治療・援助チームを利用する ~みなとネット21の実施体験に学ぶ~

6月家族会勉強会 講師 慶應義塾大学医学部精神神経科 水野雅文先生

はじめに
 きょうは病気そのもののお話ではなくて、もう少し大きな意味でシステムということについて、皆さんに精神医療について考えていただくきっかけとなるような話をさせて頂きます。実は、私共が試みとして行っている地域のボランティア活動がありまして、それは「みなとネット21」というグループです。この団体は都内港区で地域の中で精神障害者を支えていこうと、それにはどんなことが必要か、どんなことが可能かということを運営しながら検証していこうというプロジェクトです。

イタリアでの経験
 私は93年から95年までイタリアのベネチア、つまりベニスですね、ここの近くにあるパドバ大学に留学していました。この大学はできたのが1200年代という非常に古い大学で、皆さんもご存じのガリレイ・ガリレオというような人たちが講義をしていた大学です。

 イタリアには精神医療が古くからありましたが、日本で知られていることは1978年にイタリアは精神科の病院を閉鎖してしまったことですね。これは当時の社会主義のダイナミズムがヨーロッパにありまして、人権思想が非常に強かった時代です。フランコ・バザーリアというファドバ大学の講師がゴリチアという近くの町の精神病院の院長として赴任します。

 イタリアの精神病院は非常に大きくて、しかもほとんどが公立です。しかし、その中の処遇・アメニティーが非常に悪かったのです。石造りの壁、高い天井の病室に大勢の患者さんがいました。日本の民間の精神科の病院はそのほとんどがきれいで、費用の割には良くできていると思いますが、ヨーロッパの病院は大きくて、アメニティーが悪いということがあります。中には1970年代というと、薬が出てきてはいましたが、大方は薬で強く抑制されていた患者さんが多くおりました。

 こうした状況になんとかしようと、全国的に精神病院を閉鎖しようという運動が起こりました。それが形になったのが1978年、イタリアの国会議決で精神病院への再入院の禁止が決められました。再入院の禁止ということは当時の医療ですからスキゾフレニアになると、一度入院して退院すると再発する方が当然おりますが、再び入院ができないということです。従って精神病床が減ってくるだろうと考えました。今、日本が行おうとしている社会的入院をなくそうという問題が、イタリアでもこの当時に問題としてありましたが、そう簡単には地域には帰れなかった。

 さらに2年後にはイタリアは新規の入院も禁止するということを行いました。そして、同時に地域の公立総合病院の中に精神科入院病棟を作って、最大で16床を守るようにと決められました。入院の期間も限定しました。さらに地域の受け皿に当たるリハビリ施設を作るよう議決されました。しかし、イタリアは地方分権が進んでいて、国会で議決されても地方によって進んでいる州と進まない州がありました。結果的にはイタリアの保健(厚生)大臣が精神科病院が閉鎖されたと宣言できたのは2001年になってからです。

 ですから約20年かかって、当初約15万床あった病床が全てなくなりました。それは20年かかったとはいえ、非常に劇的なことでした。その間、精神的な病気の患者さんは精神科病院に入院できないわけで、その方たちはどうしたか。私はもともと精神医学の勉強にイタリアに行ったわけではなくて、専門の神経心理学の分野で研究に参りましたが、臨床的なことにも関心がありましたので、施設なども見て来ようと思っていまして、それに何よりも地域で患者さんがみられているはずだが、果たしてどのように行っているのか疑問をもっていろいろな施設の見学に行きました。

トリエステの町で
 イタリアは南北に長い国で、実施状況は地域差がありまして、南の方はラテン的で大らか、北の方は律儀で、まじめ、熱心な勤労者が多い地域ですが、この地方のトリエステという町に行ってみました。人口25~6万人、ユーゴスラビアと接して、イタリアの奥の軍港の町、政治的には左翼的な町、精神医療では熱心な町と言えます。

 イタリアの辺境の町への税制優遇政策の恩恵を受け、ある種豊かな町です。それゆえに社会福祉への資金も使えるということで、改革を進めるには都合のいい条件がありました。そこで、実際に患者さんをどんな風に診ているのかをみてみました。精神病院はないわけですから、そこでは、往診のシステムが盛んに行われていました。訪問といってもお医者さんと看護婦さんが行って、ただ注射して帰ってくるのとは違いまして、社会資源がたくさんあって、生活施設もあれば、作業所のような働く施設もあって、そうしたトータルなリハビリテーションを地域でやっていけるようなシステムがあって、私としては驚きをもって見てきました。

