真実の仮面その2(WHO ARE YOU?)

 

シオン「だせーーー、出しやがれ!!!」

今日もスニオン岬にシオンの声が木霊する。

 

童虎「シオン、反省したか?」

シオンはスニオン岬の岩牢前に現れた童虎に声をかけられ、鉄格子にしがみついた。

シオン「してない!」

童虎「お前がそこに入って1ヶ月だぞ。もういい加減にしたらどうだ?」

シオン「うるさい!私は無罪だ!!無罪の人間をここに閉じ込めて、お前達は恥ずかしくないのか!」

童虎「・・・・・・・・。」

シオン「こら、童虎、勝手に帰るな。もっと話をしていけ!!」

 

別の日

童虎「シオン、元気か?」

シオン「元気なわけ無いだろう、サル!」

童虎「・・・・。今日はお前にいいものを持ってきてやったぞ。」

シオン「反省文なら書かんぞ!」

童虎「そんなことは分かっている。」

シオン「ではなんだ??男か?水か??」

童虎「いいから、黙って受け取れ。」

童虎はテレポートでシオンの前へと持ってきたものを移動させた。

シオン「おぉ、童虎。お前にしては気が効くな。これは官能小説だな?」

童虎「ばか。それは聖典だ!少しはそれを読んで心を入れ替えろ!」

シオン「これは空の上で暗証できるほど読んだわ!!」

シオンは聖典を童虎に向かって投げ返した。

シオン「何だ、その目は!!私のことを疑っているのか?だったら証明してやろう。第1章1節 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。こら、待て、童虎!最後まで聞いていけ。まだ残り478章あるんだぞーーーーー!」

 

その日の午後

岩牢の前に、漆黒の髪を持つ長身の男が現れた。その手には水の入った瓶と、食料が握られている。

カプリコーン「おいシオン、しばらく顔を見ないと思ったら、本当にここに閉じ込められていたのか?」

シオン「おぉ、山羊か。私が恋しくなったか??」

カプリコーン「ばーか。お前なんて恋しくねーよ。」

シオン「なんだと??」

カプリコーン「そんな事より・・・・。腹へってねーか?」

シオン「減っているに決まっているだろう。」

カプリコーン「喉も乾いただろう??いくらお前でも海水は飲めないもんな!」

シオン「お前の精液なら飲めるぞ!」

カプリコーン「・・・・・・・・・。お前、随分と余裕だな。」

シオン「当然だ。」

カプリコーン「なんだ、心配して損したわ。せっかく水と食料を持ってきてやったのに・・・・。」

カプリコーンは、呆れた顔をしながら、手に持った食料をぷらぷらとさせた。

シオン「なんだと?」

カプリコーン「はははっ、くれてやらないこともないぞ。しかし、タダでくれてやるほど俺もバカじゃない!!」

シオン「なんだ、何が欲しい。私のあれが欲しいのか。ここを出たらすぐにでもヤってやるぞ!!」

カプリコーン「・・・・・・・・・・。お前さ、本当に飯と水が欲しいのかぁ?」

シオン「これが冗談を言っているように見えるのか、山羊!!早く、その手に持った飯と水をもってこい!」

カプリコーン「俺の名前を言ってみろ!」

シオン「はぁ?」

カプリコーン「なんだ、幽閉生活が長くてボケたのか?もう一度言うからよく聞けよ。
俺の名前を言ってみろ。」

シオン「お前のほうこそ、ボケたのか?自分の名前を忘れるとは愚かな奴だ。お前は山羊だ!!もう忘れるなよ、山羊だ、やぎ!!」

カプリコーン「それは、俺の星座だろ・・・・・。」

シオン「おぉ、そうか。ついいつもの癖でな。お前の名前はカプリコーンだ!!」

カプリコーン「それも違うだろう。俺の本名を言ってみろ、と言っているんだ。そしてら、水と飯をくれてやる!!」

シオン「・・・・・・・・山羊の名前・・・・・・・・。分からん!」

カプリコーンは、シオンの言葉を聞くと持っていた水をシオンの目の前で飲んだ。

シオン「こら、山羊。それは私のだ!!」

カプリコーン「じゃ、俺の名前は?」

シオン「ロレンツォだ!」

カプリコーン「違う!」

シオン「だったら、今日からロレンツォと名乗れ!」

カプリコーン「名乗れるか、ばか!」

カプリコーンは今度は、シオンの目の前で持ってきた食べ物を食べ始めた。

シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!思い出したぞ、あれだ!!ハーラル。」

カプリコーン「違う!」

シオン「アンディ、マイケル、アンドレア、マルコ、ピエール、三郎、クリストフ、ハーヴェイ、エンリケ、ケイマン、マルティン、アントニオス、モハメッド、ニコラ、スエラ、アリ、セルゲイ、ウィナィ、パンヤー、アンジェロ、ミラン、ケビン、ギュルセル、トマス、ジェイソン、キース、クリスット、リカルド、ラッセル、ナシム、李、ローマン、ボブ、レオンディーノ、キム、ルスラン、フェルディナンド、エルネスト、ギジェルモ、カルロス、ハムディー、ヘルマン、ヨセンギ、ラモン、オズワルド、アル、ブルース、バレンティン、ルスターボ、マックス、フィリップ、マルセロ、オスカル、セバスティアン、ネフメット、ジョルジュ、ドミトリー、マリオス、アルフォンソ、ラウル、イマノル・・・・・・・・・・・・・・・・。どうだ!」

