真実の仮面その1(EV'RY TIME I LOOK IN YOUR EYES)

 

シオン「だせぇーーー!ここから出しやがれぇ!!」

今日もスニオン岬にシオンの声が響く。シオンがスニオン岬の岩牢に幽閉されてから、すでに2日が経っていた。

シオン「ちくしょう、出せ!!出しやがれ、あのクソババァ!!」

女神「だぁれが、クソババァですって?あと1週間追加!」

岩牢の中に女神の声が響き渡った。

シオン「ふざけるな!!私はなにも悪いことなどしていない!!だせぇーーーーー。」

シオン華の17歳は、出会ったいい男を片っ端から軟派しては、その日のうちに猥褻な行為に及んでいた。その容姿と才能をフルに活用させた軟派のテクニックに、男達は簡単にシオンの手の中に落ちていった。時には、自らシオンに身をささげる者や、シオンが強引に事に及ぶことさえあった。
しかし、そんなシオンにもついに年貢の納め時が来た。
2日前、女神が贔屓にしているペガサスの聖闘士とお楽しみ中のところを、よりによって女神に現場をおさえられ、ニケの杖でタコ殴りにされた挙句、その場でスニオン岬の岩牢に飛ばされたのだ。

 

童虎「おい、シオン。少しは反省したか?」

シオンはスニオン岬の岩牢前に現れた童虎に声をかけられ、鉄格子にしがみついた。

シオン「おぉ、童虎か。私は悪くないのだ。だからここから出してくれ!」

童虎「まったく・・・・・。あれだけ、ペガサスには手を出すなと言ったのに。」

シオン「私が手をだしたのではない!!奴が勝手になびいて来たのだ!!だから、思わず・・・・・・。」

童虎「嘘を言うな!うそを!!女神にぞっこんのペガサスがお前なんかになびくわけなかろう!!」

シオン「ふふふっ。それは女神よりも、この私のほうが魅力的だったからだ。だから、ペガサスも私の元に来たのだ!!」

女神「なんですってぇ〜〜〜。今の言葉、聞き捨てならないわね。あと1ヶ月追加!!」

再び、岩牢の中に女神の声が響き渡った。

童虎「おやおや、女神は本気でお怒りのようだな。女神のほうも大層ペガサスを気に入っておったからのう。まっ、今回はお前が悪い!しばらく、そこに入って反省するがいい。」

シオン「待て、童虎!!行くな!!行くなら、飯を置いていけぇーーーーーーー!!童虎ーーー!!」

 

次の日

シオン「くそっ!腹が減った・・・・。」

童虎「シオン、反省したか?」

シオン「おぉ、童虎。今日も来てくれたのか。」

童虎「反省は?」

シオン「しとらん!」

童虎「・・・・・・・・・。悔い改めなければ、そこからは出られんぞ。」

シオン「いやだ!私は悪くない。世の中のいい男は全て私のものだ!!反省などする必要はない!」

童虎「では、もうしばらく入っているのだな・・・・。」

童虎「まて!童虎!飯を置いていけと言っているだろう!こら、このチビザル!飯を置いていけぇーーーー!」

 

次の日

童虎「シオン、今日はお前にいいものを持ってきてやった。」

シオン「なに!?飯か?男か?」

童虎「違う!これだ。」

童虎は手に持っていた羊皮紙をシオンの目の前へとテレポートさせた。

シオン「なんだ、これは?お前の国ではこんなものを食うのか?」

童虎「それに血文字で反省文を書けば、女神もお前をここから出してもいいと言っておられる。」

シオン「はんせいぶん??だから、私は悪くないと言っているだろう。何度もしつこいぞ!!反省することなどない!!こんなもの・・・・・!」

シオンはそう言うと、岩牢の外へと羊皮紙を投げ捨てた。

童虎「やれやれ・・・・。」

シオン「こら、サル!行くな!飯を置いていけ、飯を!!」

 

次の日

童虎「反省したか?」

シオン「・・・・・・・・しつこいぞ!」

童虎「しつこいのはお前だ、シオン。」

シオン「皆はどうしている?私がいなくて寂しがって・・・・・・。」

童虎「おぉ、みななら元気だぞ。お前がいないから、夜も安心して寝られると喜んでおる。」

シオン「なんだと??」

童虎「寂しいのはシオン、お前のほうではないのか?」

シオン「寂しくなどない!それより飯は持ってきたのか?」

童虎「飯など持ってきてはおらん!」

シオン「いいか、今度来るときは変な紙など持ってこずに飯を持って来い。でなければ、男を連れて来い!」

童虎「はぁ?なんで、男を連れてこなければならん?」

シオン「もう5日もご無沙汰なんだ。もう我慢できん!!」

童虎「・・・・・、お前。本当に反省しておらんのだな。呆れた奴め。」

シオン「だから最初から、反省などしてないと言っているだろうが、ボケざる!!美形の男なら何でもいい、連れて来い!!」

童虎「・・・・・・知らん!」

シオン「待て、童虎。行くな、男と飯を置いていけぇーーーーー!」

 

