抗精神病薬の急性期と安定期の違い

4月 勉強会より 講師   桜ヶ丘記念病院医長   有泉 博 先生

司会(福田)皆さん、こんにちは。きょうは司会をやっている岡崎さんが仕事で沖縄、九州へと出かけてしまったため、私が司会をやらせていただきます。まず、こちらに東京ドロップインセンター・あけぼのの沢田さんからご報告あるそうなのでお話をいただきたいと思います。

沢田 
実は、岡崎さんさんが「フレンズ」のインターネットホームページを出していますね。それで私のやっているドロップインセンターも出してもらっています。私はインターネットなんてハイカラなことを知らないけど、最近になってその効果が現われてきました。先日、私たちが行っている集まりにいきなり見知らぬ人が入ってきました。その人はインターネットで見て来た、といっていました。私はインターネットのことは話には聞いていましたが、その人がコンピュータをもって来たのではじめて見せてもらって、きれいなカラー刷り(・・・?)で、あれはいい宣伝のチラシ(・・・?)ですね。あれを見たら誰でも来たくなりますよ。まあ、そういうことで来てくれた方は男性、女性二人でしたが「大歓迎」と申し上げました。改めてフレンズ編集部にお礼申し上げます。
さて、話は変わりますが、私の主治医は全国を講演して歩いています。その先生の話の中心は「患者さんに対して看護婦さんが100回説得しても、あるいは医者が200回説得してもだめだ。看護婦や医者にそんな能力はない。一番説得力があるのは当事者同士である」ということを言ってます。つまり「当事者同士のピアカウンセリングが絶対だ」といっています。
新宿区内で、ドロップインセンターあけぼののピアカウンセリング(当事者同士が語り合うカウンセリング)事業は1年間で1千件を超えています。精神科の治療には当事者同士の会話が最も有効であるということが言えます。だから、医者は薬のことや診断などで資格を持っていますから、これらについての医療行為を行います。従って、私は当事者同士のピアカウンセリング、相談会を全国的に行うことを進めたいと思っています。
ところが、こういう話をする先生は少数派です。しかし、心あるお医者さんというのは皆そう言います。お医者さんが治療する部分は1割、あとの9割は当事者同士が行うカウンセリングといえるでしょう。ここが精神障害が他の障害と大きく違う部分でしょう。それはなぜか。やっぱり精神障害は心の病いであることです。だから、立場を同じくする者が心を開いて、お互いに話し合う、これが1番の治療だといえるのです。私たちがこの1年間当事者同士のカウンセリングを1千件以上も行ってきたことは間違っていなかったと思っています。
私のところに電話での相談はほとんど毎日きます。夕方から夜にかけてラッシュとなります。地区は都内に限らず九州、北海道からもきます。先日も新潟の方がきました。
ところで、問題はこのカウンセリングに対応できる人材づくりです。全国に200万人いる当事者が、全員ピアカウンセリングができれは全く問題ありません。都内に限っていえば、本当にピアカウンセリングできる当事者は10人もいないでしょう。外国ではピアカウンセリング事業というのは完全に定着しています。ところが、日本にはじめてこのピアカウンセリングという言葉が使われたのは8年程前です。そしてようやく最近になってこの言葉が行政でも使われるようになりました。また、実際この活動が徐々に定着しつつあることもあり、今後に期待できるものがあります。
私は新宿家族会の理事でもあり、ドロップインセンターの主宰者でもあります。フレンズのインターネットをはじめ、様々な形で家族会、当事者グループが共存・協力関係で発展していきたいものと思っています。よろしくお願いします。