カプリコーン「どれも違う!残念だったな。」

シオン「待て山羊。行くな!!」

カプリコーン「お前が俺の名前を思い出した頃に、また来てやるよ。」

シオン「無茶を言うな!山羊!」

カプリコーンはシオンに背中を向けると、手をヒラヒラと振った。

シオン「待て、山羊!今度こそ思い出した!」

カプリコーン「ほう?」

シオン「ホセだ!」

カプリコーン「・・・・・・・・・。」

シオン「待て!行くな、ホセェーーーーー!!」

 

数日後

相変わらずスニオン岬の岩前牢前。

カプリコーン「よぉ、シオン。元気かぁ?」

シオン「おぉ、その声はホセ!」

カプリコーン「俺の名前はホセじゃねーよ!」

シオン「だったらジャン=クリストフだ!お前にはこの名前が一番似合うぞ!どうだ!」

カプリコーン「俺の名前はもういいって・・・。それより、今日はお前にお客さんを連れてきたぞ。」

シオン「客?」

カプリコーン「ほら、怖がらずに出て来い。シオンは牢に入っているから大丈夫だ。」

シオンはカプリコーンの後ろから顔を出した少年に釘付けとなった。まだ10代前半であろう、その少年は美しい金髪と大きな潤んだ瞳で怯えながらカプリコーンの後ろからシオンを覗き見た。

シオン「でかしたぞ、ホセ!早くここに連れて来い!!」

カプリコーン「お前、何を勘違いしている?」

シオン「勘違いなどしてはおらん。お前の名前を思い出したから男を連れてきたのだろう?早くよこせ!」

カプリコーン「違う。今日は、こいつの名前を呼んだら、飯と水をくれてやる。」

シオン「はぁ?初めて会う奴の名前など知らん!!」

少年はシオンの言葉を聞くと、瞳から大粒の涙をこぼした。

カプリコーン「おい、シオン。今なんていった??初めてとかって言わなかったか?」

シオン「聞こえなかったのか?そんな奴など知らんといったのだ!!」

カプリコーン「よーく見てみろよ、この顔を!!知らないとは言わせないぞ!」

カプリコーンはうつむいて涙を流しつづける少年の顔を無理やり上げた。

シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと待て!思い出したぞ!その泣き顔は、1年3ヶ月と23日前だ!確か、あの時、こやつがポケっとしながら白羊宮を通り抜けようとしたから、白羊宮を通す代償にヤってやったんだ。その顔は泣きながらヒィヒィと喜んでいた、あの時の顔だ!!確か、尻にかわいらしい黒子があったな・・・・・・。」

少年は嫌なことを思い出したようにビクッっとなり、さらに大粒の涙を流し始めた。

カプリコーン「お前、所構わずだな・・・・・・。」

シオン「今更何を言っている。お前とだって、森の中でも海岸でも闘技場の裏でもヤったではないか!!」

カプリコーン「お・・・・俺のことはどうでもいい!!いいから、名前を言え!」

シオン「名前は聞いてない!!あの日に一度だけ、こやつの顔を見たが、それっきりだ!」

カプリコーン「嘘をつくな!!2年前にも一度会っているだろう!!」

シオン「知らん!!なにをそんなにムキになっているんだ、ホセ!?それはお前の恋人だったのか?それは悪いことをしたな。しかし、こいつは私のモノを咥えてヒィ・・・・・・。」

カプリコーン「おい、シオン。いくらなんでも、こいつが何の聖闘士だかまでは知らないわけないよな?」

シオン「なに?こやつは聖闘士だったのか?新しい神官か何かではないのか?」

カプリコーン「・・・・・・・・・・・・・・。」

シオン「おい、そこの美少年。お前は何の聖闘士だ!!黄金聖闘士の私に挨拶をしろ!!」

カプリコーン「この馬鹿シオン!!こいつはピスケスだ!!ピスケスの黄金聖闘士だ。2年前に修行を終えて、この聖域で、教皇の間で顔を合わせただろうが!」

シオン「そうだったか??そういえば、そんな気がするが・・・。私がこんな美少年を覚えてないとは不覚だ・・・・・・。なぜだ、なぜ覚えておらんのだ・・・・・。」

カプリコーン「んなこった、知らねーよ!!」

シオン「おい、魚。私はアリエスのシオンだ!よろしく頼むな!!さっそくこっちへ来い。今度はお前の顔と体を忘れぬよう、優しくじっくりと可愛がってやるぞ!!」

カプリコーン「・・・・・・・・・・。」

シオン「あっ、待て。山羊!行くな!!魚をおいていけぇーーーーーー!!」

今日もスニオン岬にシオンの声が木霊した。


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