 さらに大事なことは、その治療をするスタッフが、認知行動療法、心理社会的な治療技術をもっているということです。それからお薬についての知識も看護師さん、保健婦さんとかがもっているということ。そういう人たちが各家庭を訪問して、包括的なアプローチを家庭で行っていることです。

 ここで大切なことはソフトウエアがしっかりしていることです。どんなに箱もの(建物)をたくさん作っても、そこでどんな風に利用していったらいいか。どういう症状の人にはどういう治療か、あるいはどんな注意が必要か、それがスタッフにも判っているし、同居する家族の方にも判っていませんと、数少ない社会資源を活用するということは難しくなってしまいます。ですからそういう意味でイタリアはある日突然精神科病院をなくしてしまって、極端にいえば翌日から入院できないということです。

 すると、患者さんが町に出てくるわけです。何の準備もなければ当然大きな混乱が起きるわけです。その部分はあまり報じられませんでしたが、評価された部分の裏では悲惨なこともあったようです。でも、それは退院できて良かったという人が多くいたということでもあったわけです。そこのところのバランスを当事者や家族と市民がどういう風に考えていくかという議論をしなければいけないと思いますが、実際は報告されていません。

地域医療のソフトウエア OTP
 それはさておき、そういう状況があると、何とか地域で見て行かなければならないわけで、みんな熱心にならざるを得ないことになります。そこで必要なのはソフトウエアです。箱ものは税金でできます。病院はなくなりましたし、医者は地域に出てきます。いいことはたくさんありますが、もっている技術が病院で一人の先生が1日100人を診ているという技術だけでは地域で診ることはできません。そこでイタリアは各州、各県が独自に病院を運営しますが、それぞれのところでいろんな良いと思われるプログラムを取り入れて、独自のものを作っていくわけですが、その中で、そのニーズに合っていたのがこのファルーン先生がやっていたOTPというプロジェクトだったわけです。

 そのコンセプトは非常に多職種のチームワークで、ご家族を巻込んで治療していくというところが、大きなポイントではないかと思います。多職種のチームが包括的なアプローチをする上で、決して薬物療法だけを強調するのではなくて、認知行動療法と言われているものですとか、SSTとか、そういったものをトータルに活用しながらアプローチをしていくというものです。

 その中で、スタッフは経験則にとらわれない、この前うまくいったから今回もやってみるというものではなくて、エビデンス(証左)と呼ばれていますが、科学的に2つのグループを比較してどっちのやり方がより良かったかが検証されている方法をきちんと集めてきて、明らかにいいと言われているものだけを、患者さんに提供する。例えば新しい薬が出てきますね。それについての評価ですとか、使い方などを絶えずリニューアルしながら最新のものを提供していくシステム、スタッフのトレーニング方法、そういったものがトータルなパッケージになっているのがこのOTPというアプローチです。

 このようなソフトウエアが概念として存在して、そして、しかも身近なところで地域の中で患者さんをみていく。これがどれくらいの地域かというと、例えば、何丁目は◯◯先生、××丁目は△△先生という単位で区割りになっています。あまり区割になっていて、そこに出前の先生がやってくるということは逆に極端に進むと、障害者の登録制みたいになってしまうという危険もありますから、必ずしもいいことばかりではありませんが、イタリアやイギリスのモデルはこのようになっています。主に公立の施設から訪問がされています。もちろん通う施設もあります。つまり地域の中で患者さんを診て、そしてその急性期もそこで乗り切って、1週間、2週間の総合病院への入院はあっても、それをやった上で最終的にはその地域で診ていくということです。それが大きなコンセプトです。

みなとねっと21
 私は当時3ヵ所ほど精神病院に勤務したことがありましたが、日本の精神医療とは全くコンセプトが違います。これは非常に驚きでして、たしかに良いところも多々ありますが、学会などで本を紹介するだけじゃなくて、たとえば日本の地域の中で実際にやってみるとどうなるか、どういう条件を整えると実施が可能であるか。それと同じように日本で実験的に試してみようということで始まったのが「みなとネット21」というプロジェクトです。

 これは、明治学院大学の村上先生という私の同僚がいまして、その先生といつも一緒にやっています。私も新宿区民ですが、都心で発病して措置入院になるとその日の当番病院へ運ばれてしまいます。私は一時新宿から40キロほど離れた八王子の病院に勤めていたことがありましたが、患者さんの住所をみると都心から入院している人がいっぱいおりました。そういう方が退院できるまでに回復し、いざ退院となります。その時主治医はお薬はきちんと飲んでください、通院してください、リハビリでデイケアに通いましょう、と正しいことを言います。

