その他の統合失調症関連の障害 147

●回復とは

 私の分裂病の回復の過程からわかったことを聞いてください。

 1)幻覚、幻聴、妄想があって、病院のお薬をのんで、毎日毎日寝てばかりいた時期。起きるのは、便所へ行く時だけ。フロにもはいらん。2)家の外へ出たくない、人とつきあいたくない、家の中でボケッとしていた方が楽しい時。外出すると、人が多数いるところは神経がつかれてイヤな時期。3)家の外へでるのが楽しい時。バスにのって、町を歩くと気分のいい時期。でも、人とつきあう能力はまだ回復していない時期でもあります。4)人とつきあえる時期。人と話をして、相手の話を聞いて、適当なあいづちのうてる段階。5)企業社会で働いて、職場の人たちのつきあいをさばいて、会社から給料をいただける段階。

 病気の回復の段階、私のくぐりぬけてきた世界からわかったこと。1)病気の段階。まちかっと考えや見えないものが見える。聞こえない音が聞こえるのが強い時期。2)病気っぽい段階。このところで、多数の恵者さんたちが悩んでいると思います。この時期は、心が眠っています。気持ちの中へ感動を生じるものをつくることが大切と思います。心を生き生きさせることが大切です。3)ふつうっぼい段階。ここまでくればしめたものです。眠っている労働能力を少しずつきたえ、みがき、訓練してゆきます。この時期は、かなり社会参加をすることができますので、いろいろな人と会い、「場」をふんで、行動がいきいきしてきます。人間的に成長し大人になったなあと感じる時期でもあります。4)ふつうだなあという感じのする段階。もう働けます。健常者の友だちもいます。つめたい、きびしい愛情も消化して、成長してゆきます。5)病人から健常者へもどる、薬のいらない段階。お医者さんのいらなくなった段階。私はここはまだわかりません。

図6 統合失調症患者の回復の体験から

〔曽根晴雄:仕事復帰のために一私の体験からわかったこと,精神障害者の主張---世界会議から,
pp.40-41,解放出版社]994より〕