その日の深夜

「・・・・・・オン。・・・シオン。」

岬の岩牢前で一人の大男がシオンの名前を呼んだ。鍛え上げられた体と210cmという長身のため、彼と初めて会ったものはその大きさに彼を見え上げて呆然となる。しかし、その巨体の割には顔は小さく、きりりと上がった眉毛の下には、綺麗に刈り上げられた頭髪と同じ、茶色の優しい瞳が備わっていた。

タウラス「シオン。生きているか??」

シオン「おぉ、その声は・・・・・・。」

タウラス「いい加減、強情を張ってないで女神に謝ったらどうだ?」

シオン「嫌だ。私は悪くない。」

タウラス「まったく、お前の浮気性は天性のものだからな。」

シオン「お前、その手に持っているものは食い物か??」

タウラス「ああ、そうだ。シオンが腹を空かせていると思ってな。」

シオン「早く、くれ!!飯と水!!」

シオンは鉄格子から可能なかぎりに手を伸ばした。タウラスはその姿を見ると、膝まで水位の上がった海の中へと入り、鉄格子の前でシオンの手を握り締めた。

シオン「ここまで来てくれるのは、お前だけだ・・・・・。」

タウラス「淋しかったろう?かわいそうに。」

シオン「・・・・んっ・・・・・。」

タウラスは鉄格子越しにシオンの頬に触れると、その唇にキスをした。

シオン「キスなどいらん。早く水をくれ!!」

タウラスはシオンから体を放すと、持ってきた水の入った瓶を自分の口へと運んだ。

シオン「バカ!お前が飲んでどうする!!」

シオンが怒鳴ると、タウラスはシオンを抱き寄せ唇を重ねた。シオンの喉に5日振りの水が流れ込んだ。シオンはタウラスの首に手を回すと、夢中でその唇を吸った。

シオン「・・・・・んん・・・・・。」

タウラス「どうだ、美味いだろう?」

シオン「もっとくれ。お前の口の中の量だけでは足りん。その瓶ごと渡せ!!」

シオンが可能な限りに手を伸ばすと、タウラスは瓶を持った手を上にあげた。黄金聖闘士一の身長を誇るタウラスに高々と持ち上げられた瓶は、シオンがいくら背伸びして触ることが出来なかった。

タウラス「もう、浮気はしないか?」

シオン「は?」

タウラス「もう、他の男には手を出さないと約束しろ!」

シオン「・・・・・それは無理だ!」

タウラス「だったら飯と水はやれない!」

シオン「意地悪を言うな。私にそんなことが出来るはずが無いのは、お前が一番良く知っているだろう!」

タウラス「・・・・・・・・。」

シオン「いいか、私は他の男とはヤるが、私がヤらせるのはお前だけだ。お前以外には決して誰にもヤらせんのだ。私をヤっていいのは、お前だけなんだ!!」

シオンはタウラスの鍛え上げられた背中に手を回し、タウラスの顔を見上げた。シオンに潤んだ瞳で見つめらたタウラスは、高くあげた腕を降ろしシオンの体に手を回そうとした。
シオンはタウラスが降ろした腕にしがみつくと、タウラスの手に持たれたままの瓶に口をつけて水を飲んだ。

タウラス「こ・・・・こらっ、シオン!!」

まるでヤンチャな子どもを宥めるかのような優しい口調でタウラスはシオンを叱った。しかし、シオンに掴まれた腕を無理に戻そうとはせず、シオンの望むままに水を与えた。

 

タウラス「名残惜しいが、そろそろ行かなくては・・・。」

シオン「もう行くのか?」

タウラス「そんな目で俺を見るな。また来てやるから。」

シオン「それは本当か??」

タウラス「俺がお前に嘘を言ったことがあるか??」

シオン「いいや・・・・。」

タウラス「心配するな。可愛いお前を餓死させるようなことはさせない。また飯と水も持ってきてやるからな。」

シオンにすっかり騙されているタウラスはシオンの額に軽くキスをすると、岩牢から去っていった。


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