障害年金の基礎知識―精神社会福祉士の立場から

新宿区後援・11月新宿フレンズ講演会
講師 駒木野病院ソーシャルワーカー山口多希代先生

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【はじめに~自己紹介~】
 医療機関のソーシャルワーカー(精神保健福祉士)は、入退院の相談や個別の相談に応じたりしています。私は一般的な業務だけでなく、病院と地域を繋ぐ活動や、病院内の各部署をつなぎ、退院支援や各種プログラムの運営等を行いながら、本人や家族の支援など様々な活動を行っています。
 現在の私のテーマとなっている活動は、障害年金と長期入院者の退院支援です。退院支援では、地域生活をどう支えていくかです。ここ数年は家族支援も始めています。障害年金の関係では、「東京・無年金障害者をなくす会」「精神障害年金研究会」などに所属して活動し、社会保険労務士との勉強会に参加もするなどできるだけ知識や情報を得て広い視野で、年金のことを考えていきたいと思っています。

【社会保障の意味と制度】
 私たちは1人1人が安心して生活し、その人らしく人生を送る権利を有しています。しかし個人では対応しきれない様々なリスクに遭遇することがあります。例えば事故や病気などのリスクです。社会保障は、国民1人1人の生活を守ろうと、国と社会が対応していくために考えられた仕組みです。
 社会保障の仕組みは、主に社会保険の仕組みを使っていて、例えば、健康保険、年金、介護保険などがあります。年金は社会保険の仕組みを使っているので、基本的には年金に加入して保険料を払い、自分が障害や老齢、遺族(死亡)になった時の生活を支えていくための所得保障として年金を受け取るものであり、みんなで支え合う制度です。
 所得保障は生活基盤の重要な要素の1つです。生活費をどうやって賄うかは、それぞれの人によって違いますが、どんな人でも就労、活動、収入、医療などが整っていて、生活費が一定程度満たされていることが安心できる生活に繋がります。
 障害を負うと、低収入になり生活が困窮するとか、高齢化した家族が老齢年金で障害者を支えていく状況が結構あります。お金がないのはやはり苦しいことで、無年金障害となった障害者の側からも、「家族に小遣いをもらうのは気が引ける」とか「買いたいものがあっても言い出せない」などという声を聞きます。

【障害年金の制度と受給の流れ】
 日本の年金制度は国民年金、厚生年金、共済年金があり、給付は障害年金、老齢年金、遺族年金の3種類があります。

《障害年金の受給要件》
 障害年金の給付を受けるには、〈3つの受給要件〉があります。〈初診日〉はいつか、保険料の〈納付期間〉はどうか、〈障害の状態〉は該当するかなどで給付が決まります。

《請求する意思から始まる》
 障害年金を請求するには、まず障害年金を受給したいという本人の「請求する意思」があって、手続きを進めなければスタートしません。「年金が欲しい」と思っても「手続きが難しそうだ。いろんなことを調べてまとめないといけない」などと思ってしまうこともあります。

《請求から受給へ》
 まず、初診日がいつかを特定し、20歳前の初診なら無拠出の障害基礎年金、20歳以降(20歳未満でも公的年金に加入している場合はこちら)の初診なら、どの年金制度に加入中だったのか、保険料の納付要件は満たしているかなどの受給要件を満たしているかどうかを確認してください。

《受給後の更新手続き》
 精神障害の場合は更新手続があり、年金の診断書を一定期間(1~5年のいずれかの期間)経った後に年金の診断書を出し直して、再審査を受けなければなりません。この時も、診断書作成については、初めて請求手続きをした時と同じように注意が必要です。

《障害年金の種類》
 未加入で国民年金の対象となる場合:20歳前に初診がある人、つまり年金加入年齢に達していないうちに発症して受診。20歳以降に年金の請求をするタイプで、障害基礎年金になります。
 20歳前に初診がある人の障害基礎年金は、無拠出と言って保険料の納付要件を満たさなくて良いので、所得制限があります。例えば扶養家族なしの1人世帯なら360万4000円で2分の1の減額、462万1000円で停止、つまり月給なら税金や社会保険料等を引く前の金額が年間500万以上くらいになったら停止のことを気にすればよいと思います。ほとんどの方はこの額を超えることはありません。

【請求手続きに必要なこと】
 前述のように手続きは、障害年金の〈受給要件〉を確認しながら、請求書類を役所で受け取り、医師からの〈年金診断書〉や、本人・家族の作成する病歴・就労状況等申立書等を準備して、〈裁定請求〉を年金事務所や区役所に提出します。 それが認定機関である障害年金センターに回って、審査を受けて結果が届きます。