 しかし、患者さんは片道2時間、40キロの道を通わなければなりません。診察時間はわずか5分か10分です。こんな非効率的な治療は病気だからできますが、ほかのことでしたらとてもできませんね。また、この病院にもPSWの方がいました。ところがPSWはこの病院のある町の社会資源でしたら判りますが、40キロも離れた患者さんが住む町のことについては何も知りません。

 そうしますとリハビリ施設に行きなさい、というのはいいのですが、じゃ自分で探して行けますか、それはなかなかそうはいきません。だいたい初めてこの病気になった方は、それまで全く白紙状態で、保健所すら知らない人が大部分です。ましてや精神障害者の社会復帰施設がどこにあるか、などというのは知るはずもありません。

 そのようなことを考えると東京都というのは横長の形をしていて、精神障害者の施設というのは多摩地区、世田谷区に集中しています。山の手線の内側にはほとんどないに等しいです。荒川区、足立区にはいくつかありますが、江戸川区や江東区にはありません。こうした施設の偏りが問題となってきています。

 一方、港区は精神科の入院ベッドがないんです。慈恵医大がありますが大学病院ですから地域のための施設ではありません。港区は人口も少ないことから一つの区域として取り組み易かったということがありました。その数少ない社会資源を結び付けて地域で患者さんをみていくということを試験的にやってみようとしたのが「みなとネット21」だったのです。

 普通は保健所の地区担当がこうしたことをやってくれるものですが、保健所もほかに感染症、老人問題など、他にやらなければならないことが多々あり、精神障害者の問題にばかり手をかけられないということがあります。そんなことからみなとネット21は保健所からも協力を得ています。

 これはあくまで試験的な活動で、これで港区で起こった事例をすべて把握できるかとか、どんな病状の人も診れるとか、そういうものではなくて、長い入院から帰って来た人たち、または新しいケースの不幸にして病気になってしまった人たち、そういう人たちを再入院させないで一山ずつ越えていく方法を提示しようとしています。それがうまく行けば他の地域でもできるはずで、そのソフトウエアとか、やり方、方法論を学会等で発表して他の地域でもやって欲しいと願っているものです。

 今年の5月末に日本精神神経学会で「精神医療奨励賞」を頂くことができました。これは学会が優れたモデルとしてお墨つきを頂けたわけです。この地域の中でみていくことのメリットとして、一つはアクセスの良さがあります。精神科というとどうしても敷居が高いということがあります。心理的にも物理的にも寄りやすい、ということが大事なことだと思います。ですから40キロも離れた八王子にどんないい病院があっても物理的に行きにくい。それは治療の連続性においても大事なことです。

アカウンタビリティ
 2つ目はアカウンタビリティと呼んでいますが、そこで提供されるサービスの内容が透明性があるか。きちんと責任性をもって利用者に内容が公開されている、説明されていることです。

 病院で働いていると、その病院の流儀というのがあります。何とか病院風とか、何とか先生の処方とか。これはその薬しかない時代はそれでよかった。しかし、薬はどんどん新しく開発されますし、病状は脳の中で起こっていることが同じであっても、時代とともに症状は変ります。患者さんの感性も変ります。ですから、固定したものでは良くありません。説明責任を果たしつつ、時代に合うようなサービスがいつもしなやかに変化できるという、アダプタビリティと呼んでいますが、適用能力の高いものでないといけないということです。

 どうしても一回流儀が決まってしまうと、それでずっとやっている方が楽ですから、例えば新しいお薬を使うとか、新しく職員を教育するとか、こういうことは時間もお金もかかることで、なかなか難しいことです。毎日、同じスタッフで同じことをやっているというのはどうかなと思います。

地域医療の課題
 このように地域で治療を行っていく上での大事なことは見えてきたのですが、やはり情報をネットワーキングしていくということが実は一番難しいことでして、港区の中に作業所が一つ、兄弟姉妹の会などいくつか精神障害関連の施設や活動がありますが、初めてこの病気と出会った人はそのようなことは全く知りません。ですから、あそこへ行けば精神障害のことは全て判る、というような所が必要だろうと思います。

 みなとネット21はそのような情報提供という役割を大事にしていこうと思っています。地域の中でできるだけ多くの人に知っていただいて、メンタルヘルスの問題を一般の方に身近に感じていただくことが大事だろう思っています。