司会;はい、ありがとうございました。こうしたことから精神医療の世界も新しい時代を迎えつつあることを感じます。
さて、去る4月9日、文京区において中部家族会連絡会がありまして、私が新宿家族会を代表して行ってまいりました。前半、各家族会の活動内容が報告されたましたが、非常に区によって活動に幅があることを感じました。ある区では区をあげて精神障害に取り組んでいるところもありました。この4月にスタートしました介護保健のホームヘルプ事業に家族会として取り組んでいるところもいくつかの区でありました。皆さんとの話し合いでは家族会活動の3本柱が示され、1つは家族同士の話し合いと情報交換の場。2つ目は専門家の話を聞くなどの学習の場。3つ目は運動で、国や行政、あるいは市民への働きかけや社会改革という行動を起こす場。特に3番目は考えることでなく行動することであると強調されました。新宿区の場合は斎藤さん、熊谷さん、西山さんといった先輩の方々が大変な努力をされて今日の土台を作り上げてくれたと思います。これからは私たち後輩がどのように引きついでいけるかに掛かっています。皆さまといっしょに新宿家族会を発展させていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
ところで、新宿家族会では来月クラブハウスの方をお呼びしてお話を聞くことを予定していますが、私は2月に「クラブハウス世界会議」に参加された方々の報告会の話を聞きに行きました。ここでもアメリカのファウンテンハウスの自助グループの報告がありました。日本でもこうした動きができつつあります。来月ここに来て話してくれるクラブハウスはばたきの方々もその一つだということです。
さて、ほかにどなたか話題のある方いませんか。

Kさん
私は先日東京つくし会・下半期講演会にいってきました。「保護者問題・救急医療についての精神保健福祉法改正を巡って」という話を聞いてきました。
現在精神障害以外の救急医療には救急車が来てくれますが、精神障害の場合は来てくれません。しかし、今後は保健所に連絡し、指定医がその家に派遣され診断し、入院の必要が認められれば、その後救急車が来るということになりました。
ここで私は2つばかり気になることがあります。
1つは、以前私の家族が年末、交通事故に遭い救急車を呼んだことがあります。私はこの時、はじめて救急車に乗りました。そしたら消防隊員がこう言いました。「今回は珍しくやりがいのある救急作業だ。年末年始は酔っ払いの保護ばかりでいやになってしまう。トラ(酔っ払い)は暴れて救急車には乗らないし、嘔吐はするしだから」つまり、救急車は酔っ払いならすぐ来てくれるんです。精神障害の場合はどんなに患者がフラフラになっていたり、暴れていても救急車は来てくれません。これについて私は会場で質問しました。そしたら「検討しておく」とのことでした。
2点目は法改正によって、最初に保健所に連絡し指定医がきます。そこで患者本人が落ち着いていれば「入院の必要なし」と診断されるでしょう。しかし、患者は指定医が帰ったあとにまた症状を出す場合屡々あります。そこで、私は聞きました。「そのような場合、すぐにまた保健所に連絡すれば、また指定医は来ますか」と。そしたら「それは難しいでしょう。そのような場合は患者が暴れて周囲に危害を及ぼすようになれば警察による措置入院として扱われるでしょう」ということです。皆さん、どう思われますか。以上です。

司会;ありがとうございました。先生がお見えになりましたので勉強会に移りたいと思います。予定では岩下先生でしたが、岩下先生も所用で来られないということで、きょうは以前に何度か新宿家族会でお話ししていただいたこともある有泉先生にお願いしました。有泉先生は岩下先生同様、桜ヶ丘記念病院精神科医師です。それでは先生よろしくお願いします。

有泉先生:きょうは「抗精神病薬の急性期と安定期の違い」というテーマですが、基本的には急性期も安定期も薬の内容が変わるということはありません。変わるとすれば量とか飲む回数とかに違いがあります。
精神科の病気には色々ありまして、一番多いのがスキゾフレニア(分裂病)で、珍しい病気ではなく発症頻度が高い病気です。それから躁鬱病、神経症、てんかん、頭部外傷後遺症、症状精神病、最近増加傾向ある老人痴呆などが精神病といわれるものです。きょうはその中でスキゾフレニアを中心にお話します。
スキゾフレニアは精神科の病気では頻度が高いといいましたが、その発症の原因については明確にはわかっていません。それでも脳をはじめとする神経系に代謝の障害があるのではないか、といわれています。それは神経と神経を結ぶ接合部で化学的な物質が他の人よりたくさん出ていることであるということです。
神経伝達物質としてドーパミンがあります。スキゾフレニアの方はこのドーパミンがかなり出ているわけです。ドーパミンが増えることによって、患者さんはいろんな情報が入ってくることです。だから普段考えなくてもいいようなことを考えてしまう。たくさんの情報が無秩序に入ってきてしまって、抑えきれなくなってしまうのです。したがって精神科の治療はこのドーパミンを薬で抑えることです。
そこで、精神科の薬について説明しますと、向精神薬があり、その中に抗精神病薬、感情調整薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬、副作用止めなどがあります。スキゾフレニアでは抗精神病薬、副作用止め、睡眠薬が中心です。

