心病む人が自信をもって地域で生きるために

新宿家族会1月勉強会より  クッキングハウス代表 松浦幸子さん

松浦幸子さんのプロフィール
 新潟県生まれ、72年に法政大学文学部卒業。長男の不登校を契機に弱者の立場に添って物事を判断できるようになりたいと、東京YMCA専門学校社会福祉科に学ぶ。同校卒業後、精神科ソーシャルワーカーとして保健所デイケアで長期入院者の社会復帰をサポートしながら、87年に地域居場所「クッキングハウス」を設立。現在3つのクッキングハウスの代表として、心病む人たちの社会参加を応援し続けている。著書・「不思議なレストラン」(教育史科出版会)98年に社会公益賞受賞。(東京キワニスクラブ)

 「不思議なレストラン」という本を書きましたが、それがなんと5刷まできました。その「不思議」と名付けた理由について、述べたいと思います。
 まず、店員が多いということです。定食レストランに20名もの店員がいます。その中にはネギを切っただけの調理人とか、ペチャクチャしゃべってばかりいて、何もしない店員、色々な店員がいます。店内もゴチャゴチャしています。それに店員の年齢が20歳代から60歳代というのもあまり例のない構成ではないでしょうか。そして、スタッフ(専門職)とメンバー(当事者)のどちらかに属するということだけで、それ以外の区別はありません。この両者は、同じ立場にいて、どちらがサポートするとか、指導するというようなことはありません。両者は同じ店員という立場です。
 メニューは昼の定食が1,000円です。ちょっと高いかも知れませんが、食材を各地の契約農家から無農薬の野菜を取り寄せています。昆布はご存じかも知れませんが、北海道のベテル(浦河町にある作業所)から取り寄せています。したがって、採算を考えるとどうしてもこの値段になってしまいます。でも、お陰様でお客さんは毎日来てくれます。1日平均60食が売れています。時々パーティーの仕出しや弁当という注文も頂いています。
 これも不思議の一つですが、私たちが名付けた「超フレックスタイム制」です。とにかく出勤時間の決まりというものがありません。メンバーは何時に来て、何時に帰ってもかまいません。でも、大体皆さん、昼食の準備が出来た11時にはキチっと来てますね。(笑い)何か嗅覚のようなものがあるんじゃないですか。
 要するところ、クッキングハウス(以下C.H.)には3つのこと以外、決まりというものがありません。その一つは食事1食頂くと500円を払うこと。定価の半額ですね。
 二つ目は食品を持ち込まないことです。1食500円も惜しんで、近くのコンビニなどでおにぎりとかパンを買ってきて店の中で食べるようなことはやめましょう、というものです。
 三つ目は禁煙ですね。この3点の決まり事以外は、全て各自の判断で生活してよい、ということです。
 現在の登録会員が78名です。この中で22名が生活保護を受けている方です。月額の売り上げは平均70万円。そのうち60%は食材等の原価で消えます。残りをメンバーの給料にしています。給料は基本給と勤務時間による歩合給制です。歩合給はとにかく出勤すれば、賃金がでます。そこで一日中しゃべっていようが、寝ていようが、来れば出ます。この辺も不思議ですよね。メンバーの平均賃金は月給・数千円から3万2千円か3万3千円くらいといったところです。満足な給料ではないかも知れませんが、とにかく、C.H.に来て良かったと言ってもらえることは、自信を失っていた人が、他人から喜ばれることによって、自信が涌いた、ということになります。
 私はC.H.をオープンするに当たって、全国の作業所を見学しました。そこで行われていることは、大部分のところで、牛乳パックから紙漉きをするとか、ダンボールの箱に囲まれて、ただ黙々と作業を続けるというものでした。紙漉きは冬ともなれば水場の作業で、アカギレができたり、私にはとても出来ない仕事だと思いました。私ができなければ、メンバーだっていやだろう、そう思ったのです。それとダンボールに囲まれた作業というのは社会との接触はほとんどありませんね。C.H.では、近隣の一般市民が食べに来てくれて、顔なじみになるなど、メンバーが社会に溶け込んでいるという状況が生まれています。ですから、私がこれからやろうと思ったときレストランにしたというのは、そういう理由がありました。そして、それがほぼ予想通りの結果として現われてきています。
 では、C.H.についてはこの辺にして、きょうのテーマである「心の病いを持つ人が地域で自信を持って生きるために」について話したい思います。