《受給要件》
 
大きく言って3つあります。〈加入要件〉と〈保険料の納付要件〉と〈障害状態(程度)の要件〉です。
加入要件:基本的には〈初診日〉の時点で、公的年金に加入していることですが、初診が何時かと合わせて考えます。
 厚生年金の加入中に〈初診日〉があれば、厚生年金の障害年金の対象になります。1、2級であれば障害基礎年金+障害厚生年金の組み合わせで受給できますし、3級でも厚生年金部分(二階部分)が受給できます。
 国民年金に加入中に初診日がある人は、1、2級それぞれ国民年金の障害基礎年金が受給できます。
 20歳前に初診のある人は、納付要件は関係ないので未加入(無拠出)で障害基礎年金を受給できます。
保険料の納付要件:これは年金事務所に行けば、状況を簡単に調べられます。申請用の書類を取りに行く時にも窓口で確認されます。年金定期便などでもわかります。但し、初診日の前日までに納付要件を満たすことが必要ですので、遡って納める追納などの手続きをとった期間があったりすると、見かけ上は納付済み期間になっていても障害年金の納付要件を満たせないことがありますので注意が必要です。
 20歳を過ぎて初診のある人は、原則、加入しなければならない期間の3分の2以上が納付または免除期間であること。または、初診日前の1年間に滞納期間がなければ良いことになっています。昭和61年4月より前に初診日がある場合には、納付要件が違ってきます。また平成3年3月までは、国民保険の保険料を年4回、3か月ごとに払う仕組みだったので基準の取り方が違います。

障害状態(程度)の要件:〈加入要件〉や〈保険料の納付要件〉は調べれば分かりますが、〈障害状態の要件〉は、審査をする障害年金センターでないと受給できるか等はハッキリ言えません。しかし請求する側でも目安をつけながら手続きを進めます。
 〈障害等級表、認定基準、ガイドライン〉に当てはまるかどうかを見ていきます。
 全障害共通の〈障害等級表〉の作成年度は昭和36年。まだ治療法がなかなかない、薬も良いものがない時代に作られ、少しの変更はありましたが今も重い状態を基準にしており、1級などはほぼベッドの生活です。しかし実際の運用では、これでは年金をもらえる人がほとんどいない状態なので、現状に合わせてもう少し柔軟な基準で運用されています。
 1級2級3級の状態を「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に分けて書いてある表で、これに当たらない場合は、一番近い症状の病気の基準に当てはめて考えられます。

《初診日の特定》
 
初めて医師にかかった日が〈初診日〉となります。〈初診日〉は〈納付の要件〉を見る日であり、〈障害認定日〉の起点となるなどの意味合いがあります。その時に加入している年金が厚生年金か国民年金か、納付要件を満たしているかで、年金を受けられるか受けられないか、どの年金がもらえるのかが違ってきますので、〈初診日〉が何時なのかを確認することはとても大事です。

【請求に必要な書類と注意点】
 〈受診状況等証明書〉、〈障害年金診断書〉、〈病歴・就労状況等申立書〉、この3つの書類が必要になります。特に現在の障害年金の認定審査は、〈年金診断書〉の中身が大変重要になってきますので、その点に注意して作成してもらって下さい。
 受診状況等証明書:初診日にかかった医療機関のカルテに基づいた証明が一番良いのですが、カルテが残っていない等の場合は、〈受診状況等証明書が添付できない申立書〉という書類があるので、それを付けて2番目にかかった医療機関に〈受診状況等証明書〉を書いてもらうことができます。それもできない場合は、3番目の医療機関に依頼することになります。医療機関の証明がとれない場合には〈第三者証明〉といって家族ではなく、学校の先生や会社の上司、友人、知人、近所の人等に、「〇年頃、この人が〇〇病院に治療を受けに行っていた」という証明を書いてもらうことにより、初診日として認められる場合もあります。

障害年金診断書:請求のタイプによって違います。初診日から1年6か月後が〈障害認定日〉ですが、その時に請求する場合は、その時点での医師の診断書1枚が必要です。障害認定日から1年以上経って障害年金を請求する場合は〈遡及請求〉といって、過去に遡って年金の受給を求める形の請求になるので、障害認定日にかかっていた医師(医療機関)の診断書と、請求する時点の医師の診断書2枚が必要になります。

