」
ミロ「違う。」
シュラ「嘘つくな。何故頬に手を当てている。」
ミロ「か、かわいいかなぁ、と思って。」
シュラ「無茶言うな。どれ、おにーさんに見せてみな。」
シュラはミロの頬を片手ではさんで、口をこじ開けた。
ミロ「やっはひむひは?(訳:やっぱり虫歯?)」
シュラ「あーあ、ぽっかり穴が開いてらぁ。こりゃあ痛いわな・・・・。」
ミロ「へらくらららいろーろーらひろ?(訳:痛くならない方法ないの?)」
シュラ「正露丸が効くらしいな。」
ミロ「あれっへへりほめはろ?ほんれひふのは??(訳:あれって下痢止めだろ?飲んで効くのか?)」
シュラ「さぁな。虫歯の穴に入れておくんじゃないのか??」
ミロ「ほーはんは(訳:そうなんだ)」
シュラ「まぁ、さっさと歯医者に行くことだな。」
ミロ「へーろはんふへ。(訳:正露丸くれ)」
シュラ「ちょっとまってろ、今持ってきてやるからな。」
ようやく顔から手を離してもらい、ミロは再び左の頬に手を当てた。
天蠍宮に戻ったミロはさっそくシュラから貰った正露丸の蓋を開ける。すばらしいその芳香に、一瞬めまいがしたが、それより何より歯が痛いので、がんばって正露丸を虫歯の穴に詰めてみた。
が、全然痛みは治まらないどころか、くさい。
きっと量が足りないに違いないと、ミロは鼻をつまんで正露丸を大量に飲み込んだ。
ミロは強烈な正露丸臭を漂わせ、再び磨羯宮を訪れた。
ミロ「シュラーーー、正露丸くれーーー。足りないぞーー。」
シュラ「くせぇんだよ、この正露丸小僧。」
ミロ「仕方ないだろ、歯が痛いんだから。正露丸くれ。」
シュラ「さっきやっただろ。」
ミロ「全部飲んじゃった。」
空になった正露丸の瓶を渡されシュラは絶句した。
ミロ「痛み止らないから、全部飲んでみた。どうよ?」
シュラ「どうよ?じゃねぇよ!!そんなに痛いなら、さっさと歯医者に行きやがれ!」
あまりの臭さにミロは磨羯宮を追い出された。
処女宮にあらわれたミロに、瞑想中のシャカですら鼻を曲げた。お釈迦様もびっくりの正露丸臭である。
ミロ「あのさー、頼みがあるんだけど?」
シャカ「近寄るな。」
ミロ「虫歯のところだけ五感剥奪してくれない?」
シャカ「近寄るなといっているだろう!」
ミロ「ぎゃーーーーーーーーーー!予告ナシに目を開くんじゃねぇーーーーー!!」
あまりの臭いに、ついうっかりシャカは瞼を開いてしまい、ミロは獅子宮までふっとばされた。
アイオリアは飛び込んできた悪臭の正体がミロであることに気づき驚いた。
アイオリア「一体どうしたんだ?!」
ミロ「正露丸くれ。」
アイオリア「そんなに正露丸くさいのに、まだ必要なのか?!」
ミロ「ふ・・・聞いてくれるな。だまって俺に正露丸をくれ・・・」
ミロはかっこつけてみたが、正露丸くさいことには変わらなかった。
アイオリア「そうか、そんなに下痢がひどいのか・・・・たしかに水便が止まらなくて、5分おきに便所に駆け込んでるなんて、黄金聖闘士として恥ずかしくて、自分の口からは言えないな。」
ミロ「てめぇと一緒にするな、下痢じゃねぇよ!!」
アイオリア「下痢じゃない?!すると、街では今、正露丸を飲むのが流行しているというのか?!」
ミロ「んなもん、流行ってねぇよ!!!!!」
アイオリア「では、なんだと言うのだ?!新手の修行か?!」
ミロ「虫歯がいてぇんだよ!!!」
アイオリア「情けないぞ、ミロ・・・・虫歯くらい、気合と根性と小宇宙で治すんだ。」
ミロ「そんなこと、とうの昔にやってるよ!!!それでも治らねぇから正露丸飲んでるんじゃねぇか!」