 私はC.H.を運営する上で6項目の理念を持って行っています。
 1つは「自分らしさの確保」です。日本の精神科病院では長期入院の患者さんが多いということはご存じの通りです。それは症状としては退院できる状況にありながら、退院する場所がなかったり、また、当事者の方々は繊細な神経をもっていることは皆さんもよく感じていることと思います。そこでせっかく退院してきても、自分の生活する場所がないんです。家庭の中にいても母親と顔を突き合わせて暮らさなくてはなりません。昼間、一歩でも外に出れば、近所の家の人が「きょうはお休みですか」と声をかけたり、そうしたことから、患者さんはまたストレスを受けて、再発して再入院ということを繰り返すことになってしまいます。そこで、街の中に心の病いを持ちながらも自信をもって生活できる居場所が必要だということです。自分がそこに居ていいのだ、と感じられるところ、自分を受け止めてくれるところ、こういう場所があれば、患者さんは病院からすんなり退院できるのです。退院した人は再発することもないでしょう。
 2つ目、「オープンな場所であること」です。これは社会に開かれた場所であることですね。先ほども触れましたが、メンバーが作った料理をほんとに一般のサラリーマンや近隣の方々が、スッと入ってきて、食事をしていってくれます。このときメンバーは食事を通して明らかに社会と触れあっているわけです。お客さんと話し合い、冗談を飛ばす。悩みがあれば励まされる。これこそ人間が生きていると感じられることではないでしょうか。そして、出勤するも欠勤するも自由です。その人ペースでやってくれればいいのです。作業所によっては厳しい時間管理をしているところもあるようですが、それがメンバーにとってストレスになるようでは、決してリハビリの効果は上がらず、却って逆効果でしょう。
 3つ目、「運動を起こす」。これは障害者福祉の問題について、それからC.H.の運営上の問題、例えば行政への働きかけといった意味の運動です。また、C.H.の活動を広く世の中に知っていただき、自分たちが良しと思ったことを広めていきたいということです。きょうお配りした「クッキングハウスからこんにちは」は発行部数が1800部になりました。賛助会員が1000名に達し、「クッキングハウスから~」は全国各地の会員に発送しています。また、月1回紹介会ということを行っています。これは、きょうの話のようにC.H.の理念を紹介しながら、心の病いを持った人が地域で生きていくためにはどうすればいいかを地方からの見学者と共に語り合います。毎回30名以上の見学者が来てくれます。一人2000円で、K.H.の食事を食べて頂だいたり、施設見学と説明を聞いて頂いています。
 4つ目「当事者が語れる」こと。それは、メンバーが自信を持って頂くことにつながります。ご存じの方も多いと思いますが、そのSSTを積極的に取りいれてメンバーさんとスタッフが一緒になって行っています。講師には前田ケイ先生を招いて、先日は、あるメンバーさんが電車に乗ると、どうしても前の人を見つめてしまい、相手から「ガン付けた」などと言われそうで、電車が怖いという話がありました。その解決策については後ほど実際にSSTを行いながらお話しましょう。
 また、最近音楽バンドができました。一人専門スタッフがいますが、あとは全て素人です。歌のレパートリーは水戸黄門からビートルズまでめちゃめちゃ幅があることが自慢のバンドです。昨年はサンクス(東京都/都精神保健福祉民間団体協議会)で公演まで行いました。ほかにもキミコ方式の絵画教室とか、リラックス気功も行っています。これらは全てC.H.はメンバーの社会参加への応援するという捉え方です。
 5つ目、「スタッフの資質を高める」。スタッフは決してメンバーの上に立つものではなく、また、下から支えるものでもないという理念をもって活動できる人物を育てることを目指しています。この上下を作らずにその場をまとめていく事は優れたバランス感覚や豊かな人間性がなければ出来ない作業です。また、活動内容には創意工夫をもって、積極的な活動方針の提案とかができるスタッフであることが望まれます。そこには日本の精神医療や福祉問題への関心や勉学するという意識を持って参加してもらえるスタッフであることですね。
 6つ目、「家族もチームケアの一員」ということです。これまでの作業所に多く見られたのが、作業所に行かせておけば親は安心、という感覚が大方でした。しかし、家族が当事者を最も良く理解されているはずです。それゆえ、家族が私たちと協力しながら当事者を応援していくということが望まれます。そして大切なことは、当事者も社会の一員であると同時に家族も社会の一員いう感覚で、一人で抱え込まないこと、そして、本人を隠さないことです。親自らが社会の片隅に隠れたような態度をとる方もいますが、親も自信を持って堂々と家族会やイベントなどに参加して頂きたいと考えます。C.H.では家族の方も気軽に食事をしに来てくれたりします。賛助会員になってくれる方もいます。しかし、C.H.では、会員の70数名の内22名が生活保護を受けて単身生活しています。つまり、家族から独立しているわけです。この辺は家族というより、当時者との関係で行っています。
 一方、家族問題では先日の実態調査によると、家族と同居している場合でも、親の平均年齢は68.8歳でした。親が高齢者になって来て、介護保健の対象者になってきている状況です。こうした問題も対応しなければならないと思います。それにはホームヘルパーを拡充していって対応する方向で調布市等に働きかけを行っています。家族が必死になって当事者の対応に追われている状況から解放されなければならない、という考え方です。それが「ケアチームの一員」ということです。