《年金診断書作成の留意点》
 障害の状態が適切に年金診断書に反映されていることが大事です。障害の基準は年金制度上の基準であり、日常生活を送る上でどのようなことが出来ないか、制限を受けているか(支援が必要な状態か)の程度が問われます。入院中や家族と同居していても、平均的な生活環境を想定して判断することになっており、現在では、アパート等での単身生活を想定して、〈日常生活能力〉7項目で判断することになっています。

病歴・就労状況等申立書:本人、家族、もしくはソーシャルワーカーなどや代理人になった社会保険労務士等が書く書類です。かかった医療機関ごとに、外来通院時、入院後などに分けて経過的に、その時々の治療の内容や生活の様子を書くことになっています。
これらの書類で年金の請求をします。

【決定に不服がある場合】
 数か月後に判定の知らせが来ますが、もし等級など障害年金の決定に不服がある場合は、〈不服申し立て〉ができます。再審査請求をするための費用はかかりません。この時の争点は、診断書に書かれた内容から結果は不当であることを、主張できなければなりません。万が一不服申し立てをする時も戦えるためには、最初に主治医に〈年金診断書〉をきちんと書いてもらうことが大事です。

【受給決定の後に】
《有期認定への対応》
 これも前述していますが、障害年金は、〈有期認定〉と〈永久認定〉があります。精神の場合は最初から〈永久認定〉を受けることはありません。

障害状態確認届 :〈有期認定〉は、1~5年という期間が決められていて、その人ごとに1年後か、2年後、5年後など、受給決定時に〈次回診断書提出年月日〉が分かります。その年になったら〈年金診断書〉が届くので、すぐに主治医のところに持って行き、診断書を書いてもらって審査を受けます。この時の診断書付きの用紙を〈障害状態確認届〉といいます。
 その診断書を医師に書いてもらうのですが、最初に請求した時と同様に障害の状態がきちんと診断書に反映されることが重要です。短い診察時間でご本人の生活の様子を把握することは、なかなか困難だと思いますし、遠慮もあったりして本人からなかなか話せていないということもあると思います。普段から生活の様子も含めて主治医に伝えることができていればよいのですが、過去1年くらいの状況を本人がメモなどにして、「こんな風に1年を過ごした」「こんなことが大変な状況としてあった」と伝えて、それらを主治医が認識しながら診断書を作ってもらうことが大事です。

《受給後に悪化した場合など》
併合認定:
障害基礎(厚生)年金をもらっている人が、新たな障害が発生した時には、2つ以上の障害を合わせて等級を上げる仕組みもあります。
額改定請求:例えば厚生年金の障害年 3級をもらいながら仕事をしていた人が、最近具合が悪くて働くこともできないし、家で何とか生活していくのが精いっぱいという状態になった時など、障害の状態が悪化したと思える時には、等級の変更をしてくださいという審査を受けることができます。(直前の審査を受けてから1年以上経過しないとできない場合もあります)
支給停止事由消滅届:支給停止になっている人がその理由がなくなったと思う時(障害が重くなった時)は再開を求めます。
事後重症請求:年金請求をしたけれども障害の状態が軽くて該当しなかった人、または障害認定日の状態が該当しなかった人は、65歳までの期間で該当する状態になったと思われる時点で、改めて障害年金の請求手続きを行うことができます。この場合、遡って年金はもらえないので、なるべく早く手続きを進めてください。
これらは、すべて診断書の提出が必要です。

【等級判定ガイドラインと認定機関】
《どんな手順で判定されているか》
 平成28年9月1日から精神の障害については、〈障害等級表〉とか〈障害認定基準〉とは別に、〈精神・知的障害の障害認定に関するガイドライン〉に基づいた認定が合わせて行われるようになりました。かつては国民年金の障害基礎年金は都道府県単位で審査が行われていましたが、その格差が大きく、それを是正するためにガイドラインが作られたのです。
 等級の目安は事務官の担当で、〈年金診断書〉に書かれた、先ほど話した?〈日常生活能力の判定〉7項目の4段階評価を合計して、7で割って平均点を出します。?〈日常生活能力の程度〉5段階のどこに当たるかを確認します。
 これを縦軸と横軸にして、クロスしたところが、等級の目安になります。例えば、3.0以上3.5未満、具体的に3.3とか3.2とか7項目の平均が出て、5段階評価が3についていたとすると、2級相当という目安になります。4についていても2級かな、となります。
 ですから、主治医の書く〈年金診断書〉が非常に重要です。家族や本人は、日常生活で困っていることや、もし1人暮らしになったら果たしてできるかどうかをよく考えて、必ず主治医に伝えた上で書いてもらい、内容を確認して提出することが大事です。