抗精神病薬というのは、神経と神経を取り持つドーパミンがたくさん出てしまうのを遮断する働きがあります。具体的な働きとしては1つ目に幻覚・妄想を抑えます。2つ目が興奮とかイライラを抑える働き、3つ目が引きこもりを改善する働きがあります。
病気の進行状況によって症状が違いますので、薬もそれに応じて使い分けをしていきます。薬の種類によって先ほどの3つの働きの度合いが違います。従って、病気の症状に合わせて薬を使い分けていくことが行われています。
まず、急性期においては1つ目の幻覚・妄想の効果が大きいものや2つ目の興奮、イライラを抑える作用が大きい薬です。しかし患者さんによっては経口では飲めない人とか、一時的に大量の薬が必要な場合、注射による方法も取られます。注射は胃や腸を経由せずに直接血管に投与できるのですぐに効果を表します。ですから急性期の薬というのは1番とか2番の効果が強く表れる薬、それに量を多くしたりして症状が早く治まる方法が取られます。この代表的な薬というとレボメプロマジンで、商品名はレボトミン、ヒルナミンとかです。
幻覚・妄想を抑える薬で最も一般的に使われているのがハロペリドールで商品名がセレネースですね。これらの薬を使いながら急性期の症状が治まってきたら、これらの抑える薬を少なくしていって3番目の引きこもりを改善するような薬に変えていきます。
しかし、急性期症状は薬で取り除くことは比較的容易にできますが、あとに残る引きこもりに効く薬というのはあまりないのです。強いて言えばPZCという薬があります。
また症状が落ち着いてきますと薬の量を減らし、飲む回数も3回から2回というように減らしていきます。ただ、気を付けなくてはいけないのは薬を止めてしまうと、3ヶ月後、6ヶ月後には飲み続けている場合の3倍から5倍の確立で再発します。
それからデポ剤という注射があります。一般の注射による薬は即効性が高いのですが、作用が消えるのも早いです。効き目が長いものでも2日位です。しかし、デポ剤は2週間から4週間位効果が続きます。再発を繰り返している患者さんがおりますが、こういう方は薬を中断しているケースが多いですね。こういう方にデポ剤は有効です。

ここまでで何か質問がありますか。

質問1:私の息子の場合、4週間に1回通院してお尻に注射を受けています。その他に薬を2種類、朝昼晩、それに就寝前と1日4回飲みなさい、と言われています。息子は薬を飲んでも飲まなくても同じだと言って飲まないことがあります。そうしますと飲まない翌日は急性期の症状がでます。それは暴れたり、ものを投げたり、怒鳴ったりします。そこで親は息子に薬を飲みなさいと言い、飲ませています。
ところが先月、私は息子の通院日に息子に同行しました。主治医に息子が薬を飲まないこともあると告げますと、主治医は「飲んでも飲まなくてもいい」と言います。私は、ではなぜ飲まなくてもいい薬を出すのかがわかりません。先生はどのように思われますか。

先生:難しいですね。デポ剤を打っているから飲まなくてもいいと言っているのかどうか。最終的にはご本人が自覚をもって薬を飲むことですよね。まあ、好意的にとれば、いずれご本人が気が付いてくれるだろうから、それまで自由にしたらいい、ということでしょうか。あるいは飲んでいる薬が副作用止めの薬なのか、ということですね。

