Vine Linux 1.1 のインストール

山森丈範 YAMAMORI Takenori ●yamamori

●CD-ROMから直接ブートか,FD作成か

少し前までは,PC UNIXのインストールといえば,ブートFD の作成から始めるのが普通でした.しかし現在では,Vine 1.1のCD-ROM はもちろん,たいていのPC UNIXのインストール用CD-ROMは,El Torito と呼ばれる方式により,CD-ROM からインストーラを直接起動できるようになっています. もっともこれにはマシン自体が CD-ROMブートに対応している必要があります.自分のマシンが CD-ROMブート可能かどうかは,以下の方法で確認できます.

 マシンの電源投入直後(またはリセット直後),たいてい画面の左下あたりに “Press DEL to enter SETUP” というような表示が短い時間出ているはずです.マシンの機種によっては [DEL]ではなくファンクションキーを使うものもあるでしょう. このときにすかさずそのキーを押し,BIOSの設定メニュー画面を出します.  BIOSのメニューの,たいていBIOS Features Setupの中に, “Boot Sequence: A,C”というような項目があると思います. これは,DOSでいうところのAドライブ(FD),Cドライブ(HD) の順にブート可能メディアを探すという意味です.この項目にカーソルを合わせて, たとえば,“A,CD-ROM,C”と,CD-ROMからもブートできるように変更します. 変更したら,BIOSのセーブキー([F10]であることが多いでしょう)を押して, 変更をセーブして設定メニューを抜けます.直後にブートが始まるため, あらかじめVine 1.1のCD-ROMをドライブに入れておいてください

マシンによっては,CD-ROMブートが可能な状態にBIOSを設定したままにしておくと, ブート時にCD-ROMがドライブに入っていないときに タイムアウトに時間がかかってしまうことがあります. そのような場合は,インストールが終わったらBIOSの設定を元に戻します.

 これで,うまく行けば図1のような,boot:プロンプトの出たインストール用の 画面が立ち上がるはずです. うまく行った方は,次項のブートFDの作成の部分は読み飛ばしてください.

●図1
welcome1-s.gif


●FDの物理フォーマット

ブートFDはあらかじめ1.44Mバイトで物理フォーマットされている必要があります. DOS用フォーマット済みとして売られているFDはそのまま使えます.

 物理フォーマットは,DOSやWindows上で行ってもかまいません (その場合は論理フォーマットまでされてしまいますが…).

 すでにLinuxが動いているマシンがある場合は, そのマシン上で以下のようにして物理フォーマットできます.

# fdformat /dev/fd0H1440

 Linux以外のUNIXでも,FDドライブがあれば同様のコマンドでできますが, デバイス名などは異なるはずですので,オンラインマニュアルを参照してください.

●ブートイメージのコピー

ブートイメージは,Vine 1.1のCD-ROMのimages ディレクトリ以下に,boot.img として存在します.これをFDに書き込むわけですが, これはファイルのコピーではなく, 論理フォーマットも含んだファイルシステムイメージをまるごとコピー しなければならないので,特別なコマンドが必要です.

◎DOSの場合

DOS上ではrawrite.exeというコマンドを使います. これを使うためのバッチファイルとして mkboot.batがCD-ROMの imagesディレクトリ以下に用意されていますので, FDをドライブに入れてmkbootを実行するだけでOKです.

◎UNIXの場合

すでにLinuxまたは他のUNIXが動いているマシンがある場合は, 以下のようにしてFDイメージの書き込みが行えます.

# dd if=boot.img of=/dev/fd0 bs=1440k

できたブートFDを,インストールするマシンのドライブに入れて起動します.


●loadlinを使う方法

 インストール対象のマシン上で,何らかの方法で(FDブートでもよい) CD-ROMを認識可能な状態でDOSを立ち上げることができる場合は, ブートFDを作成しなくても,以下のloadlin.exe を使う方法でインストーラを起動できます(WindowsのDOS窓では不可です). ただしDOSが日本語モードの場合,loadlin を実行すると画面が真っ暗になってしまうなどの不具合がありますので, chev usコマンドまたはus コマンドを使って英語モードに切り替えるか,chev がない場合は,config.sysを編集するか, DOSのブート時に[F8]を押してstep-by-step confirmationを選ぶかして, 少なくとも以下の3つのシステムファイルを読み込まないようにして DOSを立ち上げます.

jfont.sys
jdisp.sys
jkeyb.sys

 DOSが立ち上がったら,CD-ROMのdosutils のディレクトリに移動してそこにあるautoboot.bat を実行すると,loadlin によってインストーラがロードされます. この場合は,図1の画面が飛ばされ,図2より始まります.

●図2
welcome2-s.gif


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このページは、技術評論社 Linux×BSD HYPER PRESS Vol.1夏号、『Linuxのインストールとセットアップ/Vine Linux 1.1を導入しよう』 の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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