Vine Linux 1.1 のインストール

山森丈範 YAMAMORI Takenori ●yamamori

●サウンドの設定

Vineのインストール直後には,サウンドドライバはインストールされていません. 標準のサウンドドライバは,Vineにも付属しているsndconfig というツールを使って設定できますので,まずはこれを試してください.

sndconfigによる方法

WindowMakerのメニューからsetupを起動して,そこから sndconfigを選ぶか,または,kterm上でsu して,/usr/sbin/sndconfig を起動してください.あとはメニューに従って画面を進めるだけです. うまく行けば,最後にテストサウンドが鳴るでしょう.

しかし,必ずしも標準のドライバで対応できるとは限りません. 筆者のマシンも標準ドライバではダメでしたが, そのような場合は以下のような方法があります.

なお,いずれの方法も,サウンドドライバはモジュールとして カーネルにロードされるため,いわゆるカーネルの再構築は必要ありません.

○ALSA(Advanced Linux Sound Architecture) ドライバを使う方法

http://www.alsa-project.org/ でサウンドドライバが公開されています. 詳しいことは同Web上に書かれていますので(英語ですが…), まず,自分のサウンドカードが対応されているかどうかを確認するとよいでしょう. 使えそうだと思った場合は,以下に示す3つのファイルをダウンロードします (ファイル名に含まれるバージョン番号は,執筆時点のものです).

● http://www.alsa-project.org/で公開されているサウンドドライバ
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alsa-driver-0.3.2.tar.gz 
alsa-lib-0.3.2.tar.gz    (実は alsa-lib-0.3.1.tar.gz へのシンボリックリンク)
alsa-utils-0.3.2.tar.gz
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なお、ALSAのバージョン0.4.x 以降は、kernel 2.2.x 以降にしか対応していませんので、Vine 1.1 標準の kernel 2.0.36 を使っている場合は、ALSAバージョン0.3.2 が最終です。

 これらはドライバのソースファイルをtar+gzip でアーカイブ・圧縮したものですので, 適当なディレクトリ(たとえば$HOME の下にalsaというディレクトリを作る)に置いて,

$ tar zxvf alsa-driver-0.3.2.tar.gz
$ tar zxvf alsa-lib-0.3.2.tar.gz
$ tar zxvf alsa-utils-0.3.2.tar.gz

として展開します.これらを,通常のフリーソフトウェアをソースから makeする要領でインストールします. makeはあくまで一般ユーザで行い,make install のみ(そのつど)suしてroot権限を使うのが基本です.

$ cd alsa-driver-0.3.2
$ ./configure     # ./configure --with-sequencer=yes ならMIDI音源有効
$ make
$ su
# make install
# ./snddevices    # /dev 以下のデバイスファイルの作成

$ cd alsa-lib-0.3.1  # alsa-lib-0.3.2 は alsa-lib-0.3.1 と同一
$ ./configure
$ make
$ su
# make install

$ cd alsa-utils-0.3.2
$ ./configure
$ make
$ su
# make install

これで,サウンドドライバ自体はハードディスクにインストールされました. 以下のコマンドを実行して,ドライバのリストを見てみてください. snd-XXXX.oとなっているのが今インストールされたサウンドドライバです.

$ /sbin/modprobe -l -t misc | less

ドライバのロードの前に,現在不完全にロードされている(かもしれない) サウンドドライバを外します.WindowMakerを起動している場合, そのサウンドサーバであるwmsoundの影響で, デフォルトのサウンドドライバがロードされてしまうようです.

# /sbin/lsmod

を実行して表示されるものの中に soundsoundcoreがある場合, 以下のようにしてアンロードします.

# /sbin/rmmod sound
# /sbin/rmmod soundcore

次にいよいよドライバのロードです. サウンドカードによってドライバ名が違います. たとえばESS Solo-1の場合はsnd-esssolo1 というように,該当するドライバ名を前述の“modprobe -l -t misc”の 出力リストの中から見つけてください.そして以下のようにします.

# /sbin/modprobe snd-esssolo1	←サウンドカードによって異なる
# /sbin/modprobe snd-pcm1-oss	←/dev/audioなどのために必要

あと,ALSAのドライバでは,デフォルトでミキサーのボリュームが ゼロになっているようですので,このボリュームを上げないと音が出ません.

/usr/binxamixer2がインストールされたはずですので, これを使ってPCM 2ヵ所とMasterのボリュームを上げると, PCMサウンドが鳴るようになります.

WindowMakerはデフォルトで音が出るように設定されています. 試しに何か(ktermとか)を開いたり終了させたりしてみると, 音が鳴るはずです.

XXX.au のフォーマットのファイルは,以下のように直接デバイスにcat しても音が出ます.

$ cat XXX.au > /dev/audio

また,Vineにも付属のxanimは,画像だけでなく, XXX.auXXX.wavなどの単独のサウンドファイルも扱えます.

サウンドドライバをブート時に自動的にロードする方法はいろいろありますが, /etc/rc.d/rc.local のファイルの終わりに,前述のmodprobe の2行を追加するのがいいでしょう (conf.modules を使うこともできるはずですが,こちらの方法ではより複雑になってしまいます).

ところで,ALSAのドライバは, ESS Solo-1のMIDI音源には対応していませんでした (それでもソフトウェア音源のTimidityをインストールして、 MIDIを鳴らすことができました).

○opensound.comの商用ドライバを使う方法

http://www.opensound.com/ からglibc版のアーカイブをダウンロードしてください. こちらはバイナリですので,アーカイブを展開したディレクトリで, 以下のようにインストーラを実行するだけです.

$ su
# ./oss-install

質問に答えて画面を進めます.途中, インストール先の候補がいくつか示されますが, /usr/local/lib/ossを選ぶのが無難でしょう.

ドライバのロードのためのsoundon というシェルスクリプトが,/usr/local/bin で実行できるようにシンボリックリンクされます. これをroot権限で実行すればサウンドドライバがロードされます.

ライセンス購入前の状態では,ドライバのロードから バージョンによって3時間または20分間の使用制限があるようです.

なお,こちらは,ESS Solo-1のMIDI音源にも対応していて, Vineにも付属のxplaymidiなどを使ってMIDIファイルが演奏できました.


・関連ページ: サウンドカードのあとからの設置、交換

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このページは、技術評論社 Linux×BSD HYPER PRESS Vol.1夏号、『Linuxのインストールとセットアップ/Vine Linux 1.1を導入しよう』 の原稿を元に、Web 用に再構成したものです。
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