投資マンション |
不動産のクーリングオフ制度 |
不動産売買契約のクーリングオフ制度について、
クーリングオフ制度の適用対象は、かなり限定的である |
適用を受けるには幾つかの条件を充たす必要があり、
必ずしも利用できる訳ではない |
という点に注意が必要となります。しかし、
不動産売買契約の解除は、クーリングオフ制度が利用できる場合は限定的で、一般的に手付解除による場合が多くなります。
クーリングオフ |
無条件の契約解除 |
適用は限定的 |
不動産のクーリングオフ制度は、幾つかの条件を充たさないと適用されないため、利用は限定的です。 |
もしクーリングオフ制度が利用できない場合、あるいはクーリングオフ期間が過ぎた場合でも、まだ手付解除が利用できる場合があります。 |
手付解除 |
条件付きの契約解除 |
一般的な方法 |
履行に着手するまでの間であれば、手付金を放棄する必要があるものの、契約解除ができます。 |
ただし、手付解除も、可能な期間に制限があります。 |
可能な期間は、「履行に着手するまで」ですので、売買代金の支払いや、物件の引渡しを受けた場合など、手付け解除ができなくなることがあります。 |
違約金について |
既に履行に着手し、手付解除が利用できない場合、違約金として代金の20%の負担を求められる場合があります。 |
宅地建物取引業法 第38条 |
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。 |
ただし、売買代金全額の支払いと、物件の引渡しが完了してしまうと、契約解除そのものができなくなる場合があります。 |
ときどき、物件の引渡が完了してからのご相談が寄せられますが、残念ながら手遅れであることが多く見られます。 |
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クーリングオフ制度の適用対象となる条件の例 |
投資マンションや不動産の売買契約が、クーリングオフ制度の適用対象となるには、幾つかの条件を充たす必要があります。主な条件は、
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の取引であること |
宅地建物取引業者の事務所等以外の場所で申し込みや契約をした場合であること |
8日間が経過していないこと。 |
などが必要となります。事務所等以外の場所の例としては、
事務所等以外の場所の例 |
喫茶店やファミリーレストランなどの飲食店 |
カラオケボックス、ホテルのラウンジ |
自動車の中や、路上、テント張りの案内所 |
説明のための来訪を求めていない場合は
自宅や勤務先も該当します。 |
クーリングオフ制度の適用対象とならない例としては、例えば、
対象とならない場合の例 |
個人間の不動産売買 (売主が不動産業者でない) |
不動産業者の営業所で申し込み・契約をした場合 |
常設のモデルルームで申し込み・契約をした場合 |
買主の側から、不動産業者に対し、
自宅や勤務先で説明を聞きたい旨を申し出て、
買主の自宅や勤務先で申し込み・契約をした場合 |
などがあります。
宅建業法37条の2 抜粋 |
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。) |
クーリングオフ制度が利用できない場合は、手付け解除が可能かどうか、検討することとなります。
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注意を要する、自宅や勤務先での契約 |
不動産の売買契約のクーリングオフ制度では、
自宅や勤務先で申し込み・契約をした場合、
クーリングオフ制度の対象とならない場合がある |
ことに注意が必要です。例えば、買主の側から
自宅で、契約に関する説明を聞きたい |
勤務先で、契約に関する説明を聞きたい |
などと指定した場合、
自宅や勤務先で申し込み・契約した場合でも、 |
宅地建物取引業法施行規則 第16条の5第2号により |
クーリングオフ制度が利用できない場合があります。 |
投資マンション契約では、自宅や勤務先で申し込み・契約をした場合、業者側から、
買主側から指定されて、
買主の自宅や勤務先で申し込み・契約を締結した |
ものとして扱われることが少なくありません。
業者側が確認書にサインをさせるケースがあります。 |
業者側が、重要事項説明書や契約書に
買主の指定に基づき、買主の自宅 (あるいは勤務先) で契約を締結しました |
などと書き加え、クーリングオフ制度の適用対象外として扱われることがあります。 |
契約者が気付かないうちに、
買主の指定により、買主の自宅・勤務先で契約を締結したため、クーリングオフ制度の適用対象とはなりません |
などと書かれた確認書にサインをさせられるケース |
詳しくは、