 先ほども言いましたが、C.H.では、SSTというのをよくやります。先ほどの電車の中での「ガン付けた」件では、私は「では、あなたが一番好きな本を持って電車に乗り、本を読んでいたら相手を見なくて済むじゃない?」といいます。そこで、C.H.では、この動作を実際にやってみます。ただ、話をしただけではなくて、例えば、こちらのお父さん(会場内にいた)とやってみます。
 (ここでロールプレイングが行われる)
 お父さん、如何ですか。
お父さん「最初はこちらが気持ち悪かったけど、後半は全く意識しませんね」
 そう、その当事者の方も「今度電車に乗るときはそうします」と言ってくれました。
 つまり、当事者は日常の生活のしずらさというものを常に持っているんです。私たち健常者は何でもないことですが、当事者はほんの些細なことも思いつかない、それでいてまた、些細なことにこだわりがあり悩んでいます。そんなとき、こうした実技リハーサル、ロールプレイングをやってみると判っていただけると思います。C.H.はこうしたロールプレイングを頻繁に行っています。
 もう一つは「自己開示」についてですが、当事者は対人関係において、自分のことを説明するのに、その程度のコントロールが苦手です。しゃべり過ぎて、あとで反省したりします。こういう悩みをもっている人に対してもロールプレイングをやってみると当事者たちは実感して判ってもらえます。私は当事者の方に次のように伝えます。
1、練習したから大丈夫。
2、リラックスしてやってみよう。
3、失敗しても大丈夫。
4、また、試してみよう。
 つまり、暗示ですね。自分にこうした暗示を与えることで落ち着いて他人とのコミュニケーションがとれるようになります。あるいは「自己会話」ということでもあります。
 いずれにしても、ロールプレイングで実際にやってみることです。話を聞いただけでは、いざその場になると忘れてしまったり、言葉通りにはできない、ということになってしまいます。それがまた不安につながったりします。こうした生活技術、コミュニケーションの技術を学ぶことも、地域で自信をもって生きていく大きな要素ではないでしょうか。
 
 もう一つ、コミュニケーション技術では「私メッセージ」という言葉があります。自分の気持ちを伝える言葉です。英語では「I(アイ)メッセージ」です。これと対局にあるのが「あなたメッセージ」です。これはあなた、あるいは他人のせいにした伝え方です。このあなたメッセージで会話をすると、いろいろトラブルが生まれてきます。
 実際の例をやってみましょう。深夜2時、夫の帰りを待つ主婦の会話です。