アイオリア「それは気合が足りんのだ。」
ミロ「もういい・・・・・」
ミロは自ら獅子宮を後にした。
辛気臭い巨蟹宮で、デスマスクの白い歯はとても輝いていた。
ミロ「デスマスク〜〜〜〜虫歯治す方法ねぇかなぁ?」
デスマスク「虫歯なら、俺様がいい歯医者を紹介してやるぞ!」
ミロ「歯医者って痛くねぇか?」
デスマスク「痛いのは歯であって、歯医者が痛いわけではない。しかーーし!ピチピチでムチムチの看護婦さんと美人の先生がいるから、そんなことはどうでもいい!」
ミロ「美人の女医さん・・・・。」
デスマスク「かっこいいイタリア人は歯が命!笑ったときに歯が光るのはあたりまえだ!歯医者は月に一回は通うものだ!。」
ミロ「ピチピチでムチムチの看護婦さん・・・・(ニヤ)。」
デスマスク「どうだ、歯医者に行く気になったか?!」
ミロ「うん、ちょと希望が湧いてきた。」
デスマスク「いいか、『イタリア一の色男、デスマスクさんの紹介で来ました、優しくしてね(はぁと)』と言うのだ!そうすれば、可愛い看護婦さんが『あーら、デっちゃんのご紹介なのぉ?。じゃあ特別サービスしてあげるわねん。はい、お口あ〜〜〜んして下さい、あ〜〜〜〜〜ん。』とやってくれるだろう!」
ミロ「す、素晴らしい!!!!(感涙)」
デスマスクの気色悪い看護婦ものまねにすら感動するほど、ミロは歯医者に素敵な夢を見ていた。
歯医者の住所と電話番号を書いてもらった紙を握り締め、ミロは双児宮に向かった。産まれたときしか病院に行った事がないので、女医さんと看護婦さんに釣られて、うっかり歯医者を紹介してもらったものの、どうも踏ん切りがつかない。
ミロ「サガ〜〜〜サガいるか?」
カノン「なんだバカ蠍。」
ミロ「アニキはどこいった、愚弟。」
カノン「しらねーよ。俺はサガの保護者じゃねぇ。」
ミロ「お前でもいいか。あのさー、幻朧拳で歯医者シミュレーションしてくれない?」
カノン「ぷぷぷ、ミロたんはむちばなんでちゅかぁ??はいちゃたんがこわいんでちゅかぁ?」
ミロ「うるせぇゴラ!さっさと幻朧拳やらねぇと、アンタレスまで一気に打ちこむぞ!」
カノン「仕方ねぇなぁ、特別サービスだぞ。くらえ!!幻朧歯医者拳!!」
ミロは幻覚の中で歯医者の治療台に座っていた。うきうきで美人の女医を待っていると、現れたのはどう見ても知った顔だった。白衣とマスクが妙に似合っているムウである。
ミロ「む、ムウ?!こんな所で何している?!」
ムウ「私は美人の歯医者です。ムウではありません。」
ミロ「どっからどうみてもムウだろう。グハ!体が動かない!!超能力つかうんじゃねぇ!か、看護婦さーーーん、美人の女医さんはどこいっちゃったんですかぁぁぁ?」
貴鬼「おいらがピチピチの看護婦さんだよ。」
ミロ「ふざけるなーーー、ピチピチしすぎだーーーーー。」
貴鬼「はいお口あ〜〜〜んして下さい。」
ミロ「くそぅおおお、詐欺だーーー!」
貴鬼「サソリさんは正露丸の食べすぎで虫歯ですね〜〜〜。先生、お願いします。」
白衣を着たムウが貴鬼から渡されたのは、どこからどうみても聖衣を修復するための鑿とハンマーである。ムウはいつものスかした微笑で、身動きの取れない治療台のミロを見下ろしていた。
ムウ「では虫歯を抜きましょうか。」
ミロ「それが歯を抜く道具か?!や、やめろーーーーー!俺を殺す気か?!」
ムウ「うるさいですよ。静かになさい。」
ミロ「や、やめろーーーー、やめてくれーーーーぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」