質問:息子が飲んでいる薬の分類をみると抗不安薬になっています。

先生:そうですか。まあ、抗不安薬というのは薬としては弱い薬です。いわゆるマイナートランキライザーですね。ですから、治療の中心をデポ剤によっているということですかね。しかし、ではなぜ飲んでも飲まなくてもいいかということにはならないと思いますが、言い方の問題でしょうかね。飲んだ方がいいが、場合によっては飲まなくてもいいということでしょうか。

質問:それから、一時粗暴な行動が見られましたが最近はおとなしいくなって、朝起きてもまたすぐ寝ちゃったり、むしろ引きこもりかな、と思える感じです。3、4年前部屋を暗くして、戸棚にもぐっちゃったなんてこともありましたが、またそれに戻っちゃったのかなと心配です。

先生:3、4年前のそれは症状としてあったのですね。ご本人は怖くて怖くてしょうがないんですね。それはドーパミンがたくさん出ちゃって、いろんな情報が入ってきちゃったんです。回りが自分に何かするんじゃないか、というようなことで引きこもっちゃったと思うんです。一方では自己防衛で暴力を振るったりしたと思います。そして今おとなしくなっちゃった、というのは注射によるということもあります。まあ精神科の薬というのは強いですからね。それで寝てばかりいるということもあります。それから一つのことが長続きしなかったり、自信喪失になったり、やる気を失ったりということがあります。結果引きこもりになってしまうんですね。でも、お聞きする内容では回復に向かっているのではないでしょうか。

質問2:先ほど抗不安薬としてトランキライザーという名前が出ましたが、それは我々一般が薬局で買えるものと同じですか。

先生:同じです。

質問:それから引きこもりにPZCが効果があると言われましたが、それはどの程度でしょう。

先生:効果があると言われてはいますが、実際は難しいですね。ただ、一昔前までPZCや商品名でナーベンという薬が引きこもりに効果があるとされてきましたが、2、3年前にリスパダールという新しい薬が出ました。これが引きこもりに効果があると言われていますね。
リスパダールは幻覚や妄想を抑えたり、引きこもりにも効果があるとされていますが、イライラなどの鎮静作用は少ないとされています。

質問3:私の息子は19歳の時に受験に失敗して発病しました。いま22歳です。
再発を何回か繰り返しました。現在薬はアキネトン1mg、セレネース0.75mg、サイレース2mg、とそういう状況です。緊張すると目が上がることがありますが、素人ながらさらに薬を軽くしたいと思いますが、いかがでしょう。

先生:十分軽い方だと思います。病気を体験されたのあれば、再発防止を考えた場合、この程度はよろしいのではないでしょうか。目が上がるというのは副作用ですね。それでアキネトンが出ているのですね。

質問4:私の場合息子ですが、大学3年時発病したと思います。酒を飲むのことと食欲が旺盛になこと、しかも酒を飲むと乱暴な口調になったり、ステレオの音量を大きくしたりして困っています。本人は鬱病だと言ってますが、先生はスキゾフレニアだろうと言ってます。幻聴などがなくてもスキゾフレニアということがありますか。

先生:スキゾフレニアも鬱病のような症状を見せて入っていく場合もあります。それは経過を見なければ判断できないこともあります。

質問:私は鬱病とか神経症とか言われればそれほどショックはなかったと思います。しかし「分裂症」と先生から言われた時は本当にショックでした。

先生:それはきょうの話の冒頭にも申し上げましたが、スキゾフレニアはそんなに珍しい病気ではないのです。それから、現在は治療や施設が以前と比べて整ってきています。社会復帰対策もできてきています。ですから、かつてのイメージのものとは違ってきています。
それから質問の食欲が増えてきてしまったことについては、薬の副作用によるものであることもないではありません。ただ、太って来ることと比例して症状が安定してくるということもあります。ですから、そこは患者さんと家族で工夫してやっていくことかなと思います。

質問:工夫の具体的な方法は?