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銀行のローン面接を、急がせる業者があります。 |
他に注意が必要なポイントとして、
契約書にサインした直後に、銀行でローン面接を受けた |
「8日間以内だし、まだ解約できる」と思っていたら、 |
いつのまにか解約ができない状況に陥っていた。 |
銀行からの融資を実行させ、物件の引渡も行えば、クーリングオフも手付解除も困難となるため、ローン面接を急いで受けさせようとすることがあります。
これは、クーリングオフ制度が利用できなくなる場合として、
宅建業法第37条の2 第1項第2号 |
申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、
かつ、その代金の全部を支払つたとき。 |
という適用除外規定があり、この状態に該当すると、
たとえ契約から8日間以内であっても、 |
売買代金が売主に全額支払われ、物件の引渡が行われると、クーリングオフ制度が利用できなくなります。 |
さらに、手付解除も困難となります。 |
詳しくは、
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クーリングオフを妨害する、悪質な投資マンション業者 |
一般的に、クーリングオフと言えば、多くの方が「クーリングオフの通知書を出せば、発送の時点で成立する」というイメージを持たれると思いますが、
悪質な投資マンション業者の担当者は、クーリングオフの通知書を無視し、勧誘や説得を継続することが少なくありません |
クーリングオフの通知書を発信することは必ず必要ですが、
悪質な投資マンション業者は、単に内容証明郵便を送っただけでは、簡単にはあきらめてくれません。 |
数千万円の契約ですから、業者側も多少の無理は厭いません。クーリングオフの内容証明郵便を送っても、担当者が構わず自宅や勤務先に押しかけて、説得や強迫を仕掛けてくるケースが後を絶ちません。
契約解除の法律上の効力が生じても、勤務先への電話が止まらなかったり、自宅への訪問や待ち伏せなど、業者側の直接的な圧迫、威圧的な働きかけが続くことで、畏怖を感じ、解約を途中であきらめてしまう方もあります。
投資マンション契約のクーリングオフ、契約解除については、自分一人で対応するよりも、専門事務所の利用をお勧めします。
専門事務所によるクーリングオフ手続代行と個人による手続。 |
業者側の対応は同じではありません。 |
特に、投資マンション契約においては、この傾向が顕著です。詳しくは、
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不動産売買契約 |
クーリングオフは必ず内容証明郵便で |
投資マンションの契約は、契約金額が数千万円と高額であり、後日の紛争を予防する必要が高い取引です。
内容証明郵便により契約解除の手続きを行っても、悪質な投資マンション業者は、構わず説得や勧誘を継続することが多いため、確実に契約解除するには、
内容証明郵便により、法的効果を確定させた上で、 |
業者側の妨害や説得への防御を固める必要があります |
電話や口頭での申し出だけで済ませようとすることは、極めて不確実な方法であり、避けるべきといえます。また、業者側に解約妨害や再説得の機会を与えることに繋がります。
数千万円という契約金額を考えると、ハガキで済ませようとすることは、とてもお勧めできません。ハガキのコピーでは、通知書の記載内容を証明できず、法的安定性を欠く、不確実な方法と言わざるを得ません。
旧建設省 (現 国土交通省) の通達においても、申し込みの撤回や契約の解除(クーリングオフや手付解除)においては、単に書面で手続するだけでなく、
この書面に証拠力を持たせるためには
配達証明付内容証明郵便が適当であるので
その旨周知させるよう務めること |
配達証明付内容証明郵便で手続するのが適切な方法であり、購入者の保護のためにも、購入者に周知させるよう、通達しています。
昭和63.11.21 建設省 不動産業課長通達 |
第十 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等について |
(法第三十七条の二関係)四 申込みの撤回等の方式
申込みをした者又は買主は撤回等の意思表示を書面をもつてしなければならないこととされているが、これは、後日の紛争を避け、撤回等の意思表示がなされたことを明確に証拠付けるためであること。したがつて、この書面に証拠力を持たせるためには配達証明付内容証明郵便が適当であるのでその旨周知させるよう務めること。また、この書面による意思表示については、購入者等の保護の観点から発信主義がとられていることに留意すること。 |
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