 例えば年金の話だとか、病院の話、幅の広い地域の情報として判ってくる、そういうシステムを作っていきたいと思います。これを是非他の地域でもやっていってもらいたいと思いますが、地域によって手持ちの社会資源は異なりますね。また、地方では都心部と違って距離感も異なりますから、これも問題となるでしょう。

 今後の課題としては7万2千人といわれている社会的入院の方たちが退院してくるときにいろんな意味で退院する場所を作らなければならない。イタリアでは、精神病院の再入院を止めたあと、病院の建物は残るわけで、これを患者さんの居住施設として利用したわけです。この集合的に住んでいる患者さんに医療サービスが配達に行く、というスタイルにしました。さらに、患者さんはここからリハビリ施設に出かけて行きやすい雰囲気を作りました。

ささがわプロジェクト
 このように都心部での地域医療のモデルを作っていくと同時に、精神科病院から地域に出て行くときに病院のある地元で援助して行くような、そういうプログラムも大事になってきます。

 それを実践したのが、郡山にあるささがわホスピタルで病院をやめてささがわプロジェクトになってささがわビレッジという住まいに変りました。去年の3月末で約100床あった精神科病院を閉鎖し、建物をその後に作られたNPO法人に寄付しました。また、それまで働いていた医師や看護婦さんは引き上げて、元いた患者さんたちの自主運営としました。ここに地域生活支援センターが敷設されて、患者さんはこのOTPのプログラムを使って地域生活の技術を学び、治療は地域の病院から医師が訪問して行うという形ができ上がりました。

 これはある種、みなとネット21の応用型で、このように各地に広がっていくことで、地域毎の特性を活かしたサポートのシステムができてくるものと期待しています。

ACT(Assertive Community Treatment)
 国の方でもようやく本格的に地域で患者さんを診て行こうと、一つの試みを始めました。それは新聞でも紹介されているACT・アクトですが、千葉県市川市の国府台病院で、退院した患者さんで度々再発を繰り返す方を往診することによって、地域で診て再入院をさせないようにとする試みです。

 これは比較的重症の患者さんを想定していまして、今回の厚生省7万2千人の社会的入院をなくす方針とは異なります。つまり重症の方にACTのやり方で、地域医療は患者さんの病状とか家庭環境、地域の特性などが様々ですから、サービスも多様なものがあった方がいいのだろう思います。

 私たちのみなとネット21は家族の方がいるというのが前提です。入院をするよりは地域で生活するのが中心で、そうすると家庭の中とか、職場でとか、そのような水準のところでトラブルが起こってくる、それがストレスになって再発につながる、というところがターゲットにしています。

 これだけで世の中のニーズに全て応えられるとは毛頭思っていません。昨今の非定型精神病薬が出てくるような精神科医療が手近になってきて、早期治療が行われる時代では、ご両親の保護下で治療が始まるわけで、そうなるとご家族、地域の中で行われる治療となり、20年後くらいまでの将来を見据えた治療体系作りを行う必要があるだろうと考えます。

 きょう、お集まりの皆さんの中には、それは次世代の話として受け取られる方もいらっしゃると思いますが、これはもっと大事な社会の問題で、次ぎの時代に送る人類の知恵として早期介入とか早期のサポートシステムがもたらすメリットを強調することを応援していただきたいと思います。

DUP(Duration of Untreated Psychosis)
 DUP・精神病未治療期間というのがありまして、幻覚、妄想など明かな精神病の症状が見えていながら治療に入らずにいた人が始めて薬物療法に入るまでの期間のことです。これを慶應病院で調査したところ、平均で約13ヶ月です。

 このデータは諸外国と比較して悪い数値ではありませんが、しかし、早期発見、早期治療は全ての病気にいえることで、ご家族からすればもっと早く治療をすればよかったと悔やまれることです。では、なぜ精神科医療では治療に結びつくのが遅くなるのか。それは、やはり精神科というのはアクセスしにくいということがあります。あるいは「まさか病気だとは思わなかった」とか、独り言は誰だって言う、風呂に入らない人だっている、引きこもりは周りにいっぱいいる、というご家族がほとんどです。

 私自身、中学時代に体の仕組みや機能について学びましたが、心の問題が脳機能の反映であること、あるいは脳にも病気がある、ということは全く学んでいません。誰も教えてくれませんでした。そして病気なると、青春期という一番大切な時期を治療という時間に費やしてしまうという不幸に見舞われます。こうしたときに、早期発見、早期治療に結びつける意味からも、私たちの活動が働きかけられればいいと考えます。