先生:まあ、食べる量をこれくらいで止めようよ、とか、体を動かすことを勧めるとかですね。
(休憩)

先生:では後半は薬の副作用についてお話しましょう。
抗精神病薬は鎮静作用が強いことが特徴です。そのことから患者さんは動きが鈍くなったり、やる気が無くなったりすることが一般的です。勿論病気の症状として動きが鈍くなることもあります。従って、安定期に入ったら薬はできるだけ少なくしていった方が望ましいわけです。
そのほか副作用についてはパーキンソン症状ということがあります。これは手が震える、涎が出る、歩きが小刻みになる、これらがでたら副作用だと思って下さい。これは安定剤の量を減したり、副作用止めの薬を飲むことですぐに治りますから、慌てなくて結構です。それから先ほどのデポ剤でも副作用が出る場合があります。
それからアカシジアという副作用があります。これは座っていられないのですね。足がムズムズしたりして。この副作用は患者さんにとって辛い症状です。
ジスキネジアという副作用もあります。これは舌が出てしまったり、口が自然に動いてしまったりします。
4番目には自律神経失調作用ですね。立ちくらみ、便秘、口が渇く、小水が出にくい、などがあります。
前3項までの副作用はセレネース、フルメジン、これらの薬に出ることが多いです。4つ目の副作用は鎮静力が強い安定剤に出ることが多いです。例えばクロルプロマジン、ヒルナミンなどに見られます。最後に悪性症候群という副作用があり、これが一番怖いものです。病院の中で見られる場合が多いのですが、興奮中にある患者さんに急に薬で抑えたりしますと高熱を出したり、筋肉が固まっちゃって動かなくなったりします。意識が朦朧として食事が取れなくなったりします。間違うと命に関わる副作用です。これは家庭では起こるようなことはないと思います。
精神科の薬は1951年にクロルプロマジンが出来たのが最初でした。それまでは物理療法などで、これ以降精神医療は急激に発展してきたわけです。少なくても急性期症状は治まることができました。たかだか50年足らずの歴史の中で、かなりの治療が行えるようになったわけです。
しかし、それ以前もそれ以降も精神病に対する偏見はありました。私が精神科の医者になったのが20年ほど前です。その頃は精神病院の不祥事があったりした時代でした。それらの歴史の中で、まだ充分ではないかもしれませんが、偏見というものもだいぶ改善されてきているのではないでしょうか。行政機関もそれなりに目を向けてくれるようになりました。法的な改善もされ、障害者プランが作られたりしています。社会復帰施設も徐々にですが出来つつある。これからもさらに改善されていくと思います。どうか皆さん頑張って息子さん、娘さんを見てやって下さい。(紙面都合で以下省略)

編集後記

 4月から5月にかけて仕事で沖縄、九州を巡っていた。その最後の取材が福岡市天神での博多ドンタクであった。パレードの撮影を終えて、タクシーに乗った途端、ラジオがバスジャックのニュースを伝えていた。
 タクシーの運転手が「全くバカなことをするヤツがいる」と言っていたが、私は単純に頷けない不吉な予感を感じた。
 事件は翌朝未明に終結した。そして私の予感は的中した。またも犯人は十七歳。精神病院へ入院中、外泊時での犯行であるという。小学時代成績優秀、おとなしく、まじめ。中学時代いじめに遭う。・・・最近起こる青少年犯罪の判で押したような犯人像である。
 先週のある週刊誌に「なぜ射殺しなかったバスジャック」というトップ記事があった。被害者のことを考えると否定できないが、犯人は入院中の病人であることも週刊誌編集長には検証して欲しかった。
 精神病者は健常者には到底理解できない恐怖感の中で生きている。ゆえに一般が納得できる(例えば金銭目当てなど)犯行の動機などある筈がない。 
 こうした事件をきっかけに日本の精神医療の見直しと一般に正しく精神病を理解してもらいたい。でなければ何人射殺しても、次の犯人がまた現れるだろう。