《審査は障害年金センターに1本化》
 障害年金の都道府県の格差を是正するために認定のガイドラインを作りましたが、並行して都道府県ごとの障害基礎年金の認定を止め、平成29年4月から新宿にある障害年金センターで審査をしています。それが各地の年金センターに戻って本人に決定が下りる仕組みで、障害年金センターだけが全国の障害年金に関わる認定作業をします。(全国7か所のサテライトセンターの認定医が審査することもあります。)
 今までは全国各地に認定医がいたのですが、東京のセンター1か所となったので東京周辺の認定医を増やす必要から、精神障害を担当する認定医は80人くらい増えたようです。しかし、担当の事務官が認定医に説明はしますが、研修や全体会議などは一切開かれないまま、個々人の基準で認定作業をしているのが現状です。

【ライフサイクルと公的年金】
《障害年金と老齢年金》
 20歳になったら年金に加入、原則60歳までです。60歳以降も厚生年金加入者だけは、働いていれば70歳まで加入になります。
 基本的には65歳を過ぎたら老齢年金を受給します。途中で障害となったら障害年金を受給します。65歳になると、老齢年金と障害年金の両方をもらうことはできないので、基本的にはどちらがメリットがあるかを比較して選択します。初診日は国民年金で障害基礎年金をもらっていた人が、厚生年金に加入していた時期もあって老齢厚生年金をもらえる資格のある場合には、老齢基礎年金か障害基礎年金かを選択できて、障害基礎年金を選択した場合でも、二階部分の老齢厚生年金をもらうことができえます。

《法定免除・申請免除・特例納付・猶予制度》
 どの制度も届け出が必要です。障害年金受給者と関係するのは法定免除ですが、年金を受けられなかった場合に他の制度を利用することもあるかもしれません。未納にならないようにしましょう。
法定免除:1、2級の障害年金の受給者、生活保護の生活扶助を受けている人は、国民年金保険料を免除されます。該当する事実が確認できた場合は遡って法定免除になります。
申請免除:所得が低い等の場合、本人が申請して認められれば免除になります。申請免除は申請した後しか適用になりません。免除額は全額、4分の3、半額、4分の1と段階になっていて、例えば4分の1の免除の場合、後の4分の3の保険料を納めないと免除になりません。また、例えば両親と同居で父親が世帯主でそれなりの収入があると、本人の収入が無くても免除の対象にならないということがあります。住民票が別の場合は、世帯主である本人のみの収入を見ます。
学生納付特例制度:20歳以降大学生や専門学校生、大学院生の場合は、納付特例の手続きをすれば、学生期間中は保険料を納めなくても良いという制度です。学生は納付特例が優先なので、免除は受けられません。
保険料納付猶予制度:保険料の猶予制度は、平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となっています。
〈特例納付〉も〈猶予〉も、老齢年金を受け取るための受給資格期間にはカウントされますが、年金額の計算には反映しません。障害年金では納付要件を満たす扱いになります。
老齢年金は10年加入で支給:すべての老齢年金受給者に必要な加入期間が短縮されて、今までは25年以上保険をかけているか免除を受けていないと、10年とか15年しか納付していなかった人は老齢年金を受給することができませんでした。平成29年8月から期間が短縮され、10年以上加入していれば年金を受給できるので、最近は今までもらえなかった人がもらえるようになりました。但し年金額は低額です。
障害者特例の老齢厚生年金:厚生障害年金を受給していて、老齢年金の資格が発生する人に、3級以上の障害がある場合は、障害者特例の老齢厚生年金を60歳から受給できます。ただし昭和36年4月1日以前生まれの男性、または昭和41年4月1日以前生まれの女性です。

