よくあるウソの説明 |
ある日、突然、男性から電話がかかって来た。
「あなたが過去に契約したメンバーズクラブについて、大事な話しがあります」「あなたに対して、メンバーズクラブから、滞納会費と違約金の請求が来ています」
「私たちは、問題解決のために動いている団体です」
「相談会で○○市に行きますので、来週の日曜日、直接会ってお話ししましょう」
とのことだった。
確かに、10年以上前に、メンバーズクラブの契約をしたことがある。「請求が来ています」と言われ、気になってしまい、会って話しを聞くことにした。 |
当日、男性と待ち合わせ、駅前のホテルのラウンジで、話しをすることになった。
男性からは、
「過去に契約したメンバーズクラブについて、契約後ほとんど利用してませんね?」
「メンバーズクラブは、定期的に利用していただかないと、クラブの運営費が賄えなくなってしまいます」
「毎月の会費も滞納が続いていますので、不良会員として問題になっています」
「会費の滞納と、会員契約の無断放棄により、強制退会処分となる恐れがあります」
「その場合、滞納会費と違約金、それから生涯会費の請求で、合計で300万円近い請求が来ることになります」
「メンバーズクラブの契約は、終身契約ですので、死亡や病気など、正当な理由の無い限り、退会することはできません」
「強制退会処分となった場合、終身契約の残りの期間の会費を、一括で支払わなければならなくなります」
「会費は月3,000円ですから、1年間で36,000円、75歳まで生きると仮定して、残り50年分で180万円。これに、滞納会費と違約金を加えると、少なくとも300万円を請求されることになります」
「メンバーズクラブ側は、既に法的措置の準備を進めていますので、近く裁判所から訴状が届くと思います。強制執行や給与差押など、大変なことになります」 |
「とはいえ、あまり事を荒立てると、業界全体のイメージが悪くなってしまいますので、今回だけの特例として、救済措置の適用が認められることになりました」
「本来であれば、途中退会はできませんし、滞納会費や違約金も払っていただく必要があるのですが・・」
「特例措置を利用するために、まずは当社の顧客になっていただいて、当社の運営するメンバーズクラブに、契約を移して下さい」
「契約を移管して当社の顧客になっていただければ、「当社の顧客保護」という立場が使えるようになります」
「当社の顧客であれば、当社がメンバーズクラブ側と直接交渉することに、何の問題もなくなります」
「メンバーズクラブ側との交渉がまとまり次第、当社が退会証明書を発行します」
「退会証明書の発行により、メンバーズクラブは正式に退会の扱いとなりますので、今後の会費の支払いも必要なくなります」
「当社の顧客になるために、このゲルマニウムブレスレットを購入していただく形をとります。商品購入は、あくまで形だけのものです」
「メンバーズクラブ側との問題を解決するには、和解費用や解約費用が必要となりますが、商品代金は、その費用に充てさせていただきます」
「調整に時間がかかりますので、1ヶ月ほどしましたら、退会証明書を郵送でお届けできると思います」
などと説明された。 |
メンバーズクラブの契約は10年以上も前のことで、すっかり忘れていたが、「300万円の請求が来る」と説明され、驚いてしまった。
ゲルマニウムブレスレットの代金は50万円だったが、「300万円払うよりはマシ」だと思い、仕方なく契約書にサインをした。
商品代金の支払いは、また後日、ということになり、その日は自宅に戻った。 |
しかし、冷静になってよく考えると、何かおかしい。
会費を滞納していると言っていたが、メンバーズクラブ側から請求書が届いたことは無い。終身契約という説明も、一生解約できない契約が法的に認められるのか、疑わしい。勤務先の社員研修で、商事債権の消滅時効は5年間と聞いたことがある。
今回渡された商品売買契約書を見ると、一応、「8日間以内なら書面により無条件にクーリングオフすることができる」という説明が書かれていた。
まだ8日間が経過していないので、今からでもクーリングオフして、この話しを白紙に戻したい。 |
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