 ピンポーン(会場のお父さん)「ただいま」
 主婦「まあ、あなたはいつもこんな遅い時間に!、どうして連絡もしないの!」
 お父さん「仕事が長引いてしまった」
 主婦「あなたのそのケジメのなさに腹が立つのよ」
 お父さん「そんなこと言ったって、おまえ」
というのが、あなたメッセージですね。次に私メッセージでやってみましょう。

 ピンポーン(会場のお父さん)「ただいま」
 主婦「お帰りなさい。私は心配していたのよ。大丈夫でしたか?」
 お父さん「うん、大丈夫だ」
 はい、どちらがいいかはもうお判りですね。何事も相手のせいにして相手を攻めるやりかたをしていると、会話は収拾つかなくなり、気持ちはトゲトゲしくなります。
 これは当事者ばかりでなく、健常者にも言えることです。私メッセージで自分の気持ちを確かめて、自分の気持ちを伝えることが大切ですね。C.H.では、この練習をグループで行っています。どんなことでも、相手のいいところを見つけて、自分の気持ちとして「私はあなたのここがいいと思ったわ」というような会話です。これも練習するとできるようになります。
 では、ここで昨年テレビ東京が作成したテレビ番組「親の目、子の目」を見て頂きたいと思います。テーマは「心の絆で結ばれた家族」です。C.H.のメンバーは血はつながっていませんが、心の絆でつながっているということです。これが放送されてから5分くらいしたら電話がどんどんかかってきて、この番組を見てメンバーになった人もいます。
 (番組内でのコメントから)
==松浦さんは長男の不登校をきっかけに精神科ソーシャルワーカーになり、それまでは無理をしてでも息子を学校に行かせようとしていました。次第に、世間体や学歴社会へのこだわりが消え、長男の生き方を認めることができるようになったそうです。やがて長男は学歴に頼らない生き方を模索し始め、元気になっていったそうです。その経験から弱い立場の人の思いを受け止めたいと、福祉の道に進んだ松浦さんは実習で精神科の病院に通い、心病む人たちと出会いました。
 拠り所をなくしているこの人たちと気楽に本音を話せるような居場所を作りたい、そんな思いに駆られた松浦さんは心病む人たちが食事づくりで交流することのできる場を開いたのです。====
 番組では当事者R子ちゃん始め、何人かのC.H.の中での、そして演奏発表会活動を通して、友人同士の支え、当事者たちの生きる喜び、人生の価値観というものが描かれていました。

松浦 私がこの番組を見終わって嬉しかったのは、「心の絆で結ばれた家族」ということをテーマにしようということを制作者と合意として始めたことが貫かれていることです。それから、番組の中に出てくるあの茶髪のR子ちゃんがこの放送のあと茶髪を止めたんです。それはこの番組に出たことで心の成長ができたというんです。自分は茶髪にする必要がなくなったというんです。
 取材中にアパートに移り住んだMさんも、34歳になって始めて親と一緒では自立できないと気がついたということもありました。しかし、その間欝になったりとか様々なことを乗り超えて今日に至っています。彼女の場合はアクセサリー作りや楽器の趣味を見つけて何とか暮らしているという状況です。
 これを通して、この問題は隠して生きるのはなくて、ありのままを見て下さい、という姿勢が結果良かったのではないかと思っています。メンバーたちは最初は写るのが「ヤダ、ヤダ」なんていっていましたが、仕上がってみると「なんで私が写っていないの」なんて言い出す人もいました。やっぱり隠れていても仕方ないことだと思います。何も悪いことをしているわけでもないわけですからね。。
 では、お話はこの辺で質問ある方どうぞ。

質問1 C.H.では「超フレックスタイム」でやっているとありましたが、私の息子が行っている作業所では、遅刻が多ければ午後から来なさいというように、紋きりに指示されてされてしまいます。こういうやり方についてどう判断したらいいでしょう。

