一旦は投資マンションの契約をしたものの、やはり解約したいと考え、担当者に電話をして解約を申し出た。しかし、担当者からは、
「契約が成立していますので、解約はできません。何か誤解しているようですね。もう一度説明しますから、直接会って話しをしましょう」
などと、逆に呼び出しを受けてしまった。
担当者と直接会うと、また説得されてしまいそうだったので、呼び出しについては、なんとか断った。 |
電話を入れた次の日の夜、
勤務先から自宅に戻ったところ、マンションの出入り口付近に、見覚えのあるスーツ姿の男性が立っていた。男性は、自分を見つけると小走りで近づいてきた。よく見ると、投資マンションの契約担当者だった。
昨日の電話を受けて、担当者が自分の仕事帰りを狙い、自宅前で待ち伏せていたらしい。担当者に見つかってしまったため、今さら逃げ出す訳にもいかない。
今さら自宅に逃れようとしても、担当者が一緒について来てしまう。自宅で担当者と二人きりになるのは、どうしても避けたかった。仕方なく、近くのファミリーレストランに場所を移し、そこで担当者と話しをすることにした。 |
担当者に、「何千万円も払う自信がない。30年以上もローンを払い続ける自信が無い。解約したい」 と繰り返し説明したものの、担当者は
「既に契約は成立していますから、解約は出来ません。銀行からもローンの内定が出ていますし、物件の引渡の準備も完了しています」
「どうしても解約する、ということであれば、違約金を支払ってもらうことになります。物件価格2200万円の20%ですから、違約金は440万円となります」
などと言うばかりで、解約には応じてくれない。 |
しかし、担当者が譲歩案を提示してきた。
「たしかに、不安になる気持ちも解ります。マンション投資は高額な契約ですから、先々のことを考えると、漠然とした不安を感じますよね?」
「ですから、ローンの負担が軽くなるよう、返済プランを見直してみましょう。もう少し負担が軽くなるよう、物件の価格を200万円ほど値引きできないか、特別に上司と交渉してみましょう」
「それから、本来であれば、売買代金とは別に、手続費用として80万円ほど必要になるのですが、特別に、手続費用を当社で負担できないか上司と交渉してみましょう」
「売買代金から200万円を値引き、手続費用を当社が負担することで80万円が必要なくなります。合計で280万円も安くなれば、ローンの負担はだいぶ楽になるはずです」
「いま解約して、違約金を440万円払っても、丸々損失になるだけです。文字通りお金をどぶに捨てるようなものです」
「でも、値引き後の新しいプランなら、マンション経営の収益もぐっと改善されます。解約すればマイナス440万円になる筈だったものが、プラス280万円になる訳です」
「解約した場合と比べれば、なんと720万円もお徳になる訳です。決して悪い話ではないですよね?」
などと、値引きの提案があった。 |
何か数字のトリックのような気もしたが、新しく作り直された収支プランを見せられ、担当者から説得を受けているうちに、440万円もの違約金を払うよりも、新しいプランの方が良いように思えてきた。
結局、解約はあきらめ、契約を継続することにした。 |