 新宿区にはみなとネット21のような活動はまだありませんが、精神科病院はいくつかありますし、比較的資源としてはそろっているのではないでしょうか。しかし,一方では大きな繁華街とかもあり、様々な顔をもつ区域といえます。ですから区の行政単位というものが、福祉や医療という面で充分応えられるものかということを住民の一人として疑問を持ちます。ま、それはさておき、新宿区やその他の区、町でも、こうした家族会、当事者会などで、できるだけ情報を集約していって、早く治療に結びつく、普及啓蒙活動をアドボカシー(立場や運動を擁護する、実態を示して理解と支援を求める)として声をあげていただくことが大切だろうと思います。

終りに
 きょうのお話は港区がこんなにいいことをやっているから、皆さんの街でもどうですか、という話ではなくて、こんな形で精神医療が抱える問題点を切りとって、ある形での、ある場所での解決方法、試みとして行っているものとしてお話しました。

 私たちは活動を通して、費用がどれくらいかかり、何日かけて、どれだけ良くなったかといったデータをまとめています。ですから、他の地域でこれらのデータを元に検証したり、他の行政でもこれを取りいれたりした場合、どのようなメリットがあるか、を検証することも可能です。入院施設を30万床維持していくよりも地域医療というのはずっとお安く済みます。そして成果もずっと高いものが得られます。

 手厚いサービスというと、コストが掛かると皆さん思われますが、箱物維持の方が余程掛かります。地域医療とはどのような形が望ましいかを優先して考えるべきだと思います。

(途中ですが紙面の都合で終わらせていただきます)

みなとネット21へのお問い合わせ
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電話 : 03-5414-2925
FAX : 03-5421-5563
E-MAIL: minatonet@hotmail.com

勉強会講演記録CDの2枚目が完成しました。
フレンズ編集室では講師の先生方の講演記録を生の声で聞いていただこうと、CD制作を行っていきます。
まず第1弾として、9月勉強会で講演していだいた曽根晴雄さんです。詳細

タイトル『ちょっと私の話を聞いてください』  
 =聞けば見えてくる・精神分裂病当事者が語る患者の本音=

 家族は患者本人の気持ちを知っているようで理解できていません。二十数年間この病気と戦って来た曽根さんが、自らの体験をもとに訴える精神病者の苦悩、怒り、病気のこと、希望、それはすべての精神の病いに侵された人たちの声を代弁しています。
 また、当事者仲間の先輩として語る内容は、回復しつつある皆さんのお子さんが聞いても大いに励まされます。
 そして誰よりも聞いてもらいたいのは、分裂病を全く知らない人たちです。”もしあなたのお子さんが病気になったら”という目的の他に、各地で取りざたされる障害者の事件の度に生まれる誤解や偏見を防ぐためにです。一般の方に呼びかけてください。

第2弾は
「心の病を克服 そして ホームヘルプ事業へ」 
大石洋一さんです。詳細

収録分数;61分 CDラジカセ、パソコン、カーステレオ等で聞けます。
価格;各¥1,200(送料共、2枚同時申込の場合2,270円)
   申し込みはフレンズ事務局へ E-mailでお申し込みください。frenz@big.or.jp
発売:平成14年1月
企画・制作 新宿フレンズ編集室
(新宿家族会創立30周年記念事業)

編集後記

 長く梅雨空が続いている。その重たい雲の下で、なお重たい事件が続いている。中学生の殺傷事件、小学生監禁と自殺、ほかにも人命が失われる事件が続いている。

 このように相次いで引き起こされる殺傷事件のニュースを知るにつけ、明らかに自分がニュース慣れ、あるいは事件慣れしていることに気がついた。それは人命軽視の事件そのものの怖さ以上に怖いことだと思う。「慣れ」が求められる場合もある。しかし、この人命軽視に対する「慣れ」は、社会の大きな波となったとき、「戦争」という二字に変貌せはしないかと危惧する。

 政府はイラク特措法を成立させた。骨子をみると、イラク復興と銘打っているが、要するに自衛隊の活動地域を海外まで広げ、武器使用も自己防御としてあり得るとして、認めている。ここにも「慣れ」の原理が働いている。

 そして、気がつけばいつしか、日本は立派な戦争大国となっているのか。怖いことである。                                          嵜