【ソーシャルワーカーとして】
 障害年金請求のお手伝いをソーシャルワーカーがすることで、障害の状態や支援が必要なところなどを共有することになり、本人をより深く理解できます。本人にとっては大変だけど結果が出るので達成感があり、それを家族やワーカーと共有することで信頼関係が深まり、その後も相談しやすくなってしっかり支えられる、話し合えるようになることも多いと思います。
 ソーシャルワーカーは、当事者の権利を守る立場で、あらゆる制度、障害年金や所得保障に関しても、ご本人が上手に制度を利用出来るように支援したり、より良い制度にしていくことを意識して日々仕事をしています。クリニックや病院の相談室ではなかなか予約が取れない、ゆっくり話ができないこともあるかもしれませんが、ぜひ利用してください。
 本来、障害年金はご本人が請求できるものですが、実際の手続きには複雑さ、難しさがあり、本人や家族だけで手続きを進めるのは大変な場合が少なくありません。医療機関をいくつも転院していて確認が大変な場合などの時には、社会保険労務士を頼むというのも一つの方法です。
 ただし費用が掛かります。初回の相談は5000円くらいですが、受給できた場合は、初回振込額の1割または2か月分の高い方+実費というところが多いです。依頼する場合、障害年金を専門にしている社会保険労務士に依頼できると良いでしょう。代理人として医療機関や年金事務所に連絡し、書類をそろえてくれるので負担は軽くなります。まずは相談してみて依頼をするか考えてください。
 医師に〈年金診断書〉を依頼する時も、本人だけでなく社会保険労務士が立ち会ってくれますが、繋ぎ役としてソーシャルワーカーも入るとよりスムーズにいくことがあります。
 誰でも安心して生活ができるように、障害があって生活をしていく所得が得られない場合は、障害年金等で生活を保障される権利があると私は思っています。ただ、権利というのは保障されると同時に守っていかなければならないものであり、時には勝ち取らなければいけないものでもあります。
 障害年金の請求は本人にも家族にも負担はあると思いますが、年金は生活を拡げることになり、回復も進むのではないでしょうか。時にはお金を使い過ぎて困ったという事例もありますが、長い目で見ると何とか落ち着くことが多く、基本的には年金の受給をプラス方向で考えたほうが良いと思います。
 年金制度も矛盾があって、同じ程度の障害なのに…という現実は時々あるので、できるだけ平等公平に保障される仕組みを作るにはどうしたらよいか。これも当事者も含めて問題として考える必要があり、ご家族とも一緒に考え、良くしていくことができればと願っています。
                                      ~了~

平成17年4月からの新宿家族会ホームページ「勉強会」の表示形式について

 新宿家族会では4月から「勉強会」ホームページの表示について、概略掲載とすることになりました。そして、「フレンズ」(新宿家族会会報紙)ではいままで同様、あるいはより内容を充実させて発行することにしました。これまで同様に勉強会抄録をお読みくださる方は、賛助会員になっていただけますと「フレンズ」紙面版が送られますので、そちらでお読みできます。
どうぞ、この機会に是非賛助会員になっていただけますよう、お願い申し上げます。

賛助会員になる方法    

新宿家族会へのお誘い 
 新宿家族会では毎月第2土曜日、12時半から新宿区立障害者福祉センターに集まって、お互いの情報交換や、外部からの情報交換を行い、2時からは勉強会で講師の先生をお招きして家族が精神障害の医学的知識や社会福祉制度を学び、患者さんの将来に向けて学習しています。
入会方法 

編集後記

 またまた歳の瀬。相も変わらずの一年の最後の月になった。酉の市、クリスマス、忘年会、大掃除、年賀状、紅白歌合戦、除夜の鐘と十二月は何かと忙しい。 そんな中、新宿フレンズでは駒木野病院ソーシャルワーカー ・山口多希代先生 に障害年金についてお話を伺った。
 これまでも二回?三回?と年金については学んできた、つもりでいた。しかし、初めて聞く言葉が多かったのには驚いた。有期認定、永久認定という言葉があり、精神には永久認定を受けることはないと言われた。そこが他の障害とは異なる部分であり、精神障害の特徴を物語るものであろう。つまり、精神障害は回復する可能性があるということなのだろう。嬉しいような、寂しいような話しである。   
 併合認定、額改定請求なんて言葉も初めて聞いた。先生は最後に障害年金は誰でも安心して生活ができるように保障される権利だと言う。そして、権利とは保障されると同時に守っていかなければならないものであり、時には勝ち取らなければならない、と付け加える。
 障害年金はいろいろな捉え方がある。わが息子も当初は年金を貰いたくないと言っていた時期があった。それがある時から貰いたいに変わった。貰いたくないという理由は「障害者というレッテルを貼られるような気がする」ことからである。貰いたいに変わった頃から、いや貰うようになってからメキメキ回復してきたような気がする。人間万事金の世の中とは言い過ぎだが、確かにお金の力によって精神の病は回復するということもあり得るのではないか。