ある日、職場に電話があり、資格教材の勧誘があった。
「通信講座のご案内をしています。行政書士の資格に興味がありませんか?転職や独立開業に役立つ資格です。」
「通信教育で資格取得に向けた勉強ができますので、仕事の隙間時間を利用して合格を目指すことができます」
「いまなら資格取得に向けた助成金も利用できますので、資料をお送りします」
などと説明を始めた。
資格には興味があったので、資料だけなら見ても良いと思った。電話で名前や住所、電話番号などを伝え、軽い気持ちで資料を送ってもらうことにした。 |
数日後に送られてきた封筒の中には、資料に加え、なぜか契約書とクレジットの申込書が入っていた。
書類が届いた翌日、担当者から再び電話がかかってきた。会社独自の合格返金制度もあり、この時点では資格取得に興味があったので、通信講座を申し込むことにした。
契約書とクレジット申込書にサインをして、販売店に返送した。
2週間ほど経ってから、段ボール箱に入った教材が届いたが、その後仕事が忙しくなり、結局勉強はしないまま、クレジットの支払いだけは続けていた。 |
契約してから数年が経ち、クレジットの支払いも終わった。もう通信講座のことは忘れていたが、再び勤務先に電話があった。
「あなたが5年前に契約した行政書士講座ですが、まだ行政書士に合格されていないようですね」
「この講座は生涯教育の契約ですから、資格試験に合格するまでが契約期間となります。講座の受講期間はまだ続いています」
「その後の法改正で古くなった教材を、新しいものに買い直していただき、合格を目指して受講を続けなければなりません」
「公的な助成金を受けている人材育成事業ですから、資格試験に合格しないまま勝手に止めることはできません。それでは助成の趣旨に反します」
「もしどうしても辞める場合は、自宅学習に切り替えて勉強を続ける必要があります」
「自宅学習用の教材に切り替えて、自宅学習を続けることにより、特例として、通信講座を修了したものとすることができます」
「助成金の目的に違反しないよう、自宅での学習は必ず継続して下さい」
「通信講座の受講を継続する場合は、受講料と教材費で80万円が必要となります。これは資格試験に合格するまで、定期的に必要な費用となります」
「ただ、今回特例として自宅学習に切り替えた場合は、教材費用として40万円だけで済みます。費用の負担は今回で最後となります。今後、受講料が発生することはなくなります」
「受講を継続しますか?それとも、自宅学習に切り替えますか?」
と言われた。さすがに今回はおかしいと思い、断ろうとしたものの、
「生涯学習の契約ですから、資格試験に合格せずに、勝手に止めることはできません。公的な助成を受けているので、当社の信用にも関わります」
「今回、特例としての契約をしていただければ、これが最後となります」
と、しつこく勧誘を受けた。
「今回で終わりなら・・・」と、つい契約をしてしまった。 |
しかし、次の年、また同じように「今回が最後ですから」と勧誘が来た。
「去年も契約した」と断ろうとしたが、
「まだ合格していないですね?」「大幅な法改正がありましたので、自宅学習とはいえ、教材を新しいものに買い直していただく必要があります」「今回こそ、本当に最後です!」
としつこく主張された。話しが滅茶苦茶に感じたが、あまりにしつこい勧誘に、段々と面倒になり、「今回こそ本当に最後ですよ」と念押しして、再び契約してしまった。 |
本当に生涯教育の契約になっているのか、不審に感じる。しかし、一番最初にした契約書は、既に捨ててしまったため、本当かどうか確認ができない。 |
さらに、最近になり、似たような会社名の、おそらく別の会社の人からも電話が来るようになった。
「会社合併により、あなたの契約は当社に移管されました。当社が合併後の存続会社です」「講座の継続受講が必要となりましたので、教材の更新手続が必要です」などと言われたり、
よくわからない業者から、「過去に通信講座の契約をしませんでしたか?」「電話勧誘に困っていませんか?」「被害救済ができるかもしれません」という電話が来るようになり、気味が悪い。電話に出るのが不安に感じる。 |