松浦 その作業所にはその作業だけではなくて、他にプログラムはありますか。つまり、当事者は個々にニーズが違うということがあります。ですから作業所やデイケアは個々のニーズに合ったプログラムを用意すべきだと思います。C.H.では毎日の食堂経営は勿論ですが、ほかにギタークラブ、絵画クラブなど多くのプログラムを用意しています。それも週1回、月1回開催ということですが、それだけに密度が濃いものなっています。メンバーの中には月1回通ってくるという人もいます。その中からいままで自分を発揮できなかった人がピアノを弾くことに自分を見つけたということもありました。ですから、私は作業所の中にいかに多彩なプログラムを用意するか、というテーマでお話ししたいと思いますが、きょうは家族会ですからできませんけど、作業所なりクラブというところが多彩なプログラムを用意すれば当事者は自分に合ったプログラムを目指して出かけて行きやすくなると思います。

質問者 うちの作業所では家族の方は、そこで働かせてもらっている、それだけでも有り難いことだから、メンバーからの希望なんて言えない雰囲気があります。

松浦 先ほどもお話ししましたが、家族もスタッフと共に当事者をサポートするチームの一員なんですよね。その誇りを家族は持つべきです。ま、その前に作業所のスタッフがその辺のリード役とならなければならないこともありますが・・

質問2 ではC.H.の家族会組織はどんな形で運営されていますか。

松浦 C.H.には様々なプログラムがありますから、家族はその中のどれに参加してもいいとしています。
質問3 家族会の家族の参加率はどれくらいですか。

松浦 メンバーのうち22名が生活保護を受けたり、親元から独立していたりしますから、参加率は高くありません。しかも家族の平均年齢が68.8歳です。ただ、毎日がオープンですから、いつでも家族は参加できる状態です。

質問4 うちの息子は将来に希望を失い悩んでいます。就職試験の面接で大学卒業後長いブランクを指摘され、精神の病気で、と言ったら落とされてしまいました。最近、車の免許書き換えで、職業欄になんと書こうかと聞かれ家族で話合いました。「無職」と書けば「なんで無職か」と聞かれる。じゃ「フリーター」とするか、「ではどこに勤めているか」と。今度は主人が「自由業はどうだ、いまたまたま仕事がない、といえばいい」とか出たりして。(笑い)
 そんなことで毎日不安な日が続いています。クッキングハウスのようなところに出られた有り難いのですが入所条件は調布市在住などの制限があるのですか。

松浦 明確にその制限があるわけではないのですが、調布市在住者が優先されます。調布市が窓口になっていることありますから。もちろん近隣の町から通っている人もいます。
 息子さんは辛いですね。仲間がいれば癒されることもあるんですがね。仲間同士の交流で当事者は大きく変わります。それは親や家族にはできない力があります。

====このあとも多くの質問が出され、松浦先生から貴重なお答えをお聞きしましたが紙面の都合によりここで抄録は終わらせていただきます。同じ悩みを持つ方々に・・・新宿家族会々場にご参加いただき、講師の先生の生の声をお聞きし、ここでしか言えない悩みをお互いにお話し合いませんか。きっと何かかが変わります。
                                  =====フレンズ編集部 

参考:クッキングハウス事務局
 〒182-0024 調布市布田1-21-9角屋ビル
 電話&Fax 0424-84-4103

編集後記

今回、ようやくクッキングハウスの松浦さんからお話しを伺うことができた。昨年の7月にお願いしたが、それからの各月とも予定が入っていて、ついに半年後になってしまった。お忙しい毎日であるようだ。 
 しかし、待った甲斐があった。当事者の立場に立った話には説得力がある。SSTを実践し、理論だけではない、体験すること、身を挺することの価値を強調する。その迫力の裏にはご自分の息子さんの問題からこの仕事に行き着いたというご経歴も関係しているのだろう。
 クッキングハウスの運営に松浦さんの哲学が表れている。どんな小さなことでも、そこに工夫があり、そのための理由がある。もしかするとクッキングハウスの中では、椅子の形、サイズ、色、あるいは置かれている角度までが松浦さんの哲学に基づいたものではないか。クッキングハウスがいまのように発展してきたことは決して偶然ではないことがわかった。
 人と人との関わり方、こころの問題が最も重要視される領域だからこそ、こうした哲学が求められるのだろう。それを見事に実践しているのが松浦さんであると思う。